82 / 84
後日談
悩みが深くて
しおりを挟む
彼は、2種類の書類を見ながら、考え込んでいる。
どちらにするかの最終的な判断は、話し合って決めるつもりだ。
とはいえ、自分の気持ちとして、どちらかを選んでおく必要はある。
どちらでもいい、というのが本音にあるとしても、無責任さからではないのだ。
(彼女が好ましいと思うのが、私にとっても望ましい。だが、私自身の意見を持たなくてもいい、ということにはならないな)
彼は、短めの黒い髪をかきあげる。
同じ色の瞳で、書類に書かれた日程を、再び、なぞっていた。
彼の「花嫁」であるところのシェルニティに、新婚旅行について、どうでもいいと思っている、などとは思われなくない。
おそらく、彼女は、そういうふうには思わないだろうが、彼自身の気持ちの問題なのだ。
丸投げしている感覚になるのが嫌だった。
とにかく、自分と彼女とのことなのだから。
(どちらも捨てがたいところだ)
1つは、一大観光地であるサハシーでの短期旅行。
短期といっても、日程は十日で組まれている。
サハシーは、ロズウェルド王国の観光地としては有名で、至れり尽くせり。
きらびやかな場所だけではなく、遺跡などを含め風光明媚な場所もある。
ただし、その分、値が張るのだ。
上級貴族ですら長逗留できないくらいに物価も高く、なににつけ金がかかる。
もちろん、彼は、金の心配などしていない。
ジョザイア・ローエルハイド。
現ローエルハイド公爵家の当主だ。
辺境地や、その周辺に自然災害並みの被害をもたらしても、それを復興させるに有り余る金銭的余裕があった。
ローエルハイドは特殊な貴族であり、ほかの貴族とは存在自体を異にする。
金など、彼にとっては、さしたる意味を持たない。
彼女が喜ぶのであれば、景観の良い小国を丸ごとひとつ買い取ったって、痛くも痒くもないのだ。
とはいえ、シェルニティは、そういうことを喜ぶ女性ではなかった。
彼女もまた、金には、ほとんど興味を持っていない。
畑仕事をしたり、魚を釣ったり、狩りをしたり。
金がないならないなりに、2人は暮らしていける。
暮らしに必要なものは、なんだって手に入るのだし。
彼は、特異な魔術師でもあるため、砂礫からでも素材を造ることができた。
そして、それを元にして、たいていの物は手造りする。
宝石だろうと、シルク糸だろうと。
ゆえに、サハシーで十日を過ごしても、なんら懐は痛まないのだ。
彼の迷いの原因は、そこではない。
もう1つの書類には、とある地方を巡る旅。
ひと月ほどの逗留の日程が組まれている。
のんびりとした、素朴な旅行だが、シェルニティに見せたい場所も多かった。
なにより、期間が長いのがいい。
(シェリーとの関係を進展させる機会とは言えるが……十日では短い。急な変化に戸惑わせたくはないしなあ)
シェルニティとは、毎夜、同じ部屋の同じベッドで眠っている。
が、それは言葉通り「睡眠」に過ぎない。
口づけはするけれども、それ以上の関係にはなっていなかった。
彼女は、貴族教育を受けているので、それなりに知識はあるはずだ。
だとしても、実際的なことは、なにも知らずにいる。
婚姻したからといって、あたり前のようにベッドに押し倒すのは気が進まない。
シェルニティを怯えさせたり、戸惑わせたりするのは、本意ではなかった。
ゆっくり彼にふれられることに慣れてほしいと思っている。
(とするならば、だ。やはり、こちらか)
のんびり、素朴な、ひと月を満喫する旅。
と、思うのだけれど、サハシーにしかないめずらしい物に、目をきらきらさせるシェルニティの姿も捨てがたい、と思ってしまうのだ。
旅行はいつでもできるが「新婚旅行」は、人生に1度きり。
思い出や記念に残るものにしたかった。
書類を両手に悩みつつ、彼は、口を開く。
視線は書類に落としたままだ。
「シェリーに、なにかあったというわけではないようだが、どうしたね?」
「あんたは、呑気をやってられて、いいよな」
ものすごく恨みがましい口調で言われた。
顔を上げると、ブルーグレイの髪と瞳の青年が立っている。
アリスタス・ウィリュアートン。
彼が懇意にしている、唯一といってもいい、公爵家の当主の兄だった。
普通は長男が当主になるものなのだが、アリスには致命的に礼儀の素質がない。
そのため、双子の弟リカラスが当主となっている。
公の場では使われることのないロズウェルド特有の「民言葉」でしか、アリスは話さないのだ。
というより、話せない。
昔からアリスは貴族言葉を嫌っていて、俗語とされている民言葉を好んで使っていたからだった。
「私は、これでも悩み深く過ごしているのだよ、アリス」
「あんたのせいで、とばっちり食ったオレよりマシじゃねーか」
彼は、ふと顔を上げる。
とばっちりという言葉に反応したのだ。
アリスは、あからさまに不貞腐れ顔をしていた。
今日、彼は、ひと月ほど過ごすことになるかもしれない地方の視察に来ている。
その間、森の家に、シェルニティは1人。
当然、危険を察知したり、彼女を守ったりするための魔術は施して出てきた。
とはいえ、あまりがんじがらめにしてしまうのも窮屈だ。
ほんの少しばかり不本意ではあったが、シェルニティお気に入りの「馬」だけは自由に出入りできるようにしてある。
アリスは、彼がいないのをいいことにして、シェルニティにベッタリしていると思っていたのだけれども。
「とばっちり、とは、どういうことだい?」
「どうもこうもねーよ」
よほど、へそを曲げているらしい。
アリスが腕組みをして、ぷいっとそっぽを向いた。
どうやら、シェルニティに「つれなく」されたようだ。
しかも、彼の「とばっちり」で。
「前から思ってたけど、よく平気でいられるよな」
「平気ではないさ」
「我慢できるってのを“平気”って言うんだよ」
「私は、シェリーを怯えさせる気はないのでね。きみのように即物的になれたらと思うこともあるが、そこまでの潔さの持ち合わせがない」
アリスが言っているのは、シェルニティと同じベッドで眠っていることに関してだろう。
もちろん、彼とて完全に「平気」なわけではない。
アリスの言う「我慢」が「平気」と同義ならば、平気と言えなくもないけれど。
(そういうことで、自分も“人”なのだと思うとは、驚きだ)
口づけを交わし、眠りにつこうとする前に、彼は、やはりシェルニティに、もう少しだけふれたい、と思ったりする。
それを「我慢」して、押し隠し、彼女に「おやすみ」を言うのだ。
シェルニティを前に、理性を維持するのが難しくなるたび、自分も「人」なのだと感じる。
愛する女性にふれたい、より親密になりたいと「人並み」なことを思ったりするのだから。
「過保護なんだよな。シェリーが怯えるかもって考えるくせに、怯えねーかもって考えはねーのかよ」
「私は、きみほど楽観的にはなれないものでね」
書類を魔術で王都の屋敷にある書棚にしまい、代わりに紅茶を出す。
アリスとシェルニティのことを話していたら、森の家に帰りたくなってきた。
紅茶を飲み終えたら、アリスは放っぽって帰ろうと思う。
「シェリーが気にしてたぜ?」
「シェリーが? なにを?」
「あんたとベッドをともにする時のこと」
がしゃん。
手からカップが滑り落ちて割れる。
アリスが呆れ顔で、目を細めていた。
「トーゼンだろ? シェリーは大人のオンナなんだぜ?」
その言葉にも反応できず、彼は、まだカップを握っているかのごとく、手を宙に浮かせていた。
どちらにするかの最終的な判断は、話し合って決めるつもりだ。
とはいえ、自分の気持ちとして、どちらかを選んでおく必要はある。
どちらでもいい、というのが本音にあるとしても、無責任さからではないのだ。
(彼女が好ましいと思うのが、私にとっても望ましい。だが、私自身の意見を持たなくてもいい、ということにはならないな)
彼は、短めの黒い髪をかきあげる。
同じ色の瞳で、書類に書かれた日程を、再び、なぞっていた。
彼の「花嫁」であるところのシェルニティに、新婚旅行について、どうでもいいと思っている、などとは思われなくない。
おそらく、彼女は、そういうふうには思わないだろうが、彼自身の気持ちの問題なのだ。
丸投げしている感覚になるのが嫌だった。
とにかく、自分と彼女とのことなのだから。
(どちらも捨てがたいところだ)
1つは、一大観光地であるサハシーでの短期旅行。
短期といっても、日程は十日で組まれている。
サハシーは、ロズウェルド王国の観光地としては有名で、至れり尽くせり。
きらびやかな場所だけではなく、遺跡などを含め風光明媚な場所もある。
ただし、その分、値が張るのだ。
上級貴族ですら長逗留できないくらいに物価も高く、なににつけ金がかかる。
もちろん、彼は、金の心配などしていない。
ジョザイア・ローエルハイド。
現ローエルハイド公爵家の当主だ。
辺境地や、その周辺に自然災害並みの被害をもたらしても、それを復興させるに有り余る金銭的余裕があった。
ローエルハイドは特殊な貴族であり、ほかの貴族とは存在自体を異にする。
金など、彼にとっては、さしたる意味を持たない。
彼女が喜ぶのであれば、景観の良い小国を丸ごとひとつ買い取ったって、痛くも痒くもないのだ。
とはいえ、シェルニティは、そういうことを喜ぶ女性ではなかった。
彼女もまた、金には、ほとんど興味を持っていない。
畑仕事をしたり、魚を釣ったり、狩りをしたり。
金がないならないなりに、2人は暮らしていける。
暮らしに必要なものは、なんだって手に入るのだし。
彼は、特異な魔術師でもあるため、砂礫からでも素材を造ることができた。
そして、それを元にして、たいていの物は手造りする。
宝石だろうと、シルク糸だろうと。
ゆえに、サハシーで十日を過ごしても、なんら懐は痛まないのだ。
彼の迷いの原因は、そこではない。
もう1つの書類には、とある地方を巡る旅。
ひと月ほどの逗留の日程が組まれている。
のんびりとした、素朴な旅行だが、シェルニティに見せたい場所も多かった。
なにより、期間が長いのがいい。
(シェリーとの関係を進展させる機会とは言えるが……十日では短い。急な変化に戸惑わせたくはないしなあ)
シェルニティとは、毎夜、同じ部屋の同じベッドで眠っている。
が、それは言葉通り「睡眠」に過ぎない。
口づけはするけれども、それ以上の関係にはなっていなかった。
彼女は、貴族教育を受けているので、それなりに知識はあるはずだ。
だとしても、実際的なことは、なにも知らずにいる。
婚姻したからといって、あたり前のようにベッドに押し倒すのは気が進まない。
シェルニティを怯えさせたり、戸惑わせたりするのは、本意ではなかった。
ゆっくり彼にふれられることに慣れてほしいと思っている。
(とするならば、だ。やはり、こちらか)
のんびり、素朴な、ひと月を満喫する旅。
と、思うのだけれど、サハシーにしかないめずらしい物に、目をきらきらさせるシェルニティの姿も捨てがたい、と思ってしまうのだ。
旅行はいつでもできるが「新婚旅行」は、人生に1度きり。
思い出や記念に残るものにしたかった。
書類を両手に悩みつつ、彼は、口を開く。
視線は書類に落としたままだ。
「シェリーに、なにかあったというわけではないようだが、どうしたね?」
「あんたは、呑気をやってられて、いいよな」
ものすごく恨みがましい口調で言われた。
顔を上げると、ブルーグレイの髪と瞳の青年が立っている。
アリスタス・ウィリュアートン。
彼が懇意にしている、唯一といってもいい、公爵家の当主の兄だった。
普通は長男が当主になるものなのだが、アリスには致命的に礼儀の素質がない。
そのため、双子の弟リカラスが当主となっている。
公の場では使われることのないロズウェルド特有の「民言葉」でしか、アリスは話さないのだ。
というより、話せない。
昔からアリスは貴族言葉を嫌っていて、俗語とされている民言葉を好んで使っていたからだった。
「私は、これでも悩み深く過ごしているのだよ、アリス」
「あんたのせいで、とばっちり食ったオレよりマシじゃねーか」
彼は、ふと顔を上げる。
とばっちりという言葉に反応したのだ。
アリスは、あからさまに不貞腐れ顔をしていた。
今日、彼は、ひと月ほど過ごすことになるかもしれない地方の視察に来ている。
その間、森の家に、シェルニティは1人。
当然、危険を察知したり、彼女を守ったりするための魔術は施して出てきた。
とはいえ、あまりがんじがらめにしてしまうのも窮屈だ。
ほんの少しばかり不本意ではあったが、シェルニティお気に入りの「馬」だけは自由に出入りできるようにしてある。
アリスは、彼がいないのをいいことにして、シェルニティにベッタリしていると思っていたのだけれども。
「とばっちり、とは、どういうことだい?」
「どうもこうもねーよ」
よほど、へそを曲げているらしい。
アリスが腕組みをして、ぷいっとそっぽを向いた。
どうやら、シェルニティに「つれなく」されたようだ。
しかも、彼の「とばっちり」で。
「前から思ってたけど、よく平気でいられるよな」
「平気ではないさ」
「我慢できるってのを“平気”って言うんだよ」
「私は、シェリーを怯えさせる気はないのでね。きみのように即物的になれたらと思うこともあるが、そこまでの潔さの持ち合わせがない」
アリスが言っているのは、シェルニティと同じベッドで眠っていることに関してだろう。
もちろん、彼とて完全に「平気」なわけではない。
アリスの言う「我慢」が「平気」と同義ならば、平気と言えなくもないけれど。
(そういうことで、自分も“人”なのだと思うとは、驚きだ)
口づけを交わし、眠りにつこうとする前に、彼は、やはりシェルニティに、もう少しだけふれたい、と思ったりする。
それを「我慢」して、押し隠し、彼女に「おやすみ」を言うのだ。
シェルニティを前に、理性を維持するのが難しくなるたび、自分も「人」なのだと感じる。
愛する女性にふれたい、より親密になりたいと「人並み」なことを思ったりするのだから。
「過保護なんだよな。シェリーが怯えるかもって考えるくせに、怯えねーかもって考えはねーのかよ」
「私は、きみほど楽観的にはなれないものでね」
書類を魔術で王都の屋敷にある書棚にしまい、代わりに紅茶を出す。
アリスとシェルニティのことを話していたら、森の家に帰りたくなってきた。
紅茶を飲み終えたら、アリスは放っぽって帰ろうと思う。
「シェリーが気にしてたぜ?」
「シェリーが? なにを?」
「あんたとベッドをともにする時のこと」
がしゃん。
手からカップが滑り落ちて割れる。
アリスが呆れ顔で、目を細めていた。
「トーゼンだろ? シェリーは大人のオンナなんだぜ?」
その言葉にも反応できず、彼は、まだカップを握っているかのごとく、手を宙に浮かせていた。
0
お気に入りに追加
279
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる