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第2章 黒い風と金のいと
公爵家のひととき 3
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翌日、息子夫婦は王宮の別宅に帰って行った。
息子は、かなり渋々だったが、妻に説得され、なんとか気を取り直したのだ。
王宮にいればこそ、できることもある。
彼からも「冷静に対処」するように、言い聞かせておいた。
宰相としては優秀でも「愛」が絡むと、どうにも頼りにならない。
妻であるフラニーのほうが、よほどしっかりしている。
フラニーは、昨夜の「レティを後添えに」との仮話についても、正確に理解しているに違いない。
淀みのない返答が、それを証していた。
これで、レティシアの心の負担が少しは減っただろう。
彼女は、周りに迷惑をかけることを、ことさら気に病む。
好ましい部分ではあるが、愛しい孫娘を悩ませ続けたくはなかった。
とくに、自分との関係においてというのであれば、なおさらだ。
彼は、正面に座っているレティシアに暖かいまなざしをおくっている。
今、彼女は、おウチご飯に夢中だった。
美味しそうに食べる姿が、とても愛くるしい。
貴族のご令嬢としては。言葉遣いもマナーもなっていないのだろうが、少しも気にならなかった。
おかわりを頼むレティシアに、必要もないのに、マルクがいそいそと厨房から出てくる。
こういう穏やかな生活をしてさえいれば、彼女の中にある魔力も大人しくしているはずだ。
レティシアに手出しをさせない簡単な方法に、彼は、ほんの少し思いを馳せた。
(手元に置いて可愛がるというのも、ひとつの手ではあるが。レティは、そういう“形”だけの婚姻など望まないだろうからね)
実際、噂を本当にしてしまえば、レティシアを王太子から簡単に遠ざけられはする。
実質は形だけであれ、人の妻においそれと手出しはできないものだ。
だいたい彼を殺すことも脅迫することもできないし、かのラウズワース公爵家令嬢に話した通り、誰も文句などつけられはしない。
けれど、彼女本人が、それを良しとするとは思えなかった。
レティシアは、祖父と孫娘との関係が好ましいと考えているのだ。
彼自身は、どちらでも関係ないと感じている。
いずれにせよ、レティシアが愛しい孫娘であることに、変わりはない。
生活だって今となんら変わらない。
さりとて、彼女はきっと意識するのだろうと思う。
簡単に想像できてしまうので、少し笑ってしまうのだけれど。
彼女は、とても初心なのだ。
(しかし、それで変に距離を取られてしまったのでは意味がない)
十年前と大差がなくなる。
彼女からの愛情と信頼なくしては、日々の生活が成り立たない。
日常の景色が色褪せる程度ではすまないと、彼にはわかっていた。
だから、簡単な手段は取らないのだ。
なにより、彼は気が長い。
たちまちの内に、サイラスを消す必要もないだろうと思っている。
ここぞという場面、一瞬で終わらせればいい。
それまでは、煩わしい虫を手ではらうだけのことだった。
ともあれレティシアは、王太子の死は望んでいないらしいし。
昼食がすみ、デザートタイムに入る。
彼も、ゆったりと紅茶を口にしていた。
レティシアの「別腹」は特別性らしい。
あっという間に、チョコレートケーキを2皿ぺろり。
もう半時もすると、眠くなる頃合いだ。
「レティは、殿下のことが気に入っているのかい?」
「へ……? いや、全然。悪人って感じはしないし、別に嫌いでもないよ? でも、気に入ってるかって言われると……やたらに面倒くさいんだよね、あの王子様……」
少しうんざりしたような顔をして、レティシアがそう言った。
彼は、小さく笑う。
これまでのレティシアの話を聞いて、察するところがあった。
王太子は、かなりレティシアに入れ込んでいる。
いや、惚れこんでいると言ってもいいのではなかろうか。
とはいえ、当のレティシアの評価は、いまひとつのようだ。
(鼻もひっかけられていないということを、まだ自覚していないとはね)
わかる気はする。
王太子は、女性を口説いたりはしない。
ベッドでの経験はあっても、女性の扱いに慣れていないのだ。
きっとレティシアに振り回されているに違いない。
彼女にそんな気はないのだろうが、意識してもいない男を相手に、自由に振る舞っていれば、自然とそうなる。
「王子様と言えば……公務を休んでるって、お父さまが言ってたよね」
レティシアが顔に不安をよぎらせた。
例の件を気にしているのだろう。
「私が殴ったからかな……? 打ちどころが悪かった、とか……」
心配そうに言う彼女に、彼は、口元に笑みを浮かべて言う。
ただ安心させてやりたかった。
「それはないさ。サイラスが、とっくに治癒しているよ」
王太子の体の心配より、己の身の心配をして、サイラスは必ず治癒している。
彼は、確信していた。
王宮への叛意ともとれる資料を、わざわざアンバス侯爵の城に残すくらい、サイラスは神経質なのだ。
火の粉をはらうためなら、どんな細かな細工にも手は抜かない。
その性格を考えれば、王太子の頭にいつまでも「瘤」など残しておきはしないし、瘤があった事実も外に漏れないようにする。
となると、サイラス自身が治癒するのが、最も安全だ。
(およそ恋煩いでもしているのだろうさ。食事も喉を通らないというところか)
彼は、冷ややかに、そう予測する。
王太子が無駄に部屋に引きこもったりするから、レティシアが不安がっていると思うと、冷淡にならずにはおられない。
王太子など、ひとまず生きてさえいればいい、くらいにしか、彼は思っていないので。
「後遺症も残らない?」
「瘤くらいなら平気だよ。サイラスは、好ましからざる人物だが、魔術の腕は確かなのでね」
答えに、ようやく安心したように、レティシアが表情を緩める。
が、すぐにまたその顔に影が差した。
何が不安なのかと、彼が考えた時だ。
イスから立ち上がり、レティシアが彼のほうに駆け寄ってくる。
それを見て立ち上がった彼に、抱き着いてきた。
彼の胸に顔をうずめ、ぎゅっと腕に力をこめてくる。
その体を抱きしめ返した。
「……お祖父さま、どこにも行かないでね……」
怪我の話などしていたからかもしれない。
別の世界にいた頃のことを思い出したのだろう。
彼女の両親は、事故で亡くなっている。
消えたくなるほどの寂しさを、日々、感じていたに違いない。
彼は、レティシアの髪に、そっと唇を押しあてた。
「どこにも行かないさ。愛しい孫娘をおいて、どこに行けるというのだね? 私はずっとお前の傍にいるよ、レティ」
彼もまた、失うことの痛みを知っている。
息子が自立したら、妻の後を追おうと思っていたほどだ。
それくらい、妻のいない生活に馴染めずにいた。
蒼い薔薇にしても、見るたびに妻を思い出す。
妻の使っていたティーカップ、2人で腰かけていた揺りイス、なにを見ても思わずにはいられなかった。
もう、妻はいないのだ、と。
魔術は万能ではない。
彼の力も「絶対」などではない。
消えた命に再び火を灯すことはできないのだから。
けれど、今の彼には、愛しい孫娘がいる。
レティシアの存在が、彼をこの世界に繋ぎ留めていた。
「レティこそ、私を置いて、どこかの馬の骨のところに嫁いでしまうのじゃないかい?」
彼女を慰めるため、わざと軽口を叩く。
もそっと、彼の腕の中でレティシアが顔を上げた。
口には笑みが浮かんでいる。
無理をしている様子がないことに、安堵した。
「嫁げそうな気がしないんだよね」
「そうかな?」
「そうだよ。お祖父さま以上に、甘やかし上手なんていないもん」
ならば、と彼はレティシアを抱き上げる。
びっくりした顔をしつつも、レティシアが首にしがみついてきた。
「それなら、もっと甘やかさないといけないね」
「いや、ホントもうダメな子になる……てゆーか、なってるよ……」
困った顔の孫娘の額へとキスを落とす。
それから、すたすたと歩き出した。
ササっと、グレイが食堂の扉を開く。
軽く視線だけで、礼をしてから食堂を出た。
「う、う~……なんでこんな……眠くなるかな……お祖父さまに……甘え、過ぎ……瞼が……」
「いいから、お休み。私の愛しい孫娘」
こくんとうなずいたのか、眠ってしまっただけなのか、レティシアは彼の胸に頬を押しつけてくる。
息子は、かなり渋々だったが、妻に説得され、なんとか気を取り直したのだ。
王宮にいればこそ、できることもある。
彼からも「冷静に対処」するように、言い聞かせておいた。
宰相としては優秀でも「愛」が絡むと、どうにも頼りにならない。
妻であるフラニーのほうが、よほどしっかりしている。
フラニーは、昨夜の「レティを後添えに」との仮話についても、正確に理解しているに違いない。
淀みのない返答が、それを証していた。
これで、レティシアの心の負担が少しは減っただろう。
彼女は、周りに迷惑をかけることを、ことさら気に病む。
好ましい部分ではあるが、愛しい孫娘を悩ませ続けたくはなかった。
とくに、自分との関係においてというのであれば、なおさらだ。
彼は、正面に座っているレティシアに暖かいまなざしをおくっている。
今、彼女は、おウチご飯に夢中だった。
美味しそうに食べる姿が、とても愛くるしい。
貴族のご令嬢としては。言葉遣いもマナーもなっていないのだろうが、少しも気にならなかった。
おかわりを頼むレティシアに、必要もないのに、マルクがいそいそと厨房から出てくる。
こういう穏やかな生活をしてさえいれば、彼女の中にある魔力も大人しくしているはずだ。
レティシアに手出しをさせない簡単な方法に、彼は、ほんの少し思いを馳せた。
(手元に置いて可愛がるというのも、ひとつの手ではあるが。レティは、そういう“形”だけの婚姻など望まないだろうからね)
実際、噂を本当にしてしまえば、レティシアを王太子から簡単に遠ざけられはする。
実質は形だけであれ、人の妻においそれと手出しはできないものだ。
だいたい彼を殺すことも脅迫することもできないし、かのラウズワース公爵家令嬢に話した通り、誰も文句などつけられはしない。
けれど、彼女本人が、それを良しとするとは思えなかった。
レティシアは、祖父と孫娘との関係が好ましいと考えているのだ。
彼自身は、どちらでも関係ないと感じている。
いずれにせよ、レティシアが愛しい孫娘であることに、変わりはない。
生活だって今となんら変わらない。
さりとて、彼女はきっと意識するのだろうと思う。
簡単に想像できてしまうので、少し笑ってしまうのだけれど。
彼女は、とても初心なのだ。
(しかし、それで変に距離を取られてしまったのでは意味がない)
十年前と大差がなくなる。
彼女からの愛情と信頼なくしては、日々の生活が成り立たない。
日常の景色が色褪せる程度ではすまないと、彼にはわかっていた。
だから、簡単な手段は取らないのだ。
なにより、彼は気が長い。
たちまちの内に、サイラスを消す必要もないだろうと思っている。
ここぞという場面、一瞬で終わらせればいい。
それまでは、煩わしい虫を手ではらうだけのことだった。
ともあれレティシアは、王太子の死は望んでいないらしいし。
昼食がすみ、デザートタイムに入る。
彼も、ゆったりと紅茶を口にしていた。
レティシアの「別腹」は特別性らしい。
あっという間に、チョコレートケーキを2皿ぺろり。
もう半時もすると、眠くなる頃合いだ。
「レティは、殿下のことが気に入っているのかい?」
「へ……? いや、全然。悪人って感じはしないし、別に嫌いでもないよ? でも、気に入ってるかって言われると……やたらに面倒くさいんだよね、あの王子様……」
少しうんざりしたような顔をして、レティシアがそう言った。
彼は、小さく笑う。
これまでのレティシアの話を聞いて、察するところがあった。
王太子は、かなりレティシアに入れ込んでいる。
いや、惚れこんでいると言ってもいいのではなかろうか。
とはいえ、当のレティシアの評価は、いまひとつのようだ。
(鼻もひっかけられていないということを、まだ自覚していないとはね)
わかる気はする。
王太子は、女性を口説いたりはしない。
ベッドでの経験はあっても、女性の扱いに慣れていないのだ。
きっとレティシアに振り回されているに違いない。
彼女にそんな気はないのだろうが、意識してもいない男を相手に、自由に振る舞っていれば、自然とそうなる。
「王子様と言えば……公務を休んでるって、お父さまが言ってたよね」
レティシアが顔に不安をよぎらせた。
例の件を気にしているのだろう。
「私が殴ったからかな……? 打ちどころが悪かった、とか……」
心配そうに言う彼女に、彼は、口元に笑みを浮かべて言う。
ただ安心させてやりたかった。
「それはないさ。サイラスが、とっくに治癒しているよ」
王太子の体の心配より、己の身の心配をして、サイラスは必ず治癒している。
彼は、確信していた。
王宮への叛意ともとれる資料を、わざわざアンバス侯爵の城に残すくらい、サイラスは神経質なのだ。
火の粉をはらうためなら、どんな細かな細工にも手は抜かない。
その性格を考えれば、王太子の頭にいつまでも「瘤」など残しておきはしないし、瘤があった事実も外に漏れないようにする。
となると、サイラス自身が治癒するのが、最も安全だ。
(およそ恋煩いでもしているのだろうさ。食事も喉を通らないというところか)
彼は、冷ややかに、そう予測する。
王太子が無駄に部屋に引きこもったりするから、レティシアが不安がっていると思うと、冷淡にならずにはおられない。
王太子など、ひとまず生きてさえいればいい、くらいにしか、彼は思っていないので。
「後遺症も残らない?」
「瘤くらいなら平気だよ。サイラスは、好ましからざる人物だが、魔術の腕は確かなのでね」
答えに、ようやく安心したように、レティシアが表情を緩める。
が、すぐにまたその顔に影が差した。
何が不安なのかと、彼が考えた時だ。
イスから立ち上がり、レティシアが彼のほうに駆け寄ってくる。
それを見て立ち上がった彼に、抱き着いてきた。
彼の胸に顔をうずめ、ぎゅっと腕に力をこめてくる。
その体を抱きしめ返した。
「……お祖父さま、どこにも行かないでね……」
怪我の話などしていたからかもしれない。
別の世界にいた頃のことを思い出したのだろう。
彼女の両親は、事故で亡くなっている。
消えたくなるほどの寂しさを、日々、感じていたに違いない。
彼は、レティシアの髪に、そっと唇を押しあてた。
「どこにも行かないさ。愛しい孫娘をおいて、どこに行けるというのだね? 私はずっとお前の傍にいるよ、レティ」
彼もまた、失うことの痛みを知っている。
息子が自立したら、妻の後を追おうと思っていたほどだ。
それくらい、妻のいない生活に馴染めずにいた。
蒼い薔薇にしても、見るたびに妻を思い出す。
妻の使っていたティーカップ、2人で腰かけていた揺りイス、なにを見ても思わずにはいられなかった。
もう、妻はいないのだ、と。
魔術は万能ではない。
彼の力も「絶対」などではない。
消えた命に再び火を灯すことはできないのだから。
けれど、今の彼には、愛しい孫娘がいる。
レティシアの存在が、彼をこの世界に繋ぎ留めていた。
「レティこそ、私を置いて、どこかの馬の骨のところに嫁いでしまうのじゃないかい?」
彼女を慰めるため、わざと軽口を叩く。
もそっと、彼の腕の中でレティシアが顔を上げた。
口には笑みが浮かんでいる。
無理をしている様子がないことに、安堵した。
「嫁げそうな気がしないんだよね」
「そうかな?」
「そうだよ。お祖父さま以上に、甘やかし上手なんていないもん」
ならば、と彼はレティシアを抱き上げる。
びっくりした顔をしつつも、レティシアが首にしがみついてきた。
「それなら、もっと甘やかさないといけないね」
「いや、ホントもうダメな子になる……てゆーか、なってるよ……」
困った顔の孫娘の額へとキスを落とす。
それから、すたすたと歩き出した。
ササっと、グレイが食堂の扉を開く。
軽く視線だけで、礼をしてから食堂を出た。
「う、う~……なんでこんな……眠くなるかな……お祖父さまに……甘え、過ぎ……瞼が……」
「いいから、お休み。私の愛しい孫娘」
こくんとうなずいたのか、眠ってしまっただけなのか、レティシアは彼の胸に頬を押しつけてくる。
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