59 / 304
第1章 暗い闇と蒼い薔薇
副魔術師長の企て 3
しおりを挟む
王太子は、レティシア・ローエルハイドに恋をしている。
だからこそ、有効だった。
(思ったより、いい方向に進むかもしれませんねぇ)
すがるような王太子の瞳に、サイラスは内心でほくそ笑む。
予定を乱しているのは王太子だが、軌道修正はできそうだ。
王太子の緑色の瞳を、じっと見つめる。
彼が3歳の頃、命を救ってからずっと面倒を見続けてきた。
この瞳も、長く見続けてきている。
彼はサイラスの思うように育った。
人形であり、従順な羊。
大事に大事に育て、時期が来れば毛を刈る。
繰り返し、繰り返し。
毛が刈れなくなったら、潰して肉にすればいい。
捨てるところがない、というのは無駄なく利用できるということだ。
「ですが、殿下にとって……」
「かまわん。言え、サイラス。俺は、何をすればよいのだ」
サイラスが育てた彼ならば、きっと期待通りの答えを返すに違いない。
わかっていながら、わざと逡巡する様子を見せる。
自分が、いかに王太子に親身になっているかを印象づけるためだった。
案の定、王太子がサイラスの両手を強く握り返してくる。
「頼む、サイラス。お前が俺のためを思ってくれているのは、わかっている。だが、取るべき手立てがあるのなら、俺は、それを知りたい」
「……かしこまりました、殿下」
あえて視線をそらせた。
本当は言いたくないのだという仕草を見せておく。
サイラスの「したくもない努力」は、こんなふうに積み上げられていた。
「このままでは、あの娘を殿下の正妃とすることはできないでしょう」
「……わかっている」
「仮に……打てる手があったとしても、それをするには殿下に大きな決断をしていただかなければなりません」
「決断? どういう決断だ」
彼は、必ず自分の思う通りの結果を出す。
確信があった。
人は手のとどかないものには手は伸ばさない。
諦めることも必要なのだ。
諦めることで手にいれられるものもある。
そして、人は弱い。
「あの娘のすべてを諦めるか、あの娘の心を諦めるか」
王太子は彼女に恋をしている。
しかも、たった今、気づいたばかり。
だからこそ諦めることなどできはしない。
すべてを失うよりはマシなのだから。
なにもないよりはずっといいのだから。
「今となっては、あの娘が殿下に情を移すことはないでしょう。心までをも、お望みであれば、打つ手はありません。正妃にするのを諦め、あの娘が誰かの妻になるのを見守るべきです」
びくっと、王太子の手がサイラスの手の中で震える。
怖いだろう、と心の中でサイラスは笑った。
愛しい娘を完全に失うことも、その娘が誰かのものになることも、彼にとっては、ひどく怖いことに違いない。
「……では……では、俺が、あの娘の心を望まぬのなら……どうなる……?」
「あの娘は、殿下の正妃となるでしょう」
諦めが肝心。
サイラスが、諦めをつけさせたかったのは、レティシアとの愛し愛される関係だった。
そもそも、彼に、そんなものは必要ない。
サイラスにとっては、2人の子すら無用なのだ。
王太子の血筋が受け継がれれば、それでよかった。
下手に彼女にこだわりを持ち過ぎて側室を娶らず、子が成せなくなることのほうが問題だ。
「私は、殿下のご決断に従います。殿下の望みが、私の望みですから」
王太子は、きゅっと唇を引き結び、しばし黙り込む。
サイラスも黙って返答を待った。
必要であれば時間は惜しまない。
これは必要な時間なのだ。
やがて王太子が、ゆっくりと口を開く。
「……わかった……あの娘の心は……諦める……俺がほしいのは、正妃なのだからな……」
良く出来ました。
褒めたくなるのを我慢する。
羊は、どんなに危うい崖を歩かされようと、無垢に羊飼いに従うものだ。
「かしこまりした。殿下にとっては、さぞ苦しいご決断だったかと存じます。わかっているからこそ、私は殿下の望みを必ずや叶えてごらんにいれます」
王太子が黙ってうなずいた。
サイラスは手を離し、静かに執務室を出る。
彼には「1人で」苦しみを味わってもらう必要があった。
諦めるには、そうした時間も必要だからだ。
そして、サイラスには他にやるべきこともある。
自室に戻ると、すぐさま転移の魔術を使った。
「にぃさま、来てくれたのぉ」
甘ったるい声に、顔をしかめたくなる。
やはり来たくて来たわけではないのだが、いたしかたない。
クィンシーにはクィンシーなりの使い途があった。
サイラスは、まずはご機嫌取りから始める。
またグズグズと話を引き延ばされたくなかったからだ。
「この間の怪我は、どんな具合ですか?」
「もう大丈夫だよぅ。にぃさんに治してもらったもの」
クィンシーが右手を差し出して見せる。
握って、いかにも気づかっているというように、手のひらを何度も確認した。
白く、やわらかな手だ。
クィンシーは魔術だけでなく、武術も習ってはいない。
剣を握ったこともないし、もちろん働いたこともないため、手荒れする要素は何もない。
指先まできれいに整えられている。
「傷が残っていなくて安心しました。私のせいで、きみに怪我をさせてしまい申し訳なく思っています」
「にぃさんのせいじゃないよぅ。うまくいかなくて焦っちゃったボクが悪いんだから」
あの夜会の日、クィンシーには大公の足止めを頼んでいたのだ。
レティシアから大公が離れる隙がきっとできる。
その際に、声でもかけて引き留めるようにと。
が、大公はクィンシーを、あっさりとかわした。
会話にもならず、クィンシーは焦ったのだろう。
わざと、手にしていたグラスを落として割った。
その上で拾うフリをして、手をザックリと切りつけたのだ。
衆人環視の中、さすがに放置もできなかったらしく、大公はクィンシーの元にとどまることになった。
魔術を使えば治癒はできただろうが、それも衆人環視の前で行うのは憚られたに違いない。
一般的な止血をするにとどめている。
「結局、あんまり引き留められなかったし……ボク、役に立たなかったぁ……?」
「そんなことはありません。上出来でしたよ」
微笑みかけると、クィンシーが嬉しそうに顔を輝かせた。
見てから、サイラスは表情を変える。
「ところで……少々、まずいことになっていましてね」
「まずいこと? にぃさまに、なにか悪いことが起きるの……?」
サイラスの顔つきに合わせたように、クィンシーが顔を青ざめさせた。
万事、計算通りだ。
「それで、きみにお願いしたいことがあるのですよ」
「なにぃ? にぃさまのためなら、ボク、なんだってするよぅ」
「アンバス侯爵と旅行に行ってもらえますか?」
「あいつと2人で?」
クィンシーが、ちょっと嫌そうな顔をする。
アンバス侯爵は好色で知られた男だった。
あちらもクィンシーを好色だと思っているからか、遠慮がないそうだ。
クィンシーは、侯爵の欲望と嗜好を押しつけられることについて、よく愚痴をこぼしていた。
「きみがあの男を嫌っているのは知っています。ですから、こんなことを頼むのは、私としても心苦しいのですが」
最終的には、クィンシーがうなずくことをサイラスは知っている。
うなずかせるための「ご褒美」も用意していた。
額にかかったクィンシーの前髪をかき上げ、軽く唇を押しあてる。
「それでも、今、私を助けられるのは、きみだけなのですよ、クィン」
クィンシーの瞳が欲に潤んでいた。
ゾッとはするが、予定を予定通りに進めるためだ。
「わかったよぅ、にぃさん。ボクだけなんだものね、にぃさんを助けられるのは」
頬を上気させているクィンシーは、とても魅力的なのだろう。
が、サイラスにとっては虫唾の走る「残念な弟」でしかなかった。
だからこそ、有効だった。
(思ったより、いい方向に進むかもしれませんねぇ)
すがるような王太子の瞳に、サイラスは内心でほくそ笑む。
予定を乱しているのは王太子だが、軌道修正はできそうだ。
王太子の緑色の瞳を、じっと見つめる。
彼が3歳の頃、命を救ってからずっと面倒を見続けてきた。
この瞳も、長く見続けてきている。
彼はサイラスの思うように育った。
人形であり、従順な羊。
大事に大事に育て、時期が来れば毛を刈る。
繰り返し、繰り返し。
毛が刈れなくなったら、潰して肉にすればいい。
捨てるところがない、というのは無駄なく利用できるということだ。
「ですが、殿下にとって……」
「かまわん。言え、サイラス。俺は、何をすればよいのだ」
サイラスが育てた彼ならば、きっと期待通りの答えを返すに違いない。
わかっていながら、わざと逡巡する様子を見せる。
自分が、いかに王太子に親身になっているかを印象づけるためだった。
案の定、王太子がサイラスの両手を強く握り返してくる。
「頼む、サイラス。お前が俺のためを思ってくれているのは、わかっている。だが、取るべき手立てがあるのなら、俺は、それを知りたい」
「……かしこまりました、殿下」
あえて視線をそらせた。
本当は言いたくないのだという仕草を見せておく。
サイラスの「したくもない努力」は、こんなふうに積み上げられていた。
「このままでは、あの娘を殿下の正妃とすることはできないでしょう」
「……わかっている」
「仮に……打てる手があったとしても、それをするには殿下に大きな決断をしていただかなければなりません」
「決断? どういう決断だ」
彼は、必ず自分の思う通りの結果を出す。
確信があった。
人は手のとどかないものには手は伸ばさない。
諦めることも必要なのだ。
諦めることで手にいれられるものもある。
そして、人は弱い。
「あの娘のすべてを諦めるか、あの娘の心を諦めるか」
王太子は彼女に恋をしている。
しかも、たった今、気づいたばかり。
だからこそ諦めることなどできはしない。
すべてを失うよりはマシなのだから。
なにもないよりはずっといいのだから。
「今となっては、あの娘が殿下に情を移すことはないでしょう。心までをも、お望みであれば、打つ手はありません。正妃にするのを諦め、あの娘が誰かの妻になるのを見守るべきです」
びくっと、王太子の手がサイラスの手の中で震える。
怖いだろう、と心の中でサイラスは笑った。
愛しい娘を完全に失うことも、その娘が誰かのものになることも、彼にとっては、ひどく怖いことに違いない。
「……では……では、俺が、あの娘の心を望まぬのなら……どうなる……?」
「あの娘は、殿下の正妃となるでしょう」
諦めが肝心。
サイラスが、諦めをつけさせたかったのは、レティシアとの愛し愛される関係だった。
そもそも、彼に、そんなものは必要ない。
サイラスにとっては、2人の子すら無用なのだ。
王太子の血筋が受け継がれれば、それでよかった。
下手に彼女にこだわりを持ち過ぎて側室を娶らず、子が成せなくなることのほうが問題だ。
「私は、殿下のご決断に従います。殿下の望みが、私の望みですから」
王太子は、きゅっと唇を引き結び、しばし黙り込む。
サイラスも黙って返答を待った。
必要であれば時間は惜しまない。
これは必要な時間なのだ。
やがて王太子が、ゆっくりと口を開く。
「……わかった……あの娘の心は……諦める……俺がほしいのは、正妃なのだからな……」
良く出来ました。
褒めたくなるのを我慢する。
羊は、どんなに危うい崖を歩かされようと、無垢に羊飼いに従うものだ。
「かしこまりした。殿下にとっては、さぞ苦しいご決断だったかと存じます。わかっているからこそ、私は殿下の望みを必ずや叶えてごらんにいれます」
王太子が黙ってうなずいた。
サイラスは手を離し、静かに執務室を出る。
彼には「1人で」苦しみを味わってもらう必要があった。
諦めるには、そうした時間も必要だからだ。
そして、サイラスには他にやるべきこともある。
自室に戻ると、すぐさま転移の魔術を使った。
「にぃさま、来てくれたのぉ」
甘ったるい声に、顔をしかめたくなる。
やはり来たくて来たわけではないのだが、いたしかたない。
クィンシーにはクィンシーなりの使い途があった。
サイラスは、まずはご機嫌取りから始める。
またグズグズと話を引き延ばされたくなかったからだ。
「この間の怪我は、どんな具合ですか?」
「もう大丈夫だよぅ。にぃさんに治してもらったもの」
クィンシーが右手を差し出して見せる。
握って、いかにも気づかっているというように、手のひらを何度も確認した。
白く、やわらかな手だ。
クィンシーは魔術だけでなく、武術も習ってはいない。
剣を握ったこともないし、もちろん働いたこともないため、手荒れする要素は何もない。
指先まできれいに整えられている。
「傷が残っていなくて安心しました。私のせいで、きみに怪我をさせてしまい申し訳なく思っています」
「にぃさんのせいじゃないよぅ。うまくいかなくて焦っちゃったボクが悪いんだから」
あの夜会の日、クィンシーには大公の足止めを頼んでいたのだ。
レティシアから大公が離れる隙がきっとできる。
その際に、声でもかけて引き留めるようにと。
が、大公はクィンシーを、あっさりとかわした。
会話にもならず、クィンシーは焦ったのだろう。
わざと、手にしていたグラスを落として割った。
その上で拾うフリをして、手をザックリと切りつけたのだ。
衆人環視の中、さすがに放置もできなかったらしく、大公はクィンシーの元にとどまることになった。
魔術を使えば治癒はできただろうが、それも衆人環視の前で行うのは憚られたに違いない。
一般的な止血をするにとどめている。
「結局、あんまり引き留められなかったし……ボク、役に立たなかったぁ……?」
「そんなことはありません。上出来でしたよ」
微笑みかけると、クィンシーが嬉しそうに顔を輝かせた。
見てから、サイラスは表情を変える。
「ところで……少々、まずいことになっていましてね」
「まずいこと? にぃさまに、なにか悪いことが起きるの……?」
サイラスの顔つきに合わせたように、クィンシーが顔を青ざめさせた。
万事、計算通りだ。
「それで、きみにお願いしたいことがあるのですよ」
「なにぃ? にぃさまのためなら、ボク、なんだってするよぅ」
「アンバス侯爵と旅行に行ってもらえますか?」
「あいつと2人で?」
クィンシーが、ちょっと嫌そうな顔をする。
アンバス侯爵は好色で知られた男だった。
あちらもクィンシーを好色だと思っているからか、遠慮がないそうだ。
クィンシーは、侯爵の欲望と嗜好を押しつけられることについて、よく愚痴をこぼしていた。
「きみがあの男を嫌っているのは知っています。ですから、こんなことを頼むのは、私としても心苦しいのですが」
最終的には、クィンシーがうなずくことをサイラスは知っている。
うなずかせるための「ご褒美」も用意していた。
額にかかったクィンシーの前髪をかき上げ、軽く唇を押しあてる。
「それでも、今、私を助けられるのは、きみだけなのですよ、クィン」
クィンシーの瞳が欲に潤んでいた。
ゾッとはするが、予定を予定通りに進めるためだ。
「わかったよぅ、にぃさん。ボクだけなんだものね、にぃさんを助けられるのは」
頬を上気させているクィンシーは、とても魅力的なのだろう。
が、サイラスにとっては虫唾の走る「残念な弟」でしかなかった。
0
お気に入りに追加
307
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係
ayame@コミカライズ決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる