26 / 304
第1章 暗い闇と蒼い薔薇
頭のネジが2,3本 2
しおりを挟む
隣にいるグレイの頭を、ぱかーんと、はたいてやりたい。
しかし、レティシアの前なので、我慢をした。
(まったく情けない……これで、よく魔術騎士が務まっていたわね)
思考を停止しているらしきグレイに呆れる。
レティシアの気まぐれは、今に始まったことではないのだ。
今回の気まぐれは、いい方向性ではある。
が、いつまで続くかはわからない。
レティシアが変わってから1ヶ月が経とうとしていても、次の1ヶ月の保証にはならないと思う。
今のレティシアは、おおむね好ましい。
このままでいてほしいと、サリーだって思ってはいるのだ。
それでも、過剰な期待は、大きな落胆と背中合わせ。
その時になって「信じなければ良かった」などと後悔するのは嫌だった。
だから、サリーは未だに予防線を張っている。
レティシアを信じ切ってしまわないように、と。
「私としては、呼び捨てでもいいと……」
「それはナシです」
「だよね~……うん、それはわかる。歩み寄りも大事だから敬称は我慢するよ」
最近のレティシアの言葉は判然としないものも多い。
サリーもグレイも、前後の言葉から全体を類推していた。
(呼び捨て……名前を呼び捨てるってことよね。そんなこと、できるわけないじゃない。一応、それは諦めてくださったようだけれど)
名前を呼ぶのにも、相当な気合いと勇気が必要だ。
だいたい使用人が主の名を呼ぶこと自体が非常識とされている。
旦那様、奥様、お嬢様、姫様、そんなふうに呼ぶのが常識だった。
あとは大公のように、爵位に敬称をつけるとか。
逆に主側が使用人を名前で呼ばないのは珍しくない。
お前とか、そこの者とか、もっと酷い呼ばれかたをすることもある。
だから、レティシアの提案もとい命令は、非常識極まりないことなのだ。
どんな意図があるのだろうと、サリーは勘繰っている。
(旦那様に言いつけて叱責させようとしている、とか……?)
レティシアならやりかねない。
が、公爵は、それを穏やかにやり過ごすだろう。
逆に宥められて、むくれるレティシアの姿が容易く想像できた。
今までに、何度もそういう姿を見てきたからだ。
「みんなにも、お願いできる?」
「え……ほかの者にも、ですか……?」
固まっているグレイは、まったくの役立たず。
さっきから答えるのも問いかけるのも、サリーばかりになっている。
(本当に情けない。女を盾にするなんて、どういうつもりなの!)
こういう時こそ、グレイには前に出てほしい。
期待するのは苦楽をともにしてきたからこそだ。
お互いに支え合ってきたと思っている。
「2人だけっていうのもおかしいでしょ? 贔屓だと思われたら、2人だって困るんじゃない?」
まったく困らない。
もとより「贔屓」だと思う者などいない。
むしろ、同情されるに違いなかった。
「あ。どうしても無理っていうなら、強制はナシの方向で」
ならば、自分も「ナシの方向で」と言いたくなる。
さりとて、言えるはずもなし。
今のレティシアは、おおむね好ましいのだ。
機嫌を損ね、以前の彼女に戻ってほしくはない。
「かしこまりました……レティシア様」
「お、いいねー! 断然そっちのほうがいいよ、サリー!」
なにがそんなに嬉しいのか、レティシアは上機嫌だ。
が、サリーを見て、少し困った顔になる。
「うん……いやね、私も我儘だっていうのはわかってるんだよ? でも、よそよそしくされるのは寂しいんだよね」
ぺしょっとなっているレティシアを見ると、どうにも具合が悪い。
元々、サリーは世話焼きなのだ。
不遜な態度のレティシアになら対抗できても、迷子のような顔のレティシアに強気ではいられなかった。
「いきなりというのは難しいかもしれませんが、みんなにも少しずつ慣れるように言い聞かせますので、問題ございません。そうよね、グレイ」
いいかげん「戻って来い」とばかりに呼びかける。
レティシアは、しばしば「戻って来ない」ことがあるので、サリーも手慣れたものだ。
「あ、はい! もちろんでございます……れ、レティシア様」
レティシアが、グレイとサリーを交互に見て、にっこりした。
これだから、とサリーは思う。
警戒心をなくしてはならないと言い聞かせてはいるが、最近はそれがなかなかうまくいかなくなっていた。
「ありがと、グレイ、サリー」
「どういたしまして」
グレイと声を合わせて、そう答える。
レティシアから教わった、礼を言われた時の作法だ。
たしかに、この言葉を口にすると、なんとなく気持ちが楽になる。
それまで、礼を言われることなどめったになかったので、どう返していいのかわからなかったからだ。
指示されるのも、それをこなすのも当たり前に過ぎて。
その当たり前のことに「ありがとう」を返すレティシア。
警戒心を忘れてはならないと思っているにもかかわらず、胸が熱くなる。
「あの……レティシア様……」
サリーは両手を、きゅっと握りしめた。
今のレティシアに拒絶されれば、きっと自分は傷つくに違いない。
信じたいとの気持ちが強くなっているからこそ、わかる。
それでも、勇気を出して、手にしていたものをレティシアに見せる。
「こ、こちらを……」
「これは?」
「私どもの感謝の気持ちと申しますか……」
いらない、と言われるのではないか。
手を振りはらわれるのではないか。
臆病になっているサリーの手から、レティシアが、それを受け取る。
「いいの? 私、感謝されるようなこと、なんにもしてないのに」
「高級な品ではございませんし、姫……レティシア様のお気には召さないかもしれませんけれど……」
サリーが渡したのは、古びたネックレス。
きれいに磨き上げはしたが、キラキラとした輝きはない。
銅で出来ていて、金細工の品に比べて高級感はなかった。
「そんなことないよ! アンティーク感が、すっごくいい! こーいうの好きなんだよね。ギラギラしてるのより、品がある気がするもん」
言いながら、なにかに気づいたように、飾りの部分にふれる。
ぱかっと、それが開いた。
「うわーん!! お祖父さまじゃん!! お祖父さまがいるー!!」
「グレイが、お写真を加工して作りました」
模様替え前、壁にかけられていた絵画はすべて取りはらわれ、飾られているのは、ただひとつ。
書きもの机の上、額に入れられた大公の写真だけだ。
それを用意してほしいと2人は頼まれ、その際、ネックレスも用意した。
もしかしたら渡す機会があるかもしれないと思って。
半信半疑ではあったが、臨時ボーナスの件は、感謝すべきことには違いない。
なにか「返礼」をしたほうがいいのではと、2人で話し合って決めたのだ。
大公の写真を入れたロケット付きのネックレス。
「うっわーい! これで、いっつもお祖父さまと一緒だー! もう最っ高! 最高だよ、サリー、グレイ!! ありがと!!」
想像もしていなかったほど喜ばれている。
その姿を見て、猜疑心を持ちつつ渡したことに、サリーは罪悪感をいだいた。
「それにしても……姫……レティシア様は、ずいぶんと変わられましたね」
「あ、うん」
「グレイ……ッ!!」
どれだけ気が抜けているのか、失礼過ぎるグレイの言葉に、思わず大きな声を出してしまう。
ハッとした様子で、グレイが口をつぐんだ。
が、レティシアは、まるで意に介していない様子で言った。
「頭のネジが2,3本トんだって思ってくれればいいよ」
「頭のネジ……ですか?」
サリーの問いかけに、レティシアが、うんうんとうなずく。
そして、新たな「レティシア用語」の解説をしてくれた。
「なんていうか……吹っ切れたって感じ」
ジョシュア・ローエルハイドの孫娘であり、その血を受け継ぐ者。
その重荷は、どれほどのものだったか。
正妃選びの儀を辞退して、彼女はようやくそこから解き放たれたのかもしれないと、思えた。
しかし、レティシアの前なので、我慢をした。
(まったく情けない……これで、よく魔術騎士が務まっていたわね)
思考を停止しているらしきグレイに呆れる。
レティシアの気まぐれは、今に始まったことではないのだ。
今回の気まぐれは、いい方向性ではある。
が、いつまで続くかはわからない。
レティシアが変わってから1ヶ月が経とうとしていても、次の1ヶ月の保証にはならないと思う。
今のレティシアは、おおむね好ましい。
このままでいてほしいと、サリーだって思ってはいるのだ。
それでも、過剰な期待は、大きな落胆と背中合わせ。
その時になって「信じなければ良かった」などと後悔するのは嫌だった。
だから、サリーは未だに予防線を張っている。
レティシアを信じ切ってしまわないように、と。
「私としては、呼び捨てでもいいと……」
「それはナシです」
「だよね~……うん、それはわかる。歩み寄りも大事だから敬称は我慢するよ」
最近のレティシアの言葉は判然としないものも多い。
サリーもグレイも、前後の言葉から全体を類推していた。
(呼び捨て……名前を呼び捨てるってことよね。そんなこと、できるわけないじゃない。一応、それは諦めてくださったようだけれど)
名前を呼ぶのにも、相当な気合いと勇気が必要だ。
だいたい使用人が主の名を呼ぶこと自体が非常識とされている。
旦那様、奥様、お嬢様、姫様、そんなふうに呼ぶのが常識だった。
あとは大公のように、爵位に敬称をつけるとか。
逆に主側が使用人を名前で呼ばないのは珍しくない。
お前とか、そこの者とか、もっと酷い呼ばれかたをすることもある。
だから、レティシアの提案もとい命令は、非常識極まりないことなのだ。
どんな意図があるのだろうと、サリーは勘繰っている。
(旦那様に言いつけて叱責させようとしている、とか……?)
レティシアならやりかねない。
が、公爵は、それを穏やかにやり過ごすだろう。
逆に宥められて、むくれるレティシアの姿が容易く想像できた。
今までに、何度もそういう姿を見てきたからだ。
「みんなにも、お願いできる?」
「え……ほかの者にも、ですか……?」
固まっているグレイは、まったくの役立たず。
さっきから答えるのも問いかけるのも、サリーばかりになっている。
(本当に情けない。女を盾にするなんて、どういうつもりなの!)
こういう時こそ、グレイには前に出てほしい。
期待するのは苦楽をともにしてきたからこそだ。
お互いに支え合ってきたと思っている。
「2人だけっていうのもおかしいでしょ? 贔屓だと思われたら、2人だって困るんじゃない?」
まったく困らない。
もとより「贔屓」だと思う者などいない。
むしろ、同情されるに違いなかった。
「あ。どうしても無理っていうなら、強制はナシの方向で」
ならば、自分も「ナシの方向で」と言いたくなる。
さりとて、言えるはずもなし。
今のレティシアは、おおむね好ましいのだ。
機嫌を損ね、以前の彼女に戻ってほしくはない。
「かしこまりました……レティシア様」
「お、いいねー! 断然そっちのほうがいいよ、サリー!」
なにがそんなに嬉しいのか、レティシアは上機嫌だ。
が、サリーを見て、少し困った顔になる。
「うん……いやね、私も我儘だっていうのはわかってるんだよ? でも、よそよそしくされるのは寂しいんだよね」
ぺしょっとなっているレティシアを見ると、どうにも具合が悪い。
元々、サリーは世話焼きなのだ。
不遜な態度のレティシアになら対抗できても、迷子のような顔のレティシアに強気ではいられなかった。
「いきなりというのは難しいかもしれませんが、みんなにも少しずつ慣れるように言い聞かせますので、問題ございません。そうよね、グレイ」
いいかげん「戻って来い」とばかりに呼びかける。
レティシアは、しばしば「戻って来ない」ことがあるので、サリーも手慣れたものだ。
「あ、はい! もちろんでございます……れ、レティシア様」
レティシアが、グレイとサリーを交互に見て、にっこりした。
これだから、とサリーは思う。
警戒心をなくしてはならないと言い聞かせてはいるが、最近はそれがなかなかうまくいかなくなっていた。
「ありがと、グレイ、サリー」
「どういたしまして」
グレイと声を合わせて、そう答える。
レティシアから教わった、礼を言われた時の作法だ。
たしかに、この言葉を口にすると、なんとなく気持ちが楽になる。
それまで、礼を言われることなどめったになかったので、どう返していいのかわからなかったからだ。
指示されるのも、それをこなすのも当たり前に過ぎて。
その当たり前のことに「ありがとう」を返すレティシア。
警戒心を忘れてはならないと思っているにもかかわらず、胸が熱くなる。
「あの……レティシア様……」
サリーは両手を、きゅっと握りしめた。
今のレティシアに拒絶されれば、きっと自分は傷つくに違いない。
信じたいとの気持ちが強くなっているからこそ、わかる。
それでも、勇気を出して、手にしていたものをレティシアに見せる。
「こ、こちらを……」
「これは?」
「私どもの感謝の気持ちと申しますか……」
いらない、と言われるのではないか。
手を振りはらわれるのではないか。
臆病になっているサリーの手から、レティシアが、それを受け取る。
「いいの? 私、感謝されるようなこと、なんにもしてないのに」
「高級な品ではございませんし、姫……レティシア様のお気には召さないかもしれませんけれど……」
サリーが渡したのは、古びたネックレス。
きれいに磨き上げはしたが、キラキラとした輝きはない。
銅で出来ていて、金細工の品に比べて高級感はなかった。
「そんなことないよ! アンティーク感が、すっごくいい! こーいうの好きなんだよね。ギラギラしてるのより、品がある気がするもん」
言いながら、なにかに気づいたように、飾りの部分にふれる。
ぱかっと、それが開いた。
「うわーん!! お祖父さまじゃん!! お祖父さまがいるー!!」
「グレイが、お写真を加工して作りました」
模様替え前、壁にかけられていた絵画はすべて取りはらわれ、飾られているのは、ただひとつ。
書きもの机の上、額に入れられた大公の写真だけだ。
それを用意してほしいと2人は頼まれ、その際、ネックレスも用意した。
もしかしたら渡す機会があるかもしれないと思って。
半信半疑ではあったが、臨時ボーナスの件は、感謝すべきことには違いない。
なにか「返礼」をしたほうがいいのではと、2人で話し合って決めたのだ。
大公の写真を入れたロケット付きのネックレス。
「うっわーい! これで、いっつもお祖父さまと一緒だー! もう最っ高! 最高だよ、サリー、グレイ!! ありがと!!」
想像もしていなかったほど喜ばれている。
その姿を見て、猜疑心を持ちつつ渡したことに、サリーは罪悪感をいだいた。
「それにしても……姫……レティシア様は、ずいぶんと変わられましたね」
「あ、うん」
「グレイ……ッ!!」
どれだけ気が抜けているのか、失礼過ぎるグレイの言葉に、思わず大きな声を出してしまう。
ハッとした様子で、グレイが口をつぐんだ。
が、レティシアは、まるで意に介していない様子で言った。
「頭のネジが2,3本トんだって思ってくれればいいよ」
「頭のネジ……ですか?」
サリーの問いかけに、レティシアが、うんうんとうなずく。
そして、新たな「レティシア用語」の解説をしてくれた。
「なんていうか……吹っ切れたって感じ」
ジョシュア・ローエルハイドの孫娘であり、その血を受け継ぐ者。
その重荷は、どれほどのものだったか。
正妃選びの儀を辞退して、彼女はようやくそこから解き放たれたのかもしれないと、思えた。
10
お気に入りに追加
307
あなたにおすすめの小説
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
幸せな人生を目指して
える
ファンタジー
不慮の事故にあいその生涯を終え異世界に転生したエルシア。
十八歳という若さで死んでしまった前世を持つ彼女は今度こそ幸せな人生を送ろうと努力する。
精霊や魔法ありの異世界ファンタジー。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

叶えられた前世の願い
レクフル
ファンタジー
「私が貴女を愛することはない」初めて会った日にリュシアンにそう告げられたシオン。生まれる前からの婚約者であるリュシアンは、前世で支え合うようにして共に生きた人だった。しかしシオンは悪女と名高く、しかもリュシアンが憎む相手の娘として生まれ変わってしまったのだ。想う人を守る為に強くなったリュシアン。想う人を守る為に自らが代わりとなる事を望んだシオン。前世の願いは叶ったのに、思うようにいかない二人の想いはーーー

ひめさまはおうちにかえりたい
あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編)

人質王女の恋
小ろく
恋愛
先の戦争で傷を負った王女ミシェルは顔に大きな痣が残ってしまい、ベールで隠し人目から隠れて過ごしていた。
数年後、隣国の裏切りで亡国の危機が訪れる。
それを救ったのは、今まで国交のなかった強大国ヒューブレイン。
両国の国交正常化まで、ミシェルを人質としてヒューブレインで預かることになる。
聡明で清楚なミシェルに、国王アスランは惹かれていく。ミシェルも誠実で美しいアスランに惹かれていくが、顔の痣がアスランへの想いを止める。
傷を持つ王女と一途な国王の恋の話。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる