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第1章 暗い闇と蒼い薔薇
おウチご飯 3
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昼食後、結奈は中庭を散歩している。
すぐ後ろに、グレイとサリーが付き添ってくれていた。
自分の時間がない、という窮屈さを感じるのが普通かもしれない。
が、結奈には1人でないことのほうが嬉しく思える。
(部屋で独り言を言うようになってたからなぁ。言ってることにも気づかないくらいフツーに、独りで喋ってたし……)
両親を亡くし、1人暮らしを初めてからの無意識の癖。
誰もいない部屋が静か過ぎるのが落ち着かなかった。
気づけば、独り言をもらしている。
そんな毎日を続けていたのだ。
だから、話しかけられる相手がいるのは嬉しかったし、答えが返ってくるのも嬉しかった。
屋敷の人たちは、すでに結奈にとっては「身内」になっている。
血の繋がりがあるのは3人だけだが、彼らだって「家族同然」なのだ。
気のおけない人たちがいることに窮屈さなど感じない。
親族に囲まれているみたいに楽しかった。
「あ! パット!」
料理人をしているパトリックの姿を見かけ、結奈は小走りに近づく。
パットは足を止め、結奈を待っていた。
マルクの下で働いているパットは、厨房では古株なほうだ。
12歳から下働きとして入り、すでに8年が経つらしい。
サリーと同じ年だが、より長く屋敷にいて、マルクにも重要な仕事を任されていると聞く。
ストレートの赤味がかった髪を、いつも後ろで束ねていた。
蒼い瞳は切れ長で、少し吊り上がっており、キツい印象を受ける。
すらっとした細く高い背とも相まって、いかにも「クール」という感じ。
けれど、実は照れ屋で人好きのする性格だと知っていた。
「どっか行くの?」
聞いた結奈にパットが照れたように笑う。
笑顔に、クールな印象がたちまち崩れた。
いかにも人好きがする雰囲気になる。
「レティシア様からお休みを頂きましたので、友人と飲みに」
「そっか! お休み取れたんだね。マルクに頼んで良かったよ」
屋敷内で働く人数に比べ、世話をされているのは、ほぼ結奈だけ。
毎日、全員がフルタイムで働く必要はないのではないか。
結奈は派遣社員として働いていた時、フルタイムの仕事と単発の仕事を掛け持ちしていた。
金に困っていたからではない。
働くのが大好きだったからでもない。
1人の部屋に、なるべくいたくなかったからだ。
が、屋敷では誰も「1人ぼっち」になることはないのだし。
週休2日とまではいかなくても、7日に1日の休日があってもいいのではないかと提案した。
それは命令に等しかったかもしれないが、ともあれ提案は承諾されている。
今は、みんな、交代で休みを取っていた。
「今までは、お屋敷からあまり出なかったので、友人もいませんでしたが、街に出るようになってから、友人ができました」
「ウチにずっといると、仕事のことばっかりになっちゃうもんね。気晴らしは必要だよ」
職場での人間関係に不満はなくても、やはり友達というのとは違う。
仕事でのつながりが強く、なにでも気軽に話せるわけではないからだ。
イベントの時くらいしか電話でやりとりしなかったが、時々はそういう時間があったことを思い出す。
話すと、少し気が楽になって、1人気分を忘れることもできた。
「飲みに行くのはかまわないが、へべれけにならないようにな」
「そりゃもう、気をつけますよ。料理長にどやされますからね」
グレイの言葉にパットが笑う。
初めて屋敷に来た時とは違い、みんな普通に笑うようになっていた。
これが結奈の「普通」でもある。
みんなが笑えるから、自分も笑えるのだ。
「引き止めてごめん。気をつけて、行ってらっしゃい」
言うと、パットが照れた様子で頭をかいた。
礼や詫びには、まだなかなか慣れないらしい。
「じゃ……その……い、行ってきます」
軽く、ぺこっと頭を下げてパットが体を返す。
その様子が、なんだか微笑ましくて、口元を緩めた。
「パットってさ、見た目クールなのに照れ屋なトコが面白いよね」
「……冷たく見えるということでしょうか?」
グレイの問いに、結奈は首を横に振る。
そういう意味もあるにはあるけれども。
「ちょっと違うかな。冷静で落ち着いてるって感じ」
「それでは、私もクールですか?」
「いやぁ、グレイはクールではないね」
「なぜです? 私も冷静沈着だと自負しておりますが」
確かに冷静ではあるし、落ち着いていることも否定はしない。
今も穏やかな口調で話しているし。
「でも、サリーに、いっつも叱られてるじゃん」
2人が目で会話していることに、結奈は気づいていた。
なんとなく、どんなやりとりがなされているのかも感じ取っている。
その結論として。
グレイはサリーに激弱。
目で叱られては、しょげているのだ。
その姿を見てしまっては、とても「クール」とは思えない。
グレイの微妙な顔に対して、サリーは顔色ひとつ変えていなかった。
「ま、どっちかっていうと、サリーのほうがクールだね」
結奈の笑いに、つられたようにサリーも笑う。
グレイだけが苦笑いを浮かべていた。
楽しい気分で中庭を歩く。
広くて、食後の散歩にはちょうどいい。
戻ったら、ジョゼットがデザートを用意してくれているはずだ。
厨房での紅一点。
マルクも認める若きデザート職人のジョゼットは、まだ18歳。
マルク曰く「才能ってやつですかね」とのこと。
どこの世界にも「天才肌」の人間はいるものだ。
ほかの女性とは違い、ジョゼットは珍しくショートカット。
薄茶の髪は短く、くるんっとした丸い目と相まって柴犬のよう。
だが、その可愛らしさからは想像できないくらい腕は超一流。
彼女の作るデザートは、素晴らしく美味しい。
(今日も2皿いっちゃうかも)
結奈は気にかけていないが、すでに全員の名前を覚えていた。
朝当番、昼当番を始めた頃に聞いて、それ以来、名前で呼んでいる。
これも、結奈にとっての「普通」だ。
だから、屋敷の「みんな」が、それをどう思っているのかなど考えたこともない。
敬称つきではあれど、こちらの名前で呼ばれることにも慣れてきている。
ローエルハイド公爵家では、すっかり名前呼びが定着していた。
そして、結奈の「現代用語」も意外とすんなり受け入れられている。
結奈にだけではなく、それぞれの持ち場でも使われていた。
あまり悪い言葉は教えないほうがいいとは思うのだけれど。
(私も口がいいほうじゃないからなぁ。つい出ちゃうんだよね)
悪い言葉ほど口癖になり易い。
気をつけようとしていても、うっかり口から出てしまうことも多かった。
それが、たちまちのうちに屋敷中に広まってしまうのだ。
自分も使っているのに、人に使うなとは、やはり言えないし。
(あの王子様には通じなかったっけ……てゆーか、言葉が通じてる気がしない)
いちいち説明を求められ、面倒だったけれど解説した。
にもかかわらず、理解してもらえた感は皆無。
(そもそも、だよ。食べないと死ぬ状況って、あれ、私のことだよね。そのくらい困るってか、切羽詰まってるからしかたなく私と結婚してやる的な……)
失礼なことしか言えない病にでもかかっているのか、と言いたくなる。
結奈の知っている童話や映画に出てくる「王子様」のイメージとは、かけ離れていた。
もはや王子様というより、ただの「無礼者」だ。
「どうかなさいましたか?」
顔に不愉快さが出ていたらしい。
サリーが心配げに結奈に声をかけてくる。
頭から「無礼者」を叩き出し、笑ってみせた。
「なんでもないよ。ちょっと遠回りになるけど、お祖父さまの薔薇を見に行こうかなって思っただけ」
中庭の奥に、小さな薔薇園がある。
まるで「秘密の花園」だ。
祖父が魔術で咲かせている「蒼い薔薇」は、とても美しい。
澄んだ深い海の色に似ていて、科学で造られた青薔薇とは印象を異にする。
魔術がかかっているので季節に関係なく咲くのだそうだ。
散っては咲き、咲いては散る。
けれど、けして枯れることのない薔薇に、祖父の祖母への愛を感じる。
繰り返し、繰り返し。
その愛情の深さを胸にいだきつつ、結奈は薔薇園へと足を向けた。
すぐ後ろに、グレイとサリーが付き添ってくれていた。
自分の時間がない、という窮屈さを感じるのが普通かもしれない。
が、結奈には1人でないことのほうが嬉しく思える。
(部屋で独り言を言うようになってたからなぁ。言ってることにも気づかないくらいフツーに、独りで喋ってたし……)
両親を亡くし、1人暮らしを初めてからの無意識の癖。
誰もいない部屋が静か過ぎるのが落ち着かなかった。
気づけば、独り言をもらしている。
そんな毎日を続けていたのだ。
だから、話しかけられる相手がいるのは嬉しかったし、答えが返ってくるのも嬉しかった。
屋敷の人たちは、すでに結奈にとっては「身内」になっている。
血の繋がりがあるのは3人だけだが、彼らだって「家族同然」なのだ。
気のおけない人たちがいることに窮屈さなど感じない。
親族に囲まれているみたいに楽しかった。
「あ! パット!」
料理人をしているパトリックの姿を見かけ、結奈は小走りに近づく。
パットは足を止め、結奈を待っていた。
マルクの下で働いているパットは、厨房では古株なほうだ。
12歳から下働きとして入り、すでに8年が経つらしい。
サリーと同じ年だが、より長く屋敷にいて、マルクにも重要な仕事を任されていると聞く。
ストレートの赤味がかった髪を、いつも後ろで束ねていた。
蒼い瞳は切れ長で、少し吊り上がっており、キツい印象を受ける。
すらっとした細く高い背とも相まって、いかにも「クール」という感じ。
けれど、実は照れ屋で人好きのする性格だと知っていた。
「どっか行くの?」
聞いた結奈にパットが照れたように笑う。
笑顔に、クールな印象がたちまち崩れた。
いかにも人好きがする雰囲気になる。
「レティシア様からお休みを頂きましたので、友人と飲みに」
「そっか! お休み取れたんだね。マルクに頼んで良かったよ」
屋敷内で働く人数に比べ、世話をされているのは、ほぼ結奈だけ。
毎日、全員がフルタイムで働く必要はないのではないか。
結奈は派遣社員として働いていた時、フルタイムの仕事と単発の仕事を掛け持ちしていた。
金に困っていたからではない。
働くのが大好きだったからでもない。
1人の部屋に、なるべくいたくなかったからだ。
が、屋敷では誰も「1人ぼっち」になることはないのだし。
週休2日とまではいかなくても、7日に1日の休日があってもいいのではないかと提案した。
それは命令に等しかったかもしれないが、ともあれ提案は承諾されている。
今は、みんな、交代で休みを取っていた。
「今までは、お屋敷からあまり出なかったので、友人もいませんでしたが、街に出るようになってから、友人ができました」
「ウチにずっといると、仕事のことばっかりになっちゃうもんね。気晴らしは必要だよ」
職場での人間関係に不満はなくても、やはり友達というのとは違う。
仕事でのつながりが強く、なにでも気軽に話せるわけではないからだ。
イベントの時くらいしか電話でやりとりしなかったが、時々はそういう時間があったことを思い出す。
話すと、少し気が楽になって、1人気分を忘れることもできた。
「飲みに行くのはかまわないが、へべれけにならないようにな」
「そりゃもう、気をつけますよ。料理長にどやされますからね」
グレイの言葉にパットが笑う。
初めて屋敷に来た時とは違い、みんな普通に笑うようになっていた。
これが結奈の「普通」でもある。
みんなが笑えるから、自分も笑えるのだ。
「引き止めてごめん。気をつけて、行ってらっしゃい」
言うと、パットが照れた様子で頭をかいた。
礼や詫びには、まだなかなか慣れないらしい。
「じゃ……その……い、行ってきます」
軽く、ぺこっと頭を下げてパットが体を返す。
その様子が、なんだか微笑ましくて、口元を緩めた。
「パットってさ、見た目クールなのに照れ屋なトコが面白いよね」
「……冷たく見えるということでしょうか?」
グレイの問いに、結奈は首を横に振る。
そういう意味もあるにはあるけれども。
「ちょっと違うかな。冷静で落ち着いてるって感じ」
「それでは、私もクールですか?」
「いやぁ、グレイはクールではないね」
「なぜです? 私も冷静沈着だと自負しておりますが」
確かに冷静ではあるし、落ち着いていることも否定はしない。
今も穏やかな口調で話しているし。
「でも、サリーに、いっつも叱られてるじゃん」
2人が目で会話していることに、結奈は気づいていた。
なんとなく、どんなやりとりがなされているのかも感じ取っている。
その結論として。
グレイはサリーに激弱。
目で叱られては、しょげているのだ。
その姿を見てしまっては、とても「クール」とは思えない。
グレイの微妙な顔に対して、サリーは顔色ひとつ変えていなかった。
「ま、どっちかっていうと、サリーのほうがクールだね」
結奈の笑いに、つられたようにサリーも笑う。
グレイだけが苦笑いを浮かべていた。
楽しい気分で中庭を歩く。
広くて、食後の散歩にはちょうどいい。
戻ったら、ジョゼットがデザートを用意してくれているはずだ。
厨房での紅一点。
マルクも認める若きデザート職人のジョゼットは、まだ18歳。
マルク曰く「才能ってやつですかね」とのこと。
どこの世界にも「天才肌」の人間はいるものだ。
ほかの女性とは違い、ジョゼットは珍しくショートカット。
薄茶の髪は短く、くるんっとした丸い目と相まって柴犬のよう。
だが、その可愛らしさからは想像できないくらい腕は超一流。
彼女の作るデザートは、素晴らしく美味しい。
(今日も2皿いっちゃうかも)
結奈は気にかけていないが、すでに全員の名前を覚えていた。
朝当番、昼当番を始めた頃に聞いて、それ以来、名前で呼んでいる。
これも、結奈にとっての「普通」だ。
だから、屋敷の「みんな」が、それをどう思っているのかなど考えたこともない。
敬称つきではあれど、こちらの名前で呼ばれることにも慣れてきている。
ローエルハイド公爵家では、すっかり名前呼びが定着していた。
そして、結奈の「現代用語」も意外とすんなり受け入れられている。
結奈にだけではなく、それぞれの持ち場でも使われていた。
あまり悪い言葉は教えないほうがいいとは思うのだけれど。
(私も口がいいほうじゃないからなぁ。つい出ちゃうんだよね)
悪い言葉ほど口癖になり易い。
気をつけようとしていても、うっかり口から出てしまうことも多かった。
それが、たちまちのうちに屋敷中に広まってしまうのだ。
自分も使っているのに、人に使うなとは、やはり言えないし。
(あの王子様には通じなかったっけ……てゆーか、言葉が通じてる気がしない)
いちいち説明を求められ、面倒だったけれど解説した。
にもかかわらず、理解してもらえた感は皆無。
(そもそも、だよ。食べないと死ぬ状況って、あれ、私のことだよね。そのくらい困るってか、切羽詰まってるからしかたなく私と結婚してやる的な……)
失礼なことしか言えない病にでもかかっているのか、と言いたくなる。
結奈の知っている童話や映画に出てくる「王子様」のイメージとは、かけ離れていた。
もはや王子様というより、ただの「無礼者」だ。
「どうかなさいましたか?」
顔に不愉快さが出ていたらしい。
サリーが心配げに結奈に声をかけてくる。
頭から「無礼者」を叩き出し、笑ってみせた。
「なんでもないよ。ちょっと遠回りになるけど、お祖父さまの薔薇を見に行こうかなって思っただけ」
中庭の奥に、小さな薔薇園がある。
まるで「秘密の花園」だ。
祖父が魔術で咲かせている「蒼い薔薇」は、とても美しい。
澄んだ深い海の色に似ていて、科学で造られた青薔薇とは印象を異にする。
魔術がかかっているので季節に関係なく咲くのだそうだ。
散っては咲き、咲いては散る。
けれど、けして枯れることのない薔薇に、祖父の祖母への愛を感じる。
繰り返し、繰り返し。
その愛情の深さを胸にいだきつつ、結奈は薔薇園へと足を向けた。
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