社内恋愛にご注意!!

ミミリン

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私の勝ちでしょ

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「失礼します。お茶をお持ちしました。」


私は入れたてのお茶を持って鶴丸様がいる部屋に入った。



「おや?この方は?」


「当社、営業部社員の近藤瑠美です。新しいお茶をお入れしました。」


「ああ、君はさっきの…。」


「先ほどは申し訳ございませんでした。同僚に間違った情報を伝えられて鶴丸様に不快な対応をしてしまいました。」


全力スマイルからのしょぼん顔を見せる。



私のこの姿を見せたらどんな男も許してくれるんだから。


「ああ、色々あったみたいだね。若いと色々大変な事もあるからね。」


な~んだ、結構話分かる社長さんじゃん。


やっぱりこの上客は瑠美が頂くんだから。



「はい、瑠美が優秀なので色々陰湿な方法で仕事を妨害されるんです。それにいつも瑠美は邪魔者扱いで重要な話はのけ者なんです。」


「ちょっと、瑠美ちゃん…。」


「マコ先輩、もう別部署の人間でしょ?こんな滝野瀬さんみたいなパートさんに鶴丸様をお任せするなんて非常識にもほどがあるんじゃないですか?

鶴丸様、滝野瀬さんはパートです。優秀な人なら今頃正社員で入社しているはずです。瑠美のように優秀じゃないからパートなんですよ。」



「…。瑠美ちゃん、いい加減にしてくれないかな?」

マコ先輩が珍しく目を吊り上げている。


お気に入りの滝野瀬さんがダメ人間って知られたからってそんな顔しないでよ。


私は事実を鶴丸様に教えただけじゃない。



「まあまあ、色々あるみたいじゃないか。ああ、近藤さんだったかな?私に入れなおしてくれたお茶、頂いてもよろしいかな?」


「ええ!もちろんです。どうぞ、うふっ。」

120%の笑顔を見せて鶴丸様の前にお茶を置く。



「ああ、ありがとう。」鶴丸様は一口私のお茶をすすった。



滝野瀬さんは無言でその状況を見ている。


滝野瀬さんの前にお盆があるって事は元からあったお茶は滝野瀬さんがいれたんでしょうね。


残念、あんたがいれたお茶なんか瑠美の120%スマイルにはかなわないんだからね。


身の程を知りなさい!


私は勝ち誇った眼で滝野瀬さんを見る。




「うん。なるほど…。」




鶴丸様が笑顔で私の入れたお茶を眺める。




ほらほら、やっぱり瑠美のいれたお茶は最高に美味しかったんだわ。






その時、ドアがノックされた音がしたと同時にすごい勢いで営業部長が入ってきた。




「鶴ちゃん!今日はプライベートで来たのか?来るならちゃんと教えてくれよ!」




つ、つるちゃん?



「ははは、やっちゃん。ごめんごめん。
いや~やっちゃんが来ると平井さんとゆっくり話せないからついこうやって黙ってきちゃうんだよ。」


「鶴ちゃん、平井さんの事ひいきにしてるもんな。ああ、そうか今日は平井さんが異動したから引継ぎの件で来たのか。その話終わったら次は俺の所来てくれよな。勝手に帰らないように。」



「分かった、分かった。相変わらずだな~やっちゃんは。」



営業部長と鶴丸様はかなり親しい間柄みたい。


ええええ~って事は鶴丸様に気に入られるって事は部長にも気に入られるって事じゃん。


それって最高な条件!


ああ、だからマコ先輩は所々部長に気に入られている感じだったんだ。


それって裏技って言うかずるじゃんか。マコ先輩性格悪いわあ。



まあいいわ。次はそのポジションに私が入るんだから。


「部長~鶴丸様の事は私が責任をもってマコ先輩から引き継がせ貰うんで大船に乗った気でいてくださいね。うふっ。」




「ちょっと、瑠美ちゃん勝手な事言わないで。今そんな話一切出てないから。」


あ~あ、マコ先輩邪魔すんなよ。空気悪くなるじゃん。



「平井さんの言うとおりだよ。僕はそちらの無礼な近藤さんには関わるつもりはないから。」



え?何か言われた?
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