18 / 64
変化の予兆 2
しおりを挟む
ハインリヒは、イライラしながら待っていた。
客室に通されてから長く待たされている気がする。
実際の時間は、そう経っていないのだが、それはともかく。
もう半月もアシュリーの姿を見ていない。
ローエルハイドの屋敷で、どう過ごしているのか、わからないのだ。
4年もかけて、せっかく思い通りにできるようになった。
それを台無しにされている。
考えると、気が急き、なんにでもイライラした。
(爺さんの奴、俺を手ぶらで帰す気じゃねぇよな)
連絡があったので、ハインリヒは一刻を争うようにして祖父を訪ねた。
馬車の中から何度も御者を蹴飛ばし、急がせたのだ。
にもかかわらず、祖父の屋敷の客室で待たされている。
急いできた意味が、まったくないと感じるほどに。
室内は、意外なことに質素だった。
客室といっても、客室ではないからだと知っている。
商人として「客」を迎える時には、別の客室を使うのだ。
そちらは、調度品から装飾品まで、すべてが高級な物で飾り立てられていた。
まともな取引ができると瞬時にわからせるためらしい。
だが、商人気質になど興味のないハインリヒには、どうでもいいと感じられる。
常々、自分と祖父は違うと思っていた。
商人よりも貴族のほうがいい。
金があるのはなによりだが、身分で言えば下に位置する存在なのだ。
ハインリヒは貴族に諂う祖父を内心では軽蔑している。
アシュリーのことがなければ祖父に頼ろうとは思わなかった。
むしろ、できるだけ距離を置いておきたかった相手だ。
イライラがさらに募って、イスに座る気にもならない。
かと言って、子爵家のように物に八つ当たりすることもできずにいる。
祖父の機嫌を損ねれば、頼みの綱が切れてしまうからだ。
さすがに、そこはわきまえていた。
「待たせたな、ヘンリー」
声とともに、祖父が客室に入ってくる。
ようやく、との思いに、少しだけイライラがおさまった。
それでも気が急く。
祖父がソファに座るのと合わせて、ハインリヒも腰をおろした。
テーブルを挟み、向かい側にいる祖父のほうへと体を乗り出す。
両手を組んで、軽く顎の下に置き、祖父が口を開くのを待った。
挨拶も忘れるくらいに、じりじりしている。
「お前はティンザー公爵家の令嬢を知っているか?」
「……は? ティンザー、ですか……?」
アシュリーとは、まるで関係のない話を持ち出され、眉間に皺が寄った。
それでも、精一杯、癇癪を抑える。
「いいか、ヘンリー。なんでも物事には繋がりというものがある。お前のように直接的な手立てでは手に入らないものもあるんだぞ」
「それとティンザーが、どういう関係があるのですか?」
メイドが入ってきて、いったん、祖父が口を閉じた。
祖父にお茶を出し、ハインリヒには冷めたお茶を淹れ直し、メイドが出て行く。
その、たったわずかな間も、イライラしていた。
子爵家であれば、邪魔をするなと、メイドを殴っていたに違いない。
「ティンザーには息子と娘が1人ずついる。その娘の姿を、最近、見ないらしい」
「ですが……ティンザーの令嬢は、あまり夜会にも顔を出さないと聞きます」
祖父は、子爵家の分家にだけは金を惜しまず援助している。
その金で、ハインリヒは高級なサロンにも出入りをしていた。
時折、耳にしていたティンザーの娘の噂を思い出す。
たいていは外見のことで嘲笑されていた。
肉付きがいいのなら豚のほうが使い道がある、とかなんとか。
酷い言われようなのは間違いない。
だとしても、貴族とは、そういうものだ。
体裁の次に重んじるのが外見だった。
見た目に美しくないものは、なんにしたって価値がないと見做される。
ハインリヒも貴族らしい価値観を否定しない。
アシュリーへの執着も、ひとつには「容姿」にあると自覚していた。
彼女は、大人になれば、誰しもが見惚れずにはいられないほど美しくなる。
ハインリヒには、その確信があった。
彼はアシュリーにしか興味がない。
その上、外見で嘲笑されるような女に、なおさら関心など持てるはずがない。
つまり、ティンザーの娘については、ほとんどなにも知らないということだ。
「一方、アドラント領では、妙な動きがある」
「ローエルハイドですか?」
「そうだ。アシュリリスは14歳だろう。だが、こちらが売った生地の量や柄は、14歳に似つかわしいとは言えん。おまけに、食料品なども、これまでの量よりも確実に増えている」
祖父が、物問いたげな視線を向けてきた。
これだけの情報を与えてもわからないのか、と言いたいのだろう。
ハインリヒは、奥歯を、ギリギリ軋ませる。
祖父の示唆を理解できなかったからではない。
逆だ。
「……ローエルハイドには、ほかに女がいるのですね。アシュリー以外の、年上の女が」
アシュリーを自分から取り上げておきながら、ローエルハイドの当主は別の女を囲っている。
気づいたからこそ、怒りに体が震えた。
ならば、なぜアシュリーを連れ去ったのか。
ほかの女でいいのなら、アシュリーでなくとも良かったはずだ。
カサ。
音に、ハインリヒは、テーブルの上に置かれたものに視線を移す。
本当は、すぐにでもアドラント領に乗り込みたい気分ではあった。
が、自分の力が及ばないのは嫌というほど知っている。
それはハインリヒが貴族だからだ。
どれほど傲慢で横柄な振る舞いをしていても身分に縛られている。
ローエルハイドは公爵家で、桁違いに格も高い。
どうあがいても、子爵家ごときでは太刀打ちできないのだ。
祖父が、高位の貴族にハインリヒの母を嫁がせなかったことを恨みに思う。
だが、これもいたしかたがないと、頭ではわかっていた。
子爵家だからこそ、商人の娘でも「正妻」の座におさまることができたのだ。
「ラウズワースの夜会?」
「ティンザーの娘は、ラウズワースの次男と婚姻する予定だった。婚約が、近々、公にされるという話は周知の事実だ」
「しかし、ティンザーの娘はローエルハイドに……」
言いかけて、ハッとなった。
どういう理由からかは知らないし、どうでもいい。
祖父の読みが正しければ、ティンザーの娘とラウズワースの子息との婚姻は、確実に破談になる。
いくら大きな派閥持ちのラウズワースとて、ローエルハイドが相手では話にならないのだ。
「ローエルハイドが出て来るというのですか?」
唇を舐めながら、ハインリヒは注意深く祖父を観察する。
感情を面に出さない人だが、わずかに不快感が漂っているのが見てとれた。
祖父は、この展開を望んでいない。
なにか画策でもしていたのか。
ともあれ、己の立てた計画になんらかの「支障」を感じているのだ。
「この招待状は半月以上前に届いている。同時期に、仕立屋が屋敷に呼ばれたそうだ。しかも、2人」
「では……アシュリーとティンザーの娘、2人を伴って……?」
普通の貴族では考えられない。
けれど「ローエルハイド」なら有り得る。
祖父が、招待状を人差し指で、コツと突いた。
すでに手は回してある。
祖父は、セシエヴィル子爵家の上位貴族、ラペル公爵家にも影響力があった。
大金を貸しつけているため、ラペルは祖父の言いなりなのだ。
すっかり落ちぶれている公爵家は、祖父の金なしには暮らしもままならない。
「ラペルの息子とはサロン仲間だろう」
「ええ、フリッツには、私の金でサロン通いをさせています」
「いいことだ。なにかあった時、責任を取る者が必要だからな」
ラペル公爵家の次期当主フレデリックもまた、ハインリヒの言うなりだった。
公爵家の子息でありながら、ハインリヒがいなければ、サロンに入ることもできないのが、フレデリックの現実なのだ。
「この招待状、私がもらい受けてよろしいのですね?」
「そのために手にいれたものだ。有効に使え」
祖父は、孫に良くしてやろうなどとは思っていない。
なにかほかに考えがあるのだろうが、気にするのはやめておく。
祖父は祖父の、自分は自分のやりたいようにするだけだと、思っていた。
客室に通されてから長く待たされている気がする。
実際の時間は、そう経っていないのだが、それはともかく。
もう半月もアシュリーの姿を見ていない。
ローエルハイドの屋敷で、どう過ごしているのか、わからないのだ。
4年もかけて、せっかく思い通りにできるようになった。
それを台無しにされている。
考えると、気が急き、なんにでもイライラした。
(爺さんの奴、俺を手ぶらで帰す気じゃねぇよな)
連絡があったので、ハインリヒは一刻を争うようにして祖父を訪ねた。
馬車の中から何度も御者を蹴飛ばし、急がせたのだ。
にもかかわらず、祖父の屋敷の客室で待たされている。
急いできた意味が、まったくないと感じるほどに。
室内は、意外なことに質素だった。
客室といっても、客室ではないからだと知っている。
商人として「客」を迎える時には、別の客室を使うのだ。
そちらは、調度品から装飾品まで、すべてが高級な物で飾り立てられていた。
まともな取引ができると瞬時にわからせるためらしい。
だが、商人気質になど興味のないハインリヒには、どうでもいいと感じられる。
常々、自分と祖父は違うと思っていた。
商人よりも貴族のほうがいい。
金があるのはなによりだが、身分で言えば下に位置する存在なのだ。
ハインリヒは貴族に諂う祖父を内心では軽蔑している。
アシュリーのことがなければ祖父に頼ろうとは思わなかった。
むしろ、できるだけ距離を置いておきたかった相手だ。
イライラがさらに募って、イスに座る気にもならない。
かと言って、子爵家のように物に八つ当たりすることもできずにいる。
祖父の機嫌を損ねれば、頼みの綱が切れてしまうからだ。
さすがに、そこはわきまえていた。
「待たせたな、ヘンリー」
声とともに、祖父が客室に入ってくる。
ようやく、との思いに、少しだけイライラがおさまった。
それでも気が急く。
祖父がソファに座るのと合わせて、ハインリヒも腰をおろした。
テーブルを挟み、向かい側にいる祖父のほうへと体を乗り出す。
両手を組んで、軽く顎の下に置き、祖父が口を開くのを待った。
挨拶も忘れるくらいに、じりじりしている。
「お前はティンザー公爵家の令嬢を知っているか?」
「……は? ティンザー、ですか……?」
アシュリーとは、まるで関係のない話を持ち出され、眉間に皺が寄った。
それでも、精一杯、癇癪を抑える。
「いいか、ヘンリー。なんでも物事には繋がりというものがある。お前のように直接的な手立てでは手に入らないものもあるんだぞ」
「それとティンザーが、どういう関係があるのですか?」
メイドが入ってきて、いったん、祖父が口を閉じた。
祖父にお茶を出し、ハインリヒには冷めたお茶を淹れ直し、メイドが出て行く。
その、たったわずかな間も、イライラしていた。
子爵家であれば、邪魔をするなと、メイドを殴っていたに違いない。
「ティンザーには息子と娘が1人ずついる。その娘の姿を、最近、見ないらしい」
「ですが……ティンザーの令嬢は、あまり夜会にも顔を出さないと聞きます」
祖父は、子爵家の分家にだけは金を惜しまず援助している。
その金で、ハインリヒは高級なサロンにも出入りをしていた。
時折、耳にしていたティンザーの娘の噂を思い出す。
たいていは外見のことで嘲笑されていた。
肉付きがいいのなら豚のほうが使い道がある、とかなんとか。
酷い言われようなのは間違いない。
だとしても、貴族とは、そういうものだ。
体裁の次に重んじるのが外見だった。
見た目に美しくないものは、なんにしたって価値がないと見做される。
ハインリヒも貴族らしい価値観を否定しない。
アシュリーへの執着も、ひとつには「容姿」にあると自覚していた。
彼女は、大人になれば、誰しもが見惚れずにはいられないほど美しくなる。
ハインリヒには、その確信があった。
彼はアシュリーにしか興味がない。
その上、外見で嘲笑されるような女に、なおさら関心など持てるはずがない。
つまり、ティンザーの娘については、ほとんどなにも知らないということだ。
「一方、アドラント領では、妙な動きがある」
「ローエルハイドですか?」
「そうだ。アシュリリスは14歳だろう。だが、こちらが売った生地の量や柄は、14歳に似つかわしいとは言えん。おまけに、食料品なども、これまでの量よりも確実に増えている」
祖父が、物問いたげな視線を向けてきた。
これだけの情報を与えてもわからないのか、と言いたいのだろう。
ハインリヒは、奥歯を、ギリギリ軋ませる。
祖父の示唆を理解できなかったからではない。
逆だ。
「……ローエルハイドには、ほかに女がいるのですね。アシュリー以外の、年上の女が」
アシュリーを自分から取り上げておきながら、ローエルハイドの当主は別の女を囲っている。
気づいたからこそ、怒りに体が震えた。
ならば、なぜアシュリーを連れ去ったのか。
ほかの女でいいのなら、アシュリーでなくとも良かったはずだ。
カサ。
音に、ハインリヒは、テーブルの上に置かれたものに視線を移す。
本当は、すぐにでもアドラント領に乗り込みたい気分ではあった。
が、自分の力が及ばないのは嫌というほど知っている。
それはハインリヒが貴族だからだ。
どれほど傲慢で横柄な振る舞いをしていても身分に縛られている。
ローエルハイドは公爵家で、桁違いに格も高い。
どうあがいても、子爵家ごときでは太刀打ちできないのだ。
祖父が、高位の貴族にハインリヒの母を嫁がせなかったことを恨みに思う。
だが、これもいたしかたがないと、頭ではわかっていた。
子爵家だからこそ、商人の娘でも「正妻」の座におさまることができたのだ。
「ラウズワースの夜会?」
「ティンザーの娘は、ラウズワースの次男と婚姻する予定だった。婚約が、近々、公にされるという話は周知の事実だ」
「しかし、ティンザーの娘はローエルハイドに……」
言いかけて、ハッとなった。
どういう理由からかは知らないし、どうでもいい。
祖父の読みが正しければ、ティンザーの娘とラウズワースの子息との婚姻は、確実に破談になる。
いくら大きな派閥持ちのラウズワースとて、ローエルハイドが相手では話にならないのだ。
「ローエルハイドが出て来るというのですか?」
唇を舐めながら、ハインリヒは注意深く祖父を観察する。
感情を面に出さない人だが、わずかに不快感が漂っているのが見てとれた。
祖父は、この展開を望んでいない。
なにか画策でもしていたのか。
ともあれ、己の立てた計画になんらかの「支障」を感じているのだ。
「この招待状は半月以上前に届いている。同時期に、仕立屋が屋敷に呼ばれたそうだ。しかも、2人」
「では……アシュリーとティンザーの娘、2人を伴って……?」
普通の貴族では考えられない。
けれど「ローエルハイド」なら有り得る。
祖父が、招待状を人差し指で、コツと突いた。
すでに手は回してある。
祖父は、セシエヴィル子爵家の上位貴族、ラペル公爵家にも影響力があった。
大金を貸しつけているため、ラペルは祖父の言いなりなのだ。
すっかり落ちぶれている公爵家は、祖父の金なしには暮らしもままならない。
「ラペルの息子とはサロン仲間だろう」
「ええ、フリッツには、私の金でサロン通いをさせています」
「いいことだ。なにかあった時、責任を取る者が必要だからな」
ラペル公爵家の次期当主フレデリックもまた、ハインリヒの言うなりだった。
公爵家の子息でありながら、ハインリヒがいなければ、サロンに入ることもできないのが、フレデリックの現実なのだ。
「この招待状、私がもらい受けてよろしいのですね?」
「そのために手にいれたものだ。有効に使え」
祖父は、孫に良くしてやろうなどとは思っていない。
なにかほかに考えがあるのだろうが、気にするのはやめておく。
祖父は祖父の、自分は自分のやりたいようにするだけだと、思っていた。
0
お気に入りに追加
249
あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」


あなたの妻にはなりません
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。
彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。
幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。
彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。
悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。
彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。
あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。
悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。
「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる