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マコさまさま
しおりを挟む同棲を了承してもらいにマコの実家に行くことになった。
まだ付き合って間もないからと難色を示されるかと多少覚悟をしていた。
しかし、俺が変な男からマコを助け出したというエピソードを使えば、マコの親の承諾も割とスムーズにもらえた。
同棲する男がどんな男か見ておかないといけないからとマコの親に呼び出されたときはさすがに焦ったが、営業で鍛えた誠意のある振る舞いを見せれば納得してもらえた。
と言っても、マコの父親は海外に単身赴任中だったから母親と叔母だけの顔合わせだったけどな。
一緒に母親の姉つまりマコの叔母も同席してたけどその人はずっと俺の事変な目で見てたな。
マコの母親はマコと同じ人種で人を疑うことを知らない感じだった。
ほわほわとした雰囲気でむしろマコよりも競争社会から程遠い人って感じだった。だからマコもこんな純粋な娘に仕上がったんだろうな。
マコ本人と周囲が難色を示し始めないようにすぐに部屋を決めて同棲を始めた。
マコは思った通り、いや思った以上に家庭的な子だった。
掃除洗濯、料理、節約全て無駄がなく料理に関してはこんなありきたりな食材で何でこんな料理が作れるんだ?と言うほど美味かった。
おまけにほぼ貯金のない俺に協力して奨学金の返済を優先してくれるようなありがたい存在だ。
俺はどうしてもあるだけ金を使ってしまう。だって欲しいものはあるし見栄も張りたい。
それに、仕事で必要な金も必要だ。
営業の仕事で経費にしてもらえるものもあるが、契約を勝ち取るためには自腹で身銭を切らないといけない場面もある。
特に俺は自腹で接待することが多いから金なんてすぐなくなる。まあその分契約数はそこそこ稼ぐんだけどな。
だからマコとの同棲は俺にとってもすごくいい条件だった。
家賃さえ払っていればあとは好きにできる。奨学金を返済してもまだ残るなんて最高だ。
ご飯はマコが作ってくれるから普段の外食費も減る。
俺は欲しかった服や靴、時計などをどんどん購入できるようになった。
美容院にもマメに行けるし、スポーツジムにも行ける。
ちょっと最近、返済よりプライベートに使ってしまうこともある月があるが、大したことないし。マコがいて俺が本気になったら返済なんてすぐ終わるから大丈夫。
貯金はマコがせっせと結婚資金として貯めているから俺は関係ないし。
まあ、二人の結婚式だからその貯金も半分俺のものであるか。
実際二人の共有する引き出しに二人の結婚資金として貯金通帳が置いてある。
マコ様様だ。
そして、もう一つマコと付き合って得をしたことがある。
マコは会社では営業の内勤だから社内で営業をするのが本来業務だ。
でも外勤のサポートも兼ねているから稀に持ち出す資料をまとめる機会がある。
持ち出す資料作成は担当の外勤が行うのが筋だがどうしても手が回らなくて自宅で休んでいたマコにお願いしたことがあった。
マコが「こんなものしか作れなかったけど…。」と言って差し出してきた資料はかなり完成度の高いものだった。
俺以外の人間が見ても商品のスペックが分かりやすく、既製品や他社製品との比較もすごく分かりやすくレイアウトされていた。
そういえば、マコって趣味で絵画を見たりイラストの展示会に行くとかで出かけること多かったな。
鑑賞専門なんだろうが、目が肥えているのかはっきり言ってセンスが良かった。
マコ…。俺は良い彼女を持った。
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