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第1章
第30話 感情の波
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「ノノーキルよ、いつまでそうしてるつもりなんだ?」
村の門にもたれかかり、ノノーキルは晴れた空をボーッと見上げていた。
「さあなぁ…」
レクレットは溜息を吐きながら、持っていた槍をクルクルと手の中で回し始める。
その速度はどんどん早くなり、槍の穂先が風邪を切る音が周りに響き出す。
「ここは休憩場じゃないんだがな…」
「良いじゃねえか。あんな後の後だ、暫くは暇だろ?」
レクレットは、槍の穂先をノノーキルに向けて止める。
「槍を向けんな!危ねえだろ!」
「あんなことがあったからこそ気を抜いちゃいけないんだ。俺の仕事は村を守ることなんでな…暇なわけではない。」
「分かった、分かったから槍どかしてくれ。」
レクレットは、槍をノノーキルに向けるのをやめ脇に立てる。
「俺だって、グレイのことは残念だと思っているんだよ…俺はあいつを守れなかった…あいつは…いい奴だったからな。」
「…寂しくなっちまったな…」
「あぁ…」
しんみりとした空気が、2人の間に流れる…
「こんにちはー…あ、本当にここにいたんですね。」
門を開けて、ロールがノノーキルたちの後ろに現れた。
「ロール、こんな所になにしに…酒場はいいのか?」
レクレットが尋ねると、ロールはノノーキルを指差してこう言った。
「この人のせいで、うちの店は今大変なことになってるのよ。なのでちょっと連れて行きますね。」
「な?俺か?」
「そう、だからボン君にお願いされて連れに来たのよ。」
そう言うと、ロールはノノーキルの腕を掴み立ち上がらせる。
「ほら、うちの店のためにも行きましょうね。」
「いや、え?ロール?レクレット、どう言うことだ?」
ノノーキルは、ロールに連れられて村の中に戻っていく。
「まったく…何をしたんだか…」
レクレットは、連れられていくノノーキルを見送ると、静かに門を閉めた。
「…それで、臭かったからこれで封印した…と?」
「そうですね。そうなりますね。」
頭を抑えたキャナタさんは、大きな溜息を吐いた。
魔道具をこんなものの封印に使うなんて、普通はしないらしいからな…
こんなことなら、封印した後ストレージリングに入れておけば良かっ…いや、例え封印していても、あんなものを他のものと一緒の場所に入れるのは嫌だからダメだな。
『情報提示。村人ノノーキルの反応が村人ロールの反応とともに、まもなく建物内に入ります。』
ナイスタイミングだナビさん。
「あの、キャナタさん。そろそろロールさんがノノーキルを連れて戻って来ると思いますし、下で待ちませんか?」
「いや、そんなに早く帰って来るわけ…」
「多分もう戻って来ますよ。そんな気がするんです。さ、とりあえず下に行きましょう。」
強引にキャナタさんを部屋から追い出す。
「優子は部屋にいて良いよ。これ、置いておくから適当に食べて待ってて。」
ストレージリングから、チョコやクッキーを適当に出して優子に渡しておく。
優子の事までノノーキルに詮索されたくないからね。
「そう?ならここにいるけど、大丈夫なの?」
「ん?何が?」
「少し怖い顔してるよ?」
「…そんな事はない。俺は冷静だよ?それじゃいってくるね。」
部屋の扉を閉め、キャナタさんと一緒に下へと降りていく。
店の大扉は閉められ、窓のカーテンを引かれているため、店内は薄暗い。
「まだかかると思うんだがな…村の中を探し回るんだか…」
「ほら、早く入って。」
「ちょっ、少しは説明をだな…」
キャナタさんが訝しんでいると、カウンターの奥から声が聞こえて来た。
「本当に帰って来たよ…何で分かったんだ?」
「感ですよ。」
「あら?どうして下にいるの?」
裏口から入ったらしいロールさんは、カウンターの奥から出てくると、下に降りて来ていた俺たちに驚いたようだ。
その横に、間抜け面を晒しているノノーキルがいた。
「いや、ボンがもうすぐ帰ってくるって言うから降りて来たんだが…
まさか本当に帰って来るとは…」
キャナタさんが驚いているが、そんな事はどうでも良い。
元凶を見つけたならきっちり始末しないとだよな?
「ロールさん、ありがとうございます。少しノノーキルから離れてもらえますか?」
「え?あ、はい。これでいいかしら?」
「ボン?俺を呼んだのはお前なのか?」
何か喋っているが、ロールさんが十分に離れたことを確認出来たら、これ以上喋らせる理由はない。
「痺れろ!麻痺毒枷!」
「うげ!なにをく…が……」
森で自分に使ったことで、ある程度手加減の方法も分かったからな。
前のようなヘマはしない、強さを調整して、意識を保ったまま手足の感覚だけなくなるようにしてやる。
これなら死ぬようなこともないし、ちゃんと痛みを与えることもできる。
「さぁ、ノノーキル…覚悟はいいか?」
「ちょ、おいボン!いきなり何やってんだ!」
「え?逃げられないようにしただけですけど…邪魔しないでもらえます?」
キャナタさんに肩を掴まれてしまうが、なぜ止めるんだ?
ノノーキルは、俺を脅して利用するような男で、有る事無い事周りに触れ回るようなクズですよ?
「いや、邪魔とかじゃなくて、ノノーキルを殺す気か!?少し落ち着け!」
殺…俺が…ノノーキルを…?
「か…かひ…か…」
息が…出来て…なんで!手加減はきちんと…!
「ちが…俺は…そんな…つもりは…」
「なら直ぐ止めろ!早く!」
「は、はい…解呪…」
俺が解呪すると、ノノーキルは息を吐き出し、呼吸がゆっくりと整っていく。
俺が…人を…殺…
「違う…そんな…俺は…誰も…あぁ…うぁーー!!!」
「ボン!おいどうした!ロール!ノノーキルは!?」
「息はしてる!そっちは!?」
「分からない、おい!しっかりしろ!おい!ロール、マメを呼んできてくれ!おい!ボン!ボン!」
「分かった!」
俺は…
ーーーー
作者です。
どうあっても、こっち方面に進んでしまうので諦めました。
感想その他、お時間あれば是非。
村の門にもたれかかり、ノノーキルは晴れた空をボーッと見上げていた。
「さあなぁ…」
レクレットは溜息を吐きながら、持っていた槍をクルクルと手の中で回し始める。
その速度はどんどん早くなり、槍の穂先が風邪を切る音が周りに響き出す。
「ここは休憩場じゃないんだがな…」
「良いじゃねえか。あんな後の後だ、暫くは暇だろ?」
レクレットは、槍の穂先をノノーキルに向けて止める。
「槍を向けんな!危ねえだろ!」
「あんなことがあったからこそ気を抜いちゃいけないんだ。俺の仕事は村を守ることなんでな…暇なわけではない。」
「分かった、分かったから槍どかしてくれ。」
レクレットは、槍をノノーキルに向けるのをやめ脇に立てる。
「俺だって、グレイのことは残念だと思っているんだよ…俺はあいつを守れなかった…あいつは…いい奴だったからな。」
「…寂しくなっちまったな…」
「あぁ…」
しんみりとした空気が、2人の間に流れる…
「こんにちはー…あ、本当にここにいたんですね。」
門を開けて、ロールがノノーキルたちの後ろに現れた。
「ロール、こんな所になにしに…酒場はいいのか?」
レクレットが尋ねると、ロールはノノーキルを指差してこう言った。
「この人のせいで、うちの店は今大変なことになってるのよ。なのでちょっと連れて行きますね。」
「な?俺か?」
「そう、だからボン君にお願いされて連れに来たのよ。」
そう言うと、ロールはノノーキルの腕を掴み立ち上がらせる。
「ほら、うちの店のためにも行きましょうね。」
「いや、え?ロール?レクレット、どう言うことだ?」
ノノーキルは、ロールに連れられて村の中に戻っていく。
「まったく…何をしたんだか…」
レクレットは、連れられていくノノーキルを見送ると、静かに門を閉めた。
「…それで、臭かったからこれで封印した…と?」
「そうですね。そうなりますね。」
頭を抑えたキャナタさんは、大きな溜息を吐いた。
魔道具をこんなものの封印に使うなんて、普通はしないらしいからな…
こんなことなら、封印した後ストレージリングに入れておけば良かっ…いや、例え封印していても、あんなものを他のものと一緒の場所に入れるのは嫌だからダメだな。
『情報提示。村人ノノーキルの反応が村人ロールの反応とともに、まもなく建物内に入ります。』
ナイスタイミングだナビさん。
「あの、キャナタさん。そろそろロールさんがノノーキルを連れて戻って来ると思いますし、下で待ちませんか?」
「いや、そんなに早く帰って来るわけ…」
「多分もう戻って来ますよ。そんな気がするんです。さ、とりあえず下に行きましょう。」
強引にキャナタさんを部屋から追い出す。
「優子は部屋にいて良いよ。これ、置いておくから適当に食べて待ってて。」
ストレージリングから、チョコやクッキーを適当に出して優子に渡しておく。
優子の事までノノーキルに詮索されたくないからね。
「そう?ならここにいるけど、大丈夫なの?」
「ん?何が?」
「少し怖い顔してるよ?」
「…そんな事はない。俺は冷静だよ?それじゃいってくるね。」
部屋の扉を閉め、キャナタさんと一緒に下へと降りていく。
店の大扉は閉められ、窓のカーテンを引かれているため、店内は薄暗い。
「まだかかると思うんだがな…村の中を探し回るんだか…」
「ほら、早く入って。」
「ちょっ、少しは説明をだな…」
キャナタさんが訝しんでいると、カウンターの奥から声が聞こえて来た。
「本当に帰って来たよ…何で分かったんだ?」
「感ですよ。」
「あら?どうして下にいるの?」
裏口から入ったらしいロールさんは、カウンターの奥から出てくると、下に降りて来ていた俺たちに驚いたようだ。
その横に、間抜け面を晒しているノノーキルがいた。
「いや、ボンがもうすぐ帰ってくるって言うから降りて来たんだが…
まさか本当に帰って来るとは…」
キャナタさんが驚いているが、そんな事はどうでも良い。
元凶を見つけたならきっちり始末しないとだよな?
「ロールさん、ありがとうございます。少しノノーキルから離れてもらえますか?」
「え?あ、はい。これでいいかしら?」
「ボン?俺を呼んだのはお前なのか?」
何か喋っているが、ロールさんが十分に離れたことを確認出来たら、これ以上喋らせる理由はない。
「痺れろ!麻痺毒枷!」
「うげ!なにをく…が……」
森で自分に使ったことで、ある程度手加減の方法も分かったからな。
前のようなヘマはしない、強さを調整して、意識を保ったまま手足の感覚だけなくなるようにしてやる。
これなら死ぬようなこともないし、ちゃんと痛みを与えることもできる。
「さぁ、ノノーキル…覚悟はいいか?」
「ちょ、おいボン!いきなり何やってんだ!」
「え?逃げられないようにしただけですけど…邪魔しないでもらえます?」
キャナタさんに肩を掴まれてしまうが、なぜ止めるんだ?
ノノーキルは、俺を脅して利用するような男で、有る事無い事周りに触れ回るようなクズですよ?
「いや、邪魔とかじゃなくて、ノノーキルを殺す気か!?少し落ち着け!」
殺…俺が…ノノーキルを…?
「か…かひ…か…」
息が…出来て…なんで!手加減はきちんと…!
「ちが…俺は…そんな…つもりは…」
「なら直ぐ止めろ!早く!」
「は、はい…解呪…」
俺が解呪すると、ノノーキルは息を吐き出し、呼吸がゆっくりと整っていく。
俺が…人を…殺…
「違う…そんな…俺は…誰も…あぁ…うぁーー!!!」
「ボン!おいどうした!ロール!ノノーキルは!?」
「息はしてる!そっちは!?」
「分からない、おい!しっかりしろ!おい!ロール、マメを呼んできてくれ!おい!ボン!ボン!」
「分かった!」
俺は…
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作者です。
どうあっても、こっち方面に進んでしまうので諦めました。
感想その他、お時間あれば是非。
応援ありがとうございます!
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