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第2章
第28話 調子にのるな
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いきなり喧嘩を始めたエルフとドワーフに、若干面倒臭いものを感じるが、このまま放っておいても時間がかかるだけなので、仕方なく止めることにした。
少し力を見せておくのも、良いかもしれないしな…
「…毒蔦縛…」
「こ!え?ちょ!!!」
「ぬー!なんじ…!!!」
騒ぐ2人の足元から、俺の発動した毒蔦が伸びていき、あっという間に2人の口元まで覆って動けなくしてしまう。
一切喋れなくなったエルフとドワーフに、互いの種族の人が近づいていった。
当然、こいつらはこちらに敵意を向けてきたので、同じように縛り上げておく。
「レーブ様!この草人の下郎が!?つけ上が!!い!!」
「ダ・ゲン!おい!ヒラヅラ!なんのつ!!げ!!」
こちらは、毒蔦で頭の先まで完全に簀巻きにしてしまう。
「…お前ら…何を勘違いしてるのか知らないが、なんでもしていいと思っているなら、それは大きな間違い…だ。」
ストレージリングから旋棍を出して敵意を向けてきたドワーフの簀巻きに振り下ろす。
毒蔦の簀巻きから、くぐもった声が聞こえていたが、そのまま蹴り転がしておいた。
こちらに敵意を向けてきたのだ、このくらいの事は覚悟してのことなんだろ?
「…理由は色々あるだろうが、お前らが奴隷に落ちたのは、この思慮の浅さもあるんじゃない…か?」
もう1人のエルフにも同じように旋棍を振り下ろし、こちらも蹴り転がしておく。
そのまま、最初に拘束した2人も同じくらいの場所に蹴り転がし、4つの簀巻きを囲うように魔法を展開する。
「…毒液の檻…」
地面から迫り上がる薄黄色の毒液に、簀巻きエルフ達が目を見開いたように見えたが、動かなきゃ怪我しないんだから無視だな。
ほとんど動けるスペースを作らずに、毒液の檻を展開し終え、一応忠告だけしておくことにした。
「お前らはそこで暫く反省してろ。
それと…一応忠告しておいてやるが、それに触れたら怪我じゃ済まないから動くのはおススメしないぞ?」
これだけ言って、それでも何かしてくるなら、次は容赦なく殺す。
そもそも、触れたら溶けるから何も出来ないだろうけどね…
「で、そこのドワーフ。」
「の?わ、儂なのか?」
他と同じように、雨でびしょ濡れになっているドワーフの残り1人に声をかける。
こいつには、こいつらの監視をさせておいて、問題なければ食糧を分けてやろう。
「お前以外居ないだろうが…お前はこいつらの監視をしておけ。
大人しくするのなら、食糧を分けてやるが…もしこいつらがまだ暴れるようならお前も同罪だ。」
「の!?儂は関係ないぞい!?」
「ダメだな。同族がやらかしたんだ、連帯責任ってやつだよ。ま、こいつらをちゃんと見張って大人させておけば、あんたにとって悪いようにはならないから、頑張るんだな。」
敵意を向けてきた奴らは知らんが、このドワーフには、今のところ物資を分けるつもりだ。
それを他に渡すのも渡さないのも、俺には関係ない事だから知らんがな。
少しは苦労した方がいいのさ。
「の?もしかして酒があるの…冗談じゃ…」
俺が睨むと、ドワーフは引きつった顔であとずさった。
酒があったとしても、この状況で渡すわけがないだろうが。
やっぱりこいつもただのバカなのか…
「狼の人、あんたらは荷物運びを手伝ってくれ。」
「うむ…」
「心得た…」
狼の人達は、ドワーフとやりとりしている間もじっと待っていた。
俺が声をかけると、彼らは体に付いた水気を飛ばすために、身震いをして水滴を吹き飛ばす。
こちらに飛んできていないからいいけど、近くにいた兎の人達はもろに水をかぶってしまう。
「「…すまぬ…」」
「…ええよ…どうせ濡れとるからな…」
「せやで…それに、喧嘩したらウチらもあぁなるんやし…」
狼の人達が揃って謝罪すると、兎の人達は、エルフ達の方を見てそう言った。
聞き分けが良くなったようで、これはこれで面倒が減って良かったと思う。
別に喧嘩するなとは言わないが、俺に迷惑をかけない場所でやって欲しい。
「ほら、行くよ。」
俺が声をかけると、狼の人達がこちらに近づいてきた。
彼らと一緒に、幌馬車の方に歩いていくのだが、近くに来ると、どちらもかなり大きい…
200cm前後はあるんじゃないかな。
頭はほぼ完全な狼で、口元に覗く牙は1本1本が大きく、鋭い爪の生えた長い手足と共に、十分な凶器として使える武器だ。
本当に、彼らが奴隷になっていた意味がわからない…
戦う事を選べば、金なんていくらでも作れそうなものだからな…
もしかすると、種族として戦う事をやめてしまったのかもしれないし、見た目程好戦的じゃないのかも知れない。
…いや、考えても答えは出ないし、俺が考える事でもないな…
なんとなくモヤっとしたものは残ったが、俺は狼の人達を連れて、荷物の乗っている幌馬車へと歩いて行った。
少し力を見せておくのも、良いかもしれないしな…
「…毒蔦縛…」
「こ!え?ちょ!!!」
「ぬー!なんじ…!!!」
騒ぐ2人の足元から、俺の発動した毒蔦が伸びていき、あっという間に2人の口元まで覆って動けなくしてしまう。
一切喋れなくなったエルフとドワーフに、互いの種族の人が近づいていった。
当然、こいつらはこちらに敵意を向けてきたので、同じように縛り上げておく。
「レーブ様!この草人の下郎が!?つけ上が!!い!!」
「ダ・ゲン!おい!ヒラヅラ!なんのつ!!げ!!」
こちらは、毒蔦で頭の先まで完全に簀巻きにしてしまう。
「…お前ら…何を勘違いしてるのか知らないが、なんでもしていいと思っているなら、それは大きな間違い…だ。」
ストレージリングから旋棍を出して敵意を向けてきたドワーフの簀巻きに振り下ろす。
毒蔦の簀巻きから、くぐもった声が聞こえていたが、そのまま蹴り転がしておいた。
こちらに敵意を向けてきたのだ、このくらいの事は覚悟してのことなんだろ?
「…理由は色々あるだろうが、お前らが奴隷に落ちたのは、この思慮の浅さもあるんじゃない…か?」
もう1人のエルフにも同じように旋棍を振り下ろし、こちらも蹴り転がしておく。
そのまま、最初に拘束した2人も同じくらいの場所に蹴り転がし、4つの簀巻きを囲うように魔法を展開する。
「…毒液の檻…」
地面から迫り上がる薄黄色の毒液に、簀巻きエルフ達が目を見開いたように見えたが、動かなきゃ怪我しないんだから無視だな。
ほとんど動けるスペースを作らずに、毒液の檻を展開し終え、一応忠告だけしておくことにした。
「お前らはそこで暫く反省してろ。
それと…一応忠告しておいてやるが、それに触れたら怪我じゃ済まないから動くのはおススメしないぞ?」
これだけ言って、それでも何かしてくるなら、次は容赦なく殺す。
そもそも、触れたら溶けるから何も出来ないだろうけどね…
「で、そこのドワーフ。」
「の?わ、儂なのか?」
他と同じように、雨でびしょ濡れになっているドワーフの残り1人に声をかける。
こいつには、こいつらの監視をさせておいて、問題なければ食糧を分けてやろう。
「お前以外居ないだろうが…お前はこいつらの監視をしておけ。
大人しくするのなら、食糧を分けてやるが…もしこいつらがまだ暴れるようならお前も同罪だ。」
「の!?儂は関係ないぞい!?」
「ダメだな。同族がやらかしたんだ、連帯責任ってやつだよ。ま、こいつらをちゃんと見張って大人させておけば、あんたにとって悪いようにはならないから、頑張るんだな。」
敵意を向けてきた奴らは知らんが、このドワーフには、今のところ物資を分けるつもりだ。
それを他に渡すのも渡さないのも、俺には関係ない事だから知らんがな。
少しは苦労した方がいいのさ。
「の?もしかして酒があるの…冗談じゃ…」
俺が睨むと、ドワーフは引きつった顔であとずさった。
酒があったとしても、この状況で渡すわけがないだろうが。
やっぱりこいつもただのバカなのか…
「狼の人、あんたらは荷物運びを手伝ってくれ。」
「うむ…」
「心得た…」
狼の人達は、ドワーフとやりとりしている間もじっと待っていた。
俺が声をかけると、彼らは体に付いた水気を飛ばすために、身震いをして水滴を吹き飛ばす。
こちらに飛んできていないからいいけど、近くにいた兎の人達はもろに水をかぶってしまう。
「「…すまぬ…」」
「…ええよ…どうせ濡れとるからな…」
「せやで…それに、喧嘩したらウチらもあぁなるんやし…」
狼の人達が揃って謝罪すると、兎の人達は、エルフ達の方を見てそう言った。
聞き分けが良くなったようで、これはこれで面倒が減って良かったと思う。
別に喧嘩するなとは言わないが、俺に迷惑をかけない場所でやって欲しい。
「ほら、行くよ。」
俺が声をかけると、狼の人達がこちらに近づいてきた。
彼らと一緒に、幌馬車の方に歩いていくのだが、近くに来ると、どちらもかなり大きい…
200cm前後はあるんじゃないかな。
頭はほぼ完全な狼で、口元に覗く牙は1本1本が大きく、鋭い爪の生えた長い手足と共に、十分な凶器として使える武器だ。
本当に、彼らが奴隷になっていた意味がわからない…
戦う事を選べば、金なんていくらでも作れそうなものだからな…
もしかすると、種族として戦う事をやめてしまったのかもしれないし、見た目程好戦的じゃないのかも知れない。
…いや、考えても答えは出ないし、俺が考える事でもないな…
なんとなくモヤっとしたものは残ったが、俺は狼の人達を連れて、荷物の乗っている幌馬車へと歩いて行った。
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