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第61話 魔王と勇者
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「ぐるう!」
「あ、チョコちゃんおかえり」
「どこ行ってたんだ?」
「ぐるぐる」
「この辺のパトロールかあ。影の人たちと?」
「え? 影?」
「……チョコさんにはどうしても見つかってしまうらしく、最終的にいっしょに行動することになったそうです。あとかわいい、と」
「おまえ影の人たちについていってかわいがられてたのか……」
「ぐる」
『え? この魔物なに? なんで魔物と会話してるの?』
「魔物じゃない。猫だ」
「ぐる?」
「そうかな?って」
『この……猫さんは魔法使えそうですけど、魔物じゃないんですかね?』
「チョコ、魔法使えるのか?」
「ぐる!」
「使えるって。わ、パチパチしてる」
「おお、かっこいい! かわいいぞお! ……んんっ」
「辰巳はお父さんと違って人前ではかろうじて取り繕ってるのえらい」
「魔法が使えると魔物なのか?」
「動物は魔法が使えないとされていますね」
「じゃあ人間は魔物の仲間で、オレは動物ってこと?」
「えっ? に、人間は……考えたことありませんでした」
「ペッペは魔法使えないのに魔物って呼ばれてたよな」
「冒険者組合ではチョコちゃんは猛獣って言われてたよ」
『魔物は魔王の手下になることで魔法が使えるようになると聞いたことがあります』
「人間は魔王の手下じゃなくても魔法が使えるのか?」
『魔物でも動物でも人間でも悪いやつは僕が捕まえますよ!』
「急に変な角度から入ってきたな」
「魔法が使えても使えなくても、言葉が通じて仲良くできるならいいじゃない」
「言葉が通じるのは虎彦だけなんだよな」
「仲良くはできるよ」
「そうだな」
「それにもう魔王いないしね」
『え? 魔王がいない?』
「父さんが倒したからね」
『賢者様に勇者様の息子殿?!』
『でももう魔王がいないのに魔法が使えてるのはおかしいわね』
「魔王と魔法ってなにか関係あるの?」
『むかし魔王がいなくなるとしばらく魔法が使えなくなったって伝わってるわ」
「魔王を倒して魔物がいなくなったとは聞いてるけど、魔法が使えなくなったとは言われてないよな」
「エドさんがさっきから固まって気配消そうとしてるけど、なにか知ってる?」
「な、なな何も知りません、知りませんよ」
「こんな動揺してるの初めて見たな」
「絶対知ってるやつ」
『わたしが知ってる魔王の話はこうよ。世界を魔法で支配する魔王が現れ、手下の魔物を操り、人類を恐怖のどん底に陥れる』
「魔王の伝説ってちゃんと聞いたことなかったね」
『あと魔王は北の方から攻めてくるって』
「北って俺たちの来た方じゃん」
「じゃああの西の島にいたっていう魔王のことで合ってるよね?」
『こちらの勇者は主に東の方で活動していたようです。東の町にはいろいろ勇者の話が残ってますし、勇者の像もありますよ』
『わたしが子どものころはあの北の谷は突然大地震が起きて大地が割れてできたって聞いたんだけど、この人が言うには勇者が作ったって』
「あ、この辺でも天変地異説なんだ」
「谷の北側でも同じです。勇者が作ったというのはフィグォルドさんに初めて聞きました」
『この辺りでは勇者伝説はあまり聞かないのよねえ』
『東の方では勇者が信仰されてるから脚色された可能性もあるけどねえ。この国の王族とかならちゃんとした勇者の記録を持ってるのかもしれませんね』
「王族に会いに行く?」
「気軽に言うな」
「王都はどの辺りなんでしょうか」
「行く気だ」
『王都はここから南の方ですよ』
「勇者伝説のあるほうじゃないんだ」
『そういえば王都でも特に勇者の話は聞きませんね』
「あ、チョコちゃんおかえり」
「どこ行ってたんだ?」
「ぐるぐる」
「この辺のパトロールかあ。影の人たちと?」
「え? 影?」
「……チョコさんにはどうしても見つかってしまうらしく、最終的にいっしょに行動することになったそうです。あとかわいい、と」
「おまえ影の人たちについていってかわいがられてたのか……」
「ぐる」
『え? この魔物なに? なんで魔物と会話してるの?』
「魔物じゃない。猫だ」
「ぐる?」
「そうかな?って」
『この……猫さんは魔法使えそうですけど、魔物じゃないんですかね?』
「チョコ、魔法使えるのか?」
「ぐる!」
「使えるって。わ、パチパチしてる」
「おお、かっこいい! かわいいぞお! ……んんっ」
「辰巳はお父さんと違って人前ではかろうじて取り繕ってるのえらい」
「魔法が使えると魔物なのか?」
「動物は魔法が使えないとされていますね」
「じゃあ人間は魔物の仲間で、オレは動物ってこと?」
「えっ? に、人間は……考えたことありませんでした」
「ペッペは魔法使えないのに魔物って呼ばれてたよな」
「冒険者組合ではチョコちゃんは猛獣って言われてたよ」
『魔物は魔王の手下になることで魔法が使えるようになると聞いたことがあります』
「人間は魔王の手下じゃなくても魔法が使えるのか?」
『魔物でも動物でも人間でも悪いやつは僕が捕まえますよ!』
「急に変な角度から入ってきたな」
「魔法が使えても使えなくても、言葉が通じて仲良くできるならいいじゃない」
「言葉が通じるのは虎彦だけなんだよな」
「仲良くはできるよ」
「そうだな」
「それにもう魔王いないしね」
『え? 魔王がいない?』
「父さんが倒したからね」
『賢者様に勇者様の息子殿?!』
『でももう魔王がいないのに魔法が使えてるのはおかしいわね』
「魔王と魔法ってなにか関係あるの?」
『むかし魔王がいなくなるとしばらく魔法が使えなくなったって伝わってるわ」
「魔王を倒して魔物がいなくなったとは聞いてるけど、魔法が使えなくなったとは言われてないよな」
「エドさんがさっきから固まって気配消そうとしてるけど、なにか知ってる?」
「な、なな何も知りません、知りませんよ」
「こんな動揺してるの初めて見たな」
「絶対知ってるやつ」
『わたしが知ってる魔王の話はこうよ。世界を魔法で支配する魔王が現れ、手下の魔物を操り、人類を恐怖のどん底に陥れる』
「魔王の伝説ってちゃんと聞いたことなかったね」
『あと魔王は北の方から攻めてくるって』
「北って俺たちの来た方じゃん」
「じゃああの西の島にいたっていう魔王のことで合ってるよね?」
『こちらの勇者は主に東の方で活動していたようです。東の町にはいろいろ勇者の話が残ってますし、勇者の像もありますよ』
『わたしが子どものころはあの北の谷は突然大地震が起きて大地が割れてできたって聞いたんだけど、この人が言うには勇者が作ったって』
「あ、この辺でも天変地異説なんだ」
「谷の北側でも同じです。勇者が作ったというのはフィグォルドさんに初めて聞きました」
『この辺りでは勇者伝説はあまり聞かないのよねえ』
『東の方では勇者が信仰されてるから脚色された可能性もあるけどねえ。この国の王族とかならちゃんとした勇者の記録を持ってるのかもしれませんね』
「王族に会いに行く?」
「気軽に言うな」
「王都はどの辺りなんでしょうか」
「行く気だ」
『王都はここから南の方ですよ』
「勇者伝説のあるほうじゃないんだ」
『そういえば王都でも特に勇者の話は聞きませんね』
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