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第30話 お魚を運ぶ船
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「よっ、魔道具師のあんちゃん。あの冷たくなるやつ、ありゃあいいな!」
「最近辰巳と町歩いてるとよく話しかけられるよね」
「あ、ええと船乗り組合の」
「おう。生魚の荷をまとめて冷やすのにすげえ役に立つぜ」
「新鮮な魚! 手に入りますか?」
「ああ。いま卸してきたから市場に行けば、おい!」
「あ、行っちゃった。おじさん、お魚獲る船の人?」
「いんや、魚を運んでくる船の人だな」
「お魚獲るとこ見たいんだけど、どうしたらいい?」
「お、坊主、お魚に興味あるのか? そうだな。俺はこれから北の村に戻って明日の朝漁村を回って荷を集めてまた市場に卸しに来るんだ。ついて来れば新鮮な魚を集めるとこは見れるぜ」
「おおー。見たいなあ」
「トラ様、タツ様を回収しませんと」
「港の北の端に泊めてある船がそうだからよ、出発までに来たら乗せてってやるよ」
「わかった! ありがとう」
魚を大量に買い込んで市場の人気者になってた辰巳と合流して港に向かう。
「あれがそうか。デカいな」
「すご。オーナーさんの船くらいあるじゃん。あっちの小さい漁船みたいのかと思ってた」
「漁村をいくつか回るようですから規模が大きいのでしょうね」
「ぐるるおん」
「おいしそうな匂い? なんだろう」
「いろんな魚の匂いが付いてそうだよな」
「お、来たな、坊主! 魔道具師のあんちゃんも」
「船に乗せてもらえるそうで」
「ああ、いま村に運ぶ荷を積み込んだらぼちぼち出発するところだぜ」
「間に合ってよかった。おじさん、その荷物はなに?」
「ん? これか? これは魚を預かった各漁村で必要なものを積み込んでるんだ。肉や野菜や鍋や糸や服なんかだな」
「物々交換みたいなものか? 金では支払いできないのか?」
「端数は金で調整するけどよ、全部金で支払ったって生活できねえのよ。なにせ使うところがないんだからな」
「買い物するとこないの?」
「ああ、俺が魚を受け取って物を届けるのが買い物なのさ。あんちゃんたちの言ってた配達ってやつに似たようなもんだな」
「なるほど。配達組合ができてまずい影響とかないのか?」
「いやいや、むしろ助かるわ。いままでは俺が市場に卸してる間に注文があったものを買い集めて船に積み込んでたんだけど、これからはまとめて船まで配達してくれるってことだからな」
「ああそうなるのか。まあその分料金がかかるんだろうけど」
「手が足りなかったり、間違えたり、売り切れで手に入らなかったりってのが減ればじゅうぶん元が取れるってことよ。まあその辺はこれから調整だな」
「頭ぁ! 積み込み終わりやしたぁ!」
「おう! そいじゃ行こうか」
「かしら……かっこいい!」
「お、おう? なんだ坊主、へへ、かっこいいか?」
「さっそく誑かしてるな」
「トラ様は大変お可愛らしい」
「はいはい」
「坊主、危ないからこっちついて来な」
「あいあいさー」
「なんだそのあいあいってのは?」
「虎彦、それ英語だから通じないぞ」
「うえっ?! 英語? マジで?」
「いいからまえ見て歩け」
「らじゃー」
「坊主おかしな言葉使うな?」
「そうかな?」
「ああトラ様が愛らしい」
「はいはい」
「船の上は意外と広くないね」
「この船は少し細いんだ。速く走れるし接岸しやすいからな。その代わりなかが広くなってるぞ」
「なかはなにがあるの?」
「ほとんど荷を積む場所だが、いまは冷たい魔道具のおかげで全体がひんやりしてるぞ」
「大きな冷蔵庫だな」
「ぐるる」
「お魚の匂い?」
「いまは魚は入ってねえけどな。さあ出発するぞ」
「おー!」
「いつの間にか帆がかかってるな」
「頭、準備できやした」
「よし、今日はおまえに任せる」
「か、頭ぁ! お任せくだせえ! おい野郎ども、船を出すぞ!」
「張り切ってるねえ」
「俺ももう引退だし、これからはあいつらに任せなきゃならねえからな」
「え? かしら辞めちゃうの?」
「ああ、俺はこれから配達組合長やることになったんだ」
「ここに一番デカい影響出てるじゃん」
「周辺の村にも船乗りにも港関係にも大抵の市場や屋台の店にも顔が利いて事情がわかってて、しかも配達の仕事に理解があるとなると俺くらいしかいなかったのさ」
「確かに適任」
「それでなにか問題はないのか?」
「ああ、いままでどおりの仕事ならこいつらでじゅうぶん回せるし、なにか新しいことやるなら配達組合から俺が直々に依頼するさ」
「実質変わらないってことか」
「あの人たちかしらに命令されるとうれしそうだもんね」
「最近辰巳と町歩いてるとよく話しかけられるよね」
「あ、ええと船乗り組合の」
「おう。生魚の荷をまとめて冷やすのにすげえ役に立つぜ」
「新鮮な魚! 手に入りますか?」
「ああ。いま卸してきたから市場に行けば、おい!」
「あ、行っちゃった。おじさん、お魚獲る船の人?」
「いんや、魚を運んでくる船の人だな」
「お魚獲るとこ見たいんだけど、どうしたらいい?」
「お、坊主、お魚に興味あるのか? そうだな。俺はこれから北の村に戻って明日の朝漁村を回って荷を集めてまた市場に卸しに来るんだ。ついて来れば新鮮な魚を集めるとこは見れるぜ」
「おおー。見たいなあ」
「トラ様、タツ様を回収しませんと」
「港の北の端に泊めてある船がそうだからよ、出発までに来たら乗せてってやるよ」
「わかった! ありがとう」
魚を大量に買い込んで市場の人気者になってた辰巳と合流して港に向かう。
「あれがそうか。デカいな」
「すご。オーナーさんの船くらいあるじゃん。あっちの小さい漁船みたいのかと思ってた」
「漁村をいくつか回るようですから規模が大きいのでしょうね」
「ぐるるおん」
「おいしそうな匂い? なんだろう」
「いろんな魚の匂いが付いてそうだよな」
「お、来たな、坊主! 魔道具師のあんちゃんも」
「船に乗せてもらえるそうで」
「ああ、いま村に運ぶ荷を積み込んだらぼちぼち出発するところだぜ」
「間に合ってよかった。おじさん、その荷物はなに?」
「ん? これか? これは魚を預かった各漁村で必要なものを積み込んでるんだ。肉や野菜や鍋や糸や服なんかだな」
「物々交換みたいなものか? 金では支払いできないのか?」
「端数は金で調整するけどよ、全部金で支払ったって生活できねえのよ。なにせ使うところがないんだからな」
「買い物するとこないの?」
「ああ、俺が魚を受け取って物を届けるのが買い物なのさ。あんちゃんたちの言ってた配達ってやつに似たようなもんだな」
「なるほど。配達組合ができてまずい影響とかないのか?」
「いやいや、むしろ助かるわ。いままでは俺が市場に卸してる間に注文があったものを買い集めて船に積み込んでたんだけど、これからはまとめて船まで配達してくれるってことだからな」
「ああそうなるのか。まあその分料金がかかるんだろうけど」
「手が足りなかったり、間違えたり、売り切れで手に入らなかったりってのが減ればじゅうぶん元が取れるってことよ。まあその辺はこれから調整だな」
「頭ぁ! 積み込み終わりやしたぁ!」
「おう! そいじゃ行こうか」
「かしら……かっこいい!」
「お、おう? なんだ坊主、へへ、かっこいいか?」
「さっそく誑かしてるな」
「トラ様は大変お可愛らしい」
「はいはい」
「坊主、危ないからこっちついて来な」
「あいあいさー」
「なんだそのあいあいってのは?」
「虎彦、それ英語だから通じないぞ」
「うえっ?! 英語? マジで?」
「いいからまえ見て歩け」
「らじゃー」
「坊主おかしな言葉使うな?」
「そうかな?」
「ああトラ様が愛らしい」
「はいはい」
「船の上は意外と広くないね」
「この船は少し細いんだ。速く走れるし接岸しやすいからな。その代わりなかが広くなってるぞ」
「なかはなにがあるの?」
「ほとんど荷を積む場所だが、いまは冷たい魔道具のおかげで全体がひんやりしてるぞ」
「大きな冷蔵庫だな」
「ぐるる」
「お魚の匂い?」
「いまは魚は入ってねえけどな。さあ出発するぞ」
「おー!」
「いつの間にか帆がかかってるな」
「頭、準備できやした」
「よし、今日はおまえに任せる」
「か、頭ぁ! お任せくだせえ! おい野郎ども、船を出すぞ!」
「張り切ってるねえ」
「俺ももう引退だし、これからはあいつらに任せなきゃならねえからな」
「え? かしら辞めちゃうの?」
「ああ、俺はこれから配達組合長やることになったんだ」
「ここに一番デカい影響出てるじゃん」
「周辺の村にも船乗りにも港関係にも大抵の市場や屋台の店にも顔が利いて事情がわかってて、しかも配達の仕事に理解があるとなると俺くらいしかいなかったのさ」
「確かに適任」
「それでなにか問題はないのか?」
「ああ、いままでどおりの仕事ならこいつらでじゅうぶん回せるし、なにか新しいことやるなら配達組合から俺が直々に依頼するさ」
「実質変わらないってことか」
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