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3章
5話
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翌日の放課後。
「えっと……たしかこのあたり……」
霧本は人混みから逸れた閑散とした道を紙に記された地図片手に歩いていた。
「てか、筆でしかも、崩して書かないでよ……これじゃわかんないって……」
墨で書かれた地図には、『妖ばぁ』を四角で囲い、レ点を記していた。おそらく、ここが目的地だということを意味しているのだろう。
事の顛末は学校帰りの時だ。
帰宅中、空からではなく通学路にある電柱の物陰から烏丸が姿を現し、『用が出来た。貴様がコロを迎えに行け』、と紙を寄越し、こちらの意見を聞く事もなく去って行ってしまった。本来ならば、このまま赤崎の家に向かい、勉強を教えてもらう予定だったのだが、コロを迎えに行くとなると大幅に遅れてしまう。赤崎にその事を伝えようと考えたが、現時点で携帯電話など持っていなかった。幸い、学校を出てすぐのところだったので、学校に戻り未だに設置されている公衆電話を使って、彼女の携帯電話に掛けた。
案の定、怒りの言葉を幾度もぶつけられた。しかし、いつになってもいいから。少しでも教えてあげると告げ、通話を切られた。
「お詫びになにか持っていったほうがいいかな……? っと……ここ右で……あー……」
右を向くと、建物と建物に隔てられているため、午後四時にも関わらず、薄暗い路地となっていた。その路地にはシャッターが閉められて長い年月によって酷く錆びついており、その光景がより一層不気味さを漂わせていた。
そんな路地でたったひとつだけ、灯りがついた看板が目に入る。そこには、アルファベットで『AYAKASHI』と達筆で書かれていた。
「妖怪がしてるからアヤカシ? 捻りが……」
いや、もしかしたら意図があってそうしているのかもしれない。あの名前にすることによって、同じ妖怪が警戒することもなく入店出来る大きなメリットを意味している筈だ。そう考えると、あの看板の存在感はどこの建造物にも負けない輝きにさえ見えてくる。
それよりも、この時間帯でバーを営業しているものだろうか。
未成年であるため、その類の店には入った事はないが、概ね日が沈んだ頃に開店するイメージが強い。来店する客は仕事帰りの会社員や暇を持て余した成人済みの学生が訪れるものだろう。だが、今は四時を少し回った程度。開店時間にはまだまだ早いのではないか。
霧本は未知なる扉に手を掛け、心を踊らせながら引く。扉が開くと共に聴こえてくるクラシック音楽に防音性の高さを感じた。下に続く階段を下っていくと、カウンターに数人がグラス片手に談笑していた。
あくまで、人間に見えるだけで妖怪なのかもしれないが、見分ける方法など分からない。
客の向かい合う形でグラスを拭くサングラスを掛けたバーテンダーが、霧本の存在に気付くなり片眉を上げ、声をかけてきた。
「そこのぼく、ここは君の来るところじゃないぞ」
突然の声掛けに大きく体を震わせながらも、霧本はここに来た理由を告げる。
「む、迎えに来まし……た……」
「迎えに?」
バーテンダーは首を傾げさせ、カウンターに座る人達に目を向ける。見られた彼らは、霧本を一瞥し、それぞれ首を左右に振る。
どうやら、誰を迎えに来たのか理解していないようだ。
「あの……コロちゃんを迎えに……」
その瞬間、バーテンダーがぱっと明るい笑みを浮かべさせ、胸の前で手を叩いた。
「あーなるほど、お嬢の! ちょっと待ってな。お嬢っ! お侍さんが迎えにきたぞぉ」
奥のテーブルで囲っている数人に向けて声を張るバーテンダーに、彼らは振り向く。そして、その内の一人の男性が両掌で受け皿を作り、大事そうに何かを持ってきた。
「うーっ!」
コロだ。
「今日は烏の旦那じゃないんだな……てか、人間かよっ!?」
一見、人の姿をしている男性がこちらを見るなり驚愕の声を上げる。その瞬間、それまで関心を持っていなかったその他が、今更といった様子で注目する。
「なんか変だなーって思ったらそういうことなの……? 人間だなんて……」
長い前髪で目が覆われている女性がカウンターの上で頬杖をつきながら呟く。その声色が、霧本の存在がこの場に相応しくないのを物語っていた。
「えっと……」
完全に場違いな存在であることに、霧本は戸惑いを隠せなかった。確かに、妖怪しか居ない場所に一人の人間が訪れるのは間違っている。彼らにとって憩いの場がたった一人の子供に潰されようとしているのならば、不愉快極まりないだろう。
「か、帰ろっかコロ……」
彼女を連れて帰ろうと、霧本は掌を広げようとした時、バーテンダーがその空気を壊すかのように手を叩いた。
「まぁまぁまぁ、少年もこんな貴重な時間を無為に過ごすのも勿体無いだろ? ここに座りな」
そう言うと、一つ空席になっている丈の高い椅子に座るように促してきた。この場から一刻も早く去りたかったので、即答しようと思ったが、彼のサングラスから覗く有無を言わさぬ眼差しに抗えず、仕方なく座ることにした。
カウンターの上に下りたコロは楽しそうに頭を揺らし、バーテンダーに向かって大きく手を振る。それに頷く彼が、小さい冷蔵庫から子供が良く飲む乳酸飲料を取り出し、カウンターに置いた。
「コロ、飲めるの?」
自身の体に近い容器に、霧本は心配げに首を傾げさせる。しかし、彼女は胸を張ると、両手で容器を抱き、ふらふらしながら飲み始めた。いつバランスを崩して乳酸飲料を頭からかぶってしまうのではないかと気が気でなかったが、霧本の心配とは裏腹に、あっという間に飲み干してしまった。その姿は酒豪の如く、いい飲みっぷりだった。
「す、すごい……」
「だろう? お嬢、センスあるわ」
バーテンダーが小さく笑うと、カウンターに肘をつき、こちらをまっすぐ見据える。
「な、なにか?」
「君、霧本俊哉って子だろ?」
「え、なんで僕の名前を……?」
「お嬢やカラスの旦那から教えてもらってね。それに、先月の騒ぎで妖怪の中でもっぱらの噂だよ」
彼はそう言うが、そういう風には思えなかった。こちらの事を知っていれば、あの様な態度を取るとは思えない。あるいは、知っていた上であの態度をとったのかもしれない。
「へぇ……それは喜んでいいの……かな?」
「俺からすればいいとは思うけど? 協力的な人間はうちらにとってはありがたいしな。それに、女の子護ったってのは好印象だ」
「あぁ……でも、役に立ってなかったですけど……」
「立つ立たないじゃない。どう行動するかだよ。それ次第で、ついてくるか決まる。旦那やお嬢を見れば分かるさ。な、お嬢?」
バーテンダーがコロに向けてそう語りかけると、彼女は大きく頷き、霧本の手を優しく撫でる。
「……ありがとう」
霧本はコロの頭を撫でる。すると、恥ずかしかったのか、顔を赤くさせながら同じように座る妖怪の下へと駆けて行った。
コロが来たことによって、名物を目の当たりにしたような反応をし、妖怪達は各々撫で、手に乗せて頬擦りしていた。ここでは、彼女はアイドル的存在なのだろう。不良風の妖怪とも仲良くなっているあたり、彼女の凄さが頷ける。
「すごいだろ? ここに来てから引っ張りだこさ」
「はい、ほんとに」
「それはそれとして、君が妖怪と仲良くするのはいい。むしろ、喜ばしいことだ。君みたいな存在が人間に対する好意が上がる要因すらなるしね」
けど、と彼は続ける。
「気をつける事も必要だ。妖怪が皆、いい奴とは限らない。妖怪の領域に土足で踏み込んできている厄介者と認識する奴も少なからず居るというのは忘れちゃだめだ。君の周りには、人間に好意的なやつしかいないだろう? 現代の妖怪を良識ある存在とは思うな」
軽く口調ではあったが、彼の言葉が霧本の胸に重くのしかかった。この数ヶ月で会った悪い妖怪というのは数百年前の妖怪。つまり、見下し、人間を屠る対象にしか見ていない者が多かった時代。現代での悪い妖怪と出会ったのは、茨木童子が率いていた鬼達だったが、あれらは例外と言ってもいいだろう。それらを除けば、完全悪の妖怪とは出会った事はなく、なにかと人間に好意的な妖怪ばかりだった。
この街に居る妖怪全てとは言わないが、一体でも多く仲良くなりたいという気持ちはある。しかし、その願い必ず叶わない。人間同様、良い妖怪も居れば、悪い妖怪も居る。雪霧や烏丸を見続けていたばかりに、感覚が鈍っていた。
「ま、無理に関わる必要はないさ。君がその気持ちがあるなら、協力する。自分で言うのもなんだが、顔は広い方だから、話を通してやれる」
「ありがとうございます」
すると、バーテンダーは笑みを浮かべながら、霧本の胸を指先で突いてきた。
「期待してるよ、少年」
「えっと……たしかこのあたり……」
霧本は人混みから逸れた閑散とした道を紙に記された地図片手に歩いていた。
「てか、筆でしかも、崩して書かないでよ……これじゃわかんないって……」
墨で書かれた地図には、『妖ばぁ』を四角で囲い、レ点を記していた。おそらく、ここが目的地だということを意味しているのだろう。
事の顛末は学校帰りの時だ。
帰宅中、空からではなく通学路にある電柱の物陰から烏丸が姿を現し、『用が出来た。貴様がコロを迎えに行け』、と紙を寄越し、こちらの意見を聞く事もなく去って行ってしまった。本来ならば、このまま赤崎の家に向かい、勉強を教えてもらう予定だったのだが、コロを迎えに行くとなると大幅に遅れてしまう。赤崎にその事を伝えようと考えたが、現時点で携帯電話など持っていなかった。幸い、学校を出てすぐのところだったので、学校に戻り未だに設置されている公衆電話を使って、彼女の携帯電話に掛けた。
案の定、怒りの言葉を幾度もぶつけられた。しかし、いつになってもいいから。少しでも教えてあげると告げ、通話を切られた。
「お詫びになにか持っていったほうがいいかな……? っと……ここ右で……あー……」
右を向くと、建物と建物に隔てられているため、午後四時にも関わらず、薄暗い路地となっていた。その路地にはシャッターが閉められて長い年月によって酷く錆びついており、その光景がより一層不気味さを漂わせていた。
そんな路地でたったひとつだけ、灯りがついた看板が目に入る。そこには、アルファベットで『AYAKASHI』と達筆で書かれていた。
「妖怪がしてるからアヤカシ? 捻りが……」
いや、もしかしたら意図があってそうしているのかもしれない。あの名前にすることによって、同じ妖怪が警戒することもなく入店出来る大きなメリットを意味している筈だ。そう考えると、あの看板の存在感はどこの建造物にも負けない輝きにさえ見えてくる。
それよりも、この時間帯でバーを営業しているものだろうか。
未成年であるため、その類の店には入った事はないが、概ね日が沈んだ頃に開店するイメージが強い。来店する客は仕事帰りの会社員や暇を持て余した成人済みの学生が訪れるものだろう。だが、今は四時を少し回った程度。開店時間にはまだまだ早いのではないか。
霧本は未知なる扉に手を掛け、心を踊らせながら引く。扉が開くと共に聴こえてくるクラシック音楽に防音性の高さを感じた。下に続く階段を下っていくと、カウンターに数人がグラス片手に談笑していた。
あくまで、人間に見えるだけで妖怪なのかもしれないが、見分ける方法など分からない。
客の向かい合う形でグラスを拭くサングラスを掛けたバーテンダーが、霧本の存在に気付くなり片眉を上げ、声をかけてきた。
「そこのぼく、ここは君の来るところじゃないぞ」
突然の声掛けに大きく体を震わせながらも、霧本はここに来た理由を告げる。
「む、迎えに来まし……た……」
「迎えに?」
バーテンダーは首を傾げさせ、カウンターに座る人達に目を向ける。見られた彼らは、霧本を一瞥し、それぞれ首を左右に振る。
どうやら、誰を迎えに来たのか理解していないようだ。
「あの……コロちゃんを迎えに……」
その瞬間、バーテンダーがぱっと明るい笑みを浮かべさせ、胸の前で手を叩いた。
「あーなるほど、お嬢の! ちょっと待ってな。お嬢っ! お侍さんが迎えにきたぞぉ」
奥のテーブルで囲っている数人に向けて声を張るバーテンダーに、彼らは振り向く。そして、その内の一人の男性が両掌で受け皿を作り、大事そうに何かを持ってきた。
「うーっ!」
コロだ。
「今日は烏の旦那じゃないんだな……てか、人間かよっ!?」
一見、人の姿をしている男性がこちらを見るなり驚愕の声を上げる。その瞬間、それまで関心を持っていなかったその他が、今更といった様子で注目する。
「なんか変だなーって思ったらそういうことなの……? 人間だなんて……」
長い前髪で目が覆われている女性がカウンターの上で頬杖をつきながら呟く。その声色が、霧本の存在がこの場に相応しくないのを物語っていた。
「えっと……」
完全に場違いな存在であることに、霧本は戸惑いを隠せなかった。確かに、妖怪しか居ない場所に一人の人間が訪れるのは間違っている。彼らにとって憩いの場がたった一人の子供に潰されようとしているのならば、不愉快極まりないだろう。
「か、帰ろっかコロ……」
彼女を連れて帰ろうと、霧本は掌を広げようとした時、バーテンダーがその空気を壊すかのように手を叩いた。
「まぁまぁまぁ、少年もこんな貴重な時間を無為に過ごすのも勿体無いだろ? ここに座りな」
そう言うと、一つ空席になっている丈の高い椅子に座るように促してきた。この場から一刻も早く去りたかったので、即答しようと思ったが、彼のサングラスから覗く有無を言わさぬ眼差しに抗えず、仕方なく座ることにした。
カウンターの上に下りたコロは楽しそうに頭を揺らし、バーテンダーに向かって大きく手を振る。それに頷く彼が、小さい冷蔵庫から子供が良く飲む乳酸飲料を取り出し、カウンターに置いた。
「コロ、飲めるの?」
自身の体に近い容器に、霧本は心配げに首を傾げさせる。しかし、彼女は胸を張ると、両手で容器を抱き、ふらふらしながら飲み始めた。いつバランスを崩して乳酸飲料を頭からかぶってしまうのではないかと気が気でなかったが、霧本の心配とは裏腹に、あっという間に飲み干してしまった。その姿は酒豪の如く、いい飲みっぷりだった。
「す、すごい……」
「だろう? お嬢、センスあるわ」
バーテンダーが小さく笑うと、カウンターに肘をつき、こちらをまっすぐ見据える。
「な、なにか?」
「君、霧本俊哉って子だろ?」
「え、なんで僕の名前を……?」
「お嬢やカラスの旦那から教えてもらってね。それに、先月の騒ぎで妖怪の中でもっぱらの噂だよ」
彼はそう言うが、そういう風には思えなかった。こちらの事を知っていれば、あの様な態度を取るとは思えない。あるいは、知っていた上であの態度をとったのかもしれない。
「へぇ……それは喜んでいいの……かな?」
「俺からすればいいとは思うけど? 協力的な人間はうちらにとってはありがたいしな。それに、女の子護ったってのは好印象だ」
「あぁ……でも、役に立ってなかったですけど……」
「立つ立たないじゃない。どう行動するかだよ。それ次第で、ついてくるか決まる。旦那やお嬢を見れば分かるさ。な、お嬢?」
バーテンダーがコロに向けてそう語りかけると、彼女は大きく頷き、霧本の手を優しく撫でる。
「……ありがとう」
霧本はコロの頭を撫でる。すると、恥ずかしかったのか、顔を赤くさせながら同じように座る妖怪の下へと駆けて行った。
コロが来たことによって、名物を目の当たりにしたような反応をし、妖怪達は各々撫で、手に乗せて頬擦りしていた。ここでは、彼女はアイドル的存在なのだろう。不良風の妖怪とも仲良くなっているあたり、彼女の凄さが頷ける。
「すごいだろ? ここに来てから引っ張りだこさ」
「はい、ほんとに」
「それはそれとして、君が妖怪と仲良くするのはいい。むしろ、喜ばしいことだ。君みたいな存在が人間に対する好意が上がる要因すらなるしね」
けど、と彼は続ける。
「気をつける事も必要だ。妖怪が皆、いい奴とは限らない。妖怪の領域に土足で踏み込んできている厄介者と認識する奴も少なからず居るというのは忘れちゃだめだ。君の周りには、人間に好意的なやつしかいないだろう? 現代の妖怪を良識ある存在とは思うな」
軽く口調ではあったが、彼の言葉が霧本の胸に重くのしかかった。この数ヶ月で会った悪い妖怪というのは数百年前の妖怪。つまり、見下し、人間を屠る対象にしか見ていない者が多かった時代。現代での悪い妖怪と出会ったのは、茨木童子が率いていた鬼達だったが、あれらは例外と言ってもいいだろう。それらを除けば、完全悪の妖怪とは出会った事はなく、なにかと人間に好意的な妖怪ばかりだった。
この街に居る妖怪全てとは言わないが、一体でも多く仲良くなりたいという気持ちはある。しかし、その願い必ず叶わない。人間同様、良い妖怪も居れば、悪い妖怪も居る。雪霧や烏丸を見続けていたばかりに、感覚が鈍っていた。
「ま、無理に関わる必要はないさ。君がその気持ちがあるなら、協力する。自分で言うのもなんだが、顔は広い方だから、話を通してやれる」
「ありがとうございます」
すると、バーテンダーは笑みを浮かべながら、霧本の胸を指先で突いてきた。
「期待してるよ、少年」
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