俺の事嫌いなんですよね?

ミミリン

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やってしまった…

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「ああ、そういえば田上君は次の連休、新入社員の交流研修は行くのかな?」


「へ?あ、はい。新入社員で転職組は僕一人だけみたいで寂しいですけど、まあ一応同期を作っておいた方が今後の会社生活で損はないかなって思うので頑張って行ってみようと思います。」


俺今28歳で新卒の社員は23歳だし、おじさん扱いされるかもしれないけどまあ一泊二日だから乗り切れるだろう。

歳の差はあるけど、一緒に三食喰えば少しくらい仲良くなれるかな?なんて算段だ。甘いかな?


「ああ、その交流研修の引率社員に私も入ったから一つよろしくな。」

「へ?草野主任が来られるんですか?」

「ああ。たまには新入社員との交流も必要だと思ってな。はめ外しそうな社員の抑止力にもなるだろうし、私が立候補したんだ。」


お、俺だ。はめ外しそうな社員って俺の事だ。無村かすみちゃんみたいな子が居たら連絡先を聞き出すくらいの事はするかもしれない。

この人、俺の監視役だ。

「へ、へえ。ソウナンデスネ…。」


「一応社内研修だからな。男女で不純な行動をとるものが毎年いるみたいでな。
そのお目付け役と思ってくれたらいい。」


「あ、そうですか。じゃあ、僕はモテないしあんまり関係ないですね。ははは。」


「田上君は本当にそう思っているのか?」


「あはは…。草野主任みたいなカッコいい人には俺みたいな非モテ男の気持ち分かりませんよ。あ…俺って言っちゃった。すみません。」


「…君から見て私はカッコいいのか?」


え?それ聞いてくる?それだけイケメンで仕事も出来たら俺みたいな小者の男から確認しなくてもいいだろうよ。


「あ、はい。十分すぎるくらいで羨ましいですよ。」こんなこと何百回も言われてるでしょう?


「そ、そうか…。」何だか神妙な顔つきで黙り込んでいる。


「ほ、本当にそう思ってくれてる?」


ん?何か聞き方がフランクだな。草野主任、いつもとなんか違う。え?これだけカッコいいのに実は自分にコンプレックスだらけっていう設定か?


「本当ですよ。もう、そんなにカッコいいのに何が不満なんですか。すごく素敵ですよ。」

安心してもらうように友達を慰めるような感じでポンポンと肩を軽く叩いた。


その瞬間草野主任が目を見開いて、思いっきり俺から距離をとった。



あっ、やっちゃった…。


時すでに遅し。



草野主任は恐ろしい顔で俺を睨みつけて警戒していた。しばらくお互いが無言になる。


ああ、馴れ馴れしくしてしまった…。

この人上司なのに、変に親近感持ってしまって友達感覚の距離になってた。

俺の馬鹿…。ああ、これ以上嫌われるとか?最悪だ。



「あ、あの…。主任すみませ…」謝ろうとしたら



「いや、すまない。ここで失礼する。」と言ってそそくさと早歩きで去って行った。

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