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第47話 ヘドリンの泉
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「うわあああ」
「これは……」
「森で一番デカい水場がドロヘドリンだかなんかで埋まってるな」
「あふれて押し出されたのが森にさまよいだしてる」
「あれがその辺で干からびて動かなくなったのがボケタコだったんだなあ」
「元ボケタコの様子からするとこいつもここ出身で間違いないな」
「ほかの水場にもちらほらはいましたが、ここは段違いですね」
「フェドゥリィム属の源泉ってとこだな」
「普段はこんなにいないはずだよな。普通の水場として地図に載ってるから」
「ここにいるのはみんな透明だね」
「なんかのきっかけで大量発生するんでしょうね」
「少なくとも水がないと増えないんだろうな」
「ほかの所にはいないもんね」
「餌はなに食べてるんだろう?」
「ここは湧き水の水たまりのようなもので川ともつながっていませんし、生き物もほとんどいなかったはずですよ」
「スラヘドリンみたいに水だけで育つのか?」
「水が抜けたらボケタコになるくらいだから」
「水をやったらヘドリンに戻るしな」
「いま雨が降ったら森じゅうのボケタコがヘドリンに戻るね」
「え? なんかすごいこと言ったな」
「餌の取り合いになるかも」
「これもすでに水の取り合いみたいなもんだよな」
「これが本当にフェドゥリィム属のもとなんだとしたら、ミルフェドゥリィムやスラフェドゥリィムを大幅に増やせるかもな」
「ってことはちんずが量産できる!」
「辰巳、落ち着いて」
「まあそもそも大量発生する条件がわからないからな。安定して再現できるかどうか」
「そのまえにこれがヘドリンなのかどうかちゃんと確認しないと」
「これを連れて帰るの大変だなあ」
「なに言ってんだ、ちんずのもとだぞ」
「おまえこそなに言ってんだ。参内、辰巳ってこういうやつだったのか」
「そうだよ。むかしから猫見かけたりするとこんな感じだった」
「おい、そんなことよりこいつらなんか様子が変だぞ」
「へ?」
「あれ? なんかさっきよりいっぱいいるな」
「違うよ。囲まれてるんだよ」
「やっぱりデュルフェドゥリィムだったのか?! 溶かされるのはいやだー! 兄さまー!」
「虎彦、なにやってるんだ?」
「踊ってる」
「いや、だからなんで急に踊ってるんだよ」
「まねするかなーと思って」
「ああ、ヒトモドキのもとなら興味もつかもな」
「なんてお可愛らしい……!」
「あ、あれ、動きが変わったぞ?」
「にょんにょんしてるね」
「輪になって踊ってみようよ」
「ん? こうか?」
「これあれじゃん、井戸の周りで踊るやつ」
「音楽ないかな?」
「あるわけないだろ」
「ご用意しましょうか?」
「影の人たちって演奏できるの?」
「せっかく潜んでるのに音で居場所や人数がバレるだろ」
「……そんなヘマはいたしませんよ。たぶん」
「なんというムチャブリ」
「おお?! なんか音楽が聞こえてきたぞ?!」
「サラウンド」
「すげえ」
「めっちゃにょんにょんしてきた!」
「これ王宮の舞踏会の曲じゃねえか」
「王宮楽師のなかにも潜んでますからね」
「こええ」
「踊ろう!」
「まあいいけど」
「なにか問題を先送りにしたというか逸らしたというか、……テストでもそうだったな」
「トラ様、さすがでございます」
「これいつまで踊るんだ?」
「朝まで?」
「おいまだ昼だぞ」
「晩ごはんはカレーですよ。それまでに帰りましょうね」
「はーい」
「子どもか」
「これは……」
「森で一番デカい水場がドロヘドリンだかなんかで埋まってるな」
「あふれて押し出されたのが森にさまよいだしてる」
「あれがその辺で干からびて動かなくなったのがボケタコだったんだなあ」
「元ボケタコの様子からするとこいつもここ出身で間違いないな」
「ほかの水場にもちらほらはいましたが、ここは段違いですね」
「フェドゥリィム属の源泉ってとこだな」
「普段はこんなにいないはずだよな。普通の水場として地図に載ってるから」
「ここにいるのはみんな透明だね」
「なんかのきっかけで大量発生するんでしょうね」
「少なくとも水がないと増えないんだろうな」
「ほかの所にはいないもんね」
「餌はなに食べてるんだろう?」
「ここは湧き水の水たまりのようなもので川ともつながっていませんし、生き物もほとんどいなかったはずですよ」
「スラヘドリンみたいに水だけで育つのか?」
「水が抜けたらボケタコになるくらいだから」
「水をやったらヘドリンに戻るしな」
「いま雨が降ったら森じゅうのボケタコがヘドリンに戻るね」
「え? なんかすごいこと言ったな」
「餌の取り合いになるかも」
「これもすでに水の取り合いみたいなもんだよな」
「これが本当にフェドゥリィム属のもとなんだとしたら、ミルフェドゥリィムやスラフェドゥリィムを大幅に増やせるかもな」
「ってことはちんずが量産できる!」
「辰巳、落ち着いて」
「まあそもそも大量発生する条件がわからないからな。安定して再現できるかどうか」
「そのまえにこれがヘドリンなのかどうかちゃんと確認しないと」
「これを連れて帰るの大変だなあ」
「なに言ってんだ、ちんずのもとだぞ」
「おまえこそなに言ってんだ。参内、辰巳ってこういうやつだったのか」
「そうだよ。むかしから猫見かけたりするとこんな感じだった」
「おい、そんなことよりこいつらなんか様子が変だぞ」
「へ?」
「あれ? なんかさっきよりいっぱいいるな」
「違うよ。囲まれてるんだよ」
「やっぱりデュルフェドゥリィムだったのか?! 溶かされるのはいやだー! 兄さまー!」
「虎彦、なにやってるんだ?」
「踊ってる」
「いや、だからなんで急に踊ってるんだよ」
「まねするかなーと思って」
「ああ、ヒトモドキのもとなら興味もつかもな」
「なんてお可愛らしい……!」
「あ、あれ、動きが変わったぞ?」
「にょんにょんしてるね」
「輪になって踊ってみようよ」
「ん? こうか?」
「これあれじゃん、井戸の周りで踊るやつ」
「音楽ないかな?」
「あるわけないだろ」
「ご用意しましょうか?」
「影の人たちって演奏できるの?」
「せっかく潜んでるのに音で居場所や人数がバレるだろ」
「……そんなヘマはいたしませんよ。たぶん」
「なんというムチャブリ」
「おお?! なんか音楽が聞こえてきたぞ?!」
「サラウンド」
「すげえ」
「めっちゃにょんにょんしてきた!」
「これ王宮の舞踏会の曲じゃねえか」
「王宮楽師のなかにも潜んでますからね」
「こええ」
「踊ろう!」
「まあいいけど」
「なにか問題を先送りにしたというか逸らしたというか、……テストでもそうだったな」
「トラ様、さすがでございます」
「これいつまで踊るんだ?」
「朝まで?」
「おいまだ昼だぞ」
「晩ごはんはカレーですよ。それまでに帰りましょうね」
「はーい」
「子どもか」
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