16 / 84
2人で街を 4
しおりを挟む
シェルニティは、ある店を見つけ、少し足を止めた。
わずかな逡巡はあったが、せっかく街まで来たのだからと、意を決する。
「あの……寄ってみたい……お店を見つけてしまったの……」
意を決していても、小声になってしまう。
彼の顔をまともに見ることもできず、少しうつむいた。
「かまわないよ。時間はあるのだから、一緒に行こう」
「え……いえ……あの……ひ、1人で、行きたいのよ……」
「私に遠慮する必要はないのだよ? きみが興味を持ったのなら、たとえゴシップの類を集めた本でも、私は気にしない。私の興味は、きみに向けられているのでね」
彼は、誤解しているらしい。
シェルニティが行こうとしている店が「貴族として似つかわしくないなにか」を取り扱っていると思っているのだろう。
が、違うのだ。
「ええと……それでも、あなたは来ないほうがいいと、思うの……」
さらに声が小さくなる。
ちらっと上げた視線の先で、彼がわずかに驚いた表情を浮かべていた。
一緒に来ているのに、追いはらうような真似は、シェルニティだって、したくはない。
さりとて、一緒に行くのは、どうしたって憚られるのだ。
少しの間のあと、彼が、口元を緩やかにして、笑みを浮かべる。
とたん、シェルニティの頬が赤く染まった。
「なるほど。きみの言う通り、私は、その店には入らないほうが良さそうだ」
「け、けして、邪魔ということではないのよ?」
「わかっているさ。ところで、その店での支払いは、私につけておいておくれ」
「それは、できないわ。私の買い物だもの」
先日、父が帰り際に、買いたいものがあれば、ブレインバーグの名で買うことを許してくれたのだ。
今までシェルニティは無駄遣いを一切していないので、遠慮はいらないとまで、言われていた。
屋敷にいた頃は、与えられている物で納得していたし、父にねだってまで買ってもらった物など、なにひとつなかったのだ。
「いいや、それには同意しかねる」
彼が体を前へとかしがせ、シェルニティの耳元に唇を寄せてくる。
軽く息がかかり、どきんと胸が弾んだ。
「いずれ私のためになるものを、私が買わずにどうするね? わかっているだろう、私の愛しいシェリー」
心臓が痛くなるほど、鼓動が速まっていた。
なぜ、これほど恥ずかしいのか、シェルニティは、わからずにいる。
彼が、耳元で、くすっと笑った。
それから、体を離し、シェルニティの頭を緩く撫で、額に軽く口づけを落とす。
「行っておいで。私は、あそこのベンチで待っている」
「え、ええ。行って来るわ」
「くれぐれも、私に支払わせることを忘れないように」
もう、うなずくだけで精一杯だった。
くるっと体を返し、足早に歩き出す。
まだ、心臓が、どきどきしていた。
(あ、あたり前のことなのに……なぜ、こんなに狼狽えなくてはならないの?)
シェルニティの指には、彼からもらった指輪がはめられている。
苺を象った宝石のついた可愛らしい指輪だ。
先頃、父親に対しても明確にしている。
彼は、シェルニティと婚姻予定。
すなわち、婚約者なのだ。
店の手前で、シェルニティは、ちらっと彼のほうを振り返った。
彼はベンチに座り、彼女に手を振ってみせる。
軽く振り返し、ササッと店の扉を開いて中に入った。
ほう…と、大きく息をつく。
彼女は、街に来たのも初めてなら、店に入ったのも初めてだった。
店の中を見回し、眩暈がする。
そこには「様々な」品が並んでいた。
シェルニティの知らないような物ばかりだ。
(こ、これほど種類があったなんて……服ひとつ選んだことがないのに……)
多くの色や形の物が、店中にあふれている。
こんなふうだと知っていたら、1人では来なかっただろう。
キサティーロの配慮から、シェルニティは王都の屋敷にいる際、複数のメイドと親しくなっている。
その中の誰かについて来てもらうべきだったのだ。
下着を専門に取り扱う店に入るのならば。
けれど、シェルニティは、少しだけ気にしていた。
あたり前にあってしかるべきことを、だ。
彼とは婚約している。
2人で暮らしてもいる。
当然に、そうした夜が訪れる可能性だってある。
婚姻前に、ベッドをともにすることは、いたって「普通」のこと。
貴族教育で、そう教わったのだから、間違いではないはずだ。
ならば「備えておく」のも当然、ということになる。
懇意になったメイドが選んだ下着に不満などない。
むしろ、気に入っているとさえ言えた。
今までだって、与えられたものを身につけてきたのだ。
持っているもので不都合が生じることなど、なにもない。
のだけれども。
なぜか、自分で選んだものを身につけたいと思った。
そして、新しいものを、とも思ってしまったのだ。
(だって……彼が、そうしたいのなら……それは、彼の権利だし……)
なにか違う気もしたが、シェルニティは、なにが違うと明確にはできずにいる。
未だ、男女の関係については、そういうものだと思っていた。
教育上では、子を成すために必要な行為だとされている。
そこには「恋」も「愛」も記されてはいない。
(それにしても……どれを選べばいいのか、わからないわ……)
店内を、きょろきょろと見回す。
何人かの女性が手に取って見ている姿に、自分も同じようにしてみることにした。
とりあえず。
「あなた……もしかして、ブレインバーグのシェルニティ様?」
背後からの声に、シェルニティは、伸ばしかけていた手を引っ込めて振り向く。
見知らぬ女性が立っていた。
服装から、貴族であるのは確かだ。
ドレスの仕立てがいいことにも気づく。
おそらく、侯爵家か公爵家の令嬢だろう。
「失礼いたしました。私は、ラドホープ侯爵家のディアトリーと申します」
「こちらこそ、失礼いたしました。社交界に関わることがなかったものですから、気づかずに申し訳ありません」
「事情は存じておりますわ。私も、あの夜会に出席しておりましたの」
あの夜会というのは、彼がシェルニティの「呪い」を解いた夜会のことだろう。
あの日は、大勢の貴族が集まっていた。
シェルニティの前にいる女性は、彼女より、少し年上に見える。
栗色の髪を結い上げ、目を引く赤いドレスの胸元は、大きく開いていた。
「今日は、ローエルハイド公爵様と、ご一緒ではないのですか?」
「いえ……彼……公爵様は、外に……」
急に、話が私的なものになったので戸惑う。
これまでの屋敷とは違い、王都の屋敷では勤め人たちと話すようになっている。
そのため、少しずつ「会話」に慣れ始めてはいた。
とはいえ、彼とのことを詮索するような話は、一切されていない。
逆に、シェルニティが、キサティーロに、彼について聞くことはあるけれど。
「シェルニティ様も大変ですわね」
ディアトリーという女性が、ちらっと、視線を店内に走らせる。
なぜか、羞恥に、シェルニティは、その場を逃げ出したくなった。
あたり前のことであり、なにも恥ずかしいことではないはずなのに。
「ラドホープは、リディッシュ公爵家の下位貴族でございましょう? ですから、同じ下位貴族のエデルトン伯爵家のことは、よく存じておりますのよ」
貴族の構成は、シェルニティも知っている。
どこの家がどこの家に連なっているか、派閥がどうなっているか。
学んだことは知識として頭にあった。
けれど、なぜ、その名が出てきたのかは、わからずにいる。
「公爵様は前の奥様を大層に愛しておられて、十年も1人でいらしたのですもの。シェルニティ様が、公爵様の愛を得ようと、必死になるのもわかりますわ」
その言葉に胸の奥が、ずきり、と痛んだ。
わずかな逡巡はあったが、せっかく街まで来たのだからと、意を決する。
「あの……寄ってみたい……お店を見つけてしまったの……」
意を決していても、小声になってしまう。
彼の顔をまともに見ることもできず、少しうつむいた。
「かまわないよ。時間はあるのだから、一緒に行こう」
「え……いえ……あの……ひ、1人で、行きたいのよ……」
「私に遠慮する必要はないのだよ? きみが興味を持ったのなら、たとえゴシップの類を集めた本でも、私は気にしない。私の興味は、きみに向けられているのでね」
彼は、誤解しているらしい。
シェルニティが行こうとしている店が「貴族として似つかわしくないなにか」を取り扱っていると思っているのだろう。
が、違うのだ。
「ええと……それでも、あなたは来ないほうがいいと、思うの……」
さらに声が小さくなる。
ちらっと上げた視線の先で、彼がわずかに驚いた表情を浮かべていた。
一緒に来ているのに、追いはらうような真似は、シェルニティだって、したくはない。
さりとて、一緒に行くのは、どうしたって憚られるのだ。
少しの間のあと、彼が、口元を緩やかにして、笑みを浮かべる。
とたん、シェルニティの頬が赤く染まった。
「なるほど。きみの言う通り、私は、その店には入らないほうが良さそうだ」
「け、けして、邪魔ということではないのよ?」
「わかっているさ。ところで、その店での支払いは、私につけておいておくれ」
「それは、できないわ。私の買い物だもの」
先日、父が帰り際に、買いたいものがあれば、ブレインバーグの名で買うことを許してくれたのだ。
今までシェルニティは無駄遣いを一切していないので、遠慮はいらないとまで、言われていた。
屋敷にいた頃は、与えられている物で納得していたし、父にねだってまで買ってもらった物など、なにひとつなかったのだ。
「いいや、それには同意しかねる」
彼が体を前へとかしがせ、シェルニティの耳元に唇を寄せてくる。
軽く息がかかり、どきんと胸が弾んだ。
「いずれ私のためになるものを、私が買わずにどうするね? わかっているだろう、私の愛しいシェリー」
心臓が痛くなるほど、鼓動が速まっていた。
なぜ、これほど恥ずかしいのか、シェルニティは、わからずにいる。
彼が、耳元で、くすっと笑った。
それから、体を離し、シェルニティの頭を緩く撫で、額に軽く口づけを落とす。
「行っておいで。私は、あそこのベンチで待っている」
「え、ええ。行って来るわ」
「くれぐれも、私に支払わせることを忘れないように」
もう、うなずくだけで精一杯だった。
くるっと体を返し、足早に歩き出す。
まだ、心臓が、どきどきしていた。
(あ、あたり前のことなのに……なぜ、こんなに狼狽えなくてはならないの?)
シェルニティの指には、彼からもらった指輪がはめられている。
苺を象った宝石のついた可愛らしい指輪だ。
先頃、父親に対しても明確にしている。
彼は、シェルニティと婚姻予定。
すなわち、婚約者なのだ。
店の手前で、シェルニティは、ちらっと彼のほうを振り返った。
彼はベンチに座り、彼女に手を振ってみせる。
軽く振り返し、ササッと店の扉を開いて中に入った。
ほう…と、大きく息をつく。
彼女は、街に来たのも初めてなら、店に入ったのも初めてだった。
店の中を見回し、眩暈がする。
そこには「様々な」品が並んでいた。
シェルニティの知らないような物ばかりだ。
(こ、これほど種類があったなんて……服ひとつ選んだことがないのに……)
多くの色や形の物が、店中にあふれている。
こんなふうだと知っていたら、1人では来なかっただろう。
キサティーロの配慮から、シェルニティは王都の屋敷にいる際、複数のメイドと親しくなっている。
その中の誰かについて来てもらうべきだったのだ。
下着を専門に取り扱う店に入るのならば。
けれど、シェルニティは、少しだけ気にしていた。
あたり前にあってしかるべきことを、だ。
彼とは婚約している。
2人で暮らしてもいる。
当然に、そうした夜が訪れる可能性だってある。
婚姻前に、ベッドをともにすることは、いたって「普通」のこと。
貴族教育で、そう教わったのだから、間違いではないはずだ。
ならば「備えておく」のも当然、ということになる。
懇意になったメイドが選んだ下着に不満などない。
むしろ、気に入っているとさえ言えた。
今までだって、与えられたものを身につけてきたのだ。
持っているもので不都合が生じることなど、なにもない。
のだけれども。
なぜか、自分で選んだものを身につけたいと思った。
そして、新しいものを、とも思ってしまったのだ。
(だって……彼が、そうしたいのなら……それは、彼の権利だし……)
なにか違う気もしたが、シェルニティは、なにが違うと明確にはできずにいる。
未だ、男女の関係については、そういうものだと思っていた。
教育上では、子を成すために必要な行為だとされている。
そこには「恋」も「愛」も記されてはいない。
(それにしても……どれを選べばいいのか、わからないわ……)
店内を、きょろきょろと見回す。
何人かの女性が手に取って見ている姿に、自分も同じようにしてみることにした。
とりあえず。
「あなた……もしかして、ブレインバーグのシェルニティ様?」
背後からの声に、シェルニティは、伸ばしかけていた手を引っ込めて振り向く。
見知らぬ女性が立っていた。
服装から、貴族であるのは確かだ。
ドレスの仕立てがいいことにも気づく。
おそらく、侯爵家か公爵家の令嬢だろう。
「失礼いたしました。私は、ラドホープ侯爵家のディアトリーと申します」
「こちらこそ、失礼いたしました。社交界に関わることがなかったものですから、気づかずに申し訳ありません」
「事情は存じておりますわ。私も、あの夜会に出席しておりましたの」
あの夜会というのは、彼がシェルニティの「呪い」を解いた夜会のことだろう。
あの日は、大勢の貴族が集まっていた。
シェルニティの前にいる女性は、彼女より、少し年上に見える。
栗色の髪を結い上げ、目を引く赤いドレスの胸元は、大きく開いていた。
「今日は、ローエルハイド公爵様と、ご一緒ではないのですか?」
「いえ……彼……公爵様は、外に……」
急に、話が私的なものになったので戸惑う。
これまでの屋敷とは違い、王都の屋敷では勤め人たちと話すようになっている。
そのため、少しずつ「会話」に慣れ始めてはいた。
とはいえ、彼とのことを詮索するような話は、一切されていない。
逆に、シェルニティが、キサティーロに、彼について聞くことはあるけれど。
「シェルニティ様も大変ですわね」
ディアトリーという女性が、ちらっと、視線を店内に走らせる。
なぜか、羞恥に、シェルニティは、その場を逃げ出したくなった。
あたり前のことであり、なにも恥ずかしいことではないはずなのに。
「ラドホープは、リディッシュ公爵家の下位貴族でございましょう? ですから、同じ下位貴族のエデルトン伯爵家のことは、よく存じておりますのよ」
貴族の構成は、シェルニティも知っている。
どこの家がどこの家に連なっているか、派閥がどうなっているか。
学んだことは知識として頭にあった。
けれど、なぜ、その名が出てきたのかは、わからずにいる。
「公爵様は前の奥様を大層に愛しておられて、十年も1人でいらしたのですもの。シェルニティ様が、公爵様の愛を得ようと、必死になるのもわかりますわ」
その言葉に胸の奥が、ずきり、と痛んだ。
0
お気に入りに追加
279
あなたにおすすめの小説
ウソつき殿下と、ふつつか令嬢
たつみ
恋愛
伯爵家の1人娘セラフィーナは、17歳になるまで自由気ままに生きていた。
だが、突然、父から「公爵家の正妻選び」に申し込んだと告げられる。
正妻の座を射止めるために雇われた教育係は魔術師で、とんでもなく意地悪。
正妻になれなければ勘当される窮状にあるため、追い出すこともできない。
負けず嫌いな彼女は反発しつつも、なぜだか彼のことが気になり始めて。
そんな中、正妻候補の1人が、彼女を貶める計画を用意していた。
◇◇◇◇◇
設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
それを踏まえて、お読み頂ければと思います、なにとぞ。
R-Kingdom_10
他サイトでも掲載しています。
放蕩公爵と、いたいけ令嬢
たつみ
恋愛
公爵令嬢のシェルニティは、両親からも夫からも、ほとんど「いない者」扱い。
彼女は、右頬に大きな痣があり、外見重視の貴族には受け入れてもらえずにいた。
夫が側室を迎えた日、自分が「不要な存在」だと気づき、彼女は滝に身を投げる。
が、気づけば、見知らぬ男性に抱きかかえられ、死にきれないまま彼の家に。
その後、屋敷に戻るも、彼と会う日が続く中、突然、夫に婚姻解消を申し立てられる。
審議の場で「不義」の汚名を着せられかけた時、現れたのは、彼だった!
「いけないねえ。当事者を、1人、忘れて審議を開いてしまうなんて」
◇◇◇◇◇
設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
それを踏まえて、お読み頂ければと思います、なにとぞ。
R-Kingdom_8
他サイトでも掲載しています。
若輩当主と、ひよっこ令嬢
たつみ
恋愛
子爵令嬢アシュリリスは、次期当主の従兄弟の傍若無人ぶりに振り回されていた。
そんなある日、突然「公爵」が現れ、婚約者として公爵家の屋敷で暮らすことに!
屋敷での暮らしに慣れ始めた頃、別の女性が「離れ」に迎え入れられる。
そして、婚約者と「特別な客人(愛妾)」を伴い、夜会に出席すると言われた。
だが、屋敷の執事を意識している彼女は、少しも気に留めていない。
それよりも、執事の彼の言葉に、胸を高鳴らせていた。
「私でよろしければ、1曲お願いできますでしょうか」
◇◇◇◇◇
設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
それを踏まえて、お読み頂ければと思います、なにとぞ。
R-Kingdom_4
他サイトでも掲載しています。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。
うっかり王子と、ニセモノ令嬢
たつみ
恋愛
キーラミリヤは、6歳で日本という国から転移して十年、諜報員として育てられた。
諜報活動のため、男爵令嬢と身分を偽り、王宮で侍女をすることになる。
運よく、王太子と出会えたはいいが、次から次へと想定外のことばかり。
王太子には「女性といい雰囲気になれない」魔術が、かかっていたのだ!
彼と「いい雰囲気」になる気なんてないのに、彼女が近づくと、魔術が発動。
あげく、王太子と四六時中、一緒にいるはめに!
「情報収集する前に、私、召されそうなんですけどっ?!」
◇◇◇◇◇
設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
それを踏まえて、お読み頂ければと思います、なにとぞ。
R-Kingdom_11
他サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる