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第1章 暗い闇と蒼い薔薇
とらわれの地下室 3
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レティシアは、本気で怒っていた。
もはや無礼者というより「恥知らず」だ。
「待て。落ち着け。そう怒るな」
「どの口が言ってんの?! 怒らせてるのは、あなたでしょ!」
「だが、何事も試してみねばわからぬではないか」
「たーめーしぃぃいッ?! はあっ?!」
まったく常識がないにも、ほどがある。
王太子の「普通」などレティシアには関係ない。
彼女の「普通」や「常識」を、遥かに逸脱していることが問題なのだ。
王子様の「普通」は、レティシアの「普通」の枠を完全にぶっ壊している。
「そんなこと、試しにどうですかー?なんてもんじゃないわ! お試し版とかありえないわ! 頭おかしいわ!」
「よくわからんが、俺の頭はおかしくなってなどおらん」
「だったら、なおさらおかしいっての! やらしい! 不潔!」
「いや……不潔ということはなかろう。先ほど湯に浸かってきたのでな」
「そういう意味じゃないっ!! あーもう!!」
どうやっても話が噛み合わない。
言葉がこんなに通じないとは、面倒くさ過ぎる。
グレイやサリーには、前後関係からか、それなりに伝わっていた。
だから、まったく通じないということはないはずなのに、王子様に限っては、本当に「伝わった感」が、まるきりないのだ。
なぜ頓珍漢な返答ばかりしてくるのか、理解に苦しむ。
ものを知らないというのが、こんなにも会話に支障をきたすものだとは。
「やらしい、というのは、どういう意味だ」
「……これだよ……ホントもう……」
勘弁してほしい。
さりとて、言葉を理解しようとする姿勢を無視するのもどうかと思う。
誘拐犯で恥知らずではあれど、王子様は悪人ではないのだ、たぶん。
薬も飲みたくないと言ったら、無理に飲ませようとはしなかったのだし。
「服を脱がせたり、裸を見たりさわったりしたがるってこと」
「それは当然のことだろ? そうせねば、お前を抱……」
「あーあーあーあーあー!!」
耳を押さえ、大きな声で王子様の言葉をシャットアウトする。
何度も聞きたいとは思えない台詞だったからだ。
王子様が口を閉じたので、耳から手を離す。
困った奴だというように肩をすくめられ、イラっとした。
(私が困ってるんだよ! てゆーか、5歳児だって、もう少し言葉が通じるって!)
しかも、5歳児とは違い、性的なことに疎くないところが始末に悪い。
子供相手ならレティシアも、もっと根気強くなれるのだ。
が、王子様は子供ではなく、れっきとした大人。
ちっともかわいくないし。
「お前が動揺するのもわかる」
どっと疲れて脱力しているレティシアに、王子様が言う。
正直に言えば、動揺しているというより、腹を立てているというのが正しい。
もしくは呆れている、面倒くさがっている、でも正しい。
が、一応は気を遣っているのかと、少し驚いていた。
そんな感覚が、この王子様にあったなんて思っていなかったからだ。
この部屋に入ってきてからの王子様は、以前の彼とは少し違う気もする。
相変わらず面倒くさいし、上から目線な話しぶりではあるが、どことなしこちらの様子を窺っているようなところがあった。
微妙な内容の話をしている割に、乱暴をしそうな気配も感じられない。
「お前にとっては初めてのことなのだろ? だが、俺はそれなりに経験がある。万事、俺に任せておけばよい」
「…………は……?」
レティシアは、己の心を正しく言葉にする。
(ちょっと、なに言ってるかわかんないんですケド……)
何が「初めて」なのかを聞こうとして、ハッと思いあたる。
疲れにより忘れていた怒りが戻ってきた。
「こ、この……っ……ハレンチ王子ッ! 悪代官ッ! ドスケベッ!!」
「どういう意味だ? お前の言葉は、わかりにくくてかなわん。もっとわかるように話はできんのか?」
怒っているレティシアに対し、王子様はとても冷静。
それがまた怒りに火をつける。
怒りが通じていないことに腹が立つのだ。
舞台上の役者のように、わかり易く地団太が踏みたくなる。
というか、怒り過ぎていて言葉が出て来ない。
黙っているレティシアをどう思ったのか、王子様が先に口を開いた。
「お前にとっても悪いことではないと思うがな。どの道、誰かに抱かれるのであれば、下手な者より手慣れた者のほうが快いに決まっている」
なにを言っているのか、この王子様は、と思う。
己の女性経験をひけらかし、自慢してくるなど、レティシアの理解の範疇を越えていた。
それはもう、立て続けに世界新記録を出す棒高跳びの選手も真っ青、というくらいに、軽々と越えている。
どうせなら、放物線を描いきながら遠い宇宙の果てまで飛んで行ってほしい。
「俺に抱かれてみれば、心配せずともよかったことがわかるぞ」
なんだ、その「案ずるより産むが易し」みたいな言い草は、と思った。
何から何まで論点がズレている。
その論点がズレていることにも、王子様は気づいていないのだ。
どこから説明すればいいのか、わからなくなる。
どう説明しても伝わる気がしなかった。
げに世間知らずとは恐ろしい。
と、思ったところで、はたとなる。
そういえば、と思い出したのだ。
(お祖父さまの婚姻のこと話してる時……グレイ、14歳で女性経験があるのは当然みたいなこと言ってたよなぁ。あの時、隣にサリーもいて……)
もしや、まさか。
この世界では、その手の話がまったくタブーではないのではないか。
むしろ「フツー」のこととして語られているのではないか。
貴族的社会でもあるのだし、欧米に近い要素が強いとするならば、ありえなくもない。
家族で性に関する会話をしたり、学校での性教育であったり、現代日本は欧米と比較して、ずいぶん遅れていると言われていた。
考えれば考えるほど、そんな気がしてくる。
もしそうでないなら、グレイの言葉をサリーは咎めていたはずだ。
少なくとも聞き流したりはせず、嫌な顔くらいはしただろう。
が、そんな雰囲気は微塵もなかった。
(てことは……私のほうが世間知らずってこと……? だって、しょうがないじゃん! 私、心は日本人だし! 日本じゃ、そんなの日常会話じゃないもん!)
この世界で、レティシアとして生きていくと決めても、日本人の要素まで捨てることはできない。
27年も、それでやってきたのだ。
体や心に沁みついている日本人気質というものがある。
いきなり変わるなんて、できっこない。
さりとて、そうなってくると、王子様だけが悪いとも言えなかった。
もちろん「抱く」だのという話はともかく。
直接的な表現については寛容になるべきなのかもしれない。
この世界では天気の話並みに「普通」になされていることなら、いちいち反応するレティシアのほうがおかしいのだ。
「……頭イタイ……」
「頭痛か? だから言ったではないか。お前は怒り過ぎだ。やはり薬を……」
「絶対、飲まないからね!」
「わかった。わかったから、もうそのように怒るな。頭痛が酷くなるぞ」
誰のせいで、と言いたくなるのを我慢した。
王子様が心配げな顔でレティシアを見ていたからだ。
気を遣うなら遣う、遣わないなら遣わない。
どちらかにしてほしい。
レティシアは、大きく息を吐き出してから、現状、1番はっきりしていることを口にする。
王子様に伝わることを願って。
「私は、あなたと、そーいうことはしません」
「そういうこととは、なんだ?」
すぐに聞き返され、言葉に窮する。
(そうくるか。くるよね。だって、この王子様、面倒くさい人だもん……)
もはや、慣れた。
この王子様には直球しか通じない。
直球ですら通じないことも多々あるくらいだ。
どれだけの剛速球が求められているのか知らないが、レティシアは、そんな剛腕投手ではなかった。
「だから、それは……その……だ……だ……」
抱かれる、そのひと言が言えずにいる。
27歳にもなって、と笑われるかもしれない。
さりとて、レティシアは、まさしく王子様の言ったように「男性経験」がなかった。
まるきりないというと語弊があるが、ともかく最後の一線を越えたことはない。
性的な意味で、人にふれるのも、ふれられるのも苦手だったからだ。
愛想をつかされてきた要素には、それも含まれている。
「なんだ?」
少し待ってくれ、と言おうとして気づいた。
(ち、近ッ! 近い近い近い! いつの間に、こんな近くに来てたんだよー!)
王子様が目の前にいる。
金髪が目に痛いぐらいの近さだった。
サッと視線を外す。
その先には、真っ赤っ赤なベッドがあった。
ぶわっと顔が熱くなる。
「そうか」
短い言葉のあと、いきなり視界が変わった。
と、思ったら、すぐにさらに視界が変わる。
王子様に抱き上げられ、その後、ベッドに寝かされたからだ。
「ようやく、その気になった、ということだな」
今の流れのどこにそんな要素があったのか、わけがわからない。
だいたい、そういうことは「しない」と言ったのだし。
レティシアは思う。
やっぱり伝わらなかった。
もはや無礼者というより「恥知らず」だ。
「待て。落ち着け。そう怒るな」
「どの口が言ってんの?! 怒らせてるのは、あなたでしょ!」
「だが、何事も試してみねばわからぬではないか」
「たーめーしぃぃいッ?! はあっ?!」
まったく常識がないにも、ほどがある。
王太子の「普通」などレティシアには関係ない。
彼女の「普通」や「常識」を、遥かに逸脱していることが問題なのだ。
王子様の「普通」は、レティシアの「普通」の枠を完全にぶっ壊している。
「そんなこと、試しにどうですかー?なんてもんじゃないわ! お試し版とかありえないわ! 頭おかしいわ!」
「よくわからんが、俺の頭はおかしくなってなどおらん」
「だったら、なおさらおかしいっての! やらしい! 不潔!」
「いや……不潔ということはなかろう。先ほど湯に浸かってきたのでな」
「そういう意味じゃないっ!! あーもう!!」
どうやっても話が噛み合わない。
言葉がこんなに通じないとは、面倒くさ過ぎる。
グレイやサリーには、前後関係からか、それなりに伝わっていた。
だから、まったく通じないということはないはずなのに、王子様に限っては、本当に「伝わった感」が、まるきりないのだ。
なぜ頓珍漢な返答ばかりしてくるのか、理解に苦しむ。
ものを知らないというのが、こんなにも会話に支障をきたすものだとは。
「やらしい、というのは、どういう意味だ」
「……これだよ……ホントもう……」
勘弁してほしい。
さりとて、言葉を理解しようとする姿勢を無視するのもどうかと思う。
誘拐犯で恥知らずではあれど、王子様は悪人ではないのだ、たぶん。
薬も飲みたくないと言ったら、無理に飲ませようとはしなかったのだし。
「服を脱がせたり、裸を見たりさわったりしたがるってこと」
「それは当然のことだろ? そうせねば、お前を抱……」
「あーあーあーあーあー!!」
耳を押さえ、大きな声で王子様の言葉をシャットアウトする。
何度も聞きたいとは思えない台詞だったからだ。
王子様が口を閉じたので、耳から手を離す。
困った奴だというように肩をすくめられ、イラっとした。
(私が困ってるんだよ! てゆーか、5歳児だって、もう少し言葉が通じるって!)
しかも、5歳児とは違い、性的なことに疎くないところが始末に悪い。
子供相手ならレティシアも、もっと根気強くなれるのだ。
が、王子様は子供ではなく、れっきとした大人。
ちっともかわいくないし。
「お前が動揺するのもわかる」
どっと疲れて脱力しているレティシアに、王子様が言う。
正直に言えば、動揺しているというより、腹を立てているというのが正しい。
もしくは呆れている、面倒くさがっている、でも正しい。
が、一応は気を遣っているのかと、少し驚いていた。
そんな感覚が、この王子様にあったなんて思っていなかったからだ。
この部屋に入ってきてからの王子様は、以前の彼とは少し違う気もする。
相変わらず面倒くさいし、上から目線な話しぶりではあるが、どことなしこちらの様子を窺っているようなところがあった。
微妙な内容の話をしている割に、乱暴をしそうな気配も感じられない。
「お前にとっては初めてのことなのだろ? だが、俺はそれなりに経験がある。万事、俺に任せておけばよい」
「…………は……?」
レティシアは、己の心を正しく言葉にする。
(ちょっと、なに言ってるかわかんないんですケド……)
何が「初めて」なのかを聞こうとして、ハッと思いあたる。
疲れにより忘れていた怒りが戻ってきた。
「こ、この……っ……ハレンチ王子ッ! 悪代官ッ! ドスケベッ!!」
「どういう意味だ? お前の言葉は、わかりにくくてかなわん。もっとわかるように話はできんのか?」
怒っているレティシアに対し、王子様はとても冷静。
それがまた怒りに火をつける。
怒りが通じていないことに腹が立つのだ。
舞台上の役者のように、わかり易く地団太が踏みたくなる。
というか、怒り過ぎていて言葉が出て来ない。
黙っているレティシアをどう思ったのか、王子様が先に口を開いた。
「お前にとっても悪いことではないと思うがな。どの道、誰かに抱かれるのであれば、下手な者より手慣れた者のほうが快いに決まっている」
なにを言っているのか、この王子様は、と思う。
己の女性経験をひけらかし、自慢してくるなど、レティシアの理解の範疇を越えていた。
それはもう、立て続けに世界新記録を出す棒高跳びの選手も真っ青、というくらいに、軽々と越えている。
どうせなら、放物線を描いきながら遠い宇宙の果てまで飛んで行ってほしい。
「俺に抱かれてみれば、心配せずともよかったことがわかるぞ」
なんだ、その「案ずるより産むが易し」みたいな言い草は、と思った。
何から何まで論点がズレている。
その論点がズレていることにも、王子様は気づいていないのだ。
どこから説明すればいいのか、わからなくなる。
どう説明しても伝わる気がしなかった。
げに世間知らずとは恐ろしい。
と、思ったところで、はたとなる。
そういえば、と思い出したのだ。
(お祖父さまの婚姻のこと話してる時……グレイ、14歳で女性経験があるのは当然みたいなこと言ってたよなぁ。あの時、隣にサリーもいて……)
もしや、まさか。
この世界では、その手の話がまったくタブーではないのではないか。
むしろ「フツー」のこととして語られているのではないか。
貴族的社会でもあるのだし、欧米に近い要素が強いとするならば、ありえなくもない。
家族で性に関する会話をしたり、学校での性教育であったり、現代日本は欧米と比較して、ずいぶん遅れていると言われていた。
考えれば考えるほど、そんな気がしてくる。
もしそうでないなら、グレイの言葉をサリーは咎めていたはずだ。
少なくとも聞き流したりはせず、嫌な顔くらいはしただろう。
が、そんな雰囲気は微塵もなかった。
(てことは……私のほうが世間知らずってこと……? だって、しょうがないじゃん! 私、心は日本人だし! 日本じゃ、そんなの日常会話じゃないもん!)
この世界で、レティシアとして生きていくと決めても、日本人の要素まで捨てることはできない。
27年も、それでやってきたのだ。
体や心に沁みついている日本人気質というものがある。
いきなり変わるなんて、できっこない。
さりとて、そうなってくると、王子様だけが悪いとも言えなかった。
もちろん「抱く」だのという話はともかく。
直接的な表現については寛容になるべきなのかもしれない。
この世界では天気の話並みに「普通」になされていることなら、いちいち反応するレティシアのほうがおかしいのだ。
「……頭イタイ……」
「頭痛か? だから言ったではないか。お前は怒り過ぎだ。やはり薬を……」
「絶対、飲まないからね!」
「わかった。わかったから、もうそのように怒るな。頭痛が酷くなるぞ」
誰のせいで、と言いたくなるのを我慢した。
王子様が心配げな顔でレティシアを見ていたからだ。
気を遣うなら遣う、遣わないなら遣わない。
どちらかにしてほしい。
レティシアは、大きく息を吐き出してから、現状、1番はっきりしていることを口にする。
王子様に伝わることを願って。
「私は、あなたと、そーいうことはしません」
「そういうこととは、なんだ?」
すぐに聞き返され、言葉に窮する。
(そうくるか。くるよね。だって、この王子様、面倒くさい人だもん……)
もはや、慣れた。
この王子様には直球しか通じない。
直球ですら通じないことも多々あるくらいだ。
どれだけの剛速球が求められているのか知らないが、レティシアは、そんな剛腕投手ではなかった。
「だから、それは……その……だ……だ……」
抱かれる、そのひと言が言えずにいる。
27歳にもなって、と笑われるかもしれない。
さりとて、レティシアは、まさしく王子様の言ったように「男性経験」がなかった。
まるきりないというと語弊があるが、ともかく最後の一線を越えたことはない。
性的な意味で、人にふれるのも、ふれられるのも苦手だったからだ。
愛想をつかされてきた要素には、それも含まれている。
「なんだ?」
少し待ってくれ、と言おうとして気づいた。
(ち、近ッ! 近い近い近い! いつの間に、こんな近くに来てたんだよー!)
王子様が目の前にいる。
金髪が目に痛いぐらいの近さだった。
サッと視線を外す。
その先には、真っ赤っ赤なベッドがあった。
ぶわっと顔が熱くなる。
「そうか」
短い言葉のあと、いきなり視界が変わった。
と、思ったら、すぐにさらに視界が変わる。
王子様に抱き上げられ、その後、ベッドに寝かされたからだ。
「ようやく、その気になった、ということだな」
今の流れのどこにそんな要素があったのか、わけがわからない。
だいたい、そういうことは「しない」と言ったのだし。
レティシアは思う。
やっぱり伝わらなかった。
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