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俺の評価、マコの評価
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今日は月一回の契約本数集計発表の日だ。
俺が頑張って取ってきた契約をみんなが称える日でもある。
俺は田所義明。自分でも優秀な部類の人間だと思う。優秀で余裕だけど今日のような日はやっぱり嬉しいものだ。
「今月の営業成績を発表します。え~、先月に引き続き田所君が圧倒的に差をつけてトップとなりました。
田所君、この数年の営業成績の伸び率は素晴らしい。取引先からはいつも丁寧に資料をまとめてもらい分かりやすい説明が好評だと聞いている。私も優秀な部下を持つと鼻が高いよ。
これからも期待しているよ。みんなも田所君を見習うように!田所君に拍手!」
周囲から温かい拍手が送られる。圧倒的な差だからか誰も俺を僻むような表情の人間はいない。
本当に恵まれた職場だ。
そして、俺の努力の結果がこれなんだ。
「そんな、課長、やめてください。俺だけの力ではここまで出来ません。ここに居る先輩たちからアドバイスを頂き、後輩たちから応援してもらってるんです。
皆さんの協力のおかげでこの結果に結びついただけなんです。
ですから、みなさん、これからもよろしくお願いします。」
少し謙遜した表情を作って深々とお辞儀をすると予想通りまた大きな拍手に包まれた。
そうそう。敵は作っても厄介なだけだからな。
やっぱり合理的に考えたらこうやって謙遜して耳障りの良い言葉を送るのが一番だ。
今月も営業成績はトップ。上々だ。これで俺の出世はほぼ確定。楽勝だな。ああ、選ばれた人間はこのビジュアルと言い、どこまでも優秀で目立っちゃうんだよな。
それにしても、まさか営業課長が俺の取引先とコンタクトを取っていたなんて知らなかった。
資料作成とか余計なこと課長に吹き込まれたな。
あれはマコが作っている資料だからあんまり詳細を突っ込まれるとマコのことがバレてしまう。
そうなったちょっと厄介だから社内恋愛も秘密にしているってのに。
マコの方をちらりと見ると、何の疑問も持っていないような笑顔でみんなと一緒に俺に拍手を送っている。
単純な女で良かった。
そう、俺はマコの最高の彼氏だから。
初めてマコを見たとき、目を奪われた。
突出して美人とかではないが内側から輝くような何かが見えた。
よくよく見ると顔は整っているしスタイルも悪くない。
少し親しくなって聞いた話だと高校、大学は女子だけの環境だったそうだ。
だからか。
何となくあか抜けない雰囲気は男を意識していないから色気がないんだ。
本人も男にもてる環境じゃないかったから、美人の部類ってことに自覚がない。
のんびりと穏やかに学生生活を送って純粋な人格を形成したってとこか。
入社した当初のマコは実家から通っていてからか、堅実と言われるような服装だった。
でも、質は良さそうでシルエットやところどころ施している刺繍やカットは見たことないデザインのものばかりだった。見る奴が見ればおしゃれなのかもしれない。
一度も染めたことがないような黒髪で都会的な社風のこの会社とはちょっと埋もれてしまうような女の子だった。
マコが俺と同じ営業部に採用されたときそこまで目立っていなかったが、徐々に周りの男たちがマコのポテンシャルに気が付き始めた。
休憩中は、今年度入った女の子ランキングなどと男子高生がやるような下世話な話題で持ちきりだ。
マコは徐々にランキングが上がっている。
「営業のマコちゃんて、よく見たら結構可愛いんだよな。仕事まじめだしさ、擦れてない感じが癒されるよな~。」
「あ~、分かるかも。あの子しょうもないジョーク言っても無視しないし、どういう意味ですか?って聞いてくるんだぜ。なんかまじめな感じが妙に可愛いんだよな。仕事もしっかりしているし。」
「隣に歩かせて鼻が高くなるような美人も憧れるけど、結婚するなら断然マコちゃんみたいな従順なタイプでしょ。」
なんて話されてるのは当の本人は知る由もないだろうな。
俺が頑張って取ってきた契約をみんなが称える日でもある。
俺は田所義明。自分でも優秀な部類の人間だと思う。優秀で余裕だけど今日のような日はやっぱり嬉しいものだ。
「今月の営業成績を発表します。え~、先月に引き続き田所君が圧倒的に差をつけてトップとなりました。
田所君、この数年の営業成績の伸び率は素晴らしい。取引先からはいつも丁寧に資料をまとめてもらい分かりやすい説明が好評だと聞いている。私も優秀な部下を持つと鼻が高いよ。
これからも期待しているよ。みんなも田所君を見習うように!田所君に拍手!」
周囲から温かい拍手が送られる。圧倒的な差だからか誰も俺を僻むような表情の人間はいない。
本当に恵まれた職場だ。
そして、俺の努力の結果がこれなんだ。
「そんな、課長、やめてください。俺だけの力ではここまで出来ません。ここに居る先輩たちからアドバイスを頂き、後輩たちから応援してもらってるんです。
皆さんの協力のおかげでこの結果に結びついただけなんです。
ですから、みなさん、これからもよろしくお願いします。」
少し謙遜した表情を作って深々とお辞儀をすると予想通りまた大きな拍手に包まれた。
そうそう。敵は作っても厄介なだけだからな。
やっぱり合理的に考えたらこうやって謙遜して耳障りの良い言葉を送るのが一番だ。
今月も営業成績はトップ。上々だ。これで俺の出世はほぼ確定。楽勝だな。ああ、選ばれた人間はこのビジュアルと言い、どこまでも優秀で目立っちゃうんだよな。
それにしても、まさか営業課長が俺の取引先とコンタクトを取っていたなんて知らなかった。
資料作成とか余計なこと課長に吹き込まれたな。
あれはマコが作っている資料だからあんまり詳細を突っ込まれるとマコのことがバレてしまう。
そうなったちょっと厄介だから社内恋愛も秘密にしているってのに。
マコの方をちらりと見ると、何の疑問も持っていないような笑顔でみんなと一緒に俺に拍手を送っている。
単純な女で良かった。
そう、俺はマコの最高の彼氏だから。
初めてマコを見たとき、目を奪われた。
突出して美人とかではないが内側から輝くような何かが見えた。
よくよく見ると顔は整っているしスタイルも悪くない。
少し親しくなって聞いた話だと高校、大学は女子だけの環境だったそうだ。
だからか。
何となくあか抜けない雰囲気は男を意識していないから色気がないんだ。
本人も男にもてる環境じゃないかったから、美人の部類ってことに自覚がない。
のんびりと穏やかに学生生活を送って純粋な人格を形成したってとこか。
入社した当初のマコは実家から通っていてからか、堅実と言われるような服装だった。
でも、質は良さそうでシルエットやところどころ施している刺繍やカットは見たことないデザインのものばかりだった。見る奴が見ればおしゃれなのかもしれない。
一度も染めたことがないような黒髪で都会的な社風のこの会社とはちょっと埋もれてしまうような女の子だった。
マコが俺と同じ営業部に採用されたときそこまで目立っていなかったが、徐々に周りの男たちがマコのポテンシャルに気が付き始めた。
休憩中は、今年度入った女の子ランキングなどと男子高生がやるような下世話な話題で持ちきりだ。
マコは徐々にランキングが上がっている。
「営業のマコちゃんて、よく見たら結構可愛いんだよな。仕事まじめだしさ、擦れてない感じが癒されるよな~。」
「あ~、分かるかも。あの子しょうもないジョーク言っても無視しないし、どういう意味ですか?って聞いてくるんだぜ。なんかまじめな感じが妙に可愛いんだよな。仕事もしっかりしているし。」
「隣に歩かせて鼻が高くなるような美人も憧れるけど、結婚するなら断然マコちゃんみたいな従順なタイプでしょ。」
なんて話されてるのは当の本人は知る由もないだろうな。
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