81 / 100
第2章
第19話 人時々蓑虫
しおりを挟む
「お前に言ってるんだよ!!聞いてるのか!?おい!!」
テッテリードは、さらに距離を詰めて来ると、俺の服、襟首の辺りを掴んで声を上げる。
…え?いやいや、この状況でこの態度、何様なんだ?
こいつの思考が理解出来ないし、したいとも思っていないが、もしかして…これは喧嘩を売られているのか?
…とりあえず、いきなり怒鳴る奴とまともに会話できるとは思えないし、これ以上何かされる前に、動けないように毒蔦を展開してしまおう。
「…毒蔦縛。」
突然地面から伸びて足に絡みついてくる毒蔦に、テッテリードは俺から手を離して慌てふためいていた。
「な!いた!なん!ぐへ!!」
毒蔦の棘が足に刺さったんだろうか?
既に足首までガッチリ固定された状態でいきなり動こうとしたから、そのまま体勢を崩して地面に倒れ込んでしまった。
テッテリードの足を拘束した毒蔦は、そのまま成長し続けていき、首から下の動きを完全に抑え込むことに成功する。
そんなテッテリード、いやテッテリードを見下ろしながら、掴まれた服を直していると、これが結構強めに持ってくれたようで、胸元のボタンが1つ取れて無くなっているのが分かってしまった。
…この草むらから探さないといけないとか…本当に何してくれてんだ、このゴミは…
「うぎ!!お、お前!!俺にこんなことしてタダで済むと思うなよ!!
テルテット商会は、身内の受けた屈辱は商会を上げて晴らすんだからな!!
クソ!いだ!おい!これをさっさと外せ!!」
うん、商売をしていたら、強気に出ることも必要な時もあるのかもしれないが…相手と状況を見ていないのは致命的でしかない。
テッテリードは自分の置かれた立場が分かっていないんだろう。
今までは商会の看板を出して高圧的に出れば、どうにかなってきてしまったんだろうな…
「クソ!!お前ら、覚悟しろよ!!」
既に脅威でもなんでもないテッテリードに、ほんの少しだけ哀れみを覚えた気もするが、俺の中ではこいつをどうするかは殆ど決まっている。
ま、一応優子と相談してからにするけどね。
「ちっ…うるさいから、もう喋るな。」
「ひっ!な!やめ…」
俺が毒蔦の根元に手をかざし、テッテリードの全身に達するように力を込めると、ザワザワと音を立てながら毒蔦は一気に成長していく。
ほんの数秒で、テッテリードの体を覆い隠してしまい、本当のイモムシ、いや、ミノムシみたいにしてしまった。
「なぁ、一応確認なんだが、テルテット商会ってのはこんな奴ばかりなのか?」
「あ…私ですよね。えっと、流石に全員が全員じゃないと思います。村に来ているシャクルさんは良い人でしたし…」
シーホはそう言っているが、村で会った奴も少ししか話していないが、俺に言わせればこのゴミと大差なかった印象だ…
「良い人…ねぇ…」
よし、テルテット商会の店は、今後どこかの街にあっても極力使わない事にしよう。
こんな奴らに、わざわざ金を落としてやる必要はないからな。
とりあえず動けないテッテリードを蹴り飛ばし、少しだけ憂さ晴らしをしてみるが、あまり気は晴れなかった。
助けられたのに礼も言わない奴に、おれが敬意を払う必要性は皆無だからな。
それに、自分を守る為に死んだ者に文句を言う奴なんか、同じ人間だと思いたくもないし、そんな奴に生きている価値はないさ。
テッテリードを見下ろして何度も蹴りながら、俺はそんなことを思っていた。
「ぼ…ねぇ、あんまり蹴ると靴に穴が開くよ?」
優子に言われて確かに、毒蔦の棘で穴が開くかもしれないなと思い、蹴るのをやめた。
テッテリード相手に靴までダメにしたくないからね。
「ふう…少し気が晴れた…かな。」
蹴る度にくぐもったような悲鳴をあげていたテッテリードだったが、まだ微妙に動いているし死んではいないだろう。
少しやり過ぎた感はあるが、どうにもこの手の奴には苛立って仕方ない…
テッテリードの上に、踏みつけるように足を乗せて、後ろを振り向く。
「さて、それでだ…こいつはこれからどうする?話ぶりだと、生かしておくと商会巻き込んで襲って来るみたいだし、俺は殺すべきだと思っているんだが?」
こいつを生かしておくメリットは、まったくと言っていいほど無い。
デメリットはいくらでも思いつくけどね。
「別にいいけど、わざわざ殺さなくても、ここに放置しておけばいいんじゃないかな?」
優子が言うように放置することも考えた、でも…
「街までは結構な距離があるみたいだけど…生き残られたらどうするんだ?
多分さっきみたいに訳のわからんことを言って、俺らを貶めようとすると思うぞ?」
「そうか…なら任せるよ。」
あまり興味が無くなったのか、優子はそれ以上何も言ってこなかった。
こんな奴に頭を使いたくないんだろうね。
「他には?何かあるか?」
「え、あ、特にないですけど…あの、本当に殺すんですか?」
シーホは、さっきよりも少し顔色が悪くなったように見える。
人の生き死にが目の前で決まろうとしてるんだから、この反応が正しいんだと思う。
ただ…俺にとって、そんな倫理観なんてのは、もうどうでもいいものになっているんだと思うんだよね。
「もちろん、必要があるなら俺は殺すよ。」
俺が言い切ると、シーホの顔色がさらに悪くなった気がした。
テッテリードは、さらに距離を詰めて来ると、俺の服、襟首の辺りを掴んで声を上げる。
…え?いやいや、この状況でこの態度、何様なんだ?
こいつの思考が理解出来ないし、したいとも思っていないが、もしかして…これは喧嘩を売られているのか?
…とりあえず、いきなり怒鳴る奴とまともに会話できるとは思えないし、これ以上何かされる前に、動けないように毒蔦を展開してしまおう。
「…毒蔦縛。」
突然地面から伸びて足に絡みついてくる毒蔦に、テッテリードは俺から手を離して慌てふためいていた。
「な!いた!なん!ぐへ!!」
毒蔦の棘が足に刺さったんだろうか?
既に足首までガッチリ固定された状態でいきなり動こうとしたから、そのまま体勢を崩して地面に倒れ込んでしまった。
テッテリードの足を拘束した毒蔦は、そのまま成長し続けていき、首から下の動きを完全に抑え込むことに成功する。
そんなテッテリード、いやテッテリードを見下ろしながら、掴まれた服を直していると、これが結構強めに持ってくれたようで、胸元のボタンが1つ取れて無くなっているのが分かってしまった。
…この草むらから探さないといけないとか…本当に何してくれてんだ、このゴミは…
「うぎ!!お、お前!!俺にこんなことしてタダで済むと思うなよ!!
テルテット商会は、身内の受けた屈辱は商会を上げて晴らすんだからな!!
クソ!いだ!おい!これをさっさと外せ!!」
うん、商売をしていたら、強気に出ることも必要な時もあるのかもしれないが…相手と状況を見ていないのは致命的でしかない。
テッテリードは自分の置かれた立場が分かっていないんだろう。
今までは商会の看板を出して高圧的に出れば、どうにかなってきてしまったんだろうな…
「クソ!!お前ら、覚悟しろよ!!」
既に脅威でもなんでもないテッテリードに、ほんの少しだけ哀れみを覚えた気もするが、俺の中ではこいつをどうするかは殆ど決まっている。
ま、一応優子と相談してからにするけどね。
「ちっ…うるさいから、もう喋るな。」
「ひっ!な!やめ…」
俺が毒蔦の根元に手をかざし、テッテリードの全身に達するように力を込めると、ザワザワと音を立てながら毒蔦は一気に成長していく。
ほんの数秒で、テッテリードの体を覆い隠してしまい、本当のイモムシ、いや、ミノムシみたいにしてしまった。
「なぁ、一応確認なんだが、テルテット商会ってのはこんな奴ばかりなのか?」
「あ…私ですよね。えっと、流石に全員が全員じゃないと思います。村に来ているシャクルさんは良い人でしたし…」
シーホはそう言っているが、村で会った奴も少ししか話していないが、俺に言わせればこのゴミと大差なかった印象だ…
「良い人…ねぇ…」
よし、テルテット商会の店は、今後どこかの街にあっても極力使わない事にしよう。
こんな奴らに、わざわざ金を落としてやる必要はないからな。
とりあえず動けないテッテリードを蹴り飛ばし、少しだけ憂さ晴らしをしてみるが、あまり気は晴れなかった。
助けられたのに礼も言わない奴に、おれが敬意を払う必要性は皆無だからな。
それに、自分を守る為に死んだ者に文句を言う奴なんか、同じ人間だと思いたくもないし、そんな奴に生きている価値はないさ。
テッテリードを見下ろして何度も蹴りながら、俺はそんなことを思っていた。
「ぼ…ねぇ、あんまり蹴ると靴に穴が開くよ?」
優子に言われて確かに、毒蔦の棘で穴が開くかもしれないなと思い、蹴るのをやめた。
テッテリード相手に靴までダメにしたくないからね。
「ふう…少し気が晴れた…かな。」
蹴る度にくぐもったような悲鳴をあげていたテッテリードだったが、まだ微妙に動いているし死んではいないだろう。
少しやり過ぎた感はあるが、どうにもこの手の奴には苛立って仕方ない…
テッテリードの上に、踏みつけるように足を乗せて、後ろを振り向く。
「さて、それでだ…こいつはこれからどうする?話ぶりだと、生かしておくと商会巻き込んで襲って来るみたいだし、俺は殺すべきだと思っているんだが?」
こいつを生かしておくメリットは、まったくと言っていいほど無い。
デメリットはいくらでも思いつくけどね。
「別にいいけど、わざわざ殺さなくても、ここに放置しておけばいいんじゃないかな?」
優子が言うように放置することも考えた、でも…
「街までは結構な距離があるみたいだけど…生き残られたらどうするんだ?
多分さっきみたいに訳のわからんことを言って、俺らを貶めようとすると思うぞ?」
「そうか…なら任せるよ。」
あまり興味が無くなったのか、優子はそれ以上何も言ってこなかった。
こんな奴に頭を使いたくないんだろうね。
「他には?何かあるか?」
「え、あ、特にないですけど…あの、本当に殺すんですか?」
シーホは、さっきよりも少し顔色が悪くなったように見える。
人の生き死にが目の前で決まろうとしてるんだから、この反応が正しいんだと思う。
ただ…俺にとって、そんな倫理観なんてのは、もうどうでもいいものになっているんだと思うんだよね。
「もちろん、必要があるなら俺は殺すよ。」
俺が言い切ると、シーホの顔色がさらに悪くなった気がした。
0
お気に入りに追加
437
あなたにおすすめの小説

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる