社内恋愛にご注意!!

ミミリン

文字の大きさ
上 下
54 / 107

私の部下

しおりを挟む
最近義明は接待飲み会が続いてるみたいで一緒に住んでいてもあんまり喋ることはない。


リビングに居てもずっと携帯見ているし『よっしゃ!ゲット!』とか言ってるから何か課金ゲームでもやってるのかな?


まあ、趣味の範囲だったら良いか。私もコスメとかファッションに課金してるしね。


付き合ってること社内の人に宣言したあの日、家に帰ってからむちゃくちゃ不機嫌だったけど仕方ないもん。

瑠美は悪くない。


気安く女の子に気を持たせるような事を言ってた義明が完全に悪い。


ドアを閉める音とか無駄に乱暴だし、わざとらしいため息とかついていたけどそんなの知らない。

いつかバレるんだし良いじゃん。


そのうち結婚するでしょ。瑠美婚活とかもうめんどくさいから早く結婚したいなー。



それに最近、私に運が回ってきた感じ。



この前、営業の内勤にパートさんを補充するって課長から教えてもらった。


パートって事は社員の私より格下って事でしょ。


私の部下みたいなものじゃん。何でも言うこと聞いてくれる人でしょ?


その人に仕事やってもらって報告だけ瑠美がすれば瑠美がやったって事になるわけだ。


瑠美あったま良いわ。



数週間後、パートの人が補充で入ってきた。



パートって言うくらいだからどっかのおばさんって思ってたけど、大人しい感じの20代前半の女の子だった。



名前は滝野瀬恵(たきのせめぐみ)。




コスメ、ファッション、美容、骨格…あらゆる美に対する目を肥やした私なら分かる。


この子、磨けば光っちゃう子だ。


だめだめだめ。この部署にヒロインは二人もいらないから。


しかし、芋臭い子だな。今どきこんな昭和っぽい服着てる同世代っているんだ。


あれ?でもあの服バーベリーじゃない?


持ってるかばんもダサいけど年代物のブランドだ。

げ…。

けどデスクに出されたペンケースはキャラ物のくすんだ貧乏っぽいものだ。


何か、ちぐはぐ感のある子だな。


彼氏がいるかどうかだけでも聞いておくか。


「近藤です。これからよろしくね。分からないことがあったら聞いてね。」


「滝野瀬です。よろしくお願いします。近藤さんがすごく綺麗な方でびっくりしてます。」


「え~、そんなことないよ~。滝野瀬さんも綺麗だよ~。」


これは社交辞令。女はこうやってお互い探りを入れるのが鉄則。


「あっあのね。初日に聞いておきたいの。滝野瀬さんって彼氏いる?」


「え?彼氏ですか?」


「ああ、ごめんね。私、取引先の人とかに合コンセッティングしてほしいとかすっごく頼まれやすいの。それに友達紹介してよとかさ。滝野瀬さん可愛いから声掛けても良いのかなって思って。先に聞いておいたらお互い良いかなって。」


あんたみたいな芋臭い女絶対紹介とかしないけどね。

まあ、合コンの引き立て役には良いのかもしれないけど、まだスペックとか分からないから彼氏いるいないで私の対応も変えなくちゃいけないの。

さあ、早く教えなさいよ。


「えっと、内緒にしていてもらえますか?」


何よ、彼氏歴ゼロって感じ?そうっぽいよね。


「大丈夫。私口固いから。教えてくれる?」


「あの、私今婚約中なんです。大学卒業してすぐ婚約したので就労経験がないのが恥ずかしかったんです。それでパートでもまずやってみようって思ってこちらにお世話になる事になりました。」


「こ、こ、婚約?」何それ、その歳で婚約?何時代から来たんだこの子?ああ、だからか。


女同士の醜い生存競争に身を置いたことがないんだ。だからこんな世間知らずな感じなんだ。


へえ~、ってことは多少理不尽な事言っても理不尽て理解できないのかも。


それは私にとって都合がいいじゃん。OK。この子合格!って事で私というヒロインのために頑張ってもらおう。


その日から私は滝野瀬さんにすべてのマニュアルを渡した。


「これ、全部読み込んでおいてね。分からないところあったら課長に聞いて。」


「え?これ全部ですか?さっき近藤さん何でも聞いてって…。」


「あの~、私めちゃくちゃ忙しいわけ。暇じゃないんだよね。内勤で取引先の対応できるって華やかな私しかいないでしょ?だから一ノ瀬さんはう・ら・か・た。パートさんだし無理しない程度に頑張ってね。でもちゃんとやってね~。」



そう言って、マニュアルの山に囲まれた一ノ瀬さんを置いて退室した。


はあ~すっきり。



あんな冴えない子が私に文句言ったって誰も相手しないでしょ。



だって営業のヒロインは私なんだもん。


さーて、久々に新作コスメのネットパトロールでもしよっかな~。

お金使い切ったけどまた買い物リスト作っておかなくっちゃ。







ー-------


「課長、相談があります。これはどうすればいいですか?」



「ああ、やっぱり近藤さんはこうなるか…。ごめんね。滝野瀬さんに負担にならないように助っ人手配するからね。」





「…よろしくお願いします。」

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

恋とキスは背伸びして

葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員 成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長 年齢差 9歳 身長差 22㎝ 役職 雲泥の差 この違い、恋愛には大きな壁? そして同期の卓の存在 異性の親友は成立する? 数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの 二人の恋の物語

大好きな背中

詩織
恋愛
4年付き合ってた彼氏に振られて、同僚に合コンに誘われた。 あまり合コンなんか参加したことないから何話したらいいのか… 同じように困ってる男性が1人いた

こじらせ女子の恋愛事情

あさの紅茶
恋愛
過去の恋愛の失敗を未だに引きずるこじらせアラサー女子の私、仁科真知(26) そんな私のことをずっと好きだったと言う同期の宗田優くん(26) いやいや、宗田くんには私なんかより、若くて可愛い可憐ちゃん(女子力高め)の方がお似合いだよ。 なんて自らまたこじらせる残念な私。 「俺はずっと好きだけど?」 「仁科の返事を待ってるんだよね」 宗田くんのまっすぐな瞳に耐えきれなくて逃げ出してしまった。 これ以上こじらせたくないから、神様どうか私に勇気をください。 ******************* この作品は、他のサイトにも掲載しています。

一夜の男

詩織
恋愛
ドラマとかの出来事かと思ってた。 まさか自分にもこんなことが起きるとは... そして相手の顔を見ることなく逃げたので、知ってる人かも全く知らない人かもわからない。

処理中です...