26 / 102
第25話 魔道具開発
しおりを挟む
「いやーこれは失礼。わたしイャグィネ・クロンゴュといいます」
「ヤギさん?」
「クロンゴ? もしかしてヒツジ先生の親戚?」
「これはフィスディァンの姉ですよ」
「え? もしかしてフィスのこと知ってるんです?」
「俺ヒツジ先生の弟子です」
「あらー。弟の弟子ならわたしの弟弟子?」
「違います」
「手厳しい……」
「ヤギさん、これはなに?」
「これは人の話すことを記録する道具です」
「やってみていい?」
「はいどうぞ」
「エドさんは暗黒騎士」
「ひぃっ、にらまないで……」
「おかしなことを覚えられてしまったではないか……」
「これ再生はどうやるの?」
「記録するだけですよ?」
「ん? なにが記録されたかわからないんですか?」
「いえ、裏に文字が刻まれてるでしょう?」
「あ、ほんとだ! すごい!」
「想像と違ってた。ある意味録音よりすごい」
「録音? それはなんのことです?」
「あ、声をそのままとっとくんだよ」
「声だけでなく音をそのままの形で記録して、あとから再生できるようにすることです」
「え? そんなことできるの?!」
「スマホで録音してみよ」
「この板? 光ってる! 絵が動いてる?! なにこれ?」
「再生」
『この板? 光ってる! 絵が動いてる?! なにこれ?』
「ええ?! わたしの声?! なんで? 魔法?!」
「魔法じゃないよ。あのね、わかんないけど」
「音は空気の振動なので、そのパターンを記録するんだ。で、そのまま再現すると同じ音になる」
『この板? 光ってる! 絵が動いてる?! なにこれ?』
「え?! もう一度? 音を溜めておくんじゃないってこと?」
『この板? 光ってる! 絵が動いてる?! なにこれ?』
「虎彦、もういいよ。何度でも再現できるから音楽を聴いたりするのにも使える」
「なるほど。自然現象をもう一度同じように起こすのね。それなら意味のある言葉じゃなくても使える。ちょっと記録する情報量が多そうだけど」
「逆に言葉の意味を検出して文字に変換するほうが難易度高そうだ」
「そんなことないわ。言葉には微量の魔力が乗るから検出するのは簡単よ」
「おお常識の差が出てくるな」
「難しい話始まった? エドさん、あっちの魔道具見に行こう」
「そうですね。こうなったらしばらく盛り上がってるでしょうから」
*****
「つまりこれを魔素解析して周波数で分離すれば」
「待ってこの部分を白魔石に置き換えれば相当効率化と小型化が期待できるわ」
「そうすると微弱魔力波をうまく増幅してこのフィルターを通して」
「ああこれよ! この部分は自動記録と相性がいいわ」
「なんかもっと意味わからなくなってるね」
「トラ様、お昼ごはんをどうぞ。この人たちは影がなんとかしますので」
「ここの感度がもうちょっとなんとかむごっもぐもぐ」
「もっと大容量の記録がぶぁーんんまっ」
「見えなかったけど、実力行使?」
「食べさせておけば大丈夫です」
「魔道具も解説がないとよくわからないし」
「午後はお昼寝なさいますか?」
「エドさんもお昼寝?」
「うっわたしは警護を……トラ様のおそばにいますから安心してください」
「わかった。おやすみぐう」
「ぐるるう」
「なんて素直で愛らしくそして素早いお寝入り。……それに引き替え研究となると周りが見えなくなるあいつの気質は変わっていないな」
「ああ! 魔力波の減衰ってこうなっていたのね!」
「じゃあここをこうして導魔性を高めれば」
「ああダメ、この境目で信号が反射してるわ」
「ここの部品を変えたほうがいいかな」
「トラ様が起きるまでに正気に戻りますかね……」
*****
「ふぁあ~、よく寝た」
「お目覚めですか、トラ様」
「あ、エドさん、ありがと。……あったかいタオル気持ちいい」
「もう夕方ですが、あのとおりまだ盛り上がっています」
「ちょっと、そっちの出力調整お願い」
「もう少し太い導魔線ないかな? 作る?」
「そっちの方にたしかほかのが転がってたと思うわ」
「きったねえな。もうちょっと整理しろよ」
「あれ? なんか仲良くなってる?」
「まあ、そうですね。このレベルの会話ができる相手にお互いになかなか会うことはないでしょうからね。新しい魔道具の開発を始めたみたいですよ」
「そっか。楽しそうでよかったね」
「もうそろそろ夕食の時間ですが、いかがいたしましょう」
「まだそんなにおなかすいてないけど、ちょっとワイバーン串炙ってみて」
「かしこまりました。あれは強烈ですからね」
「でしょ」
「だからその被覆で……ん?」
「これは……ぐぅおなかすいた」
「ぐるう」
「こうかは ばつぐんだ!」
「さあ、お二人ともこちらに座ってください」
「もうごはん?」
「昼飯か?」
「晩ごはんだよ」
「え?」
「え?じゃありません。座りなさい」
「ひぇっ」
「はいっ」
「ヤギさん?」
「クロンゴ? もしかしてヒツジ先生の親戚?」
「これはフィスディァンの姉ですよ」
「え? もしかしてフィスのこと知ってるんです?」
「俺ヒツジ先生の弟子です」
「あらー。弟の弟子ならわたしの弟弟子?」
「違います」
「手厳しい……」
「ヤギさん、これはなに?」
「これは人の話すことを記録する道具です」
「やってみていい?」
「はいどうぞ」
「エドさんは暗黒騎士」
「ひぃっ、にらまないで……」
「おかしなことを覚えられてしまったではないか……」
「これ再生はどうやるの?」
「記録するだけですよ?」
「ん? なにが記録されたかわからないんですか?」
「いえ、裏に文字が刻まれてるでしょう?」
「あ、ほんとだ! すごい!」
「想像と違ってた。ある意味録音よりすごい」
「録音? それはなんのことです?」
「あ、声をそのままとっとくんだよ」
「声だけでなく音をそのままの形で記録して、あとから再生できるようにすることです」
「え? そんなことできるの?!」
「スマホで録音してみよ」
「この板? 光ってる! 絵が動いてる?! なにこれ?」
「再生」
『この板? 光ってる! 絵が動いてる?! なにこれ?』
「ええ?! わたしの声?! なんで? 魔法?!」
「魔法じゃないよ。あのね、わかんないけど」
「音は空気の振動なので、そのパターンを記録するんだ。で、そのまま再現すると同じ音になる」
『この板? 光ってる! 絵が動いてる?! なにこれ?』
「え?! もう一度? 音を溜めておくんじゃないってこと?」
『この板? 光ってる! 絵が動いてる?! なにこれ?』
「虎彦、もういいよ。何度でも再現できるから音楽を聴いたりするのにも使える」
「なるほど。自然現象をもう一度同じように起こすのね。それなら意味のある言葉じゃなくても使える。ちょっと記録する情報量が多そうだけど」
「逆に言葉の意味を検出して文字に変換するほうが難易度高そうだ」
「そんなことないわ。言葉には微量の魔力が乗るから検出するのは簡単よ」
「おお常識の差が出てくるな」
「難しい話始まった? エドさん、あっちの魔道具見に行こう」
「そうですね。こうなったらしばらく盛り上がってるでしょうから」
*****
「つまりこれを魔素解析して周波数で分離すれば」
「待ってこの部分を白魔石に置き換えれば相当効率化と小型化が期待できるわ」
「そうすると微弱魔力波をうまく増幅してこのフィルターを通して」
「ああこれよ! この部分は自動記録と相性がいいわ」
「なんかもっと意味わからなくなってるね」
「トラ様、お昼ごはんをどうぞ。この人たちは影がなんとかしますので」
「ここの感度がもうちょっとなんとかむごっもぐもぐ」
「もっと大容量の記録がぶぁーんんまっ」
「見えなかったけど、実力行使?」
「食べさせておけば大丈夫です」
「魔道具も解説がないとよくわからないし」
「午後はお昼寝なさいますか?」
「エドさんもお昼寝?」
「うっわたしは警護を……トラ様のおそばにいますから安心してください」
「わかった。おやすみぐう」
「ぐるるう」
「なんて素直で愛らしくそして素早いお寝入り。……それに引き替え研究となると周りが見えなくなるあいつの気質は変わっていないな」
「ああ! 魔力波の減衰ってこうなっていたのね!」
「じゃあここをこうして導魔性を高めれば」
「ああダメ、この境目で信号が反射してるわ」
「ここの部品を変えたほうがいいかな」
「トラ様が起きるまでに正気に戻りますかね……」
*****
「ふぁあ~、よく寝た」
「お目覚めですか、トラ様」
「あ、エドさん、ありがと。……あったかいタオル気持ちいい」
「もう夕方ですが、あのとおりまだ盛り上がっています」
「ちょっと、そっちの出力調整お願い」
「もう少し太い導魔線ないかな? 作る?」
「そっちの方にたしかほかのが転がってたと思うわ」
「きったねえな。もうちょっと整理しろよ」
「あれ? なんか仲良くなってる?」
「まあ、そうですね。このレベルの会話ができる相手にお互いになかなか会うことはないでしょうからね。新しい魔道具の開発を始めたみたいですよ」
「そっか。楽しそうでよかったね」
「もうそろそろ夕食の時間ですが、いかがいたしましょう」
「まだそんなにおなかすいてないけど、ちょっとワイバーン串炙ってみて」
「かしこまりました。あれは強烈ですからね」
「でしょ」
「だからその被覆で……ん?」
「これは……ぐぅおなかすいた」
「ぐるう」
「こうかは ばつぐんだ!」
「さあ、お二人ともこちらに座ってください」
「もうごはん?」
「昼飯か?」
「晩ごはんだよ」
「え?」
「え?じゃありません。座りなさい」
「ひぇっ」
「はいっ」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる