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第1章 暗い闇と蒼い薔薇
王子様の誤算 4
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ユージーンはレティシアに、ひょいと抱きあげられる。
もはや、慣れた。
彼女はウサギを抱き上げるのが好きなのだ。
(しかし……ウサギのほうが俺よりも好まれるとは……納得がいかん……)
自分が彼女の好みでないのは、十分過ぎるほどにわかっている。
が、ウサギにも劣るなどという評価の低さには納得がいかない。
貴族令嬢たちからの評価は、非常に高かったのだ。
彼女らとレティシアは違う。
だとしても、あまりに低過ぎるのではないだろうか。
以前にも考えたことがあるが、何がいけないのかがわからない。
彼女が理想としている男とは違えど、そこまで酷くはないはずだと思えるのだけれど。
ぷらーん。
レティシアがユージーンもといウサギの体を顔の高さまで持ち上げてくる。
どきり、とした。
また口づけされるのでは、と期待が頭をよぎる。
王太子としての尊厳も自尊心も、あったものではない。
ウサギ姿であるのも忘れ「いや、ここは俺から」などと考える始末だ。
彼女の前では手も足も出なかった。
実際、ウサギの前足後足では短過ぎてとどかない。
とはいえ、人であれウサギであれ、なすすべがないのは同じだった。
初めて好きになった女性を前に、どうすればいいのかわからなくなっている。
生まれてからずっと王太子として生きてきた。
そのため、王太子としての振る舞いしか知らないのだ。
知らないものは、考えつきようもない。
なにしろユージーンは女性を口説いたこともないし、好かれようと努力したこともなかったので。
「うーん……わかんないなぁ……ウサギって……はっきりしてないんだね」
レティシアの言葉に首をかしげる。
何がわからないというのだろう。
自分の正体が露見したようでもなさそうだ。
もし、そうならこんなに安穏とはしていない。
きっと激怒されている。
「男の子? 女の子?」
言葉に、ユージーンはレティシアの視線の先を追う。
ウサギの、ではあるが下半身に、それは向けられていた。
(おま……おま……っ……お前という奴は……ッ……は、恥じらいというものを知らんのか……っ)
したぱたしたぱた。
ユージーンは、必死で足をバタつかせる。
こんな屈辱は初めてだ。
女性に下半身を「見分」されるなど、ありえない。
しかも、相手は好きな女性。
もし、万々が一、女性に下半身を覗き込まれたとしても、レティシアでなければ、それほど動揺はしなかった。
冷たく相手に非難と警告の言葉を浴びせるぐらいのものだ。
さりとて、こんなことをする貴族令嬢などいるはずもない。
「ニャンコやワンコなら、すぐにわかったんだけどなぁ」
にゃんこやわんこがなんなのかは知らないが、動物には違いなかった。
そんな生き物でなくて良かったと本気で思う。
あんな場所を好きな女性に、まじまじと見られたくはなかった。
それがたとえ動物の姿であっても。
ユージーンにとって女性と関係を持つのは、責任を果たすためという義務感からだった。
行為の最中に服を脱ぐのは、湯に浸かるのと等しく自然な「流れ」だ。
そのため、これまで裸を晒すことに、なんの躊躇いもなかった。
着替えだって、体を洗うのだって、人任せ。
あたり前にそうしてきたので、恥ずかしいなどと感じたことはない。
だが、しかし。
「ふわふわのもこもこだもんねー」
(い、いいかげん、見るのを、やめっ……やめんかっ! こ、これ以上、ふざけた真似をすると、た、ただではおかんぞ……っ……)
したぱたしたぱた。
ぴすぴすぴす。
ものすごい羞恥心に襲われている。
人の姿であったなら、顔が真っ赤になっていたはずだ。
抵抗が効いたのかはともかく、レティシアが視線を上げる。
へらっと笑われ、ムっとした。
その口に、レティシアの唇が、ふんわりとふれる。
「ごめん、ごめん」
(……ぐ……特別に……許してやる……)
へにょんとなっているユージーンの体が、くるんとひっくり返された。
後ろ抱きにされ、膝にのせられる。
腹に手を置き、レティシアが頭を撫でてきた。
声が頭上から降ってくる。
「今度、お祖父さまと一緒に、釣りに行くんだー。すっごい楽しみなんだよー」
釣り、という娯楽があるのは知っていた。
ユージーン自身は興じたことはないが、知識はある。
王位に就く日のことを考え、各領地の財政状況を把握しているからだ。
民からの税収だけでは領地の維持はできても、富は期待できない。
資源がある領地が豊かなのは、娯楽によるところも大きかった。
(確か、サハシーなどで盛況な娯楽であったな)
単に魚を釣るだけのことで、何が楽しいのかは理解できずにいる。
王宮での娯楽は、専らカードやチェスなど思考に準ずるものが多い。
ユージーンは、貴族相手にそうした娯楽の機会を設けることもあった。
ただし、娯楽として興じていたのではない。
人の裏を読んだり、策を練ったりするのが、今後の役に立つとサイラスに言われたから、練習がてらしていただけだ。
「湖って、どんな魚が釣れるんだろうね」
(ローチやウグイ、マスなどだが、サーモンが釣れることもあるそうだ)
伝わりはしないのだが、すっかり会話をしているつもりになっている。
レティシアが意味不明な言葉を発しないのは珍しいし、自分の知っている話題だったのが、少し嬉しかった。
「大きいの釣ってさ、マルクに美味しく料理してもらうんだー。私も手伝えればよかったんだけど、料理下手なんだよね。ずっと全部やってもらってたから……習っとけば良かったって、思うよ……」
さっきまで楽しげに語っていた、彼女の声が沈んでいる。
レティシアは貴族令嬢だ。
屋敷には料理人がいる。
料理ができないなんて当然であり、落ち込むことではない。
けれど、彼女の声がなんとも寂しそうだったのが、ユージーンは気になった。
後ろ抱きにされていると見えない彼女の顔を、振り仰ぐ。
振り仰いだ際、空が見えて、そこには1羽の烏。
見つかった、と思った。
なぜそう思ったのかは、自分でもわからない。
とにかくユージーンは大公に見つかったことを明確に認識している。
烏は珍しい鳥ではないし、おかしなところもなかった。
なのに、見つかったと気づいたのだ。
と、同時に彼女の腕から逃げ出した。
「あ……っ! ウサちゃん!」
声に後ろ髪は引かれたが、そのまま駆ける。
ここで黒焦げにされるわけにはいかないからだ。
彼女に「それほど嫌われていない」との可能性が、まだ残されている。
彼女の心を手に入れる手立てだってあるかもしれないのだ。
だいたい死んでしまったら、彼女とはもう一緒にいられなくなる。
笑顔も怒った顔も見られないと思うと、ここで死んでたまるか、という気持ちになった。
が、大公に見つかったのだから、領域外に逃げるしかない。
あの「境」を越えれば、あとはサイラスがなんとかしてくれるだろう。
失敗した際には、逃げるように言われていた。
自分の命を優先させるように、と。
(俺が死んで悲しむのは……サイラスだけだろうがな……)
ユージーンである者の「死」は、彼女にとって無意味に違いない。
ウサギの丸焦げのほうが、まだしも同情してもらえる気がする。
駆けながら思った。
そう、まだ死ねない。
自分は、ユージーンとして彼女に笑いかけてもらってもいないし、口づけだってしていないのだから。
「待って! ウサちゃん! そっちは危ないよ!」
声に、ユージーンは愕然とする。
駆けるのに精一杯で、彼女が追いかけて来ているなんて気づかなかった。
なにせユージーンはウサギなのだ。
振り返る余裕などなかった。
(馬鹿者ッ! 戻れッ! こっちに来るなッ!)
ユージーンがいる場所は「境」の向こう側。
領域内からは、すでに出ている。
このままでは、サイラスの立てた策に嵌ってしまう。
名残り惜しかったが、今晩、この領域を1人でそっと離れようと思っていた。
サイラスには「うまく連れ出せなかった」と言えばすむ。
ユージーンは、彼女に既成事実を強制することに、抵抗を感じるようになっていた。
彼女の心を諦めるとの決断が、希望の灯が見えたことで、大きく揺らいでいる。
ユージーンは、彼女に恋をしているのだ。
だからこそ。
転移を発動させまいと彼女の元に向かって駆けた。
(レティシア! そこから出てはならんッ! レティシア!!)
悲しいかな、今のユージーンはウサギだった。
ウサギは話したり怒鳴ったりしない、いや、できない。
だから、ユージーンの声が、レティシアにとどくことは、なかった。
もはや、慣れた。
彼女はウサギを抱き上げるのが好きなのだ。
(しかし……ウサギのほうが俺よりも好まれるとは……納得がいかん……)
自分が彼女の好みでないのは、十分過ぎるほどにわかっている。
が、ウサギにも劣るなどという評価の低さには納得がいかない。
貴族令嬢たちからの評価は、非常に高かったのだ。
彼女らとレティシアは違う。
だとしても、あまりに低過ぎるのではないだろうか。
以前にも考えたことがあるが、何がいけないのかがわからない。
彼女が理想としている男とは違えど、そこまで酷くはないはずだと思えるのだけれど。
ぷらーん。
レティシアがユージーンもといウサギの体を顔の高さまで持ち上げてくる。
どきり、とした。
また口づけされるのでは、と期待が頭をよぎる。
王太子としての尊厳も自尊心も、あったものではない。
ウサギ姿であるのも忘れ「いや、ここは俺から」などと考える始末だ。
彼女の前では手も足も出なかった。
実際、ウサギの前足後足では短過ぎてとどかない。
とはいえ、人であれウサギであれ、なすすべがないのは同じだった。
初めて好きになった女性を前に、どうすればいいのかわからなくなっている。
生まれてからずっと王太子として生きてきた。
そのため、王太子としての振る舞いしか知らないのだ。
知らないものは、考えつきようもない。
なにしろユージーンは女性を口説いたこともないし、好かれようと努力したこともなかったので。
「うーん……わかんないなぁ……ウサギって……はっきりしてないんだね」
レティシアの言葉に首をかしげる。
何がわからないというのだろう。
自分の正体が露見したようでもなさそうだ。
もし、そうならこんなに安穏とはしていない。
きっと激怒されている。
「男の子? 女の子?」
言葉に、ユージーンはレティシアの視線の先を追う。
ウサギの、ではあるが下半身に、それは向けられていた。
(おま……おま……っ……お前という奴は……ッ……は、恥じらいというものを知らんのか……っ)
したぱたしたぱた。
ユージーンは、必死で足をバタつかせる。
こんな屈辱は初めてだ。
女性に下半身を「見分」されるなど、ありえない。
しかも、相手は好きな女性。
もし、万々が一、女性に下半身を覗き込まれたとしても、レティシアでなければ、それほど動揺はしなかった。
冷たく相手に非難と警告の言葉を浴びせるぐらいのものだ。
さりとて、こんなことをする貴族令嬢などいるはずもない。
「ニャンコやワンコなら、すぐにわかったんだけどなぁ」
にゃんこやわんこがなんなのかは知らないが、動物には違いなかった。
そんな生き物でなくて良かったと本気で思う。
あんな場所を好きな女性に、まじまじと見られたくはなかった。
それがたとえ動物の姿であっても。
ユージーンにとって女性と関係を持つのは、責任を果たすためという義務感からだった。
行為の最中に服を脱ぐのは、湯に浸かるのと等しく自然な「流れ」だ。
そのため、これまで裸を晒すことに、なんの躊躇いもなかった。
着替えだって、体を洗うのだって、人任せ。
あたり前にそうしてきたので、恥ずかしいなどと感じたことはない。
だが、しかし。
「ふわふわのもこもこだもんねー」
(い、いいかげん、見るのを、やめっ……やめんかっ! こ、これ以上、ふざけた真似をすると、た、ただではおかんぞ……っ……)
したぱたしたぱた。
ぴすぴすぴす。
ものすごい羞恥心に襲われている。
人の姿であったなら、顔が真っ赤になっていたはずだ。
抵抗が効いたのかはともかく、レティシアが視線を上げる。
へらっと笑われ、ムっとした。
その口に、レティシアの唇が、ふんわりとふれる。
「ごめん、ごめん」
(……ぐ……特別に……許してやる……)
へにょんとなっているユージーンの体が、くるんとひっくり返された。
後ろ抱きにされ、膝にのせられる。
腹に手を置き、レティシアが頭を撫でてきた。
声が頭上から降ってくる。
「今度、お祖父さまと一緒に、釣りに行くんだー。すっごい楽しみなんだよー」
釣り、という娯楽があるのは知っていた。
ユージーン自身は興じたことはないが、知識はある。
王位に就く日のことを考え、各領地の財政状況を把握しているからだ。
民からの税収だけでは領地の維持はできても、富は期待できない。
資源がある領地が豊かなのは、娯楽によるところも大きかった。
(確か、サハシーなどで盛況な娯楽であったな)
単に魚を釣るだけのことで、何が楽しいのかは理解できずにいる。
王宮での娯楽は、専らカードやチェスなど思考に準ずるものが多い。
ユージーンは、貴族相手にそうした娯楽の機会を設けることもあった。
ただし、娯楽として興じていたのではない。
人の裏を読んだり、策を練ったりするのが、今後の役に立つとサイラスに言われたから、練習がてらしていただけだ。
「湖って、どんな魚が釣れるんだろうね」
(ローチやウグイ、マスなどだが、サーモンが釣れることもあるそうだ)
伝わりはしないのだが、すっかり会話をしているつもりになっている。
レティシアが意味不明な言葉を発しないのは珍しいし、自分の知っている話題だったのが、少し嬉しかった。
「大きいの釣ってさ、マルクに美味しく料理してもらうんだー。私も手伝えればよかったんだけど、料理下手なんだよね。ずっと全部やってもらってたから……習っとけば良かったって、思うよ……」
さっきまで楽しげに語っていた、彼女の声が沈んでいる。
レティシアは貴族令嬢だ。
屋敷には料理人がいる。
料理ができないなんて当然であり、落ち込むことではない。
けれど、彼女の声がなんとも寂しそうだったのが、ユージーンは気になった。
後ろ抱きにされていると見えない彼女の顔を、振り仰ぐ。
振り仰いだ際、空が見えて、そこには1羽の烏。
見つかった、と思った。
なぜそう思ったのかは、自分でもわからない。
とにかくユージーンは大公に見つかったことを明確に認識している。
烏は珍しい鳥ではないし、おかしなところもなかった。
なのに、見つかったと気づいたのだ。
と、同時に彼女の腕から逃げ出した。
「あ……っ! ウサちゃん!」
声に後ろ髪は引かれたが、そのまま駆ける。
ここで黒焦げにされるわけにはいかないからだ。
彼女に「それほど嫌われていない」との可能性が、まだ残されている。
彼女の心を手に入れる手立てだってあるかもしれないのだ。
だいたい死んでしまったら、彼女とはもう一緒にいられなくなる。
笑顔も怒った顔も見られないと思うと、ここで死んでたまるか、という気持ちになった。
が、大公に見つかったのだから、領域外に逃げるしかない。
あの「境」を越えれば、あとはサイラスがなんとかしてくれるだろう。
失敗した際には、逃げるように言われていた。
自分の命を優先させるように、と。
(俺が死んで悲しむのは……サイラスだけだろうがな……)
ユージーンである者の「死」は、彼女にとって無意味に違いない。
ウサギの丸焦げのほうが、まだしも同情してもらえる気がする。
駆けながら思った。
そう、まだ死ねない。
自分は、ユージーンとして彼女に笑いかけてもらってもいないし、口づけだってしていないのだから。
「待って! ウサちゃん! そっちは危ないよ!」
声に、ユージーンは愕然とする。
駆けるのに精一杯で、彼女が追いかけて来ているなんて気づかなかった。
なにせユージーンはウサギなのだ。
振り返る余裕などなかった。
(馬鹿者ッ! 戻れッ! こっちに来るなッ!)
ユージーンがいる場所は「境」の向こう側。
領域内からは、すでに出ている。
このままでは、サイラスの立てた策に嵌ってしまう。
名残り惜しかったが、今晩、この領域を1人でそっと離れようと思っていた。
サイラスには「うまく連れ出せなかった」と言えばすむ。
ユージーンは、彼女に既成事実を強制することに、抵抗を感じるようになっていた。
彼女の心を諦めるとの決断が、希望の灯が見えたことで、大きく揺らいでいる。
ユージーンは、彼女に恋をしているのだ。
だからこそ。
転移を発動させまいと彼女の元に向かって駆けた。
(レティシア! そこから出てはならんッ! レティシア!!)
悲しいかな、今のユージーンはウサギだった。
ウサギは話したり怒鳴ったりしない、いや、できない。
だから、ユージーンの声が、レティシアにとどくことは、なかった。
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