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羽琉 真実。
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『他には?
浬や忍に教えてもらったことが気になるなら2人に話していいか聞いてから話すよ。ただ、その話を聞いてもオレは【そういうもの】だと思っただけで、それを話した浬や忍のことはこの学校に馴染むための注意点を話してくれたんだろうと思っただけだし、その話を聞いたからって羽琉君に悪感情を抱くわけでもなかったし。
ただ、Ωって大変だって再認識しただけで、今まで何の制約もなく生活してたのに自分もΩなんだよなって憂鬱になっただけ。
あとは…テストの傾向と対策教えてもらう時に家に来たり、週末にもうちに来たりもしたけど必ず親のいる時だし、聞かれて困るようなことはしてないよ。
オレは全くやましい事はない』
「オレはって?」
『そこは燈哉君に聞いて。
オレが下手に話して先入観与えるよりも、2人でちゃんと話をした方がいいと思うし。それに、オレは話聞いただけで関わってないし、関わりもないから』
僕の不安を取り除くよう、思いついたことをつらつらと並べる彼に嘘があるようには思えない。燈哉のやましい事に自分は関わっていないということは、彼の言うやましい事は燈哉がαの友人と過ごした時間のことを指しているのかもしれない。
自分を巻き込んだ意趣返しに燈哉の秘密を暴露したと言うよりは、せっかくの機会に全て話して蟠りをなくすべきだという想いが伝わってくるように感じる。
『あと話した方がいい事は…あ、匂いの話しておくと、オレが燈哉君にマーキングされる事はもう無いから』
気になっていて、聞きたくて、だけど自分から言い出すことができずにモヤモヤしていたことを言われて思わず顔を上げれば画面越しに彼と目が合ってしまう。あの日、燈哉の纏った香りは確かに彼のもので、という事は当然だけど彼もまた燈哉の香りを纏っていたのだろう。
マーキングよりももっと深い関わりを持ったことを認めた彼は、自分を守るために自分から挑発したと言った。翌日には消えた香りを思えば深い交わりは無かったはずだけど、それでも自分の与えられなかった、与えることのできなかった行為をした事は確かだ。
「それは、信じられないかも」
『だよね。
ただ、オレにマーキングしたら、次はうちの親が出てくるし、オレも叱られる』
「親?」
『そう。
うちに初めてきた時かな、燈哉君、うちの親にこっぴどく叱られたから。番う気のないΩにマーキングするなって。
オレに対するマーキングは親である自分たちが施しているのだから余計なことをするな。燈哉君に比べれば弱いマーキングかもしれないけれど、番う気がないなら友人の域を超えるような行為はやめろって。
そりゃそうだよね。
入学式当日にマーキングっていうか、ねぇ。それなのに運命なわけでもないし、そんな雰囲気でもないし。
親にしてみれば何だってなるだろうし』
そう言ってから僕の様子を伺うと、次の言葉を待つ僕に再び話し始める。
『うち、両親揃ってαだし、オレのこともαだと思ってたからハッキリ言って色々と基本的な知識が無いんだよ。
どっちかがΩならもっと違ったんだろうけど、急いで病院探してそこで相談したりもしたんだけど、本当に色々分かんない事が多くて。オレ自身、Ωって自覚したつもりでも自覚できてない部分の方が多いと思うんだ。
だから、正直なところ燈哉君といる時はαとΩじゃなくて、αとαって感覚なんだよ、信じてもらえないかもしれないけど』
彼の言葉を聞き、本当は少しだけ気付き始めていたことを実感する。
彼と電話を繋いでから会話する中で彼が嘘をついている様子は無いし、燈哉とのやり取りで親しさは感じるものの親密さを感じる事はない。
「αとαって?」
だけど、自分の知っているαとαは伊織と政文だから信じ切ることができない。
『あ、αとαって言っても羽琉君のこと見張ってるあの怖い2人とは違うからね』
その言葉で隣の燈哉の様子を伺えば苦笑いを見せはするけれど、否定をする事はない。
「怖い?」
『怖いよ。
いつもオレのこと睨みつけてくるαと、何考えてるのか分からないα。
何なの、あれ。あのふたり、付き合ってるって聞いたけどオレ別にふたりの仲邪魔してないし、邪魔する気も無いし。目の敵にされる理由が分からない。
でもαとαって言うとあのふたり思い出すなら…何だろう、普通の友達?』
「普通って、」
『どうでもいいこと話して、ゲームして、漫画読んで、たまにどっか一緒に遊びに行って、そんな感じ?』
そんな感じと言われても自分の体験したことのない事だから理解ができない。
「ごめん、僕には分からないや。
燈哉は分かる?」
「ん、少しはね」
急に質問した僕に驚くことなくそう答えた燈哉は「初等部の頃にそんなことした時もあったよ」とサラリと答える。その言葉で思い当たる事はあったけど、それは今話すことでは無いと言葉を飲み込んでおく。
放課後の約束を邪魔をして僕に付き合わせたあの時。あの時にきっと、燈哉は彼の言った普通の友達とそんな風に過ごしていたのかもしれない。
「それって、楽しい?」
そう言えば、伊織と政文と電話をした時もどちらかの家にいたし、放課後は互いの家に遊びに行くことがあると言っていたのを思い出す。Ωだということで制限されてきた僕には知らない世界だけど、αだと思って過ごしてきた彼にはきっと当たり前の世界。
『楽しいっていうか、それが普通だったから楽しいとか楽しく無いとかじゃなくて、当たり前の感覚?
新しい友達ができたら好きな漫画やゲームの話して、趣味や部活の話して。
気が合えば遊ぶ約束したり、どっかに一緒に行ったり。
でもまあ、Ωだと難しいよな…』
自分は燈哉とそんな風に過ごしたくせに、それなのに僕に寄り添うような言葉を付け足した彼は、『オレばっか話しててごめんだけど』と更に言葉を続ける。
『だからこそ、羽琉君と燈哉君が付き合ってるなら問題ないと思ったんだ。マーキングされるわけでもなくて、外見はαみたいなΩで』
「だから、付き合ってはないんだって」
燈哉のその言葉に【番候補】であるだけで付き合っている認識はないのだと改めて思い知らされる。僕自身は【番候補】なんて言葉はただの建前で、燈哉としか付き合う気は無かったし、燈哉としか番う気は無かったのだけど、燈哉の本音としては違っていたのがしれない。
『だからさあ、その中途半端な認識が駄目なんじゃないの?
じゃあ、同じように羽琉君に燈哉君はただの【番候補】って言われても何も思わない?』
「それは、俺の努力が足りなくてそう言われるなら仕方ないと、」
『………馬鹿じゃないの?』
燈哉の言葉に僕も燈哉もどこかで諦めているのだろうと気付いた時に重ねられた言葉。
『何、自分だけが頑張れば良いとか思ってる?そんなの、燈哉君だけが頑張ったって無理だと思うよ。
で、羽琉君も。
言えないのは仕方ないのかもしれないけど、せめて話聞くくらいはできるんじゃないの?自分から聞くのが難しくても、相手が歩み寄ってきたらそれを受け入れる姿勢も大切なんじゃないかな』
それまで僕寄りのことばかり言っていた彼が急に僕に牙を剥きだす。
『何度も話したいって打診しても聞き入れなくて、それなのに勝手な思い込みで逃げるとか。オレ達の話してる事が気に入らないならその場で問い詰めても良かったんだよ?
まあ、それができない気持ちも知ってるけど…でもね、逃げてても解決しないこと、沢山あるんだよ。
でも、僕みたいに後悔はして欲しくないな…』
これはきっと、彼の本音。
自分ができなかったことに対する後悔と懺悔。
『あとは、何か言った方がいいことあったかな。
あ、ヒートのこと気にしてるけどオレのは本当に軽いみたいで、まだちゃんとΩを受け入れてないせいなのかもしれないけど本当に、薬飲めば治るくらい軽いんだよ。だから学校休む必要も無いくらい。入学してからも来てるし。
羽琉君、夏休みのこと気にしてたけど、周期通りなら夏休みに重ならないし』
「今居君、それって、あまり言わない方が…」
『え、だって毎朝一緒に歩いてても気づかないような相手に知られても困らないし、羽琉君が安心できるならそれくらい知られたっていいと思って』
「………ありがとう」
その気遣いに無意識にお礼の言葉が溢れる。信頼されるようなことを僕はしていないし、ただただ僕を安心させるだけのために放たれた言葉。
燈哉は自分が一緒にいた時にヒートだった時期があることに驚きを隠せないようだけど、考えてもソレがいつだったのか全く心当たりは無さそうだ。
周期に合わせて休めば周知されることだけど、周りが気づいていないことをあえて口にする必要は無いのに口にしたヒートの周期。
誤解だったのかもしれない。
やっとそう思うことができたけれど、そこで素直になれるような僕ではない。
ここまで吐露してくれた彼に返すことのできる言葉が見つからない自分がもどかしい。
『うん、』
僕の言葉に笑顔を見せた彼が眩しかった。
浬や忍に教えてもらったことが気になるなら2人に話していいか聞いてから話すよ。ただ、その話を聞いてもオレは【そういうもの】だと思っただけで、それを話した浬や忍のことはこの学校に馴染むための注意点を話してくれたんだろうと思っただけだし、その話を聞いたからって羽琉君に悪感情を抱くわけでもなかったし。
ただ、Ωって大変だって再認識しただけで、今まで何の制約もなく生活してたのに自分もΩなんだよなって憂鬱になっただけ。
あとは…テストの傾向と対策教えてもらう時に家に来たり、週末にもうちに来たりもしたけど必ず親のいる時だし、聞かれて困るようなことはしてないよ。
オレは全くやましい事はない』
「オレはって?」
『そこは燈哉君に聞いて。
オレが下手に話して先入観与えるよりも、2人でちゃんと話をした方がいいと思うし。それに、オレは話聞いただけで関わってないし、関わりもないから』
僕の不安を取り除くよう、思いついたことをつらつらと並べる彼に嘘があるようには思えない。燈哉のやましい事に自分は関わっていないということは、彼の言うやましい事は燈哉がαの友人と過ごした時間のことを指しているのかもしれない。
自分を巻き込んだ意趣返しに燈哉の秘密を暴露したと言うよりは、せっかくの機会に全て話して蟠りをなくすべきだという想いが伝わってくるように感じる。
『あと話した方がいい事は…あ、匂いの話しておくと、オレが燈哉君にマーキングされる事はもう無いから』
気になっていて、聞きたくて、だけど自分から言い出すことができずにモヤモヤしていたことを言われて思わず顔を上げれば画面越しに彼と目が合ってしまう。あの日、燈哉の纏った香りは確かに彼のもので、という事は当然だけど彼もまた燈哉の香りを纏っていたのだろう。
マーキングよりももっと深い関わりを持ったことを認めた彼は、自分を守るために自分から挑発したと言った。翌日には消えた香りを思えば深い交わりは無かったはずだけど、それでも自分の与えられなかった、与えることのできなかった行為をした事は確かだ。
「それは、信じられないかも」
『だよね。
ただ、オレにマーキングしたら、次はうちの親が出てくるし、オレも叱られる』
「親?」
『そう。
うちに初めてきた時かな、燈哉君、うちの親にこっぴどく叱られたから。番う気のないΩにマーキングするなって。
オレに対するマーキングは親である自分たちが施しているのだから余計なことをするな。燈哉君に比べれば弱いマーキングかもしれないけれど、番う気がないなら友人の域を超えるような行為はやめろって。
そりゃそうだよね。
入学式当日にマーキングっていうか、ねぇ。それなのに運命なわけでもないし、そんな雰囲気でもないし。
親にしてみれば何だってなるだろうし』
そう言ってから僕の様子を伺うと、次の言葉を待つ僕に再び話し始める。
『うち、両親揃ってαだし、オレのこともαだと思ってたからハッキリ言って色々と基本的な知識が無いんだよ。
どっちかがΩならもっと違ったんだろうけど、急いで病院探してそこで相談したりもしたんだけど、本当に色々分かんない事が多くて。オレ自身、Ωって自覚したつもりでも自覚できてない部分の方が多いと思うんだ。
だから、正直なところ燈哉君といる時はαとΩじゃなくて、αとαって感覚なんだよ、信じてもらえないかもしれないけど』
彼の言葉を聞き、本当は少しだけ気付き始めていたことを実感する。
彼と電話を繋いでから会話する中で彼が嘘をついている様子は無いし、燈哉とのやり取りで親しさは感じるものの親密さを感じる事はない。
「αとαって?」
だけど、自分の知っているαとαは伊織と政文だから信じ切ることができない。
『あ、αとαって言っても羽琉君のこと見張ってるあの怖い2人とは違うからね』
その言葉で隣の燈哉の様子を伺えば苦笑いを見せはするけれど、否定をする事はない。
「怖い?」
『怖いよ。
いつもオレのこと睨みつけてくるαと、何考えてるのか分からないα。
何なの、あれ。あのふたり、付き合ってるって聞いたけどオレ別にふたりの仲邪魔してないし、邪魔する気も無いし。目の敵にされる理由が分からない。
でもαとαって言うとあのふたり思い出すなら…何だろう、普通の友達?』
「普通って、」
『どうでもいいこと話して、ゲームして、漫画読んで、たまにどっか一緒に遊びに行って、そんな感じ?』
そんな感じと言われても自分の体験したことのない事だから理解ができない。
「ごめん、僕には分からないや。
燈哉は分かる?」
「ん、少しはね」
急に質問した僕に驚くことなくそう答えた燈哉は「初等部の頃にそんなことした時もあったよ」とサラリと答える。その言葉で思い当たる事はあったけど、それは今話すことでは無いと言葉を飲み込んでおく。
放課後の約束を邪魔をして僕に付き合わせたあの時。あの時にきっと、燈哉は彼の言った普通の友達とそんな風に過ごしていたのかもしれない。
「それって、楽しい?」
そう言えば、伊織と政文と電話をした時もどちらかの家にいたし、放課後は互いの家に遊びに行くことがあると言っていたのを思い出す。Ωだということで制限されてきた僕には知らない世界だけど、αだと思って過ごしてきた彼にはきっと当たり前の世界。
『楽しいっていうか、それが普通だったから楽しいとか楽しく無いとかじゃなくて、当たり前の感覚?
新しい友達ができたら好きな漫画やゲームの話して、趣味や部活の話して。
気が合えば遊ぶ約束したり、どっかに一緒に行ったり。
でもまあ、Ωだと難しいよな…』
自分は燈哉とそんな風に過ごしたくせに、それなのに僕に寄り添うような言葉を付け足した彼は、『オレばっか話しててごめんだけど』と更に言葉を続ける。
『だからこそ、羽琉君と燈哉君が付き合ってるなら問題ないと思ったんだ。マーキングされるわけでもなくて、外見はαみたいなΩで』
「だから、付き合ってはないんだって」
燈哉のその言葉に【番候補】であるだけで付き合っている認識はないのだと改めて思い知らされる。僕自身は【番候補】なんて言葉はただの建前で、燈哉としか付き合う気は無かったし、燈哉としか番う気は無かったのだけど、燈哉の本音としては違っていたのがしれない。
『だからさあ、その中途半端な認識が駄目なんじゃないの?
じゃあ、同じように羽琉君に燈哉君はただの【番候補】って言われても何も思わない?』
「それは、俺の努力が足りなくてそう言われるなら仕方ないと、」
『………馬鹿じゃないの?』
燈哉の言葉に僕も燈哉もどこかで諦めているのだろうと気付いた時に重ねられた言葉。
『何、自分だけが頑張れば良いとか思ってる?そんなの、燈哉君だけが頑張ったって無理だと思うよ。
で、羽琉君も。
言えないのは仕方ないのかもしれないけど、せめて話聞くくらいはできるんじゃないの?自分から聞くのが難しくても、相手が歩み寄ってきたらそれを受け入れる姿勢も大切なんじゃないかな』
それまで僕寄りのことばかり言っていた彼が急に僕に牙を剥きだす。
『何度も話したいって打診しても聞き入れなくて、それなのに勝手な思い込みで逃げるとか。オレ達の話してる事が気に入らないならその場で問い詰めても良かったんだよ?
まあ、それができない気持ちも知ってるけど…でもね、逃げてても解決しないこと、沢山あるんだよ。
でも、僕みたいに後悔はして欲しくないな…』
これはきっと、彼の本音。
自分ができなかったことに対する後悔と懺悔。
『あとは、何か言った方がいいことあったかな。
あ、ヒートのこと気にしてるけどオレのは本当に軽いみたいで、まだちゃんとΩを受け入れてないせいなのかもしれないけど本当に、薬飲めば治るくらい軽いんだよ。だから学校休む必要も無いくらい。入学してからも来てるし。
羽琉君、夏休みのこと気にしてたけど、周期通りなら夏休みに重ならないし』
「今居君、それって、あまり言わない方が…」
『え、だって毎朝一緒に歩いてても気づかないような相手に知られても困らないし、羽琉君が安心できるならそれくらい知られたっていいと思って』
「………ありがとう」
その気遣いに無意識にお礼の言葉が溢れる。信頼されるようなことを僕はしていないし、ただただ僕を安心させるだけのために放たれた言葉。
燈哉は自分が一緒にいた時にヒートだった時期があることに驚きを隠せないようだけど、考えてもソレがいつだったのか全く心当たりは無さそうだ。
周期に合わせて休めば周知されることだけど、周りが気づいていないことをあえて口にする必要は無いのに口にしたヒートの周期。
誤解だったのかもしれない。
やっとそう思うことができたけれど、そこで素直になれるような僕ではない。
ここまで吐露してくれた彼に返すことのできる言葉が見つからない自分がもどかしい。
『うん、』
僕の言葉に笑顔を見せた彼が眩しかった。
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