7 / 64
必然の再会 3
しおりを挟む
結論から言うと、広い。
その、ひと言だった。
案内された自分の部屋の広さに、アシュリーは驚いている。
公爵と会ってから、驚くことばかりだ。
「こちらは、私室となります。あちらが衣装室、そちらが寝室。それと、あの奥が書斎にございます。浴室は、その扉の向こうにあります」
私室と言われた室内には、いくつもの扉があった。
案内がし易いようにだろう、浴室と言われた扉以外、今は開け放たれている。
向かって左が衣装室、反対側に寝室、その隣が書斎。
浴室は、衣装室の手前、私室の扉近くにあるようだ。
「お部屋の中に浴室もあるなんて……本当に、私が使ってもいいのでしょうか?」
あまりの広さと豪華さに、気後れがする。
子爵家での部屋とは、あまりに違い過ぎていた。
ここは、子爵家の小ホール並みの広さがあるのだ。
しかも、自分専用の浴室が室内にあるなんて信じられない。
「姫様は、ご婚約者との立場にございます。引け目に感じられることなど、なにもございません」
執事のジョバンニが言う。
公爵とは別の種類の穏やかさが、口調に漂っていた。
宥めるような、安心させるような物言いが、なんだか心地いい。
こんなふうに語りかけられると、うっかり心の裡を明かしてしまいそうだ。
(まだ会ったばかりの人に、あれこれ言うのは失礼だわ。気をつけなくちゃ……)
公爵もそうだが、ジョバンニもハインリヒのように豹変するとは思えなかった。
だが、役目柄、ジョバンニは、嫌なことでも嫌とは言えない。
気づかず、我慢させてしまうことになる可能性があるのだ。
実際、公爵もジョバンニも、アシュリーからすれば「大人」なのだし。
(子供だからしかたないって思われないように、頑張らないと……)
まだ少しも実感がないが、自分は、どうやら公爵の婚約者らしい。
なにかおかしな振る舞いをすれば、公爵に恥をかかせることになる。
子供だからという理由で許してもらえるとしても、そういう事態になることは、できるだけ避けたかった。
「あちらに姫様の持ち物を置いております。姫様がお疲れでなければ、明日にでも荷ほどきをいたしましょう」
「あれは……私の部屋から?」
「旦那様が、お帰りの際、一緒に持ち戻られました」
セシエヴィル子爵家にあったアシュリーの持ち物が、部屋の端に置かれている。
一緒に持ち戻ったと言うが、公爵に、そんな様子は微塵もなかった。
きっと魔術を使ったに違いない。
ほとんど魔術を見たことのないアシュリーにとっては、やはり驚きだ。
「ジェレミー様は、本当にすごい魔術師なのですね」
「それは間違いございませんが……」
ジョバンニが、ほんの少し笑う。
少し吊り気味の目が細められ、ひどく印象が変わっていた。
きつくて厳しそうな顔立ちが、ふんわりとやわらかくなったのだ。
「物の移動は人の移動より簡単ですから、魔術師なら誰でもが使える魔術です」
アシュリーは、これまで魔術師を恐れてきた。
なぜか「良くない者」だと感じ、避けてきている。
けれど、ジョバンニの話を聞いていて、好奇心がわいていた。
自分が使えるようになれるわけではないが、もっと知りたくなっている。
「それなら、さっきの柱を出すほうが難しい魔術だったのでしょうか?」
「さようにございます。あれは点門と申しまして……」
「ジョバンニ、今夜は遅いので、お話は明日にしませんか?」
リビーに言われ、ジョバンニが口を閉じた。
アシュリーは、しまった、と思う。
自分が話を長引かせてしまったせいで、ジョバンニに迷惑をかけてしまった。
焦って、2人に頭を下げる。
「すみません。私が、よけいなことを聞いてしまいました」
「姫様っ?!」
リビーの焦ったような声が聞こえた。
アシュリーには同じ年頃の友達もおらず、勤め人たちとも親しくなかったため、距離感がわからずにいる。
だから、自分が悪かったのだと思い、素直に詫びているだけだった。
少なくとも、アシュリーは、ハインリヒの考えには賛同していない。
『使用人は使用人として扱わねぇと駄目だ。俺たちとは違うんだからな』
そう言って、ハインリヒは、よく勤め人に手を上げていたのだ。
見るたびに、嫌な気分になっていた。
それが自分のせいだと思うと、罪悪感から、彼らに近づけなくなってもいる。
とはいえ、ここにハインリヒはいない。
アシュリーに詫びさせたと咎められ、勤め人が殴られることもないのだ。
「頭を、お上げくざたい、姫様。リビーは、私の話が長くなるのを知っているので姫様の体調を心配しただけなのです」
「そ、そうです! 姫様が頭を下げられるなんて……っ……」
アシュリーは、そろっと頭を上げる。
リビーは焦った表情を浮かべており、また申し訳ないような気分になった。
だが、ここで詫びれば、なおさらリビーを戸惑わせるに違いない。
「それから、姫様。私どもに、そうした話されかたはなさらないでくださいませ。気楽に話していただくほうが、私どもも気負わずにすみますので」
「いきなり変えるのは難しいと思いますが、少しずつ慣れてくだされば、私たちも嬉しいのですよ、姫様」
アシュリーは、小さくうなずいた。
リビーの言うように、いきなりは難しいと感じたのだ。
この4年、誰とも踏み込んだつきあいをしたことがなかったので、どうしても、構えてしまうところがある。
「魔術の話は、また改めていたしましょう」
ジョバンニの言葉にも、うなずいておいた。
どういうふうに「長い話」になるのかはともかく、聞いてみたい気持ちは残っている。
ジョバンニが、リビーのほうに顔を向けた。
「では、あとは頼めるかな?」
「かしこまりました」
顔をアシュリーのほうに戻し、ジョバンニは軽く会釈をする。
物慣れた仕草に、品があると感じた。
子爵家の執事に品がなかったわけではないが、優雅さに欠けていた気がする。
ジョバンニの動きは優雅さもあり、つい見惚れそうになるのだ。
「私は、これで下がらせていただきます。ごゆっくり、お休みくださいませ」
「お、おやすみなさい」
精一杯「気軽な」調子で言うと、ジョバンニが、にっこりした。
やはり印象がパッと代わり、心臓が大きく跳ね上がる。
嬉しいような気恥ずかしいような気持ちになっていた。
その笑顔を残し、ジョバンニが退室する。
ほう…と、軽く息をついた。
ジョバンニの仕草や笑顔に、アシュリーは、そわそわする。
どういうわけだか、甘えて抱き着きたいような気分になるので困ってしまう。
初めて会った人なのに、自分で自分の感情に戸惑っていた。
「言葉って、変えるのは難しいですよね」
リビーの言葉に、ハッとなる。
見れば、リビーが苦笑していた。
「私は、こちらに勤めて半年なのですが、彼を呼び捨てにすることに最初は抵抗と言いますか……呼びにくさがありました。倍以上も年上ですし、私より立場も上のかたですから」
「……わかります……」
「ですよね。ただ、この屋敷では、それが普通らしくて、みんな、彼をジョバンニと呼び捨てにします。歳も立場もおかまいなしなんですよ」
そう言えば、公爵も自ら「貴族らしくない貴族」だと言っていたのを思い出す。
貴族によって、それぞれ家風があるのは知っていた。
だとしても、ほかの貴族はともかく、ローエルハイドは「謎」だったのだ。
情報が少ないらしく、教育係の女性教師も、ほとんど知らないと話していた。
「私も慣れましたし、そのうち、姫様も慣れると思います」
その言葉に、気づかされる。
これから、まだ2年あるのだ。
今日は初日で、先は長い。
少しずつ慣れていくよう、自分も努力しようと、アシュリーは思った。
その、ひと言だった。
案内された自分の部屋の広さに、アシュリーは驚いている。
公爵と会ってから、驚くことばかりだ。
「こちらは、私室となります。あちらが衣装室、そちらが寝室。それと、あの奥が書斎にございます。浴室は、その扉の向こうにあります」
私室と言われた室内には、いくつもの扉があった。
案内がし易いようにだろう、浴室と言われた扉以外、今は開け放たれている。
向かって左が衣装室、反対側に寝室、その隣が書斎。
浴室は、衣装室の手前、私室の扉近くにあるようだ。
「お部屋の中に浴室もあるなんて……本当に、私が使ってもいいのでしょうか?」
あまりの広さと豪華さに、気後れがする。
子爵家での部屋とは、あまりに違い過ぎていた。
ここは、子爵家の小ホール並みの広さがあるのだ。
しかも、自分専用の浴室が室内にあるなんて信じられない。
「姫様は、ご婚約者との立場にございます。引け目に感じられることなど、なにもございません」
執事のジョバンニが言う。
公爵とは別の種類の穏やかさが、口調に漂っていた。
宥めるような、安心させるような物言いが、なんだか心地いい。
こんなふうに語りかけられると、うっかり心の裡を明かしてしまいそうだ。
(まだ会ったばかりの人に、あれこれ言うのは失礼だわ。気をつけなくちゃ……)
公爵もそうだが、ジョバンニもハインリヒのように豹変するとは思えなかった。
だが、役目柄、ジョバンニは、嫌なことでも嫌とは言えない。
気づかず、我慢させてしまうことになる可能性があるのだ。
実際、公爵もジョバンニも、アシュリーからすれば「大人」なのだし。
(子供だからしかたないって思われないように、頑張らないと……)
まだ少しも実感がないが、自分は、どうやら公爵の婚約者らしい。
なにかおかしな振る舞いをすれば、公爵に恥をかかせることになる。
子供だからという理由で許してもらえるとしても、そういう事態になることは、できるだけ避けたかった。
「あちらに姫様の持ち物を置いております。姫様がお疲れでなければ、明日にでも荷ほどきをいたしましょう」
「あれは……私の部屋から?」
「旦那様が、お帰りの際、一緒に持ち戻られました」
セシエヴィル子爵家にあったアシュリーの持ち物が、部屋の端に置かれている。
一緒に持ち戻ったと言うが、公爵に、そんな様子は微塵もなかった。
きっと魔術を使ったに違いない。
ほとんど魔術を見たことのないアシュリーにとっては、やはり驚きだ。
「ジェレミー様は、本当にすごい魔術師なのですね」
「それは間違いございませんが……」
ジョバンニが、ほんの少し笑う。
少し吊り気味の目が細められ、ひどく印象が変わっていた。
きつくて厳しそうな顔立ちが、ふんわりとやわらかくなったのだ。
「物の移動は人の移動より簡単ですから、魔術師なら誰でもが使える魔術です」
アシュリーは、これまで魔術師を恐れてきた。
なぜか「良くない者」だと感じ、避けてきている。
けれど、ジョバンニの話を聞いていて、好奇心がわいていた。
自分が使えるようになれるわけではないが、もっと知りたくなっている。
「それなら、さっきの柱を出すほうが難しい魔術だったのでしょうか?」
「さようにございます。あれは点門と申しまして……」
「ジョバンニ、今夜は遅いので、お話は明日にしませんか?」
リビーに言われ、ジョバンニが口を閉じた。
アシュリーは、しまった、と思う。
自分が話を長引かせてしまったせいで、ジョバンニに迷惑をかけてしまった。
焦って、2人に頭を下げる。
「すみません。私が、よけいなことを聞いてしまいました」
「姫様っ?!」
リビーの焦ったような声が聞こえた。
アシュリーには同じ年頃の友達もおらず、勤め人たちとも親しくなかったため、距離感がわからずにいる。
だから、自分が悪かったのだと思い、素直に詫びているだけだった。
少なくとも、アシュリーは、ハインリヒの考えには賛同していない。
『使用人は使用人として扱わねぇと駄目だ。俺たちとは違うんだからな』
そう言って、ハインリヒは、よく勤め人に手を上げていたのだ。
見るたびに、嫌な気分になっていた。
それが自分のせいだと思うと、罪悪感から、彼らに近づけなくなってもいる。
とはいえ、ここにハインリヒはいない。
アシュリーに詫びさせたと咎められ、勤め人が殴られることもないのだ。
「頭を、お上げくざたい、姫様。リビーは、私の話が長くなるのを知っているので姫様の体調を心配しただけなのです」
「そ、そうです! 姫様が頭を下げられるなんて……っ……」
アシュリーは、そろっと頭を上げる。
リビーは焦った表情を浮かべており、また申し訳ないような気分になった。
だが、ここで詫びれば、なおさらリビーを戸惑わせるに違いない。
「それから、姫様。私どもに、そうした話されかたはなさらないでくださいませ。気楽に話していただくほうが、私どもも気負わずにすみますので」
「いきなり変えるのは難しいと思いますが、少しずつ慣れてくだされば、私たちも嬉しいのですよ、姫様」
アシュリーは、小さくうなずいた。
リビーの言うように、いきなりは難しいと感じたのだ。
この4年、誰とも踏み込んだつきあいをしたことがなかったので、どうしても、構えてしまうところがある。
「魔術の話は、また改めていたしましょう」
ジョバンニの言葉にも、うなずいておいた。
どういうふうに「長い話」になるのかはともかく、聞いてみたい気持ちは残っている。
ジョバンニが、リビーのほうに顔を向けた。
「では、あとは頼めるかな?」
「かしこまりました」
顔をアシュリーのほうに戻し、ジョバンニは軽く会釈をする。
物慣れた仕草に、品があると感じた。
子爵家の執事に品がなかったわけではないが、優雅さに欠けていた気がする。
ジョバンニの動きは優雅さもあり、つい見惚れそうになるのだ。
「私は、これで下がらせていただきます。ごゆっくり、お休みくださいませ」
「お、おやすみなさい」
精一杯「気軽な」調子で言うと、ジョバンニが、にっこりした。
やはり印象がパッと代わり、心臓が大きく跳ね上がる。
嬉しいような気恥ずかしいような気持ちになっていた。
その笑顔を残し、ジョバンニが退室する。
ほう…と、軽く息をついた。
ジョバンニの仕草や笑顔に、アシュリーは、そわそわする。
どういうわけだか、甘えて抱き着きたいような気分になるので困ってしまう。
初めて会った人なのに、自分で自分の感情に戸惑っていた。
「言葉って、変えるのは難しいですよね」
リビーの言葉に、ハッとなる。
見れば、リビーが苦笑していた。
「私は、こちらに勤めて半年なのですが、彼を呼び捨てにすることに最初は抵抗と言いますか……呼びにくさがありました。倍以上も年上ですし、私より立場も上のかたですから」
「……わかります……」
「ですよね。ただ、この屋敷では、それが普通らしくて、みんな、彼をジョバンニと呼び捨てにします。歳も立場もおかまいなしなんですよ」
そう言えば、公爵も自ら「貴族らしくない貴族」だと言っていたのを思い出す。
貴族によって、それぞれ家風があるのは知っていた。
だとしても、ほかの貴族はともかく、ローエルハイドは「謎」だったのだ。
情報が少ないらしく、教育係の女性教師も、ほとんど知らないと話していた。
「私も慣れましたし、そのうち、姫様も慣れると思います」
その言葉に、気づかされる。
これから、まだ2年あるのだ。
今日は初日で、先は長い。
少しずつ慣れていくよう、自分も努力しようと、アシュリーは思った。
0
お気に入りに追加
249
あなたにおすすめの小説
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが


思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

婚約破棄?結構ですわ。でも慰謝料は請求いたします
ゆる
恋愛
公爵令嬢アナスタシア・オルステッドは、第三王子アレンの婚約者だった。
しかし、アレンは没落貴族の令嬢カリーナと密かに関係を持っていたことが発覚し、彼女を愛していると宣言。アナスタシアとの婚約破棄を告げるが──
「わかりました。でも、それには及びません。すでに婚約は破棄されております」
なんとアナスタシアは、事前に国王へ婚約破棄を申し出ており、すでに了承されていたのだ。
さらに、慰謝料もしっかりと請求済み。
「どうぞご自由に、カリーナ様とご婚約なさってください。でも、慰謝料のお支払いはお忘れなく」
驚愕するアレンを後にし、悠々と去るアナスタシア。
ところが数カ月後、生活に困窮したアレンが、再び彼女のもとへ婚約のやり直しを申し出る。
「呆れたお方ですね。そんな都合のいい話、お受けするわけがないでしょう?」
かつての婚約者の末路に興味もなく、アナスタシアは公爵家の跡取りとして堂々と日々を過ごす。
しかし、王国には彼女を取り巻く新たな陰謀の影が忍び寄っていた。
暗躍する謎の勢力、消える手紙、そして不審な襲撃──。
そんな中、王国軍の若きエリート将校ガブリエルと出会い、アナスタシアは自らの運命に立ち向かう決意を固める。
「私はもう、誰かに振り回されるつもりはありません。この王国の未来も、私自身の未来も、私の手で切り拓きます」
婚約破棄を経て、さらに強く、賢くなった公爵令嬢の痛快ざまぁストーリー!
自らの誇りを貫き、王国を揺るがす陰謀を暴く彼女の華麗なる活躍をお楽しみください。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる