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後日談
近距離恋愛
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ナルは、ヘトヘトになっている。
屋敷中を、くまなく探した。
そこでようやく、戻れるはすがないことに気づいたのだ。
(ずいぶん時間を無駄にしてしまった)
その後、自分の屋敷から父の屋敷までの道を探したが、やはりいない。
気分転換に街に出たのだろうかと思い、街も探したが、見つからなかった。
魔力感知も、魔力を持たないセラフィーナに対しては無力だ。
自分の足で探すしかないが、思い当たる場所がない。
(本気で、婚約を解消するつもりではないよな……もし、そんなことになったら)
背筋が、ゾッと凍る。
本気で、どうすればいいのか、わからなくなった。
街の広場にあるベンチに座り、頭をかかえる。
コマドリのようなかわいらしい瞳に、赤い髪。
その髪は、時に炎の妖精のように真っ赤に燃える。
まっすぐに感情をぶつけてくるセラフィーナには、嘘がない。
いつでも真っ向勝負。
負けるのは、常にナルのほうだ。
自分の手の中にいてくれると思っていた。
自ら望んで、その手の上に留まってくれると思い込んでいた。
(なんという愚かなことを言ってしまったのか)
彼女に「羽」があることやなんかは、とうに知っていた。
その風きり羽を切ってしまいたくなるくらい、承知していたのに。
勝気で負けず嫌い。
自分を折り曲げられることを肯とはしない。
それが、セラフィーナ・アルサリアという女性なのだ。
ナルが、どうしても手放せずにいる、唯一の女性。
ある意味では、ずっとナルの心の拠り所でもあった。
いろんなことに嫌気がさしていた彼に光を与え、それが、人に対してのわずかな期待を、ナルに残させたのだ。
不意に、ハッとなって立ち上がる。
すぐさま転移した。
「遅かったじゃない」
エセルハーディの屋敷を出た時には昼だったが、すでに陽は落ちている。
月明りの中に、セラフィーナが立っていた。
2人が初めて会った場所だ。
さりげなく視線を、セラフィーナの手に向けてみる。
が、彼女は両手を腰の後ろにしていて、見ることができない。
セラフィーナは、まだ指輪をはめていてくれるだろうか。
いつになく不安な心持ちになった。
「今夜は、どうしたの? フクロウ以上に、せわしなく飛び回っているあなたが、ここにいるなんて驚きだわ」
「私のちっちゃな小鳥が、逃げてしまってね。探していたのだが、どこにいるか、きみが知っているのじゃないかと思って」
「どうかしら。もうあなたの小鳥じゃないかもしれないでしょう?」
セラフィーナは、指輪をしていないのだろうか。
どこかに投げ捨ててしまったのかもしれない。
「そうやって探るのはやめてちょうだい。あなたが人間不信だからって、どうして私が、それを押しつけられなきゃならないの? 理由も知らないのに」
セラフィーナとの距離は、1メートルほどだ。
なのに、それ以上は近づくことができない。
彼女に許されていないと感じる。
「私には関係がないと言うなら、それでかまわないわ。その代わり、さようなら、オリヴァージュ・ガルベリー。2度と会うことはないわね」
ナルは、大きく息を吐いた。
セラフィーナは、本気だ。
彼女に嘘はないのだから。
「最後の機会を、私に与えてくれたことに感謝すべきだろうな」
「そうよ」
「もう少し、近くで話してもいいかい?」
「嫌よ。そこで話して」
セラフィーナの反応に、少しだけ安堵する。
彼女は、まだ決定的な判断をくだしていない。
ナルに影響を受けるとわかっているから、近寄られたくないのだ。
「私の幼馴染みは複雑な生い立ちでね。私たちは16歳になるまでは、父の屋敷で兄弟同然に育ってきた。あいつは気にしちゃいないが」
「だから、人間不信なの?」
「それもあるが、大きな原因は貴族だ。彼らは、私が王族だというだけで、自らの娘をベッドに投げ込んでくるような者ばかりだった。あれやこれや手を使ってね。時には、友人だと思っていた者にまで利用されかけたよ。それに姉のこともある」
「お姉さまは、ウィリュアートン公爵家に嫁いでいらっしゃるのではなかった?」
ナルは、軽く肩をすくめる。
5歳上の姉とは仲が良くも悪くもない。
幼い頃から、たいして一緒に遊んでもいなかったからだ。
ナルには幼馴染みという遊び相手がいた。
「ウィリュアートンといっても分家でね。私の幼馴染みとは折り合いが悪いのさ」
「そうなの?」
セラフィーナに、近づくなと言われていたが、ナルは、ほんの少しだけ近寄る。
話に気をとられている彼女は気づいていない。
こういうところが、可愛らしいのだ。
危なかしいとも言えるけれども。
「あまり言いたくなかったが……私たちの婚姻の式に、姉は参列しない」
「え……」
セラフィーナの見開かれた瞳に、ちくりと胸が痛んだ。
姉との仲はともかく、姉の夫とは仲が悪かった。
ナルの幼馴染みは、現ウィリュアートン当主。
姉の夫は、それが気にいらないらしく、なにかと嫌がらせをしてくるのだ。
未だに、ナルは、なぜあの男と姉が婚姻したのか、わからずにいる。
「代わりにフィア……ああ、義理の娘のフィリシアを参列させるなんて言い出したものだから、断りにね。ここのところ、奴の屋敷に行っていたのさ」
「そのかたを断る理由があるのね?」
「言っておくけれど、私に、その気はない」
フィリシアは、昔からナルを「狙って」いた。
目をつけられるだけでも厄介なのに、ウィリュアートンという家まで絡んでくるのだから、とても相手をする気にはなれない。
通り一遍の挨拶すら、まともにしたことはなかった。
また少し、ナルは、何気ないふうを装って、セラフィーナに近づく。
転移をすれば簡単なのだが、それをすれば、間違いなく彼女のご機嫌を損ねるとわかっていた。
今は、そんな危険を冒すことはできない。
「それなら、なにも骨を折ることはなかったのに」
「どういうことだい?」
「参列してもらいましょうよ。諦めをつけるのに、ちょうどいい機会になるわ」
なんということもない、と言わんばかりのあっさりとした口調だ。
すると、今度は、すぐに眉をひそめた。
「私は、あなたが婚姻を考えていた女性と最後のお別れでもしているのかと……」
セラフィーナが、言いかけた言葉を途中で切る。
そして、バツが悪そうに、肩をすくめてみせた。
瞬間、駆け寄り、セラフィーナを腕ごと抱きすくめる。
「捕まえたよ、私のちっちゃな可愛い小鳥」
「ち、近づかないって約束したじゃない! この詐欺師ッ! ペテン師ッ!!」
「約束はした覚えはないなあ。きみは、そこで話せと言っただけじゃないか。もう話は終わったのだから、近づいてもかまわないはずだ」
セラフィーナは、ぐぐっと背をのけぞらせていた。
ナルは、小さく笑う。
「どうしたら見せてくれる? 跪いて、懇願しようか?」
「あなたは、魔術師でしょ? わざわざ騎士の真似をする必要はないわ。それに、跪く程度で、私が許すと思っているの?」
「なにしろ、私の首の上に乗っかっているのはスイカか大きな瓜みたいだからね。どうすれば許してもらえるのかわからないのさ。だから、きみが、ちょいと手助けしてくれることを期待している」
セラフィーナが、ナルの頬に両手を伸ばしてきた。
月明りに、指輪が光っている。
「手助けになったかしら?」
「おおいにね。戸は空けておくが、どうか飛び立たないでおくれ、私のちっちゃな可愛い小鳥。ほかに女性などいない。私は、きみを愛しているのだから」
「戸が開いているのに、ちょこんとカゴの中にいるだなんて、自分でもどうかしていると思うけれど、しかたがないわ、私もあなたを愛しているから」
顔を寄せ合って、笑った。
彼女は、自分がどれほど彼女を愛しているか知っているだろうか。
思いながら、ナルは、セラフィーナに、そっと唇を重ねる。
屋敷中を、くまなく探した。
そこでようやく、戻れるはすがないことに気づいたのだ。
(ずいぶん時間を無駄にしてしまった)
その後、自分の屋敷から父の屋敷までの道を探したが、やはりいない。
気分転換に街に出たのだろうかと思い、街も探したが、見つからなかった。
魔力感知も、魔力を持たないセラフィーナに対しては無力だ。
自分の足で探すしかないが、思い当たる場所がない。
(本気で、婚約を解消するつもりではないよな……もし、そんなことになったら)
背筋が、ゾッと凍る。
本気で、どうすればいいのか、わからなくなった。
街の広場にあるベンチに座り、頭をかかえる。
コマドリのようなかわいらしい瞳に、赤い髪。
その髪は、時に炎の妖精のように真っ赤に燃える。
まっすぐに感情をぶつけてくるセラフィーナには、嘘がない。
いつでも真っ向勝負。
負けるのは、常にナルのほうだ。
自分の手の中にいてくれると思っていた。
自ら望んで、その手の上に留まってくれると思い込んでいた。
(なんという愚かなことを言ってしまったのか)
彼女に「羽」があることやなんかは、とうに知っていた。
その風きり羽を切ってしまいたくなるくらい、承知していたのに。
勝気で負けず嫌い。
自分を折り曲げられることを肯とはしない。
それが、セラフィーナ・アルサリアという女性なのだ。
ナルが、どうしても手放せずにいる、唯一の女性。
ある意味では、ずっとナルの心の拠り所でもあった。
いろんなことに嫌気がさしていた彼に光を与え、それが、人に対してのわずかな期待を、ナルに残させたのだ。
不意に、ハッとなって立ち上がる。
すぐさま転移した。
「遅かったじゃない」
エセルハーディの屋敷を出た時には昼だったが、すでに陽は落ちている。
月明りの中に、セラフィーナが立っていた。
2人が初めて会った場所だ。
さりげなく視線を、セラフィーナの手に向けてみる。
が、彼女は両手を腰の後ろにしていて、見ることができない。
セラフィーナは、まだ指輪をはめていてくれるだろうか。
いつになく不安な心持ちになった。
「今夜は、どうしたの? フクロウ以上に、せわしなく飛び回っているあなたが、ここにいるなんて驚きだわ」
「私のちっちゃな小鳥が、逃げてしまってね。探していたのだが、どこにいるか、きみが知っているのじゃないかと思って」
「どうかしら。もうあなたの小鳥じゃないかもしれないでしょう?」
セラフィーナは、指輪をしていないのだろうか。
どこかに投げ捨ててしまったのかもしれない。
「そうやって探るのはやめてちょうだい。あなたが人間不信だからって、どうして私が、それを押しつけられなきゃならないの? 理由も知らないのに」
セラフィーナとの距離は、1メートルほどだ。
なのに、それ以上は近づくことができない。
彼女に許されていないと感じる。
「私には関係がないと言うなら、それでかまわないわ。その代わり、さようなら、オリヴァージュ・ガルベリー。2度と会うことはないわね」
ナルは、大きく息を吐いた。
セラフィーナは、本気だ。
彼女に嘘はないのだから。
「最後の機会を、私に与えてくれたことに感謝すべきだろうな」
「そうよ」
「もう少し、近くで話してもいいかい?」
「嫌よ。そこで話して」
セラフィーナの反応に、少しだけ安堵する。
彼女は、まだ決定的な判断をくだしていない。
ナルに影響を受けるとわかっているから、近寄られたくないのだ。
「私の幼馴染みは複雑な生い立ちでね。私たちは16歳になるまでは、父の屋敷で兄弟同然に育ってきた。あいつは気にしちゃいないが」
「だから、人間不信なの?」
「それもあるが、大きな原因は貴族だ。彼らは、私が王族だというだけで、自らの娘をベッドに投げ込んでくるような者ばかりだった。あれやこれや手を使ってね。時には、友人だと思っていた者にまで利用されかけたよ。それに姉のこともある」
「お姉さまは、ウィリュアートン公爵家に嫁いでいらっしゃるのではなかった?」
ナルは、軽く肩をすくめる。
5歳上の姉とは仲が良くも悪くもない。
幼い頃から、たいして一緒に遊んでもいなかったからだ。
ナルには幼馴染みという遊び相手がいた。
「ウィリュアートンといっても分家でね。私の幼馴染みとは折り合いが悪いのさ」
「そうなの?」
セラフィーナに、近づくなと言われていたが、ナルは、ほんの少しだけ近寄る。
話に気をとられている彼女は気づいていない。
こういうところが、可愛らしいのだ。
危なかしいとも言えるけれども。
「あまり言いたくなかったが……私たちの婚姻の式に、姉は参列しない」
「え……」
セラフィーナの見開かれた瞳に、ちくりと胸が痛んだ。
姉との仲はともかく、姉の夫とは仲が悪かった。
ナルの幼馴染みは、現ウィリュアートン当主。
姉の夫は、それが気にいらないらしく、なにかと嫌がらせをしてくるのだ。
未だに、ナルは、なぜあの男と姉が婚姻したのか、わからずにいる。
「代わりにフィア……ああ、義理の娘のフィリシアを参列させるなんて言い出したものだから、断りにね。ここのところ、奴の屋敷に行っていたのさ」
「そのかたを断る理由があるのね?」
「言っておくけれど、私に、その気はない」
フィリシアは、昔からナルを「狙って」いた。
目をつけられるだけでも厄介なのに、ウィリュアートンという家まで絡んでくるのだから、とても相手をする気にはなれない。
通り一遍の挨拶すら、まともにしたことはなかった。
また少し、ナルは、何気ないふうを装って、セラフィーナに近づく。
転移をすれば簡単なのだが、それをすれば、間違いなく彼女のご機嫌を損ねるとわかっていた。
今は、そんな危険を冒すことはできない。
「それなら、なにも骨を折ることはなかったのに」
「どういうことだい?」
「参列してもらいましょうよ。諦めをつけるのに、ちょうどいい機会になるわ」
なんということもない、と言わんばかりのあっさりとした口調だ。
すると、今度は、すぐに眉をひそめた。
「私は、あなたが婚姻を考えていた女性と最後のお別れでもしているのかと……」
セラフィーナが、言いかけた言葉を途中で切る。
そして、バツが悪そうに、肩をすくめてみせた。
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「捕まえたよ、私のちっちゃな可愛い小鳥」
「ち、近づかないって約束したじゃない! この詐欺師ッ! ペテン師ッ!!」
「約束はした覚えはないなあ。きみは、そこで話せと言っただけじゃないか。もう話は終わったのだから、近づいてもかまわないはずだ」
セラフィーナは、ぐぐっと背をのけぞらせていた。
ナルは、小さく笑う。
「どうしたら見せてくれる? 跪いて、懇願しようか?」
「あなたは、魔術師でしょ? わざわざ騎士の真似をする必要はないわ。それに、跪く程度で、私が許すと思っているの?」
「なにしろ、私の首の上に乗っかっているのはスイカか大きな瓜みたいだからね。どうすれば許してもらえるのかわからないのさ。だから、きみが、ちょいと手助けしてくれることを期待している」
セラフィーナが、ナルの頬に両手を伸ばしてきた。
月明りに、指輪が光っている。
「手助けになったかしら?」
「おおいにね。戸は空けておくが、どうか飛び立たないでおくれ、私のちっちゃな可愛い小鳥。ほかに女性などいない。私は、きみを愛しているのだから」
「戸が開いているのに、ちょこんとカゴの中にいるだなんて、自分でもどうかしていると思うけれど、しかたがないわ、私もあなたを愛しているから」
顔を寄せ合って、笑った。
彼女は、自分がどれほど彼女を愛しているか知っているだろうか。
思いながら、ナルは、セラフィーナに、そっと唇を重ねる。
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にゃんてこった!
ナル〜💢💢💢
とりあえずリンクスと一緒に納屋に入れられてしまえ!
…という気持ちがあるのも否定はしませんが。
ナルの切ない通り越して苦しいくらいの。息が止まるほどの。何なら重力ここだけおかしくない?ってくらいの。たった1人に向けたその気持ちの黒さ重さうっとおしさに飲み込まれたようになって、私の心臓のほうが止まりそうでした。
これもVRっていうんでしょうか。私がそこまでの気持ちをこの先、誰か特定の人間に向けて持つ気はしないし、そもそもその能力がない気がしますが。そうなったらこんなにも苦しいのだというのをチラッと体験した気分です。あー。危なかった。ちゃんと戻って来られて嬉しいよ。私が犬に向けた気持ちは同種だと思いますが、犬が大変に優秀な生き物なので、こんなふうに苦しむことはないしねぇ。
とりあえず。こそっと心の中でナルにリゲイン差し出します。明日も明後日も明明後日も…命ある限り毎日24時間戦い給え。
実は昨晩からどんな話かしら?って、あれこれ思ってうきうきしていました。まさかの結婚前とは思っていなかったし。まさかのいちゃラブ予告で婚約の危機だなんて思ってもいなかった。そして危機一髪なのにほの甘い。おのれ!
これはいいな。明日も楽しみです!
ご感想を、ありがとうございます。
リンクスは「なんでオレまで?!」と言いそうですけれども 笑
確かに、ナルは割と普通っぽい雰囲気でありながら、実は黒々としているところがある感じです。彼女が、ああいう人でなければ、軽口を叩いていて洒落のめしていても、ヤンデレ沼にはまっていたかもしれません苦笑
本編に比べると、ずっと短い話でしたが、VR並の感覚でお読み頂けたとのこと、とても嬉しかったです! 活字に幅を持たせてくださるのは、やはり読み手のかたの想像力ではないかと思っておりますので。
ナルは、もっと「更生」が必要かもしれないですね。そのためにも、気を抜かず頑張り続けてほしいものです、リゲイン片手に 笑
婚姻後、婚姻前など、いろいろと取り混ざっておりまして、その2人らしい「いちゃラブ」を目指して書いておりました。この2人だったら、こういうのもアリかな、などと思いながらお読み頂けるといいなぁと思っております。
本日も、お楽しみ頂けていると幸いです!
ふふっ。言い忘れ!
へなへなのへにょへにょ!
誰かナルにいつか言ってやって!って前作で思ってたんですけど、この時代にいろんな意味で飛び抜けた「子ども」がいませんでしたね~
代わりにいたのが泣き虫パパ。絶対に出てくる!と信じて待っていましたが、出番少なっ!出たら濃かったですけどね~笑
いろんな時代があって。いろんな女の子がいて。いろんな男の子がいて。誰かが泣いて、誰かが笑って。誰かは失敗して、誰かはうまく行く。ああ。そういうことか。そういうことなのね!
再びのお言葉ありがとうございます!
当時のナルたちは「問題のある子」と言われていたみたいですけれども 笑
フクロウ中にジョザイアから「いろいろ」とからかわれたのではないでしょうか。
この頃のガルベリーはザカリー系譜なので、ああいう系を受け継いでいる人がちょいちょい出てくることがあるようです 笑 ブラッドの兄のルイシヴァとエセルが似た雰囲気(兄弟や家族に弱い・情緒が激しい)だったり。ただウィリュアートンとも血が混ざっているため、フィランディはエセルの兄ということもありユージーン寄りです。話の内容には関係はないのですが、血統みたいなものを感じて頂けるといいなぁと思っておりました。
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ご感想を頂き、ありがとうございます。
実はウィリュアートンがまともな恋愛をしていたのが3世代目までとなっておりまして。その後は題材にするのが困難な感じだったりします 苦笑 リンクスは事情があるがゆえに早々に大人にならざるを得なかったので、ああいう雰囲気というところでしょうか。
この話は今まで流れとは少し違っていたかもしれません。恋愛にがっつり寄せた話が書きたいと思って書いておりましたので、いちゃいちゃしていないのに、というお言葉が非常に嬉しかったです! 恋愛風味が醸せていたかなぁと 笑 自分も主人公の女の子にはアレコレと思うところがあったりします。負けず嫌いや強気な子、足ばっかり引っ張ってしまう子、でも許せるっていうのがないと、うーん…となってしまいます。その「許せるところ」を書く時も考えているのですが……ほぼほぼ瀕死(笑)笑ってしまいました! 確かに即死ではなく瀕死でしたね。jasmin様に形容して頂いた内容に、自分も思わずうなずきました 笑
ですので、自分にもよろしくない性癖が……? いえ、よろしくなくはないでしょう 笑
言葉というのは不思議だと思うんですけど、行動が伴わなければ「単なる言葉」「言っただけ」になりますし、だからといって行動で示せば言葉は不要となるかと言えば「本当に自分が思っていることと相手が思っていることは一致しているのか」と不安になったり。やはり自分の言葉で相手に「こう思っている」というのを伝える必要はあると思っています。もちろん、その前後の行動次第で言葉が「言葉のまま」になる可能性もありますけれども。
逆にツンデレみたいに、一見、言葉と行動が矛盾していても、行動があればこそ、言葉の中に含まれる愛情が感じられ、心情的な部分をカバーできるのかなと。昔からある「嫌い嫌いも好きの内」みたいな感じです。(嫌い嫌いも大嫌い、な場合もあるので要注意ですが)
来月はバレンタインですね。以前は女の子から男の子に告白するイベントでしたが、今は性別にこだわりのないイベントになりましたね。会社でのバラマキ用チョコなども販売されているようですが……意外と喜ばれるようです 苦笑 友チョコもそうですが、告白or感謝というイベントになっているのですね。