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第31話
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それから1時間後
「お初にお目にかかる。マルクス・イルデアス。侯爵位を賜っている」
イルデアス侯爵様が、お越しになった。
「は、初めまして。クーディアス・ファルと申します。騎士爵を賜っております」
「おぉ。英雄殿か。確か、娘が世話になっていると聞いたが?」
「えっと…その…」
「ん?」
はーーーっ…駄目だわこれは。クーディアス様に任せると話が進まない。
「お話中失礼いたします」
「この家では侍女が、勝手に話すのか?」
「…私はクーディアスの妻、マリア・ファルと申します」
「これは失礼をいたした。いや、だが…しかし」
「お手紙に記した通り、お嬢様がクーディアス様の子を身籠られました」
この言葉にイルデアス侯爵様の眉間に皺が入る。
「どういう事だ」
「どういう事も何も、クーディアス様とイルデアス侯爵令嬢様が
この屋敷に来てからほぼ毎日、愛し合って居られた結果です」
「しかし先程あなたは…」
「はい。私は遠征前に結婚し、籍を入れた妻になりますが、子はおりません」
「では娘は、貴女がいる場所で不貞を行っていたと…そういうわけですか」
「はい」
「いや、ですが…」
「クーディアス殿。理由はどうあれ、娘が不貞を行なったことは
間違いないのです。それで、娘は今どこに?」
「お体に障りがあってはいけませんので、先に応接でお待ち頂いております」
「重ね重ね気を使って頂き、ありがとうございます」
「では…こちらでございます」
そう言って私が、イルデアス侯爵様を先導した。
正しくは家の長がすることなのだが、何もせず、ただただオドオドする
クーディアス様に任せることが出来なかった。
「お初にお目にかかる。マルクス・イルデアス。侯爵位を賜っている」
イルデアス侯爵様が、お越しになった。
「は、初めまして。クーディアス・ファルと申します。騎士爵を賜っております」
「おぉ。英雄殿か。確か、娘が世話になっていると聞いたが?」
「えっと…その…」
「ん?」
はーーーっ…駄目だわこれは。クーディアス様に任せると話が進まない。
「お話中失礼いたします」
「この家では侍女が、勝手に話すのか?」
「…私はクーディアスの妻、マリア・ファルと申します」
「これは失礼をいたした。いや、だが…しかし」
「お手紙に記した通り、お嬢様がクーディアス様の子を身籠られました」
この言葉にイルデアス侯爵様の眉間に皺が入る。
「どういう事だ」
「どういう事も何も、クーディアス様とイルデアス侯爵令嬢様が
この屋敷に来てからほぼ毎日、愛し合って居られた結果です」
「しかし先程あなたは…」
「はい。私は遠征前に結婚し、籍を入れた妻になりますが、子はおりません」
「では娘は、貴女がいる場所で不貞を行っていたと…そういうわけですか」
「はい」
「いや、ですが…」
「クーディアス殿。理由はどうあれ、娘が不貞を行なったことは
間違いないのです。それで、娘は今どこに?」
「お体に障りがあってはいけませんので、先に応接でお待ち頂いております」
「重ね重ね気を使って頂き、ありがとうございます」
「では…こちらでございます」
そう言って私が、イルデアス侯爵様を先導した。
正しくは家の長がすることなのだが、何もせず、ただただオドオドする
クーディアス様に任せることが出来なかった。
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