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自分の気持ち
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私は山根君をぽんちゃんと結託して強引に自宅に招いた。
連れ込んだと言われてもおかしくないやり方だったかもしれない。
私にこんな人格があったなんて自分でも驚きだ。
お茶を入れて、お取り寄せしておいたお菓子を出す。
山根君はずっとぽんちゃんを見て撫でている。
ぽんちゃんは山根君に撫でてもらってウトウト寝そうな雰囲気。
ぽんちゃんをびっくりさせないよう少し声のボリュームを落として山根君にお礼を言う。
「今日は本当にありがとう。私、すごく混乱していて山根君に電話しちゃった。突然に本当にごめんなさい。」
しっかり頭を下げる。
「やめてください。困っていたら誰でもこうしますよ。」
「ううん。山根君だからこんな親切にしてくれるんだよ。今までどんな時でも一人で解決してきたから家族以外でこんなに親切にしてもらうことなかった。」
「…。田所ですか?」
「まあ、そうなるね。」
「あの男なら自分の世話も全部平井さんに押し付けそうですね。トラブルも全部。」
「う…そ、そんなこと…ないよ。」
「嘘が下手ですね。追い出して別れた女性に弁当を作らせようとする男ですよ、簡単に想像できます。」
「まあ、私が世間知らずだったから。私にも悪いところがあったんだ。でも、いい勉強になったと思えるくらいに図太くなったから大丈夫。」
「新しい彼氏は作らないんですか?」
「今は、いいかな。異動して間もないしぽんちゃんも居てくれるし、憧れの先輩を目指して頑張ろうと思うの。」
「憧れの…。」
「そう、清水部長みたいなカッコいい女性になりたいって思ってるの。」
「え…清水部長…?」
「そう、すごくお世話になってて。あんな女性になりたいんだ。」
「え、あ、そうですか。」
「うん。」
「…。」
「…。」
妙な沈黙が続く。
ぽんちゃんは完全に寝たみたいだ。
お茶のおかわり聞こうかな。でも、そのタイミングで帰っちゃいそうだな。
「あれ、平井さんのパソコンですか?」
ぽんちゃんをずっと見ていた山根君が唯一部屋の物に目を移した。
「ああ、そうなの。夏に研修行かせてもらって、ちょっと使い方が分かったから自分用に買いなおしたんだ。けど、スペックが高い分、独学だとなかなか難しくて…。」
「そうなんですか…。」
「あの、良かったら山根君お茶のお替りはどう?コーヒーもあるよ。」
「あ、ありがとうございます。けど、そろそろ帰ります。ぽんちゃんも落ち着いて寝てるしもう心配ないですね。」
「あ…そ、そうだね。」やっぱりもう帰っちゃうか…。これ以上引き留めたらダメだよね。
ちょっとしんみりした空気になった瞬間ぐるぐるぐると山根君のお腹から盛大な音が鳴った。
「…。」山根君の顔が真っ赤だ。
「…お腹すいてる?」
「のようです。もうお暇します。」
「あの、もうご飯がほぼ出来上がってるの。ぽんちゃん寝ちゃったから良かったら山根君一緒に食べて行かない?」
何故だか必死にまた引き留めてしまう。
ぽんちゃん寝たからっていう謎の理屈を繰り広げて恥ずかしい…。
「あまり長居するのはご迷惑なので。」
「迷惑じゃないの。全く迷惑じゃない。一緒に食べてもらえたらすごく嬉しいって思うから…。ぜひ、お願いします。」
私、どれだけ山根君に料理食べてもらいたいんだ?
いや、料理を食べてもらいたいだけじゃない。
山根君と一緒に居たいんだ。
さっきから何かと理由付けて一緒に居ようとしてる自分にずっと違和感を感じてた。
めぐちゃんの時とは種類が違う。
心をぎゅっと掴まれるような…。少女漫画によくある描写、意味分からなかったけど今なら何となく分かる。
この感覚…。私、山根君の事好きなんだ…。
連れ込んだと言われてもおかしくないやり方だったかもしれない。
私にこんな人格があったなんて自分でも驚きだ。
お茶を入れて、お取り寄せしておいたお菓子を出す。
山根君はずっとぽんちゃんを見て撫でている。
ぽんちゃんは山根君に撫でてもらってウトウト寝そうな雰囲気。
ぽんちゃんをびっくりさせないよう少し声のボリュームを落として山根君にお礼を言う。
「今日は本当にありがとう。私、すごく混乱していて山根君に電話しちゃった。突然に本当にごめんなさい。」
しっかり頭を下げる。
「やめてください。困っていたら誰でもこうしますよ。」
「ううん。山根君だからこんな親切にしてくれるんだよ。今までどんな時でも一人で解決してきたから家族以外でこんなに親切にしてもらうことなかった。」
「…。田所ですか?」
「まあ、そうなるね。」
「あの男なら自分の世話も全部平井さんに押し付けそうですね。トラブルも全部。」
「う…そ、そんなこと…ないよ。」
「嘘が下手ですね。追い出して別れた女性に弁当を作らせようとする男ですよ、簡単に想像できます。」
「まあ、私が世間知らずだったから。私にも悪いところがあったんだ。でも、いい勉強になったと思えるくらいに図太くなったから大丈夫。」
「新しい彼氏は作らないんですか?」
「今は、いいかな。異動して間もないしぽんちゃんも居てくれるし、憧れの先輩を目指して頑張ろうと思うの。」
「憧れの…。」
「そう、清水部長みたいなカッコいい女性になりたいって思ってるの。」
「え…清水部長…?」
「そう、すごくお世話になってて。あんな女性になりたいんだ。」
「え、あ、そうですか。」
「うん。」
「…。」
「…。」
妙な沈黙が続く。
ぽんちゃんは完全に寝たみたいだ。
お茶のおかわり聞こうかな。でも、そのタイミングで帰っちゃいそうだな。
「あれ、平井さんのパソコンですか?」
ぽんちゃんをずっと見ていた山根君が唯一部屋の物に目を移した。
「ああ、そうなの。夏に研修行かせてもらって、ちょっと使い方が分かったから自分用に買いなおしたんだ。けど、スペックが高い分、独学だとなかなか難しくて…。」
「そうなんですか…。」
「あの、良かったら山根君お茶のお替りはどう?コーヒーもあるよ。」
「あ、ありがとうございます。けど、そろそろ帰ります。ぽんちゃんも落ち着いて寝てるしもう心配ないですね。」
「あ…そ、そうだね。」やっぱりもう帰っちゃうか…。これ以上引き留めたらダメだよね。
ちょっとしんみりした空気になった瞬間ぐるぐるぐると山根君のお腹から盛大な音が鳴った。
「…。」山根君の顔が真っ赤だ。
「…お腹すいてる?」
「のようです。もうお暇します。」
「あの、もうご飯がほぼ出来上がってるの。ぽんちゃん寝ちゃったから良かったら山根君一緒に食べて行かない?」
何故だか必死にまた引き留めてしまう。
ぽんちゃん寝たからっていう謎の理屈を繰り広げて恥ずかしい…。
「あまり長居するのはご迷惑なので。」
「迷惑じゃないの。全く迷惑じゃない。一緒に食べてもらえたらすごく嬉しいって思うから…。ぜひ、お願いします。」
私、どれだけ山根君に料理食べてもらいたいんだ?
いや、料理を食べてもらいたいだけじゃない。
山根君と一緒に居たいんだ。
さっきから何かと理由付けて一緒に居ようとしてる自分にずっと違和感を感じてた。
めぐちゃんの時とは種類が違う。
心をぎゅっと掴まれるような…。少女漫画によくある描写、意味分からなかったけど今なら何となく分かる。
この感覚…。私、山根君の事好きなんだ…。
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