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閑話
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その日はよく晴れた日だった。
「紗羅ちゃん、本当に一緒に行かない?」
自分の言葉の白々しさを自覚しながらももう一度聞いてみた。彼女に用意した最後のチャンス。
「だから、私が行ったら紗柚も楽しめないし、お義父さんにもお義母さんにも気を使わせちゃうでしょ?
こんな時だから紗柚を伸び伸び過ごさせてあげて欲しいの。ほら、私がいるとつい口うるさいこと言っちゃうし、」
苦笑いしてそう答えるけれど、伸び伸びしたいのは自分のくせにと心の中で反論する。紗羅が家で親孝行をして過ごすと言いながら外出するつもりなのは知っていた。
本人は隠しているつもりだろうけど、元婚約者に会えるのがそんなに嬉しいのか最近は機嫌の良いことが多い。
噂なんて信じていないと言っていつものように過ごす紗羅は、いつも以上に身綺麗にした自分を鏡に映しては満足そうにしている。
綺麗に染められた髪は出会った頃よりも短いけれど、今の彼女にはよく似合っている。整えられた爪は品の良い色に塗られ、エステにでも行ったのか、肌の調子も良さそうだ。
そのことを指摘すればきっと白々しい言い訳をするのだろうけれど、それを聞きたくもないし、何か言おうとも思えない。
世界は終わらないかもしれないけれど、僕たちの【家族】という関係はこれで終わりを迎えるだろう。
⌘⌘⌘
紗凪と元婚約者のことを知ってから目に見えてカリカリしていた紗羅だったけれど自覚は無かったようで、「最近、調子悪い?」と聞けば「別に、普通よ?」と素っ気ない返事ばかりが返ってくる。明らかに夕飯の席で紗凪の話をした時からの変化だったせいで義母が「紗凪と喧嘩でもしたの?」と的外れなことを聞けば「連絡すらとってないんだからそんな訳ないでしょ?」と不機嫌さを増す。
離れて暮らす弟の仕事が順調なのが何故そんなに気に入らないのかと不思議に思うけれど、それを聞くのは憚られる。
「紗凪君って幾つになった?」
紗凪の名前が出たついでだと思いそう口にすれば「私たちと8つ違うから、」とその年を数える。
「ってことは、僕たちが結婚したのと同じ年なんじゃないの?
紗凪君もそろそろ、かもね。
仕事も順調みたいだし」
「そろそろって、結婚するってこと?」
苛々した調子で答えるかと思った紗羅が鼻で笑った意味は分からなかったけれど、「それは無いんじゃない?」と何か知っているふうに言った事が気になり「でも僕たちだって、」と言いかけた言葉は「絶対無いから」と強い口調で否定されてしまった。
その時には理由が分からなかったけれど、偶然見つけた写真も含めて色々と理解をしていく。
兄と比較的仲が良い僕からしてみれば異常な程に紗凪を目の敵にする理由が分からず戸惑うことも多かったけれど、彼が将来的に地元に帰ってくるわけでもなさそうだし、特別迷惑をかけられるわけでもない。帰省だって、僕たちが結婚してから数度しかしていないのだから、その存在は無いに等しい。義母の言葉を思い出してみても、紗凪に対して紗羅に対するものと違う特別な感情を感じることもない。
それなのに不定期に送られてくるであろう写真に翻弄され、紗凪に対するマイナスな感情を育てている紗羅は僕にとって不可解な存在だった。
確かに、自分が将来を夢見た相手と一緒に過ごす弟を疎ましいと思う感情は仕方がない。だけどもう終わったことだし、本当に気になるのならコンタクトを取ることだって可能なはずだ。紗凪に電話を入れ、写真のことを話し、ふたりの関係を確認すれば良いだけのこと。
それができないのは…彼に対する未練なのか、紗凪に対する嫉妬なのか。
紗羅が異常に機嫌が悪いと感じた時にあの本を開くと必ず増えている写真。
握りつぶされたような写真から数えて何枚になったのだろう。少しずつ柔らかくなっていく表情と、少しずつ近付いていくふたりの距離。
その距離感からふたりの関係は邪推したもので間違いないであろうと確信する。
時折混ざる紗凪の顔だけが傷付けられた写真は、紗羅の気に触るほどに幸せそうな表情なのかもしれない。将来を夢見た相手の隣に立つ自分によく似た顔の弟。
写真の中の紗凪とは対照的に、ギスギスと険しい表情の紗羅はどんな気持ちで弟の顔に爪を立てていたのだろう。
転機が訪れたのはあの噂のせいだったのは明白だ。
紗柚と僕があの話をした時に呆れたような、馬鹿にするような表情を見せた紗羅だったけど、きっとそれを口実にしたのだろう。
《旦那さん、大丈夫だった?》
偶然見たそのメッセージが気になり、紗羅のスマホを見てしまったのは、自分のことを書かれていたから。僕のことを気遣う相手が気になり、気遣われるような心当たりが無かったせいで見てしまったやり取り。
〈大丈夫、ママ友やPTAの関係だって言えば疑わないから〉
《それなら良いけど》
〈そっちこそ、彼女、大丈夫?〉
《仕事だって言えば大丈夫》
そんな不穏な会話が気になりメッセージを遡る。そして、その相手に気付き愕然とする。
咄嗟にメッセージ履歴を僕のスマホに送ってしまったことを、そしてそのメッセージを遡り呼んでしまったことを後悔はしていない。
お互いの知り合いの近況を伝え合う事務的なメッセージは結婚後も続いていて複雑な気分にはなるものの、感情を押し殺したそれは仕方ないと思うことができた。だけど、彼、貴哉の彼女の存在を気にしたメッセージから大きく変化していく。
〈貴哉、彼女できた?〉
時期的なことを考えると義母に紗凪のことを聞いた頃と重なる。写真を見て、紗凪のことを義母に聞き、その存在を探ったのだろう。
貴哉の返事は彼女がいるというもので、この彼女が紗凪と繋がった理由は分からないけれど元婚約者として何か感じるところがあったのかもしれない。
彼女の存在を認識してからも続く事務的なメッセージはあの噂を境に変化していく。
〈夫も息子も私の話なんて聞いてくれないの〉
〈怖いって言っても、不安だって言っても、大丈夫としか言ってくれなくて〉
〈話を聞いてくれるだけで良いの〉
〈彼女との仲を邪魔したいわけじゃないけど、話を聞いてくれる人、貴哉しかいないの〉
嘘ばかりのメッセージに真面目に答える貴哉の気持ちは誰に向いているのか、紗羅を気遣うメッセージからは【彼女】よりも紗羅のことを思う気持ちの方が強いように感じる。【彼女】と呼んでいる存在が本当に紗凪なのかどうか貴哉の言葉から読み取ることはできないけれど、彼の言葉からは紗羅への未練や執着を感じてしまう。
紗羅は完全に僕のことを舐めているのだろう。お互いにパスワードを知っているけれど、僕は見られて困るようなことはないからで、紗羅は僕が見るはずがないと信じているから。
何かあった時のためにと互いのパスワードを教え合ったのは紗羅が言い出したことだけど、そんなことも覚えていないのかもしれない。
だからこそこんなメッセージを交わすことができるのだろう。
噂のことなんて信じてないどころか馬鹿にしているくせに貴哉に対してだけは弱々しい様子を見せていることで本当は不安な気持ちを隠して強がっているのかと疑いたくなるけれど、僕の前では「本当、馬鹿みたいな噂よね」と嗤う紗羅こそが本当だろう。
だって、「もう、どうせ何もないんだから学校休みにする必要なんてないのに」と毎日のように文句を言っているから。
そして、決定的になったのは僕が実家に行きたいと言った時の言葉だった。
「私は留守番してるから紗柚と行ってきて」
もしも本当に終わりが来るのなら家族と過ごす時間は大切なものだろう。だから紗柚を大切に思うのなら反対すると思って言ってみた言葉だったけれど、それを聞いた時に返事をするよりも何よりも先に嬉しそうに笑ったその表情は僕を失望させた。
そして、繰り返されていた会いたいだとか、本当は貴哉といたかったという言葉が僕を傷付ける。
紗羅が僕のことを好きで、僕と一緒になりたくて結婚したわけではないことは理解していた。僕だって紗羅に恋焦がれて、どうしても一緒になりたいと思ったわけではないからお互い様だとは思っている。
だけど一緒に過ごすうちに家族としての愛情は芽生えていたし、紗柚の存在は本当に愛おしいもので、その気持ちは紗羅も同じだと思っていただけに、貴哉に対する言葉を見た時に僕は所詮種馬で、紗柚は汐勿を継がせるためだけに必要だったのだと思ってしまった。
それでも、それでも紗羅を信じたい気持ちを捨てきれず、再び覗いてしまったメッセージ。
そして僕は、紗羅との決別を決めたんだ。
「紗羅ちゃん、本当に一緒に行かない?」
自分の言葉の白々しさを自覚しながらももう一度聞いてみた。彼女に用意した最後のチャンス。
「だから、私が行ったら紗柚も楽しめないし、お義父さんにもお義母さんにも気を使わせちゃうでしょ?
こんな時だから紗柚を伸び伸び過ごさせてあげて欲しいの。ほら、私がいるとつい口うるさいこと言っちゃうし、」
苦笑いしてそう答えるけれど、伸び伸びしたいのは自分のくせにと心の中で反論する。紗羅が家で親孝行をして過ごすと言いながら外出するつもりなのは知っていた。
本人は隠しているつもりだろうけど、元婚約者に会えるのがそんなに嬉しいのか最近は機嫌の良いことが多い。
噂なんて信じていないと言っていつものように過ごす紗羅は、いつも以上に身綺麗にした自分を鏡に映しては満足そうにしている。
綺麗に染められた髪は出会った頃よりも短いけれど、今の彼女にはよく似合っている。整えられた爪は品の良い色に塗られ、エステにでも行ったのか、肌の調子も良さそうだ。
そのことを指摘すればきっと白々しい言い訳をするのだろうけれど、それを聞きたくもないし、何か言おうとも思えない。
世界は終わらないかもしれないけれど、僕たちの【家族】という関係はこれで終わりを迎えるだろう。
⌘⌘⌘
紗凪と元婚約者のことを知ってから目に見えてカリカリしていた紗羅だったけれど自覚は無かったようで、「最近、調子悪い?」と聞けば「別に、普通よ?」と素っ気ない返事ばかりが返ってくる。明らかに夕飯の席で紗凪の話をした時からの変化だったせいで義母が「紗凪と喧嘩でもしたの?」と的外れなことを聞けば「連絡すらとってないんだからそんな訳ないでしょ?」と不機嫌さを増す。
離れて暮らす弟の仕事が順調なのが何故そんなに気に入らないのかと不思議に思うけれど、それを聞くのは憚られる。
「紗凪君って幾つになった?」
紗凪の名前が出たついでだと思いそう口にすれば「私たちと8つ違うから、」とその年を数える。
「ってことは、僕たちが結婚したのと同じ年なんじゃないの?
紗凪君もそろそろ、かもね。
仕事も順調みたいだし」
「そろそろって、結婚するってこと?」
苛々した調子で答えるかと思った紗羅が鼻で笑った意味は分からなかったけれど、「それは無いんじゃない?」と何か知っているふうに言った事が気になり「でも僕たちだって、」と言いかけた言葉は「絶対無いから」と強い口調で否定されてしまった。
その時には理由が分からなかったけれど、偶然見つけた写真も含めて色々と理解をしていく。
兄と比較的仲が良い僕からしてみれば異常な程に紗凪を目の敵にする理由が分からず戸惑うことも多かったけれど、彼が将来的に地元に帰ってくるわけでもなさそうだし、特別迷惑をかけられるわけでもない。帰省だって、僕たちが結婚してから数度しかしていないのだから、その存在は無いに等しい。義母の言葉を思い出してみても、紗凪に対して紗羅に対するものと違う特別な感情を感じることもない。
それなのに不定期に送られてくるであろう写真に翻弄され、紗凪に対するマイナスな感情を育てている紗羅は僕にとって不可解な存在だった。
確かに、自分が将来を夢見た相手と一緒に過ごす弟を疎ましいと思う感情は仕方がない。だけどもう終わったことだし、本当に気になるのならコンタクトを取ることだって可能なはずだ。紗凪に電話を入れ、写真のことを話し、ふたりの関係を確認すれば良いだけのこと。
それができないのは…彼に対する未練なのか、紗凪に対する嫉妬なのか。
紗羅が異常に機嫌が悪いと感じた時にあの本を開くと必ず増えている写真。
握りつぶされたような写真から数えて何枚になったのだろう。少しずつ柔らかくなっていく表情と、少しずつ近付いていくふたりの距離。
その距離感からふたりの関係は邪推したもので間違いないであろうと確信する。
時折混ざる紗凪の顔だけが傷付けられた写真は、紗羅の気に触るほどに幸せそうな表情なのかもしれない。将来を夢見た相手の隣に立つ自分によく似た顔の弟。
写真の中の紗凪とは対照的に、ギスギスと険しい表情の紗羅はどんな気持ちで弟の顔に爪を立てていたのだろう。
転機が訪れたのはあの噂のせいだったのは明白だ。
紗柚と僕があの話をした時に呆れたような、馬鹿にするような表情を見せた紗羅だったけど、きっとそれを口実にしたのだろう。
《旦那さん、大丈夫だった?》
偶然見たそのメッセージが気になり、紗羅のスマホを見てしまったのは、自分のことを書かれていたから。僕のことを気遣う相手が気になり、気遣われるような心当たりが無かったせいで見てしまったやり取り。
〈大丈夫、ママ友やPTAの関係だって言えば疑わないから〉
《それなら良いけど》
〈そっちこそ、彼女、大丈夫?〉
《仕事だって言えば大丈夫》
そんな不穏な会話が気になりメッセージを遡る。そして、その相手に気付き愕然とする。
咄嗟にメッセージ履歴を僕のスマホに送ってしまったことを、そしてそのメッセージを遡り呼んでしまったことを後悔はしていない。
お互いの知り合いの近況を伝え合う事務的なメッセージは結婚後も続いていて複雑な気分にはなるものの、感情を押し殺したそれは仕方ないと思うことができた。だけど、彼、貴哉の彼女の存在を気にしたメッセージから大きく変化していく。
〈貴哉、彼女できた?〉
時期的なことを考えると義母に紗凪のことを聞いた頃と重なる。写真を見て、紗凪のことを義母に聞き、その存在を探ったのだろう。
貴哉の返事は彼女がいるというもので、この彼女が紗凪と繋がった理由は分からないけれど元婚約者として何か感じるところがあったのかもしれない。
彼女の存在を認識してからも続く事務的なメッセージはあの噂を境に変化していく。
〈夫も息子も私の話なんて聞いてくれないの〉
〈怖いって言っても、不安だって言っても、大丈夫としか言ってくれなくて〉
〈話を聞いてくれるだけで良いの〉
〈彼女との仲を邪魔したいわけじゃないけど、話を聞いてくれる人、貴哉しかいないの〉
嘘ばかりのメッセージに真面目に答える貴哉の気持ちは誰に向いているのか、紗羅を気遣うメッセージからは【彼女】よりも紗羅のことを思う気持ちの方が強いように感じる。【彼女】と呼んでいる存在が本当に紗凪なのかどうか貴哉の言葉から読み取ることはできないけれど、彼の言葉からは紗羅への未練や執着を感じてしまう。
紗羅は完全に僕のことを舐めているのだろう。お互いにパスワードを知っているけれど、僕は見られて困るようなことはないからで、紗羅は僕が見るはずがないと信じているから。
何かあった時のためにと互いのパスワードを教え合ったのは紗羅が言い出したことだけど、そんなことも覚えていないのかもしれない。
だからこそこんなメッセージを交わすことができるのだろう。
噂のことなんて信じてないどころか馬鹿にしているくせに貴哉に対してだけは弱々しい様子を見せていることで本当は不安な気持ちを隠して強がっているのかと疑いたくなるけれど、僕の前では「本当、馬鹿みたいな噂よね」と嗤う紗羅こそが本当だろう。
だって、「もう、どうせ何もないんだから学校休みにする必要なんてないのに」と毎日のように文句を言っているから。
そして、決定的になったのは僕が実家に行きたいと言った時の言葉だった。
「私は留守番してるから紗柚と行ってきて」
もしも本当に終わりが来るのなら家族と過ごす時間は大切なものだろう。だから紗柚を大切に思うのなら反対すると思って言ってみた言葉だったけれど、それを聞いた時に返事をするよりも何よりも先に嬉しそうに笑ったその表情は僕を失望させた。
そして、繰り返されていた会いたいだとか、本当は貴哉といたかったという言葉が僕を傷付ける。
紗羅が僕のことを好きで、僕と一緒になりたくて結婚したわけではないことは理解していた。僕だって紗羅に恋焦がれて、どうしても一緒になりたいと思ったわけではないからお互い様だとは思っている。
だけど一緒に過ごすうちに家族としての愛情は芽生えていたし、紗柚の存在は本当に愛おしいもので、その気持ちは紗羅も同じだと思っていただけに、貴哉に対する言葉を見た時に僕は所詮種馬で、紗柚は汐勿を継がせるためだけに必要だったのだと思ってしまった。
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