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■11.5 東京での零と守田 / リヴォールの野望とパワーストーンの力
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夕暮れ時、ビルの影が長く伸び、東京の街は少しずつ夜に包まれていく。零はパワーストーンショップのカウンターに立ち、店内の静けさを感じていた。静かなこの空間は、外の喧騒とはまるで別世界のようで、零にとっても落ち着ける場所だった。
店内に流れる静寂は、まるで時間がゆっくりと流れているかのようだった。
外の喧騒が嘘のように、この場所には穏やかな空気が漂い、照明の柔らかい光がパワーストーンに反射して微かにきらめく。石一つ一つが、まるで店全体を見守るように存在し、その静けさが零の心を落ち着かせていた。「ここは、俺にとっても大切な場所だな」と零は心の中で呟いた。
扉が静かに開き、守田が姿を現した。「やあ、零君。今日も頑張ってるな。」守田はいつもの低い声で、落ち着いた雰囲気を纏って店内に入ってきた。
「守さん、来てくれたんだ。最近、毎日のように来てくれてるよな。」零は軽く笑って、カウンターに手をつきながら話しかけた。守田がこの店に通うようになってから、二人の間には特別な親近感が芽生えていた。
「まぁな。ここに来ると、不思議と落ち着くんだよ。仕事で疲れた心を癒すような…それに、この石たちを見てると、どこか自分が守られている気がしてくるんだ。」守田は、自分がなぜこの店に引き寄せられるのか、正確には言葉にできなかったが、この場所には何か特別な力があると感じていた。「ここに来ると、少し元気になれるんだ」と守田は穏やかに微笑んだ。
守田は目線を店内の棚に向け、並んだ石をじっくりと見回している。「それに、仕事帰りに寄るのが習慣みたいになっちまったよ。」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。俺も、守さんが来るとなんかホッとするしな。」零は冗談めかして笑いながらも、心の中では本当にそう感じていた。守田の存在は、どこか兄貴分のような安心感を与えてくれる。
守田はカウンターに寄りかかりながら、「それにしても、零君はよくこの店を続けてるよな。毎日、いろんな客が来るだろうし、簡単じゃないだろ?」と問いかけた。
零は肩をすくめ、「まぁ、確かに簡単じゃないけど、親が海外に行ってる時はこうして店を守るのが俺の役目だから。なんだかんだで楽しいんだよ。守さんみたいな常連がいるのも、続けられる理由の一つだし。」
守田は少し微笑んで、零の言葉を噛みしめるように頷いた。「俺も、この店がある限り通い続けるさ。零君の店って、どこか他の場所とは違うんだよな。落ち着くし、妙に居心地がいい。」
「そう言ってもらえると、俺も嬉しいよ。守さんが毎回来てくれるから、俺もこの店が特別に感じるんだ。」零は少し照れくさそうに笑った。
守田はその言葉に微かに笑みを浮かべ、棚に並ぶパワーストーンを手に取った。
守田は棚に並ぶパワーストーンの一つを手に取り、その滑らかな表面を指でなぞった。石は冷たく硬いが、その中には不思議な温かさが宿っているように感じられた。「この石、ただの装飾品じゃないよな…。持っていると、心が落ち着くというか、何か力が湧いてくる感じがするんだ。」守田の言葉に、零は頷き、「それがパワーストーンの魅力だよ。石それぞれが持つ力が、人の心に影響を与えてくれるんだ」と静かに応じた。
零はその言葉に少し考え込み、ゆっくりと頷いた。「そうかもな。俺たちも、最初はただの客と店員だったけど、いつの間にか兄弟みたいになってたな。」
「兄弟、か。確かにそんな感じだな。」守田は軽く笑いながら、零を見つめた。「零君のことは、ずっと弟みたいに思ってるよ。頼れるけど、まだどこか危なっかしいところもあるからな。」
守田の視線は温かく、まるで実の弟を見守る兄のようだった。その視線に、零はふと心が温かくなるのを感じた。彼は守田の言葉に驚きつつも、どこか嬉しさが胸に広がるのを隠せなかった。
「弟、か…。俺も、守さんのことは兄貴みたいに思ってるよ。」零の言葉は少し照れ臭そうだったが、そこには確かな信頼がこもっていた。
守田はそんな零の反応に笑い、タイガーアイの石を手に取って静かに眺めた。「でも、零君がここにいる限り、俺もこの店に来る理由がある。お前がいるこの場所が、俺にとっても大切な場所だからな。」
零はその言葉に心からの感謝を感じ、穏やかに微笑んだ。「守さん、ありがとう。これからも、俺がここにいる限り、いつでも来てくれよな。」
守田は静かに頷き、その大きな手で零の肩を軽く叩いた。「もちろんだ。俺たちはこれからも、兄弟みたいに助け合っていこう。」
二人の間には、言葉にしなくても通じ合う絆が確かにあった。この店の静けさの中で、彼らはまるで兄弟のようにお互いを信頼し合い、支え合っているのを感じていた。
-------------------------------
リヴォールの野望とパワーストーンの力
リヴォールが妖魔王の座についたその瞬間から、彼の心には一つの野望が燃え盛っていた。それは、単なる支配ではなく、彼の力をこの世界の頂点へと押し上げるための、圧倒的な戦力を手に入れることだった。どれほどの年月を費やしても構わない。リヴォールは冷酷に、自分の目的のためにすべてを捧げる決意を固めていた。
「力なき者に明日はない…」
彼の声は深い闇の中で響き渡り、目の前にひざまずく無数の魔物たちを見下ろしていた。
リヴォールの目には、無数の魔物たちを従えながらも、どこか満たされない虚無感が漂っていた。「力なき者に明日はない…」彼は冷たく呟きながらも、心の奥底では、自らが望む力にまだ到達していない焦りを感じていた。彼の欲望は単なる支配ではなかった。すべての存在を凌駕する究極の力、それを手に入れるまで、リヴォールの野心は決して満たされることはない。
どれだけの魔物を従えていても、彼が求める『真の力』には程遠かった。
彼は何百年もの間、魔力の研究を続けてきた。魔物に魔力を与える実験も数えきれないほど行ってきたが、ことごとく失敗に終わっていた。魔力を与えれば与えるほど、魔物たちは暴走し、やがて消滅してしまう。魔力を宿らせるためには、より安定した方法が必要だった。しかし、その方法は見つからない。
100年もの間、彼の研究は暗礁に乗り上げていた。
だが、ある日、彼は偶然にも一つの答えに辿り着く。それは、地球と呼ばれる異世界に存在する「パワーストーン」という石。
リヴォールは、この「パワーストーン」がただの美しい宝石ではないことを直感的に悟っていた。石には、異世界の法則とは異なる力が宿っており、その力は制御できるものではない。地球の人々はその力に気づいていないが、リヴォールはその中に眠る膨大なエネルギーを感じ取っていた。「この石の中には、私が求める力がある…」彼は確信していた。パワーストーンが、世界の均衡を崩し、すべてを自らの手に収めるための鍵だということを。
この石にこそ、求めていた答えが隠されているのではないかと感じたのだ。
リヴォールは自らの魔力を使って、地球との扉を開いた。
地球は、彼の世界とはまるで異なる秩序で動いていた。空気に漂う魔力の微弱さ、魔物が存在しない静けさ、そのすべてが彼にとっては異質だった。だが、その違いこそが、パワーストーンの力を特別なものにしていた。
地球の石には、異世界では見つけられない独特のエネルギーが眠っており、それを手にすることで、リヴォールはこの世界さえも支配下に置く力を得られると確信していた。
「地球…この星が、私に究極の力をもたらすとは…」リヴォールはその石――パワーストーンを、次々に自らの手で集め始めた。
地球に降り立つたびに、空は不穏に揺れ、地震が発生する。
それはリヴォールが地球の空間に干渉し、異世界との扉を開いた瞬間に引き起こされる自然現象だった。だが、地球の人々にとってそれはただの自然災害であり、リヴォールの存在に気付く者は誰一人としていなかった。
彼はその度に扉を開き、数々のパワーストーンを手に入れ、また異世界へと戻っていった。リヴォールの目的はただ一つ、パワーストーンに自らの魔力を注ぎ込み、魔物たちに与えることでその力を進化させることだ。
ある夜、リヴォールは深く静かな闇の中、目の前に輝くルビー色のパワーストーンを見つめていた。
その石は、彼が集めた中でも特に美しく、深い魔力を宿しているのが感じ取れた。彼は冷たい指先でその石を手に取り、心の中で魔力を注ぎ込む儀式を始めた。暗闇の中で石が淡く脈打ち始め、彼の手の中で静かに輝き出す。
「これだ…」
その瞬間、リヴォールは確信した。パワーストーンはただの飾り物ではない。それは、彼の野望を成し遂げるための『鍵』だった。石は、魔物たちに新たな力を与えるための『媒介』となる。そして、その力は彼が思い描いた以上の成果をもたらすことになるだろう。
彼はその夜、最も信頼する魔物にその石を食べさせた。
数時間が経過すると、魔物は徐々に形を変え始めた。
その皮膚は漆黒に染まり、まるで炎のような赤い紋様が浮かび上がった。目は狂気を帯び、唸り声と共に周囲の空気が震えた。
「これが…パワーストーンの力か」リヴォールはその変貌した魔物を冷たく見下ろし、満足げに微笑んだ。「この力を手にした今、私の支配は完璧なものとなる」その時、彼は新たな世界の支配者としての自信を確信し、笑みを浮かべた。
「これで、私は真の軍団を手に入れた。これからは…我が力の下にすべてがひれ伏すだろう」
彼の声は低く、しかし確信に満ちていた。その夜、リヴォールの元に集められたパワーストーンの数々は、彼の新たな軍勢の力を生み出す源となった。魔物たちは、次々にパワーストーンの力を受け取り、さらに強力な姿へと進化していった。
そして、その力は代々受け継がれることが分かった。
パワーストーンを食べた魔物は、その力を次世代の魔物に遺伝させることができる。リヴォールの軍勢は、その数と共に質も劇的に向上し、彼の支配下に置かれた魔物たちは、もはやどの勢力にも敵わない圧倒的な存在となっていった。
リヴォールが地球へ再び訪れるたびに、地球では大規模な地震が発生し、地球の大地が軋む音が響き渡った。彼が何度も異世界への扉を開き、数々のパワーストーンを持ち帰るたび、その衝撃は地球の住人たちに天災として受け取られていた。
しかし、彼にとって地球の混乱などどうでもよかった。
「すべては、この星を征服するための力…いずれは地球という星も…」
リヴォールの目には、これまで見たことのないほどの強大な野望が宿っていた。彼の戦力は日ごとに拡大し、その力は無限のように思えた。
地球と異世界の均衡が崩れ始めたその時、誰もが気付かぬまま、リヴォールの支配が徐々に進んでいた。
読者への暗号→【い】
店内に流れる静寂は、まるで時間がゆっくりと流れているかのようだった。
外の喧騒が嘘のように、この場所には穏やかな空気が漂い、照明の柔らかい光がパワーストーンに反射して微かにきらめく。石一つ一つが、まるで店全体を見守るように存在し、その静けさが零の心を落ち着かせていた。「ここは、俺にとっても大切な場所だな」と零は心の中で呟いた。
扉が静かに開き、守田が姿を現した。「やあ、零君。今日も頑張ってるな。」守田はいつもの低い声で、落ち着いた雰囲気を纏って店内に入ってきた。
「守さん、来てくれたんだ。最近、毎日のように来てくれてるよな。」零は軽く笑って、カウンターに手をつきながら話しかけた。守田がこの店に通うようになってから、二人の間には特別な親近感が芽生えていた。
「まぁな。ここに来ると、不思議と落ち着くんだよ。仕事で疲れた心を癒すような…それに、この石たちを見てると、どこか自分が守られている気がしてくるんだ。」守田は、自分がなぜこの店に引き寄せられるのか、正確には言葉にできなかったが、この場所には何か特別な力があると感じていた。「ここに来ると、少し元気になれるんだ」と守田は穏やかに微笑んだ。
守田は目線を店内の棚に向け、並んだ石をじっくりと見回している。「それに、仕事帰りに寄るのが習慣みたいになっちまったよ。」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。俺も、守さんが来るとなんかホッとするしな。」零は冗談めかして笑いながらも、心の中では本当にそう感じていた。守田の存在は、どこか兄貴分のような安心感を与えてくれる。
守田はカウンターに寄りかかりながら、「それにしても、零君はよくこの店を続けてるよな。毎日、いろんな客が来るだろうし、簡単じゃないだろ?」と問いかけた。
零は肩をすくめ、「まぁ、確かに簡単じゃないけど、親が海外に行ってる時はこうして店を守るのが俺の役目だから。なんだかんだで楽しいんだよ。守さんみたいな常連がいるのも、続けられる理由の一つだし。」
守田は少し微笑んで、零の言葉を噛みしめるように頷いた。「俺も、この店がある限り通い続けるさ。零君の店って、どこか他の場所とは違うんだよな。落ち着くし、妙に居心地がいい。」
「そう言ってもらえると、俺も嬉しいよ。守さんが毎回来てくれるから、俺もこの店が特別に感じるんだ。」零は少し照れくさそうに笑った。
守田はその言葉に微かに笑みを浮かべ、棚に並ぶパワーストーンを手に取った。
守田は棚に並ぶパワーストーンの一つを手に取り、その滑らかな表面を指でなぞった。石は冷たく硬いが、その中には不思議な温かさが宿っているように感じられた。「この石、ただの装飾品じゃないよな…。持っていると、心が落ち着くというか、何か力が湧いてくる感じがするんだ。」守田の言葉に、零は頷き、「それがパワーストーンの魅力だよ。石それぞれが持つ力が、人の心に影響を与えてくれるんだ」と静かに応じた。
零はその言葉に少し考え込み、ゆっくりと頷いた。「そうかもな。俺たちも、最初はただの客と店員だったけど、いつの間にか兄弟みたいになってたな。」
「兄弟、か。確かにそんな感じだな。」守田は軽く笑いながら、零を見つめた。「零君のことは、ずっと弟みたいに思ってるよ。頼れるけど、まだどこか危なっかしいところもあるからな。」
守田の視線は温かく、まるで実の弟を見守る兄のようだった。その視線に、零はふと心が温かくなるのを感じた。彼は守田の言葉に驚きつつも、どこか嬉しさが胸に広がるのを隠せなかった。
「弟、か…。俺も、守さんのことは兄貴みたいに思ってるよ。」零の言葉は少し照れ臭そうだったが、そこには確かな信頼がこもっていた。
守田はそんな零の反応に笑い、タイガーアイの石を手に取って静かに眺めた。「でも、零君がここにいる限り、俺もこの店に来る理由がある。お前がいるこの場所が、俺にとっても大切な場所だからな。」
零はその言葉に心からの感謝を感じ、穏やかに微笑んだ。「守さん、ありがとう。これからも、俺がここにいる限り、いつでも来てくれよな。」
守田は静かに頷き、その大きな手で零の肩を軽く叩いた。「もちろんだ。俺たちはこれからも、兄弟みたいに助け合っていこう。」
二人の間には、言葉にしなくても通じ合う絆が確かにあった。この店の静けさの中で、彼らはまるで兄弟のようにお互いを信頼し合い、支え合っているのを感じていた。
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リヴォールの野望とパワーストーンの力
リヴォールが妖魔王の座についたその瞬間から、彼の心には一つの野望が燃え盛っていた。それは、単なる支配ではなく、彼の力をこの世界の頂点へと押し上げるための、圧倒的な戦力を手に入れることだった。どれほどの年月を費やしても構わない。リヴォールは冷酷に、自分の目的のためにすべてを捧げる決意を固めていた。
「力なき者に明日はない…」
彼の声は深い闇の中で響き渡り、目の前にひざまずく無数の魔物たちを見下ろしていた。
リヴォールの目には、無数の魔物たちを従えながらも、どこか満たされない虚無感が漂っていた。「力なき者に明日はない…」彼は冷たく呟きながらも、心の奥底では、自らが望む力にまだ到達していない焦りを感じていた。彼の欲望は単なる支配ではなかった。すべての存在を凌駕する究極の力、それを手に入れるまで、リヴォールの野心は決して満たされることはない。
どれだけの魔物を従えていても、彼が求める『真の力』には程遠かった。
彼は何百年もの間、魔力の研究を続けてきた。魔物に魔力を与える実験も数えきれないほど行ってきたが、ことごとく失敗に終わっていた。魔力を与えれば与えるほど、魔物たちは暴走し、やがて消滅してしまう。魔力を宿らせるためには、より安定した方法が必要だった。しかし、その方法は見つからない。
100年もの間、彼の研究は暗礁に乗り上げていた。
だが、ある日、彼は偶然にも一つの答えに辿り着く。それは、地球と呼ばれる異世界に存在する「パワーストーン」という石。
リヴォールは、この「パワーストーン」がただの美しい宝石ではないことを直感的に悟っていた。石には、異世界の法則とは異なる力が宿っており、その力は制御できるものではない。地球の人々はその力に気づいていないが、リヴォールはその中に眠る膨大なエネルギーを感じ取っていた。「この石の中には、私が求める力がある…」彼は確信していた。パワーストーンが、世界の均衡を崩し、すべてを自らの手に収めるための鍵だということを。
この石にこそ、求めていた答えが隠されているのではないかと感じたのだ。
リヴォールは自らの魔力を使って、地球との扉を開いた。
地球は、彼の世界とはまるで異なる秩序で動いていた。空気に漂う魔力の微弱さ、魔物が存在しない静けさ、そのすべてが彼にとっては異質だった。だが、その違いこそが、パワーストーンの力を特別なものにしていた。
地球の石には、異世界では見つけられない独特のエネルギーが眠っており、それを手にすることで、リヴォールはこの世界さえも支配下に置く力を得られると確信していた。
「地球…この星が、私に究極の力をもたらすとは…」リヴォールはその石――パワーストーンを、次々に自らの手で集め始めた。
地球に降り立つたびに、空は不穏に揺れ、地震が発生する。
それはリヴォールが地球の空間に干渉し、異世界との扉を開いた瞬間に引き起こされる自然現象だった。だが、地球の人々にとってそれはただの自然災害であり、リヴォールの存在に気付く者は誰一人としていなかった。
彼はその度に扉を開き、数々のパワーストーンを手に入れ、また異世界へと戻っていった。リヴォールの目的はただ一つ、パワーストーンに自らの魔力を注ぎ込み、魔物たちに与えることでその力を進化させることだ。
ある夜、リヴォールは深く静かな闇の中、目の前に輝くルビー色のパワーストーンを見つめていた。
その石は、彼が集めた中でも特に美しく、深い魔力を宿しているのが感じ取れた。彼は冷たい指先でその石を手に取り、心の中で魔力を注ぎ込む儀式を始めた。暗闇の中で石が淡く脈打ち始め、彼の手の中で静かに輝き出す。
「これだ…」
その瞬間、リヴォールは確信した。パワーストーンはただの飾り物ではない。それは、彼の野望を成し遂げるための『鍵』だった。石は、魔物たちに新たな力を与えるための『媒介』となる。そして、その力は彼が思い描いた以上の成果をもたらすことになるだろう。
彼はその夜、最も信頼する魔物にその石を食べさせた。
数時間が経過すると、魔物は徐々に形を変え始めた。
その皮膚は漆黒に染まり、まるで炎のような赤い紋様が浮かび上がった。目は狂気を帯び、唸り声と共に周囲の空気が震えた。
「これが…パワーストーンの力か」リヴォールはその変貌した魔物を冷たく見下ろし、満足げに微笑んだ。「この力を手にした今、私の支配は完璧なものとなる」その時、彼は新たな世界の支配者としての自信を確信し、笑みを浮かべた。
「これで、私は真の軍団を手に入れた。これからは…我が力の下にすべてがひれ伏すだろう」
彼の声は低く、しかし確信に満ちていた。その夜、リヴォールの元に集められたパワーストーンの数々は、彼の新たな軍勢の力を生み出す源となった。魔物たちは、次々にパワーストーンの力を受け取り、さらに強力な姿へと進化していった。
そして、その力は代々受け継がれることが分かった。
パワーストーンを食べた魔物は、その力を次世代の魔物に遺伝させることができる。リヴォールの軍勢は、その数と共に質も劇的に向上し、彼の支配下に置かれた魔物たちは、もはやどの勢力にも敵わない圧倒的な存在となっていった。
リヴォールが地球へ再び訪れるたびに、地球では大規模な地震が発生し、地球の大地が軋む音が響き渡った。彼が何度も異世界への扉を開き、数々のパワーストーンを持ち帰るたび、その衝撃は地球の住人たちに天災として受け取られていた。
しかし、彼にとって地球の混乱などどうでもよかった。
「すべては、この星を征服するための力…いずれは地球という星も…」
リヴォールの目には、これまで見たことのないほどの強大な野望が宿っていた。彼の戦力は日ごとに拡大し、その力は無限のように思えた。
地球と異世界の均衡が崩れ始めたその時、誰もが気付かぬまま、リヴォールの支配が徐々に進んでいた。
読者への暗号→【い】
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