12 / 107
マコさまさま
しおりを挟む同棲を了承してもらいにマコの実家に行くことになった。
まだ付き合って間もないからと難色を示されるかと多少覚悟をしていた。
しかし、俺が変な男からマコを助け出したというエピソードを使えば、マコの親の承諾も割とスムーズにもらえた。
同棲する男がどんな男か見ておかないといけないからとマコの親に呼び出されたときはさすがに焦ったが、営業で鍛えた誠意のある振る舞いを見せれば納得してもらえた。
と言っても、マコの父親は海外に単身赴任中だったから母親と叔母だけの顔合わせだったけどな。
一緒に母親の姉つまりマコの叔母も同席してたけどその人はずっと俺の事変な目で見てたな。
マコの母親はマコと同じ人種で人を疑うことを知らない感じだった。
ほわほわとした雰囲気でむしろマコよりも競争社会から程遠い人って感じだった。だからマコもこんな純粋な娘に仕上がったんだろうな。
マコ本人と周囲が難色を示し始めないようにすぐに部屋を決めて同棲を始めた。
マコは思った通り、いや思った以上に家庭的な子だった。
掃除洗濯、料理、節約全て無駄がなく料理に関してはこんなありきたりな食材で何でこんな料理が作れるんだ?と言うほど美味かった。
おまけにほぼ貯金のない俺に協力して奨学金の返済を優先してくれるようなありがたい存在だ。
俺はどうしてもあるだけ金を使ってしまう。だって欲しいものはあるし見栄も張りたい。
それに、仕事で必要な金も必要だ。
営業の仕事で経費にしてもらえるものもあるが、契約を勝ち取るためには自腹で身銭を切らないといけない場面もある。
特に俺は自腹で接待することが多いから金なんてすぐなくなる。まあその分契約数はそこそこ稼ぐんだけどな。
だからマコとの同棲は俺にとってもすごくいい条件だった。
家賃さえ払っていればあとは好きにできる。奨学金を返済してもまだ残るなんて最高だ。
ご飯はマコが作ってくれるから普段の外食費も減る。
俺は欲しかった服や靴、時計などをどんどん購入できるようになった。
美容院にもマメに行けるし、スポーツジムにも行ける。
ちょっと最近、返済よりプライベートに使ってしまうこともある月があるが、大したことないし。マコがいて俺が本気になったら返済なんてすぐ終わるから大丈夫。
貯金はマコがせっせと結婚資金として貯めているから俺は関係ないし。
まあ、二人の結婚式だからその貯金も半分俺のものであるか。
実際二人の共有する引き出しに二人の結婚資金として貯金通帳が置いてある。
マコ様様だ。
そして、もう一つマコと付き合って得をしたことがある。
マコは会社では営業の内勤だから社内で営業をするのが本来業務だ。
でも外勤のサポートも兼ねているから稀に持ち出す資料をまとめる機会がある。
持ち出す資料作成は担当の外勤が行うのが筋だがどうしても手が回らなくて自宅で休んでいたマコにお願いしたことがあった。
マコが「こんなものしか作れなかったけど…。」と言って差し出してきた資料はかなり完成度の高いものだった。
俺以外の人間が見ても商品のスペックが分かりやすく、既製品や他社製品との比較もすごく分かりやすくレイアウトされていた。
そういえば、マコって趣味で絵画を見たりイラストの展示会に行くとかで出かけること多かったな。
鑑賞専門なんだろうが、目が肥えているのかはっきり言ってセンスが良かった。
マコ…。俺は良い彼女を持った。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
こじらせ女子の恋愛事情
あさの紅茶
恋愛
過去の恋愛の失敗を未だに引きずるこじらせアラサー女子の私、仁科真知(26)
そんな私のことをずっと好きだったと言う同期の宗田優くん(26)
いやいや、宗田くんには私なんかより、若くて可愛い可憐ちゃん(女子力高め)の方がお似合いだよ。
なんて自らまたこじらせる残念な私。
「俺はずっと好きだけど?」
「仁科の返事を待ってるんだよね」
宗田くんのまっすぐな瞳に耐えきれなくて逃げ出してしまった。
これ以上こじらせたくないから、神様どうか私に勇気をください。
*******************
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる