124 / 300
第2章 彼女の話は通じない
利害の模索 4
しおりを挟む
とりとめなく、あれこれと考える。
心は、行ったり来たりを繰り返していた。
自分でも、自分が煩わしい。
1人で「光合成ができたらいいのに」と思いながら、ただ生きていただけの毎日が懐かしいくらいだ。
自分には、なにもない。
けれど「なにか」は、しなければならないのだ。
時折、ひょいと「死のうかな」と思ったりもする。
そんな時は、いつも薄金色のひし形が目に入った。
フィッツを思うと、無意味に死んではいけない気持ちになる。
どうせ死ぬのなら「なにか」をしてから。
フィッツも「それならしかたありませんね」と言ってくれる「なにか」だ。
それを、彼女は考えている。
魔物の側に立ち、人の国を退けることが、唯一、できることかもしれない。
魔物側に「犠牲」が出る事態を、なるべく避けたかった。
(私の力って、どこまで通用するんだろう)
彼女の力は、言葉によるものだ。
声がとどく範囲に限られているのではないかと推測している。
薄っすらと記憶が残っていた。
アトゥリノの兵は、一斉に倒れたのではない。
ぼんやりとしている者たちに駆け寄ってきては、同じ状態になっていった。
つまり、影響のおよぶ範囲に、自ら踏み込んできたと言える。
なにが起きているのか確認しようとして、同じ穴に落ちたという具合だ。
そして、最後に走ってきたのは、ベンジャミン・サレス。
アトゥリノ兵が「壊れた」ことに驚いたのか、カサンドラを殺そうとしたのかはわからない。
だが、最後まで「無事」だった。
それは、彼女との距離が離れていたためだろう。
(あいつは……そんな離れたところから……フィッツを撃った……)
超遠距離狙撃銃。
フィッツから聞いた武器の名だ。
フィッツが対処できなかったほどなので、かなり距離があっても狙い撃ちが可能だとわかる。
ならば、彼女の影響範囲の外から攻撃する手段があると言えた。
(殺されるのは想定内としても……そのあと、どうなるか……だよね……)
自分が殺されてしまったら、魔物は無防備になってしまう。
だからこそ、魔物だけで取れる対抗手段も講じておかなければならないのだ。
彼女がいなくても戦えるように。
自分を切り札として戦うのがいいのか。
自分が前線に出て戦うのがいいのか。
そこでも、迷っている。
自分を切り札とすれば、先に魔物を前に出すことになるし、自分が先に出れば、魔物を後に残すことになってしまう。
彼女なしで、魔物がどこまでやれるのか。
やはり、それが課題となるのだ。
できれば、戦わせたくなんかない。
これは、彼女と追ってくる者たちとの問題だからだ。
かと言って、相手が問答無用だというのも、わかっている。
投降することを、何度も考えた。
人の国に帰り、ティトーヴァ・ヴァルキアに頼めばいいのかもしれない。
魔物の国に手出しをしないように約束させることは不可能ではないだろう。
ただし、これには決定的な問題があった。
彼女は「人の国」を信じていない。
なぜ、あの場に、あれほどのアトゥリノ兵がいたのか。
ベンジャミン・サレスは、なぜフィッツを殺したのか。
彼女は、繰り返し、フィッツを思い出している。
その中で、その行動の意味を悟ったのだ。
あの時、狙われていたのは「カサンドラ」だったと。
坑道でのことがあったあと、ディオンヌの後ろには誰かがいるという話もした。
それがロキティスなのか、ロキティスさえも、ただの「駒」なのか。
ともかく「人の国」には、カサンドラを殺したがっている「誰か」がいる。
(それはいいけど……あいつが約束したって、守られるかどうかわからない、ってのがね……)
少なくとも、ティトーヴァは、カサンドラを捕まえようとはしていたが、殺そうとはしていなかったはずだ。
にもかかわらず、最側近であるベンジャミンは、カサンドラを殺そうとした。
(あいつの意思も約束も、アテにはならないってことだよ)
当然だが、ティトーヴァと「会談」する前に殺されることも有り得る。
となれば、投降は無駄死にと等しい。
そもそも、ティトーヴァとの「会談」には、相当な抵抗感があるのだ。
望む結果が得られるとの確証がなければ、本当は「検討」すらしたくなかった。
「失礼いたしまする」
考え事にふけっていたので、突然の声に、びくっとする。
ザイードたちは、納屋に行っていて、家には彼女1人だった。
カサンドラの名を口にしたシャノンとは、あまり顔を合わせたくなかったため、一緒には行かなかったのだ。
入って来たのは、人型に変化したガリダの女。
ふんわりとした少し濃い色の緑の髪と、黒い目に茶の瞳孔をしている。
細身だが背は高く、ノノマよりも、ずっと大人びた顔立ちだ。
人ではないので美人という言葉は相応しくないだろうが「美しいガリダ」だとは思った。
「私は、ヨアナと申しまする」
キャスの座っていた書き物机の横に、正座をしてくる。
言われそうなことには、察しがついた。
ガリダが良くしてくれているとはいえ、全員が好意的だとは限らない。
深入りしたくないとの理由もあったが、我が物顔で領地内を出歩くのもどうかと思い、極力、キャスは外に出ないようにしている。
好意的でない民にとって、自分が歩き回る姿は癪に障るだろうと考えたからだ。
だが、訪ねて来たということは、癪に障る程度ではなかったのかもしれない。
「ガリダの地から……魔物の国から出て行ってくださりませ」
やっぱり、そういうことか、と思う。
キャスの存在が、魔物の国を脅かしているのは確かだ。
助けてくれと頼んだ覚えはないが、それを言うのは、あまりにも「恩知らず」だという自覚はある。
衣食住の世話してもらい生きながらえているのだから、「死にたかったのに」と反論するのは、さすがに憚られた。
「私が出て行っても、人は、ここに来ると思いますよ?」
「今なら、間に合いましょう? 人には、まだ壁を越えるすべがないと聞いておりまする。ですが、あなた様は壁を越えられますゆえ、人が壁を越えて来ぬうちに、帰っていただきたく存じまする」
ヨアナの言うことには、一理ある。
人が壁を越える技術を完成させるには、もう少し時間がかかるはずだ。
そのために「実験材料」が必要だったのではないかと、キャスは予想している。
(嫌な話だけど、ロキティスは動物実験してたんだ。中間種は、人間に近いしさ)
実際、シャノンは壁を越えられた。
あとは中間種と「人間」との誤差を埋めるだけ、という段階まで進んでいる。
とはいえ、それほど簡単でもないはずだ。
治験と同じで、身体への影響や副作用なども加味しなければならない。
だから、まだ時間はかかる。
「この先、人が来ないとは言えませんが、その時はどうするんですか?」
「私たちで対処いたしまする」
ヨアナが、正座した膝の上に両手を置いて握りしめていた。
うつむいて、その手を見ている。
家に入ってきた時から、ヨアナはキャスと、ほとんど視線を合わさずにいた。
いくばくかの心苦しさがあるのかもしれない。
「2百年です……2百年の間、我らは平和に生きてまいりました。あなた様が来るまで、人に脅かされることを考えずともよかったのでござりまする。その上、あのような、同胞かどうかも判然とせぬものまで来る始末……」
それも、一理ある。
シャノンは「カサンドラ」の名を出した。
カサンドラの名を捨てはしたが、それは自分の中でのことだ。
人の国では、今もって、彼女が「カサンドラ」であることは否定できない。
「私が出て行くとして、シャノンはどうします?」
危険かどうかの判断は、まだできていなかった。
シャノンの言葉を鵜呑みにはしていないし、怪しいとも思っている。
けれど、ほんのわずかではあるが「事実」だという可能性は残されていた。
「それも、こちらで対処いたしましょう」
当面、ダイスがあずかり、様子見をすることになっている。
危険だと判断すれば、魔物たちで対応するので関わるな、と言いたいようだ。
所詮「よそ者だと」ヨアナは、キャスに伝えている。
彼女自身、そう思っていた。
だから、いつも「出て行く」時のことを考えている。
(私が戻るまで、あいつは私を探すのをやめない。そのうち、ここに辿り着く。でも、私が戻れば探す理由はなくなるよね。そうなったら、壁越えの開発は不要、か……)
キャスが人の国に戻りたくない原因は、はっきりしていた。
ティトーヴァとの婚姻が嫌だからだ。
直接、本人が指示したわけではなくとも、フィッツを殺した副次的な要因。
ティトーヴァが「カサンドラ」を諦めていれば、ああはならなかった。
婚約の解消までして意思を示したのに、それをティトーヴァは無視したのだ。
とはいえ、それを「身勝手」だと言われれば、その通りだと言わざるを得ない。
魔物の国を巻き込んで争いを起こさせるほどのことかと言われれば、返す言葉もない。
ただし、彼女が人の国に戻ったとしても、魔物に「永遠の平穏」を約束することはできないのだ。
ロキティスは、禁忌を禁忌だと思っていない節がある。
「私が人の国に戻ったとして、その数年後に人が攻めて来ても、私は無関係ということでいいんですね? 手助けもできなくなりますけど」
「かまいませぬ」
ヨアナは、事の重大性を、どれほど理解しているだろうか。
きっとわかっていない。
けれど、キャスは、これ以上、問題をかかえることはできなかった。
ヨアナに、淡々とした口調で言う。
「あなたの考えはわかりました。すぐには決められませんが、考えてみます」
心は、行ったり来たりを繰り返していた。
自分でも、自分が煩わしい。
1人で「光合成ができたらいいのに」と思いながら、ただ生きていただけの毎日が懐かしいくらいだ。
自分には、なにもない。
けれど「なにか」は、しなければならないのだ。
時折、ひょいと「死のうかな」と思ったりもする。
そんな時は、いつも薄金色のひし形が目に入った。
フィッツを思うと、無意味に死んではいけない気持ちになる。
どうせ死ぬのなら「なにか」をしてから。
フィッツも「それならしかたありませんね」と言ってくれる「なにか」だ。
それを、彼女は考えている。
魔物の側に立ち、人の国を退けることが、唯一、できることかもしれない。
魔物側に「犠牲」が出る事態を、なるべく避けたかった。
(私の力って、どこまで通用するんだろう)
彼女の力は、言葉によるものだ。
声がとどく範囲に限られているのではないかと推測している。
薄っすらと記憶が残っていた。
アトゥリノの兵は、一斉に倒れたのではない。
ぼんやりとしている者たちに駆け寄ってきては、同じ状態になっていった。
つまり、影響のおよぶ範囲に、自ら踏み込んできたと言える。
なにが起きているのか確認しようとして、同じ穴に落ちたという具合だ。
そして、最後に走ってきたのは、ベンジャミン・サレス。
アトゥリノ兵が「壊れた」ことに驚いたのか、カサンドラを殺そうとしたのかはわからない。
だが、最後まで「無事」だった。
それは、彼女との距離が離れていたためだろう。
(あいつは……そんな離れたところから……フィッツを撃った……)
超遠距離狙撃銃。
フィッツから聞いた武器の名だ。
フィッツが対処できなかったほどなので、かなり距離があっても狙い撃ちが可能だとわかる。
ならば、彼女の影響範囲の外から攻撃する手段があると言えた。
(殺されるのは想定内としても……そのあと、どうなるか……だよね……)
自分が殺されてしまったら、魔物は無防備になってしまう。
だからこそ、魔物だけで取れる対抗手段も講じておかなければならないのだ。
彼女がいなくても戦えるように。
自分を切り札として戦うのがいいのか。
自分が前線に出て戦うのがいいのか。
そこでも、迷っている。
自分を切り札とすれば、先に魔物を前に出すことになるし、自分が先に出れば、魔物を後に残すことになってしまう。
彼女なしで、魔物がどこまでやれるのか。
やはり、それが課題となるのだ。
できれば、戦わせたくなんかない。
これは、彼女と追ってくる者たちとの問題だからだ。
かと言って、相手が問答無用だというのも、わかっている。
投降することを、何度も考えた。
人の国に帰り、ティトーヴァ・ヴァルキアに頼めばいいのかもしれない。
魔物の国に手出しをしないように約束させることは不可能ではないだろう。
ただし、これには決定的な問題があった。
彼女は「人の国」を信じていない。
なぜ、あの場に、あれほどのアトゥリノ兵がいたのか。
ベンジャミン・サレスは、なぜフィッツを殺したのか。
彼女は、繰り返し、フィッツを思い出している。
その中で、その行動の意味を悟ったのだ。
あの時、狙われていたのは「カサンドラ」だったと。
坑道でのことがあったあと、ディオンヌの後ろには誰かがいるという話もした。
それがロキティスなのか、ロキティスさえも、ただの「駒」なのか。
ともかく「人の国」には、カサンドラを殺したがっている「誰か」がいる。
(それはいいけど……あいつが約束したって、守られるかどうかわからない、ってのがね……)
少なくとも、ティトーヴァは、カサンドラを捕まえようとはしていたが、殺そうとはしていなかったはずだ。
にもかかわらず、最側近であるベンジャミンは、カサンドラを殺そうとした。
(あいつの意思も約束も、アテにはならないってことだよ)
当然だが、ティトーヴァと「会談」する前に殺されることも有り得る。
となれば、投降は無駄死にと等しい。
そもそも、ティトーヴァとの「会談」には、相当な抵抗感があるのだ。
望む結果が得られるとの確証がなければ、本当は「検討」すらしたくなかった。
「失礼いたしまする」
考え事にふけっていたので、突然の声に、びくっとする。
ザイードたちは、納屋に行っていて、家には彼女1人だった。
カサンドラの名を口にしたシャノンとは、あまり顔を合わせたくなかったため、一緒には行かなかったのだ。
入って来たのは、人型に変化したガリダの女。
ふんわりとした少し濃い色の緑の髪と、黒い目に茶の瞳孔をしている。
細身だが背は高く、ノノマよりも、ずっと大人びた顔立ちだ。
人ではないので美人という言葉は相応しくないだろうが「美しいガリダ」だとは思った。
「私は、ヨアナと申しまする」
キャスの座っていた書き物机の横に、正座をしてくる。
言われそうなことには、察しがついた。
ガリダが良くしてくれているとはいえ、全員が好意的だとは限らない。
深入りしたくないとの理由もあったが、我が物顔で領地内を出歩くのもどうかと思い、極力、キャスは外に出ないようにしている。
好意的でない民にとって、自分が歩き回る姿は癪に障るだろうと考えたからだ。
だが、訪ねて来たということは、癪に障る程度ではなかったのかもしれない。
「ガリダの地から……魔物の国から出て行ってくださりませ」
やっぱり、そういうことか、と思う。
キャスの存在が、魔物の国を脅かしているのは確かだ。
助けてくれと頼んだ覚えはないが、それを言うのは、あまりにも「恩知らず」だという自覚はある。
衣食住の世話してもらい生きながらえているのだから、「死にたかったのに」と反論するのは、さすがに憚られた。
「私が出て行っても、人は、ここに来ると思いますよ?」
「今なら、間に合いましょう? 人には、まだ壁を越えるすべがないと聞いておりまする。ですが、あなた様は壁を越えられますゆえ、人が壁を越えて来ぬうちに、帰っていただきたく存じまする」
ヨアナの言うことには、一理ある。
人が壁を越える技術を完成させるには、もう少し時間がかかるはずだ。
そのために「実験材料」が必要だったのではないかと、キャスは予想している。
(嫌な話だけど、ロキティスは動物実験してたんだ。中間種は、人間に近いしさ)
実際、シャノンは壁を越えられた。
あとは中間種と「人間」との誤差を埋めるだけ、という段階まで進んでいる。
とはいえ、それほど簡単でもないはずだ。
治験と同じで、身体への影響や副作用なども加味しなければならない。
だから、まだ時間はかかる。
「この先、人が来ないとは言えませんが、その時はどうするんですか?」
「私たちで対処いたしまする」
ヨアナが、正座した膝の上に両手を置いて握りしめていた。
うつむいて、その手を見ている。
家に入ってきた時から、ヨアナはキャスと、ほとんど視線を合わさずにいた。
いくばくかの心苦しさがあるのかもしれない。
「2百年です……2百年の間、我らは平和に生きてまいりました。あなた様が来るまで、人に脅かされることを考えずともよかったのでござりまする。その上、あのような、同胞かどうかも判然とせぬものまで来る始末……」
それも、一理ある。
シャノンは「カサンドラ」の名を出した。
カサンドラの名を捨てはしたが、それは自分の中でのことだ。
人の国では、今もって、彼女が「カサンドラ」であることは否定できない。
「私が出て行くとして、シャノンはどうします?」
危険かどうかの判断は、まだできていなかった。
シャノンの言葉を鵜呑みにはしていないし、怪しいとも思っている。
けれど、ほんのわずかではあるが「事実」だという可能性は残されていた。
「それも、こちらで対処いたしましょう」
当面、ダイスがあずかり、様子見をすることになっている。
危険だと判断すれば、魔物たちで対応するので関わるな、と言いたいようだ。
所詮「よそ者だと」ヨアナは、キャスに伝えている。
彼女自身、そう思っていた。
だから、いつも「出て行く」時のことを考えている。
(私が戻るまで、あいつは私を探すのをやめない。そのうち、ここに辿り着く。でも、私が戻れば探す理由はなくなるよね。そうなったら、壁越えの開発は不要、か……)
キャスが人の国に戻りたくない原因は、はっきりしていた。
ティトーヴァとの婚姻が嫌だからだ。
直接、本人が指示したわけではなくとも、フィッツを殺した副次的な要因。
ティトーヴァが「カサンドラ」を諦めていれば、ああはならなかった。
婚約の解消までして意思を示したのに、それをティトーヴァは無視したのだ。
とはいえ、それを「身勝手」だと言われれば、その通りだと言わざるを得ない。
魔物の国を巻き込んで争いを起こさせるほどのことかと言われれば、返す言葉もない。
ただし、彼女が人の国に戻ったとしても、魔物に「永遠の平穏」を約束することはできないのだ。
ロキティスは、禁忌を禁忌だと思っていない節がある。
「私が人の国に戻ったとして、その数年後に人が攻めて来ても、私は無関係ということでいいんですね? 手助けもできなくなりますけど」
「かまいませぬ」
ヨアナは、事の重大性を、どれほど理解しているだろうか。
きっとわかっていない。
けれど、キャスは、これ以上、問題をかかえることはできなかった。
ヨアナに、淡々とした口調で言う。
「あなたの考えはわかりました。すぐには決められませんが、考えてみます」
0
お気に入りに追加
321
あなたにおすすめの小説
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
私と一緒にいることが苦痛だったと言われ、その日から夫は家に帰らなくなりました。
田太 優
恋愛
結婚して1年も経っていないというのに朝帰りを繰り返す夫。
結婚すれば変わってくれると信じていた私が間違っていた。
だからもう離婚を考えてもいいと思う。
夫に離婚の意思を告げたところ、返ってきたのは私を深く傷つける言葉だった。
もう彼女でいいじゃないですか
キムラましゅろう
恋愛
ある日わたしは婚約者に婚約解消を申し出た。
常にわたし以外の女を腕に絡ませている事に耐えられなくなったからだ。
幼い頃からわたしを溺愛する婚約者は婚約解消を絶対に認めないが、わたしの心は限界だった。
だからわたしは行動する。
わたしから婚約者を自由にするために。
わたしが自由を手にするために。
残酷な表現はありませんが、
性的なワードが幾つが出てきます。
苦手な方は回れ右をお願いします。
小説家になろうさんの方では
ifストーリーを投稿しております。
【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる