【次は100000PVを目指す】パワーストーンで魔法を放て!異世界魔法狂想曲

魔石収集家

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■78  アルティマの魔本 /4冊の魔本/魔本の歴史

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冷たく澄んだ夜空が広がる中、零、麻美、そして守田は、運命を呼ぶ女神の聖域へと足を踏み入れていた。
柔らかな月光が彼らの足元を優しく照らし出し、周囲には神秘的な静寂が漂っていた。
ひんやりとした空気は彼らの肌に触れるが、その場にはどこか神聖で温かな力が満ち溢れているように感じられた。

彼らの目の前には、無限の輝きを湛えた聖なる泉が静かに佇んでいた。その泉の中心に立つ女神は、優雅な佇まいと共に、親しみのある柔らかな笑みを浮かべていた。まるで旧友と久しぶりに再会したかのような、温かな雰囲気が周囲に満ちていた。

「いや~、やっぱり来たわね!」女神は明るい声で、彼らを迎えた。「あなたたち、ここまでよく頑張ったわ~。でもねぇ、ここからが本当に大変なの。その準備が必要ってわけ。」

零が一歩前に出て、真剣な眼差しで女神を見つめる。「俺たちは、どんな試練でも乗り越える覚悟だ。どんな力が必要なのか、教えてくれ。」

その言葉に女神はくすっと笑い、少し肩をすくめた。「うふふ、零君、そんなに固くならないでよ~。でも、覚悟はしっかりしておかないとね。それじゃ、教えてあげるね~、超強力な魔法たちを。」

彼女の手がゆっくりと泉の水面にかざされると、静かだった水面が波打ち、4冊の古びた魔本が静かに浮かび上がってきた。その魔本は朽ちかけた外見を持ちながらも、周囲には驚異的な魔力が漂い、その存在感は三人の心を深く揺さぶった。

「これね~、アルティマの魔本っていうんだけど、すごいのよ、これ!でもねぇ、一度使うと…ほら、灰になっちゃうから。しかも、魔石も砕けちゃうの。一度しか使えないので~す!」

麻美が目を見開き、慎重に問いかけた。「一度しか使えないって…それほどの力が詰まってるのね。」

女神は頷きながら、「そうなの~。これらの魔法はほんっっっとに強力だからね。広範囲の攻撃、強固な防御、全員の回復、何でもできちゃうの。でも、一度使ったら、もうおしまい。だから、よーく考えてね!」と明るく説明した。

守田は眉をひそめ、真剣な表情で魔本を見つめた。「その代償に見合うほどの力があるってことか…。俺たちが間違ったタイミングで使えば、ただの無駄になるかもしれないな。」

「そうそう、その通り~!だから、使いどころがめっちゃ大事なの。もしもその瞬間を逃したら、まじで困るよ~?」女神は笑顔を浮かべながら、少しおどけるような口調で話したが、その言葉には真剣な重みが感じられた。

「それで…具体的には、どんな力が使えるんだ?」零が問いかけると、女神は「よく聞いてくれた!」とばかりに楽しげに頷き、魔本のページを開き始めた。ページがめくられるたびに、封じられた力の痕跡が空気に解き放たれ、彼らの心に緊張感が走った。

    炎嵐の審判(ほのおあらしのしんぱん)
    女神は力強く説明を始めた。「まず、これね~。『炎嵐の審判』って言って、超広範囲の攻撃魔法なの!魔石をはめ込むと、炎の嵐が広がって、敵を全て焼き尽くすのよ。この炎、普通の火じゃなくて、精霊の力を宿してて、悪しき者を完璧に消し去るまで燃え続けるんだから!でも、使ったら魔石も魔本もおしまいよ~。」

零はその言葉にじっと耳を傾け、冷たい視線で魔本のページを見つめた。「これほどの力を使うなら、確かに勝てる…けど、本当に一度きりってことか。」

    光の守護結界(ひかりのしゅごけっかい)
  「で、これが『光の守護結界』ね~。これはね、広範囲の結界魔法!どんな攻撃も防げちゃう防御の力よ。魔石をはめ込むと、光の結界がパァーっと広がって、味方全員を守れるの。どんな魔法でも物理攻撃でも、ぜーんぶ無効化できちゃうのよ!ただし、これも一度使ったら魔石は砕けるし、魔本も灰になっちゃうから気をつけてね~。」

守田はその説明に驚きを隠せず、腕を組んで考え込んだ。「無敵の防御か…。使うタイミングを間違えたら、無駄になるどころか、致命的になるな。」

    神聖なる癒しの波(しんせいなるいやしのなみ)
    「次はね~、『神聖なる癒しの波』っていうの。」女神は軽やかに続けた。「これ、広範囲の回復魔法で、戦場全体をカバーできちゃうのよ。味方全員の体力を一瞬で回復させるし、病気や毒も一掃できるの。戦いが長引くときにはめちゃくちゃ役立つけど、もちろんこれも使ったら魔石は砕けて魔本も灰になっちゃうから、一発勝負ね~。」

麻美はその言葉に驚きつつも冷静に思索を巡らせた。「そんな強力な回復魔法があるなんて…でも、使うタイミングを見誤れば…」

    浄化の光柱(じょうかのこうちゅう)
    女神は微笑みながら続けた。「そしてこれが最後よ!『浄化の光柱』って言って、邪悪なものや呪い、闇の力を全部浄化できる超強力な浄化魔法よ~。瘴気や闇に支配されたものを一瞬で清められるの。めちゃくちゃ便利だけど、これももちろん一度使ったら魔石は砕けちゃうから、使いどころが重要よ!」

零、麻美、守田はその説明をじっと聞きながら、魔本に封じられた力の大きさと、それに伴う重い代償を深く理解していた。

「だからさ~、この魔本たち、超便利だけど、一度しか使えないから本当に気をつけてね!誤ったタイミングで使っちゃったら、後悔するよ~。」女神は最後に、いたずらっぽい笑みを浮かべながらそう言った。

零はその言葉に決意を固めるように頷き、「俺たちが使うべき瞬間が必ず来る…その時を見極めなければならないってことだな。」と静かに言った。

麻美も魔石を握りしめ、「その力が、たとえ一度きりだとしても、私たちはその一瞬を最大限に活かすわ。」と誓った。

守田も冷静にその重さを受け止め、「そうだ、これを無駄にするわけにはいかない。俺たちの戦いは、ここからが本当の勝負だ。」と意志を燃やした。

女神は彼らの決意を見届けるように頷き、優しく微笑んだ。「そうそう、その意気だよ~!あなたたちなら、きっと大丈夫だと思ってたの。さあ、行きなさいな~!これからが本番よ!」

三人は再び冒険の道へと戻っていった。彼らの手に握る魔石と魔本、その一度きりの力が、これからの戦いを決定づけることを心に刻みながら…。

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炎嵐の審判(ほのおあらしのしんぱん)

「炎嵐の審判」の魔本は、手に取るだけで皮膚を焼くような熱を感じさせる。表紙は漆黒の革で覆われ、その上に荒々しく赤い炎の紋様が浮かび上がっている。その炎は、まるで実際に燃えさかる火のようにゆらめき、光と影を宿していた。紋様の隙間からは、深紅の光がぼんやりと漏れ出し、周囲の闇を染めている。その赤い光は、かすかに脈動し、息をするかのように、触れるもの全てに熱を伝え、手元に置くだけで脈打つ鼓動が聞こえるような錯覚を覚えさせる。

背表紙には、古代の戦士たちが使ったとされる炎の神具が小さく彫り込まれ、その形は凄惨な戦場の記憶を呼び起こす。表紙の中央には燃える炎のエンブレムが施され、触れるたびに小さな火花が散るかのように明滅する。ページをめくると、まるで炎の中に取り囲まれたかのように温度が上がり、熱波が顔に押し寄せてくる。それは、決して触れてはならない、破壊の魔法が秘められていると暗示するかのようだ。
神聖なる癒しの波(しんせいなるいやしのなみ)

「神聖なる癒しの波」の魔本は、ほかの魔本とはまったく異なる気品を纏っている。白銀色の表紙は、月光を浴びたかのように柔らかく光を放ち、その表面には微細な銀の粉が散りばめられていた。光が当たると、ページ全体が静かに輝き、触れる者を包み込むような温かみがある。まるで、触れるだけで心が浄化され、疲れが癒されるような、静寂と安息が漂っていた。その銀の粉の中には小さな聖なる紋章が刻まれており、それが神々の加護を与えるかのように、静かに脈打っている。

背表紙には、純白のハーブのような植物が描かれており、ページをめくるたびに、清らかな香りが漂ってくる。その香りは、心を落ち着かせる力を持っているかのようで、息を吸い込むたびに、体中に安らぎが広がるのを感じる。この魔本は、命の再生と救いの力を宿しており、その優しい輝きは、闇の中で唯一の光となり、触れる者の魂をも癒すかのようだ。
光の守護結界(ひかりのしゅごけっかい)

「光の守護結界」の魔本は、まるで巨大な盾のような威容を誇っている。表紙は厚い金属で覆われ、黄金の縁取りが光を反射して強い存在感を放っている。その金属の表面には、何世紀にもわたる守護の魔力が浸透しているかのように無数の刻印が並び、まるでその一つひとつが呪文を語りかけるように深く刻み込まれている。触れると指先にずっしりとした重量が伝わり、それはただの本でなく、無数の戦いを見守ってきた歴史の結晶であることを物語っている。

そのページの端には、細かいルーン文字が幾重にも記され、力強い光の輪が重なるようにして描かれている。その光は、守護の力を解き放つ準備が整っているかのように、淡い金色の輝きを放っている。そして、その光はまるで命を持っているかのように周囲を照らし、ページの中で結界が生まれる瞬間を予感させる。魔本を手に取った者には、結界の中に守られた絶対的な安堵感が訪れ、同時に、あらゆる危険から仲間を守らなければならないという責任が心に刻まれるのだった。
浄化の光柱(じょうかのこうちゅう)

「浄化の光柱」の魔本は、深い青色の装丁で覆われており、その青は夜の闇を切り裂く光のように冷たく澄んでいる。表紙全体には、細かい白い光の粒子が舞い踊り、星の瞬きのように無数の点が輝いていた。触れる者の指先から冷ややかな感触が伝わり、ページをめくるたびに、体中に清浄なエネルギーが流れ込むような錯覚を覚えさせる。その表面には、古代の聖なる呪文が銀色の糸で縫い付けられており、その呪文はまるで星空を映したかのように輝きを放つ。

背表紙には、光の柱を象徴する高貴な塔が浮き彫りにされており、その塔は魔本を開くたびに、静かに光を放って周囲の闇を浄化していくようだった。ページをめくるごとに、まるで神聖な風が頬を撫でるかのような涼やかな空気が漂い、汚れや悪しきものが洗い流されていく気配がする。その光の柱は、触れる者に邪悪を浄化する覚悟と力を授け、闇に立ち向かう勇気を与えてくれる。その冷たい輝きは、終わりなき純粋さを放ち、まるで浄化の力が永遠に失われないことを告げるかのようであった。

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かつて、妖魔王リヴォールが堕天する前、彼はこの星を照らす崇高な神の一柱として君臨していた。
その姿は壮麗で、黒く輝く長髪が天から降る夜の帳のように揺らめき、黄金の瞳には果てしない知識の輝きが宿っていた。彼は慈悲深く、時に無邪気でありながら、誰よりも神々の中で人間の成長に希望を抱いていた。人間が手を伸ばせば届く先に、彼は知識の光を灯し、数多くの文明の礎を築くきっかけを与えてきたのだ。

時は、夜が深く包み込み、天の星々が静かに瞬く冬のある日だった。リヴォールは、自らの神殿に人間たちの勇士や賢者たちを集め、「力」を分かつ儀式を行うことを決意した。彼の神殿は、聖なるオパールで飾られた大理石の床が月光を反射し、天井には宇宙の星々を写し取ったかのような幾千の宝石が輝く、神聖で壮麗な場所であった。集まった者たちの中には、リヴォールの神々しい佇まいにただ畏怖を感じる者もいれば、彼に何かを教わろうと強い意志を持って望む者もいた。

彼はその夜、厳かに姿を現し、静かに口を開いた。

「この世の中には、まだ見ぬ秘められた力が存在している。その力は、あらゆるものを創り、そして破壊する。だが、それを手にするには、相応の覚悟と知恵が必要なのだ」

その言葉は、神殿の石壁に反響し、空気を震わせた。彼は手をかざし、星々の光を集めたかのような小さな青い光球を掌中に浮かび上がらせた。その光は優しく、暖かく、しかし同時に底知れない力を感じさせるものであり、見る者すべての心を深く揺さぶった。彼は続ける。

「私が与えるのは、この力を引き出す『知識』だ。しかし、この知識が力そのものではないことを忘れてはならない。これを扱う者は、力を己の欲望ではなく、世界の秩序のために使わねばならない」

彼の言葉に、人々は一瞬息を呑んだ。リヴォールの声は、まるで魂に響く鐘の音のように彼らの内奥を揺り動かし、心に深く刻みつけられた。その瞬間、彼の指先から光の波が流れ出し、周囲の空間に広がっていった。その光は、まるで天から降る流星のように夜空を裂き、まばゆい光の道を作り上げていく。その道を通じて、リヴォールは人々に「魔法の原理」とも言える知識の断片を送り届けたのである。

彼は、この知識を人間が「魔本」という形に具現化するよう助言した。
それは、古代の詠唱を文字に封じ込め、必要なときに魔石の力で解き放つ術が込められた書物。
リヴォールの助言を得た人間たちは、精霊の加護を宿す魔石を手に入れると、その力を増幅させるための魔本を生み出していった。しかし、この知識は決して万人に解放されたものではなかった。彼の選んだ一握りの者たちにのみ伝授され、その知識を共有することで、互いに争いではなく、助け合うための「絆」が結ばれていたのだ。

それから、幾度かの満月が巡るうちに、人間たちは神から与えられた知識をもとに、無数の魔本を作り出すようになった。最初の魔本は、その威力も大きく、まるで星が輝くように光を放つとされる「光の守護結界」や「浄化の光柱」といった究極の魔法が書き記されていた。これらの魔本は、その一つ一つが、リヴォールが人間に対して抱いた希望の結晶だった。

しかし、その希望は、やがて歪んだ形で試されることとなる。リヴォールが神の座から堕ち、闇に堕ちたとき、彼の知識を受け継いだ一部の人間たちはその力を誤った方向に使い始めた。魔本の力を用いて己の利益を求め、他者を支配しようとする者が現れ、戦争が起こり始めたのだ。

かつて、彼が人々に伝えた知識。それは、救いと破壊、希望と絶望の狭間に揺れ動き、人々の心を試すものであった。リヴォールがかつて神であったころ、人間を愛し、知恵を与え、未来を託した彼の意志は、皮肉にも彼が堕天した後、人間たちの争いと憎悪の火種へと変わっていった。

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