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第2章
第31話 処理…え?いるの?
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まだ他にも豚蛙の腸詰や、それの原料の干物や塩漬けなんかがあるかもしれない…
そう考えるだけで、今すぐにでも馬車ごと焼却処分にしてしまいたくなる衝動に駆られてしまう。
…が、日本人特有の勿体無い精神が発動し、なんとかギリギリのところで踏みとどまることができた。
しかも、狼獣人達のような地球だと肉食獣に分類される獣がベースの獣人にとっては、あれが相当なご馳走だと…
聞きたくもないのに聞かされてしまい、「捨てるくらいなら、是非とも譲って欲しい」と、土下座までされてしまった…
その結果、現在、最悪の気分で荷物を整理することになってしまっているわけだ…
『情報提示。前列上段左より無害、無害、有害。前列中段左より、無害、有害、有害。前列下段左より、無害、無害、有害。2列目上段…』
ナビさんには、中身の詳細は言わずに、俺にとって有害か無害かだけを教えてくれるようにお願いし、有害と言われた木箱や布袋なんかは、即座に狼獣人達に外へと運んでくれるようにお願いしていく。
中身がアレだと分かっているものを、触りたくなんてないからね…
さすが獣人と言うべき力で、彼らは軽々と指示通りのものを運んで行ってくれる。
ちなみに、運び出しをしてくれているのが、ガル・ヴォルフ。
アレ以外のものを、優子達が確認しているところに動かしてくれているのが、ギル・ヴォルフ。
2人は本当の兄弟で、兄のガルが9歳、弟のギルが8歳とまだ若く、ガルの方が少し声が低いくらいで、見た目はほとんど区別がつかない…
とはいえ、狼獣人は3歳で大人として認められるらしく、人種とは、年の取り方がまるで違うから、年下だとしても子供扱いは失礼になるらしい。
そんな彼らの働きで、思った以上に素早く作業は終得ることができた。
無害とナビさんに言われたものも、中身を優子達に再確認してもらうことで、不安もなくなったしね。
ガルもギルも、嬉々として手伝ってくれてたのはありがたいとは思うのだが…
目的があんなものを手に入れることなので、そこは正直素直に喜べないのが残念でならない…
「…これで、とりあえず分け終わったな。
手伝ってくれてありがとうな。」
「…我らこそ…極上の物を…感謝する…」
「本当に…全て貰って…良いのか?」
「こっちには絶対にいらん!」
彼らにとって貴重なものでも、俺にとっては完全に廃棄物でしかない。
聞かれるのも不快なものは、全部で木箱8個分もあった…
「てか、結構な量があるが、どうするつもりなんだ?」
流石に抱えていけるような量じゃない。
それをどうやって運ぶのか、少しだけ気になって聞いてみた。
「…皆で…持つ…」
「…問題…ない…」
「何も考えていなかったみたいだな…」
俺がそう言うと、狼獣人達は、うな垂れるように頭を下げてしまった。
本当に何も考えてなかったらしい…
(ナビさん。何かいい案はない?)
ストレージリングを1つ渡せばすぐに解決するんだろうけど、それは論外だ。
もう手に入らないかもしれないものを、こんな事で手放すことは出来ないからな。
もしかすると、他にいい方法があるかもしれない。
そう思ってナビさんに聞いてみる。
『情報提示。逃走した馬を連れ戻し、幌馬車、もしくは奴隷馬車にて、運搬することを推奨します。』
馬…ね…確かに馬車はあるんだし、それが出来れば一番いいだろうけど…
問題はどこに逃げたかも分からないってことだ。
流石に無茶を言ってないか?
(ナビさん、逃げた馬をどうやって探すのさ?それに、もしいる場所がわかったとしても、その場所がここから遠かったら、そこまで行くのはどうすればいいってなるから無茶だろう?)
仮に居場所が分かっても、近くにいるとは限らない。
そうなると、徒歩で探しにいくのか?
馬の走った距離をか?
…流石に無理があると…
『情報提示。商人テッテリードの持ち物に、馬呼びの笛があります。それを使用すれば、逃走した馬を呼び戻すことができます。』
…
…
確かにゲームとかじゃ、そんな便利な道具があるけども。
こっちの世界はなんでもありだな…
「ガルでもギルでもどちらでもいい、外の商人の懐に馬呼びの笛ってのがあるらしいから、取ってきてくれないか?」
「なら、我が行こう。」
自分で行くのが面倒になり、狼獣人達にお願いすると、ギルが取りに行ってくれることになった。
「それじゃ、こっちも準備するかな。」
「ん?なにかするの?」
開けた荷物を片付けていた優子が、俺の声に反応して寄ってきた。
全部収納するから同じなのに、気になるから片付けていたらしい。
それに続いて、シーホやぬいぐるみ達もやってくる。
ただ馬車の準備をするだけなんだけど…
「なにかするのか?」
「なに?ごはん?」
「なにもしないよ。ただ馬車を出すだけだからね。」
ただ、多分凄く臭いけどな…
そう、あの臭いはどうにかしないとだよな…
そう考えるだけで、今すぐにでも馬車ごと焼却処分にしてしまいたくなる衝動に駆られてしまう。
…が、日本人特有の勿体無い精神が発動し、なんとかギリギリのところで踏みとどまることができた。
しかも、狼獣人達のような地球だと肉食獣に分類される獣がベースの獣人にとっては、あれが相当なご馳走だと…
聞きたくもないのに聞かされてしまい、「捨てるくらいなら、是非とも譲って欲しい」と、土下座までされてしまった…
その結果、現在、最悪の気分で荷物を整理することになってしまっているわけだ…
『情報提示。前列上段左より無害、無害、有害。前列中段左より、無害、有害、有害。前列下段左より、無害、無害、有害。2列目上段…』
ナビさんには、中身の詳細は言わずに、俺にとって有害か無害かだけを教えてくれるようにお願いし、有害と言われた木箱や布袋なんかは、即座に狼獣人達に外へと運んでくれるようにお願いしていく。
中身がアレだと分かっているものを、触りたくなんてないからね…
さすが獣人と言うべき力で、彼らは軽々と指示通りのものを運んで行ってくれる。
ちなみに、運び出しをしてくれているのが、ガル・ヴォルフ。
アレ以外のものを、優子達が確認しているところに動かしてくれているのが、ギル・ヴォルフ。
2人は本当の兄弟で、兄のガルが9歳、弟のギルが8歳とまだ若く、ガルの方が少し声が低いくらいで、見た目はほとんど区別がつかない…
とはいえ、狼獣人は3歳で大人として認められるらしく、人種とは、年の取り方がまるで違うから、年下だとしても子供扱いは失礼になるらしい。
そんな彼らの働きで、思った以上に素早く作業は終得ることができた。
無害とナビさんに言われたものも、中身を優子達に再確認してもらうことで、不安もなくなったしね。
ガルもギルも、嬉々として手伝ってくれてたのはありがたいとは思うのだが…
目的があんなものを手に入れることなので、そこは正直素直に喜べないのが残念でならない…
「…これで、とりあえず分け終わったな。
手伝ってくれてありがとうな。」
「…我らこそ…極上の物を…感謝する…」
「本当に…全て貰って…良いのか?」
「こっちには絶対にいらん!」
彼らにとって貴重なものでも、俺にとっては完全に廃棄物でしかない。
聞かれるのも不快なものは、全部で木箱8個分もあった…
「てか、結構な量があるが、どうするつもりなんだ?」
流石に抱えていけるような量じゃない。
それをどうやって運ぶのか、少しだけ気になって聞いてみた。
「…皆で…持つ…」
「…問題…ない…」
「何も考えていなかったみたいだな…」
俺がそう言うと、狼獣人達は、うな垂れるように頭を下げてしまった。
本当に何も考えてなかったらしい…
(ナビさん。何かいい案はない?)
ストレージリングを1つ渡せばすぐに解決するんだろうけど、それは論外だ。
もう手に入らないかもしれないものを、こんな事で手放すことは出来ないからな。
もしかすると、他にいい方法があるかもしれない。
そう思ってナビさんに聞いてみる。
『情報提示。逃走した馬を連れ戻し、幌馬車、もしくは奴隷馬車にて、運搬することを推奨します。』
馬…ね…確かに馬車はあるんだし、それが出来れば一番いいだろうけど…
問題はどこに逃げたかも分からないってことだ。
流石に無茶を言ってないか?
(ナビさん、逃げた馬をどうやって探すのさ?それに、もしいる場所がわかったとしても、その場所がここから遠かったら、そこまで行くのはどうすればいいってなるから無茶だろう?)
仮に居場所が分かっても、近くにいるとは限らない。
そうなると、徒歩で探しにいくのか?
馬の走った距離をか?
…流石に無理があると…
『情報提示。商人テッテリードの持ち物に、馬呼びの笛があります。それを使用すれば、逃走した馬を呼び戻すことができます。』
…
…
確かにゲームとかじゃ、そんな便利な道具があるけども。
こっちの世界はなんでもありだな…
「ガルでもギルでもどちらでもいい、外の商人の懐に馬呼びの笛ってのがあるらしいから、取ってきてくれないか?」
「なら、我が行こう。」
自分で行くのが面倒になり、狼獣人達にお願いすると、ギルが取りに行ってくれることになった。
「それじゃ、こっちも準備するかな。」
「ん?なにかするの?」
開けた荷物を片付けていた優子が、俺の声に反応して寄ってきた。
全部収納するから同じなのに、気になるから片付けていたらしい。
それに続いて、シーホやぬいぐるみ達もやってくる。
ただ馬車の準備をするだけなんだけど…
「なにかするのか?」
「なに?ごはん?」
「なにもしないよ。ただ馬車を出すだけだからね。」
ただ、多分凄く臭いけどな…
そう、あの臭いはどうにかしないとだよな…
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