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なんでもアリはナシでしょう 4
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室内に響く音が、とても不快に感じる。
とはいえ、そんなことは表情にも出さず、知らん顔をしていた。
床に足を崩して座り、2人を黙って見ている。
薄灰色の髪と瞳の男と、同じ色の髪と瞳を持つ女だ。
「妾を決めただと? しかも、1人でいいとはどういうことだ?!」
「わかりません、父上。私にも、なにがなんだか……突然のことで……」
今年17歳になったばかりの従姉妹が、しくしく泣いていた。
服の袖で顔を隠しているところが、いかにも、といった様子だ。
彼女が「しくしく泣く」ような淑やかな女でないことくらい知っている。
そのため、見ていても、ちっとも同情心などわかない。
「どこの女だ?!」
「それも、わからないのです。ご寝所に入れてもくださらず……陛下は、私を追い返されました」
悔しさからか、ぎりぎりと歯を鳴らしている男は、叔父だ。
叔父には、3人の娘がいる。
中でも、評判の美人が末娘だった。
叔父の自慢の娘でもある。
すでに、上の2人の娘は、寝所役を務め終えていた。
そのどちらもが、妾には選ばれていない。
次の「お呼び」がかからなかった際、2人の娘を叔父は散々に罵っていた。
にもかかわらず「門前払い」を食らった末娘のことは、罵らずにいる。
むしろ、国王を相手に怒っていた。
(イファーヴに賭けてたのに、この有り様ではな。落胆もひとしおだろうよ)
結果が出ていない娘は、イファーヴのみ。
叔父は、彼女を国王の伴侶にすべく力を注いでいたのだ。
それが、寝所役を務めるまでもなく、追い返されたという。
腹を立てるのも無理はない。
たとえ、叔父の都合でしかないとしても。
「もう決まったことなのでしょう? 触れも出ているじゃありませんか」
夜半ではあったが、国王からの「お触れ」が出ていた。
宮仕えをしている者はもとより、国中が、ちょっとした騒ぎになっている。
「スヴァンテル! 陛下に、詳しく事情を聞いて来い!」
「えー、嫌ですよ、そんなの。従姉妹のイファーヴが追い返されているんだから、同じ従兄弟の私だって追い返されるに決まっているじゃありませんか」
「お前は、寝所役ではないだろう! 宮仕えの者として聞いて来ればいい!」
「無理ですって。1人に決めてしまうほど寵愛している妾と陛下が、今頃、なにをされていると思います? 邪魔をして殺されたくはありませんね」
そっけなく叔父を突き放した。
彼、スヴァンテル・ノッドルソンは、叔父の身勝手さに、うんざりしている。
直情的で思慮の浅い叔父が嫌いだった。
だいたい訊きに行きたいのなら、自分で行けばいいのだ。
叔父クスタヴィオ・イザリクソンは、国王にとっても叔父なのだし。
だが、両親を失ったスヴァンテルは、クスタヴィオの家に居候している身。
いくら不快でも、多少の我慢は必要だった。
本音を語ることはできない。
生きていくためには、しかたがなかった。
「明日になれば分かることでしょう? ひと晩くらいは我慢しませんか? 陛下の不興をかっても、いいことなんてありゃしませんよ」
スヴァンテルの言葉に、クスタヴィオも考えを変えたようだ。
国王の不興をかうのは、さすがに本意ではないらしい。
叔父は、傲慢で身勝手でありながら、小心者でもある。
そういうところも、見苦しくて嫌いだった。
「父上、これまで陛下は、寝所役の誰も、妾にはしておりません。昨夜の寝所役も次のお呼びがかからなかったと聞いております。それなのに……」
「いったい誰を妾にしたのかが、わからん」
「どこかから拾ってきたのかもしれませんねえ」
叔父が、スヴァンテルのほうに顔を向ける。
表情に、逡巡が見えた。
昨夜の者が選ばれていないなら、今夜までの間に寝所役を務めた者の中からは、誰も選ばれていないことになる。
今夜、寝所役を務めるはずだったイファーヴだけが見込みがあったはずなのだ。
それを、寝所に入れもせず、追い返した。
中には、すでに「妾」がいたからに違いない。
その程度のことは、叔父にもわかるはずだ。
だから、次に、どういう手を打つべきかで、悩んでいる。
宮仕えの者であれば、裏から手を回そうとでも思っていたのだろう。
が、外から入ってきた者だとすれば、その手は使えない。
「陛下は、雪嵐の様子を見に、境の外に出られたりしておられるでしょう? 少し遠出をしたかなにかの折に、女を見つけたってことも有り得る話です」
叔父が、視線を床に落とし、黙り込む。
イファーヴは「しくしく泣く」のをやめ、瞳に負の感情を宿らせていた。
彼女は、見た目のおしとやかさとは反して、気位が高い。
きっと、自分こそが選ばれると思い込んでいたはずだ。
(ああ、恐ろしい。なにをしでかすかわからない女に惚れられたくはないよな)
従兄弟でもある国王が、少しばかり気の毒に思える。
イザリクソン家の面々は、とかく権力欲が強かった。
父親しかり、3人の娘しかり。
宮の中心に座ることしか考えていないのだ。
前の前の国王イザリク・ワーガッドソンには、2人の息子と1人の娘がいた。
息子というのが、カイネンとクスタヴィオだ。
当然、兄カイネンが王位についている。
そのカイネンが急逝し、スヴァンテルの従兄弟、セジュルシアン・カイネンソンが、若き王として即位した。
それを、クスタヴィオは、良く思っていない。
即位後、叔父は重用されなかった。
セジュルシアンが、叔父をまったく頼りにしないことが気に食わないのだろう。
(頼りにできるような人じゃない上に、その自覚もないときてるんだから、始末に負えない)
はっきり言って、叔父は有能ではなかった。
権力にしか関心がなく、治世については疎い。
あげく、すぐに感情的になる。
重要な役どころを任せてもらえないのは、叔父自身に問題があるからなのだ。
「もし、それが有り得たなら……陛下の妾は、異国の女ということになります」
イファーヴの目つきが、いよいよ怖いものに変わっている。
見も知らない女に嫉妬し、憎しみを募らせているのが一目瞭然だ。
スヴァンテルは、そっとイファーヴから目をそむけた。
見ていると、自分にまで火の粉が飛んできそうな気がする。
心の中では、セジュルシアンが、叔父の家系から妻を選ぶことなど有り得ないと思っていた。
国王となった従兄弟は、公平で誠実な男だ。
権力重視の叔父や従姉妹を、身近に置くはずがない。
「異国の女……考えられなくはない……」
「テスアの次期国王に、異国の女の血を混ぜるなどあってはなりません、父上」
「当然だ! テスアは、他国との繋がりを絶つことで、平穏な日々を築いている。万が一にも、その女の属する国と繋がりを持つようなことになれば……」
「我が地が、他国に踏み荒らされるかもしれません」
スヴァンテルは、2人の会話を聞くともなく聞いていた。
聞き流しつつ、自分の艶のない銀色の髪をいじくっている。
国王となった従兄弟とは違い、銀色ではあるが、瞳にも陰りがあった。
いずれも、くすんだ色をしている。
見ると、いつも母親を思い出した。
クスタヴィオの妹が、スヴァンテルの母親なのだ。
産まれとしては、最も遅い。
テスアでは、国王になるのに、男も女もなかった。
第1子が王位を受け継いでいく。
もし、スヴァンテルの母親が第1子であれば、彼が国王となっていた。
だが、第2子以降は、等しく「臣民」となる。
王族だからといって、特別な扱いは、なにもなかった。
役目の軽重はあれど、上下の関係もない。
スヴァンテルも、単なる宮仕えの1人だ。
この国の頂点は、ただ1人。
彼の従兄弟だけだった。
輝く銀髪の持ち主、セジュルシアン・カイネンソン。
すべての臣民が、その足元に跪いている。
とはいえ、そんなことは表情にも出さず、知らん顔をしていた。
床に足を崩して座り、2人を黙って見ている。
薄灰色の髪と瞳の男と、同じ色の髪と瞳を持つ女だ。
「妾を決めただと? しかも、1人でいいとはどういうことだ?!」
「わかりません、父上。私にも、なにがなんだか……突然のことで……」
今年17歳になったばかりの従姉妹が、しくしく泣いていた。
服の袖で顔を隠しているところが、いかにも、といった様子だ。
彼女が「しくしく泣く」ような淑やかな女でないことくらい知っている。
そのため、見ていても、ちっとも同情心などわかない。
「どこの女だ?!」
「それも、わからないのです。ご寝所に入れてもくださらず……陛下は、私を追い返されました」
悔しさからか、ぎりぎりと歯を鳴らしている男は、叔父だ。
叔父には、3人の娘がいる。
中でも、評判の美人が末娘だった。
叔父の自慢の娘でもある。
すでに、上の2人の娘は、寝所役を務め終えていた。
そのどちらもが、妾には選ばれていない。
次の「お呼び」がかからなかった際、2人の娘を叔父は散々に罵っていた。
にもかかわらず「門前払い」を食らった末娘のことは、罵らずにいる。
むしろ、国王を相手に怒っていた。
(イファーヴに賭けてたのに、この有り様ではな。落胆もひとしおだろうよ)
結果が出ていない娘は、イファーヴのみ。
叔父は、彼女を国王の伴侶にすべく力を注いでいたのだ。
それが、寝所役を務めるまでもなく、追い返されたという。
腹を立てるのも無理はない。
たとえ、叔父の都合でしかないとしても。
「もう決まったことなのでしょう? 触れも出ているじゃありませんか」
夜半ではあったが、国王からの「お触れ」が出ていた。
宮仕えをしている者はもとより、国中が、ちょっとした騒ぎになっている。
「スヴァンテル! 陛下に、詳しく事情を聞いて来い!」
「えー、嫌ですよ、そんなの。従姉妹のイファーヴが追い返されているんだから、同じ従兄弟の私だって追い返されるに決まっているじゃありませんか」
「お前は、寝所役ではないだろう! 宮仕えの者として聞いて来ればいい!」
「無理ですって。1人に決めてしまうほど寵愛している妾と陛下が、今頃、なにをされていると思います? 邪魔をして殺されたくはありませんね」
そっけなく叔父を突き放した。
彼、スヴァンテル・ノッドルソンは、叔父の身勝手さに、うんざりしている。
直情的で思慮の浅い叔父が嫌いだった。
だいたい訊きに行きたいのなら、自分で行けばいいのだ。
叔父クスタヴィオ・イザリクソンは、国王にとっても叔父なのだし。
だが、両親を失ったスヴァンテルは、クスタヴィオの家に居候している身。
いくら不快でも、多少の我慢は必要だった。
本音を語ることはできない。
生きていくためには、しかたがなかった。
「明日になれば分かることでしょう? ひと晩くらいは我慢しませんか? 陛下の不興をかっても、いいことなんてありゃしませんよ」
スヴァンテルの言葉に、クスタヴィオも考えを変えたようだ。
国王の不興をかうのは、さすがに本意ではないらしい。
叔父は、傲慢で身勝手でありながら、小心者でもある。
そういうところも、見苦しくて嫌いだった。
「父上、これまで陛下は、寝所役の誰も、妾にはしておりません。昨夜の寝所役も次のお呼びがかからなかったと聞いております。それなのに……」
「いったい誰を妾にしたのかが、わからん」
「どこかから拾ってきたのかもしれませんねえ」
叔父が、スヴァンテルのほうに顔を向ける。
表情に、逡巡が見えた。
昨夜の者が選ばれていないなら、今夜までの間に寝所役を務めた者の中からは、誰も選ばれていないことになる。
今夜、寝所役を務めるはずだったイファーヴだけが見込みがあったはずなのだ。
それを、寝所に入れもせず、追い返した。
中には、すでに「妾」がいたからに違いない。
その程度のことは、叔父にもわかるはずだ。
だから、次に、どういう手を打つべきかで、悩んでいる。
宮仕えの者であれば、裏から手を回そうとでも思っていたのだろう。
が、外から入ってきた者だとすれば、その手は使えない。
「陛下は、雪嵐の様子を見に、境の外に出られたりしておられるでしょう? 少し遠出をしたかなにかの折に、女を見つけたってことも有り得る話です」
叔父が、視線を床に落とし、黙り込む。
イファーヴは「しくしく泣く」のをやめ、瞳に負の感情を宿らせていた。
彼女は、見た目のおしとやかさとは反して、気位が高い。
きっと、自分こそが選ばれると思い込んでいたはずだ。
(ああ、恐ろしい。なにをしでかすかわからない女に惚れられたくはないよな)
従兄弟でもある国王が、少しばかり気の毒に思える。
イザリクソン家の面々は、とかく権力欲が強かった。
父親しかり、3人の娘しかり。
宮の中心に座ることしか考えていないのだ。
前の前の国王イザリク・ワーガッドソンには、2人の息子と1人の娘がいた。
息子というのが、カイネンとクスタヴィオだ。
当然、兄カイネンが王位についている。
そのカイネンが急逝し、スヴァンテルの従兄弟、セジュルシアン・カイネンソンが、若き王として即位した。
それを、クスタヴィオは、良く思っていない。
即位後、叔父は重用されなかった。
セジュルシアンが、叔父をまったく頼りにしないことが気に食わないのだろう。
(頼りにできるような人じゃない上に、その自覚もないときてるんだから、始末に負えない)
はっきり言って、叔父は有能ではなかった。
権力にしか関心がなく、治世については疎い。
あげく、すぐに感情的になる。
重要な役どころを任せてもらえないのは、叔父自身に問題があるからなのだ。
「もし、それが有り得たなら……陛下の妾は、異国の女ということになります」
イファーヴの目つきが、いよいよ怖いものに変わっている。
見も知らない女に嫉妬し、憎しみを募らせているのが一目瞭然だ。
スヴァンテルは、そっとイファーヴから目をそむけた。
見ていると、自分にまで火の粉が飛んできそうな気がする。
心の中では、セジュルシアンが、叔父の家系から妻を選ぶことなど有り得ないと思っていた。
国王となった従兄弟は、公平で誠実な男だ。
権力重視の叔父や従姉妹を、身近に置くはずがない。
「異国の女……考えられなくはない……」
「テスアの次期国王に、異国の女の血を混ぜるなどあってはなりません、父上」
「当然だ! テスアは、他国との繋がりを絶つことで、平穏な日々を築いている。万が一にも、その女の属する国と繋がりを持つようなことになれば……」
「我が地が、他国に踏み荒らされるかもしれません」
スヴァンテルは、2人の会話を聞くともなく聞いていた。
聞き流しつつ、自分の艶のない銀色の髪をいじくっている。
国王となった従兄弟とは違い、銀色ではあるが、瞳にも陰りがあった。
いずれも、くすんだ色をしている。
見ると、いつも母親を思い出した。
クスタヴィオの妹が、スヴァンテルの母親なのだ。
産まれとしては、最も遅い。
テスアでは、国王になるのに、男も女もなかった。
第1子が王位を受け継いでいく。
もし、スヴァンテルの母親が第1子であれば、彼が国王となっていた。
だが、第2子以降は、等しく「臣民」となる。
王族だからといって、特別な扱いは、なにもなかった。
役目の軽重はあれど、上下の関係もない。
スヴァンテルも、単なる宮仕えの1人だ。
この国の頂点は、ただ1人。
彼の従兄弟だけだった。
輝く銀髪の持ち主、セジュルシアン・カイネンソン。
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