私を必要とする世界

絢ねえ

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壊れた心

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ぴちゃん、ぴちゃん。

暗い。
どこかでしずくが落ちてはじけるような音がする。
寒さを感じて、体を抱きしめるように手を動かす。そこで自分がボロボロになった服を身に着けていることに気が付いた。
下着までは大丈夫だが、無地の黒いワンピースはところどころびりびりと破け、泥のような何かで汚れていて、すでに服としての機能を果たしていない。
周りを見渡すと、あたりは真っ暗な闇に覆われていて何も見ることができなかった。
自分の体は見えるのになぜだろう。そんな疑問が思い浮かぶ。
水音は依然規則正しく鳴り響いていて、不安を膨らませていく。

・・・・・・。

声が聞こえた気がした。方向はわからない。どんな声かもわからない。でも、助けを求める声が。
もう一度。今度は立ち上がって周りを見渡してみた。

・・・・・・・。

また聞こえた。でも、次は悲しんでる。絶望に声が染まり切っている。

・・・・・・。

今度はわらってる?

ぴっちゃん。ぴちゃん。

水音が一瞬変わった。声はもう、聞こえない。私はぺたんと脱力して座り込んだ。
この空間は夢だろう。だって、自分の体ははっきりと見えるのに足元さえ見ることができないなんておかしい。
さっきの声は何かわからなかったけど、私のからっぽの記憶に関係がある気がした。
よく理解できない知識ばかり詰まっている私の頭。記憶はなくなったわけではない。思い出せない、いや思い出したくないのかもしれない。
私は神様に助けを求めた。その理由は何だったのか。
この夢に意味はあるのか。
終わらない水音がだんだんと大きくなってきた。

自分の体さえ黒に染まっていく。

一瞬、体がぬらりと赤く光った気がした。

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