二世帯住宅から冒険の旅へ

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第46話 森の調査

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「これは痛み止めの薬草ですね。こっちの木は皮を剥いで蒸して絞ると咳止めになります」

「へえー。あれは?」

「あれは毒があって樹液に触るとかぶれますよ」

「エドさん上機嫌だな」

「そんなに参内とお散歩したかったのか」

「自分の子どもみたいにかわいがってるからな」

「エドゥオンがあんな楽しそうにしゃべってるの初めて見るぜ」

「ヤギさんも言ってたけどどんだけ暗黒面持ってるんだ」

「タツ様、知りたいですか?」

「うわあっ! 知りたくありません!」

「あなたたちもおかしなことを言ってないで森の調査に身を入れてくださいね」

「は、はい!」

「お、おう!」

「エドさん、影の能力すごすぎなんだよな。先生もあれ目指してるんだよね?」

「ん? 俺がか?」

「忍者スキルじゃないの?」

「いや、忍者スキル極めてもあれにはなれないだろ。それに忍者っぽい能力ないしな」

「毎日訓練すれば生えてくるかもしれないじゃん。竹を飛び越えるとか」

「竹なんか飛び越えたくらいであの迫力が出ると思うか?」

「忍者と迫力関係なくない?」

「辰巳ー。ボケタコ見つけたよー」

「お? 初ボケタコだ」

「どんなもんだ? ヘドリンに似てるのか?」

「なんか弱っちいね」

「薄っぺらいな」

「思ったよりしょぼいな」

「全然動かねえしな」

「一匹だけならいいんですが、これが大量発生して道が埋め尽くされるといろいろ問題があるんですよ」

「あー確かにな」

「これは麻痺毒とかないのかな?」

「なんか食わせてみるか?」

「そもそもこいつここでなにしてるんだ?」

「動かないから行動が予測できないな」

「ボケタコは非常にのろいですからね」

「葉っぱ乗せてみたけどなにも変わらないね」

「たぶん食べるのも遅いんだろうな」

「ヘドリンみたいに反応しないね」

「やっぱ違う生き物なのか?」

「育てばヘドリンになってもおかしくなさそうな見た目はしてるんだけどな」

「ボケタコがこんなにとろいんじゃ森のなかで追跡とかムリそう」

「デュルフェドゥリィムとの関係も知りたいな。いっしょにいたらどうなるんだ?」

「ああ全然別種なら食われるかもしれないよな」

「共食いかもしれないけど」

「ドロヘドリンも探すか」

「このボケタコは持っていこう」

「このかごに入れてください」

「どこからかご出てきたんだ……」

「ぐるぐる」

「チョコちゃんお水飲みたい? みんなも休憩する?」

「この先に休憩に適した場所がありますから少しだけ進みましょう」

「はーい」

「ぐる」

「ボケタコにもお水あげようね」

「あ、虎彦」

「あれ?」

「ふくらんだな」

「なんだこれ、透明なデュルフェドゥリィムみたいじゃねえか?」

「もしかして干からびてただけなのか?」

「だから動かなかったのか」

「ってことは」

「うわっ動き出したぞ」

「ってわりには大したことないな」

「もっとお水ほしい?」

「ぷるぷるしてるな」

「ぐる」

「反応がヘドリンに似てるよな」

「ボケタコはヘドリンの赤ちゃんの干からびたやつってこと?」

「特に敵対意識はなさそうな気がするな」

「麻痺毒もなさそうですし、このまま観察しましょう」

「ていうか集めたボケタコたちってどうなったんだ?」

「え、むやみにボー乳とかあたえたらふくらんで大変なことになるんじゃ」

「こいつ水だけで五倍くらいになったからな」

「なんであそこで行き倒れてたんだ?」

「この森が乾燥してるってこと?」

「水が必要なら水場とかに集まってそうなのにな」

「もしかしてヘドリンが大量に集まってる水場とか存在するのか?」

「ちょっと想像したらぞわぞわした」

「水場からあふれたやつがほかの水場に移動中に行き倒れて干からびるのかな?」

「ボケタコが大量発生してるならそういう水場があってもおかしくないよな」

「この森の水場を回ってみましょうか」

「そのまえに休憩ね」
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