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キャッキャしたかった

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グループに参入した草野主任は、俺の隣にパイプ椅子を持ってきてどっかり座っている。

パイプ椅子さえおしゃれ家具に見せるイケメンだ。

くそう、足長いな。

俺の隣に座られると可愛い女の子が主任しか見えなくなるから困るんだけどな。


「何だか白熱しているみたいだな。どんな感じかな?」


「あっ!草野主任。私たちのグループに入ってくださるなんてラッキー!

あのですね、こちらの市川君が涼ちん、違った田上さんが卒業した学部内容と全然違う営業部に転職してきたことをずっと気にしてるみたいなんです~。」


「…ふ~ん。涼ちんね…。」

草野主任はじと~と俺の事を見る。俺の名前が論点じゃないですよ。

若い女の子に涼ちんとか言われてデレデレしてませんからね。


「市川君だっけ?」


「…はい。」市川君がふてくされながら返事をする。


「確かに、田上君の専門は技術部門だと思う。

けれど彼はどのような形でも良いからこの会社に貢献したいと望んでくれてね。

君が受けた採用試験を彼も受けてもらったが、トップクラスの成績だった。実際、私は彼と仕事をしているが技術分野の知識はもちろんのこと企画や営業、販売面まで視野を網羅している。

そして、いつもほぼノーミスで書類を仕上げてくるんだ。それだけではない、職場の人間関係においても謙虚で和を重んじる振る舞いは私も重々助けられている。」


もうやめて…。


草野主任がそう言ってくれるのは嬉しいけど新卒の子たちの前でそこまで褒められるのある意味公開処刑ですよ。

他の子褒めてください。


「ああ、田上君の話ばかりになってしまったね。市川君、君は技術部の人間でありこの会社の社員だ。

お互いを高め合うために意見をぶつけ合うのは非常に有効だけれど、自分の思う言葉を相手から聞くまで責めるような方法は学生で卒業しよう。

これから一緒に会社を築き上げる同士が集まっているんだ。

仲良しクラブではない、社会人としての人脈を作る第一歩としてこの機会を有効に使ってほしいと運営は思っているよ。」


市川君は不服そうだったが「すみませんでした。」と一言言って他の人の意見を聞くよう気分を切り替えていた。


あのゼミで推薦をもらえるくらい優秀なんだ。もともとは努力家で堅実な子なんだろう。


さてさて、目の前の企画の女の子名前は伊藤さんだったかな。

何となく女優の無村かすみに雰囲気が似てるんだよな~。

う~ん、伊藤さんの視線は俺の右隣に居る草野主任に注がれてるのは勘違いではないな。

ああ、俺の貴重な出会いの場がイケメンに潰された…。


そして、草野主任は場が落ち着いてからもずっとこの席に滞在し、ことあるごとに年長者として俺の意見を出させようと流れを作る。
俺も一応新人なんだけど…。同期の子たちとキャッキャと楽しくお話しするはずだったのに。


やっぱり、俺が嫌いで監視するために引率に来たんだなと確信した。

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