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第2章 黒い風と金のいと
王子様をやめました 1
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さっきから、レティシアは、そわそわしている。
隣で、もっと、そわそわしている奴がいるので、よけいに煽られていた。
「ちょっとぉ……やめようよ。こんな覗きみたいな真似……」
小声で言う。
が、隣からの、そわそわ感は、なくならない。
「何を言うか。これは覗きではない。観察だ」
「いや、だからさぁ、観察する必要ないじゃんか……」
今日は、ザカリーとジョーの「お見合い」の日なのだ。
レティシアの中では、そういう感じに捉えられている。
ザカリーが会いたいと言っていると、ジョーに伝えたのは、およそ半月前。
レティシアにとっては、意外なことに、ジョーは承諾した。
それから日取りが決まり、今日を迎えている。
(だいたい、なんで一緒に来るんだよ……お見合いって、そーいうもんだとは思うけど……王子様が保護者って……ないわ~……)
王子様自身が、相当な世間知らず。
とても保護者は務まりそうにない。
だからといって、国王にお出ましされても困るのだけれど。
「……ザカリーめ、もっと近くに寄ればいいものを……俺が行って……」
「やめなよ! うまくいくもんも、いかなくなるって!」
やっぱり、と思った。
慌てて、王子様の服をつかんで止める。
王子様が出て行ったら、まとまるものもまとまらなくなるに違いない。
王子様は、この屋敷の、とくに女性には、不人気なのだ。
元々、良い感情を持たれていなかったところに転移騒ぎがあった。
そのせいで、もはや犯罪者のごとき扱いになっている。
人気で言えば、王族どころか、ド底辺もいいところだった。
仮に、ジョーがザカリーに好印象を持っていても、王子様が出て行ったとたんに、台無しになる。
「なぜ、そのようなことがわかる? この手のことに、お前は不慣れではないか」
確かに、そうなのだけれども。
恋愛に疎いことは自覚しているけれども。
無性にイラッとした。
事実であっても、当然のように言われると腹が立つ。
しかも、王子様は「奥歯に物が挟まった」ような話しかたをしないのだ。
本来、良い意味ではないが、そのくらいが王子様には、ちょうどいい。
「私だって、男の人と、いい感じになったことくらいあるんだからね!」
「よい。見栄を張るな。今は、そのような場合ではないのだ」
なんだと、この野郎。
レティシアは、ひそかに拳を握り締めた。
本気で、殴ってやろうか、と思う。
人の無礼には気づくのに、なぜ己の無礼さには気づかないのか。
人の振り見て我が振り直せ、と言ってやりたい。
「とにかく! あなたが出て行っても、どうにもならないよ! 2人に任せるほうが、いいの!」
「そのようなことで、ザカリーが“ふられた”ということになったら、どうする」
「どうするって……そりゃ、しかたないじゃん。ジョーの気持ち次第なんだし」
王子様が、レティシアに視線を向けてきた。
なにやら不穏な目つきだ。
「お前は、ザカリーが不憫だとは思わんのか」
「かわいそうだとは思うけどさぁ……」
ジョーが嫌ならしかたがないではないか。
こういうことは、お互いの気持ちが大事なのだ。
片方の想いだけで「交際」は成り立たない。
恋愛なら「片想い」という形で、成立はするけれども。
「ザカリーは、まだ女を抱いたこともないのだぞ!」
言われて、レティシアは固まる。
後ろには、グレイとサリーも控えていた。
人前で、弟の性事情を暴露する神経に、唖然とする。
が、王子様は、まるで気にしていない。
前から思っていたのだが、王子様には、屋敷の者が見えていない気がする。
「その上、好いた女にも振り向いてもらえぬとなれば……王宮に閉じこもってしまうやもしれん」
そんな大袈裟な、とは思ったが、可能性としてはあり得る気もした。
ザカリーは、とても気が弱いのだ。
レティシアに引っ叩かれると思っては蒼褪め、兄に叱られると言っては尻込みしていた。
王子様の口ぶりからして、おそらく初恋。
となると、ジョーにフラれたショックで、王宮に閉じこもるかもしれない。
「やはり、俺が……」
「ダメだって! それは、絶対にダメなヤツだから!」
「俺が駄目な者だと言うか!」
「や……ちが……っ…………いや、違わないけど、違う!」
王子様は、やはり面倒くさかった。
弟が心配なせいか、いつも以上に、無礼で面倒くさくなっている。
「レティシア様の仰る通りです。あなたが出て行っても話がこじれ……」
「見るからに女を口説けそうにもない黒縁が、口を差し挟むな!」
「な……っ……なに、なにを……」
見るに見かねてだろう、グレイが間に割って入ろうとはしてくれた。
が、王子様の一喝に、口をパクパクさせている。
(た、確かに……グレイが言っても、私より説得力ないかも……)
王子様は、存外、勘が鋭いらしい。
グレイの「ヘタレ」さを、見抜いている。
そして、追い打ちをかけてきた。
「なんだ、物申したければ言うがいい! だが、その前に、お前が女に手慣れているところを見せてみよ! そこのメイドを、今すぐベッドに誘え!」
いや、無理ですから。
あまりの言われ様に、グレイは口をパクパクさせることもできなくなっている。
まさに、ボディに1発、ノックアウト。
サリーに支えられている始末だ。
ふんっと王子様が、鼻を鳴らす。
それ見たことか、と言わんばかりの態度だが、これは事実なので、どうにも反論がしにくかった。
グレイは、女性に手慣れては、いない。
(なんで、こんな、しゃしゃって出て来るんだよ! 兄貴風、吹かせ過ぎだろ!)
ザカリーが、あんな調子なので、心配なのは、わかる。
家族思いなのは、良いことだ。
レティシアも身内意識が強いので、悪いことではない、とは思う。
だが、王子様が出て行けば、まずい展開になるのは目に見えていた。
「なにを騒いでいるのかね?」
「お祖父さま!」
レティシアは、祖父の声に振り向く。
祖父から後光が射しているように見えた。
この王子様を止められるのは、祖父しかいない。
「む。大公か。良いところに来た」
ずかずかと、王子様が祖父に近寄る。
そして、むんずと祖父の腕を掴み、覗き見していた扉のほうに引っ張って来た。
(ぇえ~っ! いやいや、なにしてんのっ? このブラコン王子!!)
少し、いや、かなり嫌そうな顔をしている祖父に、中を覗かせようとしている。
その祖父が、ちらりとレティシアのほうを見た。
焦っているレティシアに、小さく肩をすくめてみせる。
しかたがない、と諦めたのだろう。
なにやら、とても申し訳ない気持ちになった。
「どう思う? 大公は、女に手慣れているだろ? どうだ? ザカリーは、あの娘と理無い仲になれそうか?」
言葉に、レティシアは口をとがらせる。
どうにも面白くない気分だった。
(なんだよ、それ……そりゃ、お祖父さまはモテるしさ、女の人に囲まれても、スルっとうまくかわせるくらいだけどさ……)
祖父に聞くのが間違いがない、との王子様の判断は正しい。
それは、レティシアも同感だった。
だとしても「手慣れている」などと言われると、嫌な気持ちになる。
なんとなく生々しい感じがするからだ。
「そうだね。悪くはないのじゃないかな」
祖父の言葉に気が逸れて、ちょっと「へえ」と思った。
祖父が言うのなら、ジョーもザカリーに好印象を持っているに違いない。
思ったところに、王子様の声が、かぶる。
「そうか! 大公が言うのであれば安心だ」
同感続きで、イラっとする。
むうっと顔をしかめ、王子様を睨んだ。
その視線が王子様とかち合って、なぜかギクリとする。
「そうだ、大公」
「まだ何かあるのかい?」
うんざりした様子の祖父に、王子様が、ついっと眉を上げた。
なんだか、とても嫌な予感がする。
「レティシアは、男と良い感じになったことがあるそうだ。大公は、知っていたか?」
「ななななな、なに、なに言って……」
「さっき、得意げに、そう言っていたではないか」
王子様は嘘をついているわけではないし、そう言ったのは事実だ。
さりとて、祖父の前で言うことはないのに、と思った。
そんなレティシアを見て、祖父が少し困った顔で笑いつつ、言う。
「まぁ……レティも、お年頃、だからね」
それがフォローになっているのか、レティシアには、わからなかった。
隣で、もっと、そわそわしている奴がいるので、よけいに煽られていた。
「ちょっとぉ……やめようよ。こんな覗きみたいな真似……」
小声で言う。
が、隣からの、そわそわ感は、なくならない。
「何を言うか。これは覗きではない。観察だ」
「いや、だからさぁ、観察する必要ないじゃんか……」
今日は、ザカリーとジョーの「お見合い」の日なのだ。
レティシアの中では、そういう感じに捉えられている。
ザカリーが会いたいと言っていると、ジョーに伝えたのは、およそ半月前。
レティシアにとっては、意外なことに、ジョーは承諾した。
それから日取りが決まり、今日を迎えている。
(だいたい、なんで一緒に来るんだよ……お見合いって、そーいうもんだとは思うけど……王子様が保護者って……ないわ~……)
王子様自身が、相当な世間知らず。
とても保護者は務まりそうにない。
だからといって、国王にお出ましされても困るのだけれど。
「……ザカリーめ、もっと近くに寄ればいいものを……俺が行って……」
「やめなよ! うまくいくもんも、いかなくなるって!」
やっぱり、と思った。
慌てて、王子様の服をつかんで止める。
王子様が出て行ったら、まとまるものもまとまらなくなるに違いない。
王子様は、この屋敷の、とくに女性には、不人気なのだ。
元々、良い感情を持たれていなかったところに転移騒ぎがあった。
そのせいで、もはや犯罪者のごとき扱いになっている。
人気で言えば、王族どころか、ド底辺もいいところだった。
仮に、ジョーがザカリーに好印象を持っていても、王子様が出て行ったとたんに、台無しになる。
「なぜ、そのようなことがわかる? この手のことに、お前は不慣れではないか」
確かに、そうなのだけれども。
恋愛に疎いことは自覚しているけれども。
無性にイラッとした。
事実であっても、当然のように言われると腹が立つ。
しかも、王子様は「奥歯に物が挟まった」ような話しかたをしないのだ。
本来、良い意味ではないが、そのくらいが王子様には、ちょうどいい。
「私だって、男の人と、いい感じになったことくらいあるんだからね!」
「よい。見栄を張るな。今は、そのような場合ではないのだ」
なんだと、この野郎。
レティシアは、ひそかに拳を握り締めた。
本気で、殴ってやろうか、と思う。
人の無礼には気づくのに、なぜ己の無礼さには気づかないのか。
人の振り見て我が振り直せ、と言ってやりたい。
「とにかく! あなたが出て行っても、どうにもならないよ! 2人に任せるほうが、いいの!」
「そのようなことで、ザカリーが“ふられた”ということになったら、どうする」
「どうするって……そりゃ、しかたないじゃん。ジョーの気持ち次第なんだし」
王子様が、レティシアに視線を向けてきた。
なにやら不穏な目つきだ。
「お前は、ザカリーが不憫だとは思わんのか」
「かわいそうだとは思うけどさぁ……」
ジョーが嫌ならしかたがないではないか。
こういうことは、お互いの気持ちが大事なのだ。
片方の想いだけで「交際」は成り立たない。
恋愛なら「片想い」という形で、成立はするけれども。
「ザカリーは、まだ女を抱いたこともないのだぞ!」
言われて、レティシアは固まる。
後ろには、グレイとサリーも控えていた。
人前で、弟の性事情を暴露する神経に、唖然とする。
が、王子様は、まるで気にしていない。
前から思っていたのだが、王子様には、屋敷の者が見えていない気がする。
「その上、好いた女にも振り向いてもらえぬとなれば……王宮に閉じこもってしまうやもしれん」
そんな大袈裟な、とは思ったが、可能性としてはあり得る気もした。
ザカリーは、とても気が弱いのだ。
レティシアに引っ叩かれると思っては蒼褪め、兄に叱られると言っては尻込みしていた。
王子様の口ぶりからして、おそらく初恋。
となると、ジョーにフラれたショックで、王宮に閉じこもるかもしれない。
「やはり、俺が……」
「ダメだって! それは、絶対にダメなヤツだから!」
「俺が駄目な者だと言うか!」
「や……ちが……っ…………いや、違わないけど、違う!」
王子様は、やはり面倒くさかった。
弟が心配なせいか、いつも以上に、無礼で面倒くさくなっている。
「レティシア様の仰る通りです。あなたが出て行っても話がこじれ……」
「見るからに女を口説けそうにもない黒縁が、口を差し挟むな!」
「な……っ……なに、なにを……」
見るに見かねてだろう、グレイが間に割って入ろうとはしてくれた。
が、王子様の一喝に、口をパクパクさせている。
(た、確かに……グレイが言っても、私より説得力ないかも……)
王子様は、存外、勘が鋭いらしい。
グレイの「ヘタレ」さを、見抜いている。
そして、追い打ちをかけてきた。
「なんだ、物申したければ言うがいい! だが、その前に、お前が女に手慣れているところを見せてみよ! そこのメイドを、今すぐベッドに誘え!」
いや、無理ですから。
あまりの言われ様に、グレイは口をパクパクさせることもできなくなっている。
まさに、ボディに1発、ノックアウト。
サリーに支えられている始末だ。
ふんっと王子様が、鼻を鳴らす。
それ見たことか、と言わんばかりの態度だが、これは事実なので、どうにも反論がしにくかった。
グレイは、女性に手慣れては、いない。
(なんで、こんな、しゃしゃって出て来るんだよ! 兄貴風、吹かせ過ぎだろ!)
ザカリーが、あんな調子なので、心配なのは、わかる。
家族思いなのは、良いことだ。
レティシアも身内意識が強いので、悪いことではない、とは思う。
だが、王子様が出て行けば、まずい展開になるのは目に見えていた。
「なにを騒いでいるのかね?」
「お祖父さま!」
レティシアは、祖父の声に振り向く。
祖父から後光が射しているように見えた。
この王子様を止められるのは、祖父しかいない。
「む。大公か。良いところに来た」
ずかずかと、王子様が祖父に近寄る。
そして、むんずと祖父の腕を掴み、覗き見していた扉のほうに引っ張って来た。
(ぇえ~っ! いやいや、なにしてんのっ? このブラコン王子!!)
少し、いや、かなり嫌そうな顔をしている祖父に、中を覗かせようとしている。
その祖父が、ちらりとレティシアのほうを見た。
焦っているレティシアに、小さく肩をすくめてみせる。
しかたがない、と諦めたのだろう。
なにやら、とても申し訳ない気持ちになった。
「どう思う? 大公は、女に手慣れているだろ? どうだ? ザカリーは、あの娘と理無い仲になれそうか?」
言葉に、レティシアは口をとがらせる。
どうにも面白くない気分だった。
(なんだよ、それ……そりゃ、お祖父さまはモテるしさ、女の人に囲まれても、スルっとうまくかわせるくらいだけどさ……)
祖父に聞くのが間違いがない、との王子様の判断は正しい。
それは、レティシアも同感だった。
だとしても「手慣れている」などと言われると、嫌な気持ちになる。
なんとなく生々しい感じがするからだ。
「そうだね。悪くはないのじゃないかな」
祖父の言葉に気が逸れて、ちょっと「へえ」と思った。
祖父が言うのなら、ジョーもザカリーに好印象を持っているに違いない。
思ったところに、王子様の声が、かぶる。
「そうか! 大公が言うのであれば安心だ」
同感続きで、イラっとする。
むうっと顔をしかめ、王子様を睨んだ。
その視線が王子様とかち合って、なぜかギクリとする。
「そうだ、大公」
「まだ何かあるのかい?」
うんざりした様子の祖父に、王子様が、ついっと眉を上げた。
なんだか、とても嫌な予感がする。
「レティシアは、男と良い感じになったことがあるそうだ。大公は、知っていたか?」
「ななななな、なに、なに言って……」
「さっき、得意げに、そう言っていたではないか」
王子様は嘘をついているわけではないし、そう言ったのは事実だ。
さりとて、祖父の前で言うことはないのに、と思った。
そんなレティシアを見て、祖父が少し困った顔で笑いつつ、言う。
「まぁ……レティも、お年頃、だからね」
それがフォローになっているのか、レティシアには、わからなかった。
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