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天使の献身
しおりを挟むSM要素(拘束・スパンキング・首絞め)、無理矢理?要素が出てきます。
苦手な方はご注意ください。
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初めて私が彼を見た時、この世にこれほど綺麗な人がいるのかと感動を飛び越え呆然としたのを覚えている。
兄や私は歴代一の美丈夫だと言われた国王と、妖精と称される愛らしい面立ちをした王妃との子供だ。くすんだ金髪の凛々しい兄は父似、白金の髪に甘い顔だちの私は母似で、自画自賛になってしまうが美しかった。しかし到底敵わないと思わせる美貌が彼にはあった。
アレクセイ・バスクは地方貴族で、彼が王都にやってくるまで誰もその美貌を話題にしたことはなかった。長い銀糸のような髪に切れ長の青い瞳は冷たい印象を受けるはずだが、いつも口元に穏やかな笑みを浮かべているため儚げに見える。
最初は外見の良さだけを話題にされていたアレクセイだったが、仕官してすぐにその実力をまわりに知らしめた。彼の仕事ぶりは無駄がなく的確で、先を何手も読む鋭いものだ。すぐに国王の覚えもよくなり、今は国王の側近の一人として仕えている。
「アレク! 父上とお仕事?」
「パース殿下、こちらは陛下の執務室ですから遊び場にしてはいけませんよ」
「僕だって今年12歳なんだからそれくらいわかるさ!」
「それはそれは。大変失礼致しました」
アレクセイはわざと恭しく頭を下げ、私は噴き出すように笑う。私を見たアレクセイも目元を柔らかく緩めて笑っていた。
父の執務室に通ううちに私はすっかりアレクセイに懐いていた。アレクセイは私のようなやんちゃな子供にも敬意を払い、根気よく相手をしてくれる天使のように優しい人だった。
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「アレク~? どこ~?」
私はその日、大好きなアレクセイに遊んでもらおうと彼を探していた。父の執務室にはいなかったので、彼の執務室に向かった。応接室を抜けると話し声が聞こえ、執務室の扉が僅かに開いていることに気付いた。
「アレクセイ! もっと尻をあげろ!」
「あぅッ……ひっ、ぁッ!」
聞こえた大きな声は父のものだ。厳格ではあれど怒鳴ることは殆どない、穏やかな父とは思えない怒声だった。
恐る恐るドアの隙間を覗くと、裸のアレクセイを無理矢理机に押し付け腰を振る父が見えた。
「あぅッ!! ぁんッ……!」
「そうかそうか。そんなに気持ち良いかアレクセイ」
「は、いッ……きもち、いいですッ……!」
父がアレクセイの尻を真っ赤になるまで叩き、血管の浮き出る性器をアレクセイの尻に押し付けている。
私は犬を飼っており、交尾しているところを見たことがあった。獣とはなんとおぞましいことをするのだろうとぞっとしたのを覚えている。父とアレクセイの交わりは、それよりもずっとおぞましいもののはずなのになぜか目が離せなかった。
「陛下ッ、あぐッ……ッッ――!!」
「尻を叩かれて達するとは……情けないぞ、アレクセイ。そら、まだ終わらぬぞッ」
「も、うしわけありませッ……ぁっ! 待って! 待ってください陛下……ッ! まだ、まだイッて……あッ、ぁ、あああッ!」
泣きながら喘ぐアレクセイは美しかった。父に嬲られ、必死に耐えてそれでも抗えきれずに精を垂れ流す。アレクセイが父の意にそぐわぬ”粗相”をするたび、父はアレクセイに無体を強いた。尻を叩き、彼の絹糸のような髪をぐちゃぐちゃにして引っ張っていた。
申し訳ありません、と必死に謝るアレクセイはあまりにも哀れで、しかし艶めかしく、私は初めての射精をこの凄惨な場所で迎えてしまった。
その場を逃げ出した後、私はこっそり父とアレクセイの様子を観察する癖がついた。皆のいる場所で、父は決してあの日見せた獣のような顔をすることはない。アレクセイも以前と変わらぬ笑顔を浮かべているが、時折父に耳打ちされては顔を青くしていた。そんな日は大抵どこかしらでアレクセイが無体を強いられる。
なぜ知っているか? 私がその情事を覗いているからに他ならない。
「アレクセイ、ちょっといいか。婚約者に贈るドレスを相談したいんだが……」
「王太子殿下、私は田舎貴族ですよ?」
「いつもパーティでは最新のトレンドを披露しておいてよく言うよな」
私がアレクセイを慕っているように王太子でもある兄もまたアレクセイを頼り、慕っていた。兄は少し強引なところがあるが、立派な人だ。優秀で人の扱い方もうまい。頭も弁も私と違ってよくまわり、剣の腕も素晴らしかった。
私は両親に可愛がられているが、兄のように期待されてはいない。劣等感を覚えるが、それは致し方ないことだと諦めがついていた。
もし兄が父とアレクセイの関係を知ったら、父を諫めてくれるだろうか。
私はアレクセイに劣情を感じながらも、父の魔の手から救いたいと渇望するようになっていた。
どんなに酷いことをされても、彼は王家のために尽くす素晴らしい臣下でい続けている。優しい彼を父という地獄から助け出さねばならないと、私はそれが与えられた試練のようにも、使命のようにも感じていた。
私は意を決し、兄の部屋へと向かう。兄は私達家族も、まだ数回しか会ったことのない隣国の姫君も大事にしている。彼は俺の知りうる中で最も正しき人だ。きっとアレクセイを救ってくれるだろう。
+
「殿下ッ、あ、ぁああッ!」
「へばるなよアレクセイ。父上に跨る時はそんなものではないのだろう?」
「ん、あぁッ!」
「ほら、腰を振れ。雌豚と呼ばれて喜ぶ貴様にはお似合いだ」
「っはぁ、でん、かッ……おゆるしをッ! も、むりですッ……ん、ぅッッ!!」
「誰がイッていいと言った?」
「っぐ、ぅうううッ」
私が兄の部屋で見たのは悪夢のような光景だった。兄が、あのいつも正しいと信じていた兄が、父のようにアレクセイを虐げていた。
首に縄をつけられ、手を縛られ、ズボンを寛げた兄の上に跨りアクレセイは腰を揺らしていた。必死に兄を射精させようとしている様子は健気で美しい。
しかし兄は気に入らないと手に持った縄を引っ張る。兄の持っている縄はランプをつるすためにつけられた天井の金具を通りアレクセイの首を絞めるようになっていて、アレクセイは呻きながらも必死に腰を振り続けていた。
「雌豚、俺と父上のモノ、どちらが良い?」
「ウッ、で、んかの方がッ……」
「どう良いんだ?」
「硬くて、おぉ、きくてッ、きもち、ぃいですッ……!」
兄はアレクセイの言葉に満足したのか手に持っている紐を緩めた。アレクセイはゲホゲホと咽ながらも兄に命令され必死に尻を上下に揺らしている。兄は射精するとアレクセイの口で自分の性器を”掃除”させた。アレクセイは酸欠でぼんやりしているのか、されるがまま言うことを聞いている。
私は絶望してその場を離れた。父に続き兄までもアレクセイを虐げていたなんて信じられなかった。兄は父がアレクセイに何をしているか知っていたのだ。知っていてアレクセイを獣のように紐で繋げ、飼っている。
もしかしたら父とアレクセイの不義を知り、アレクセイを脅しているのかもしれない。それは、あまりにも非道な行いだ。そして何よりも最低なのは、汚されるアレクセイを見て股間を膨らます私自身だった。
それから私はアレクセイを救うため必死に勉強を行った。兄より、父より強く立派になればアレクセイを守ることができる。そしていつかアレクセイを救うことができたら、彼と心で繋がりたいと夢を抱いた。そしてもしアクレセイが望んでくれるなら、一晩だけでも良い……私と……
しかし現実は無情だ。
私が何年勉強しても兄のように振舞えず、父のような統治者の素養を得ることはなかった。気付けば六年が経ち、私は十八の誕生日を迎える。兄が王になれば臣籍降下は免れず、他国に婿入りすればアレクセイと会うことすら叶わなくなる。
このままではアレクセイを救うことができない。
私はがむしゃらに力を欲し、城に隠された禁書棚の中でも取り分け奥深くに隠された本に手に入れた。
そして悪魔と契約するという禁忌を犯したのだ。
『汝の魂と引き換えにどんな願いもかなえてやろう』
「兄と父を排斥し、私を絶対的な力を持つ王にしてくれ!!」
『あいわかった』
私の目の前に現れたのは銀色の山羊の頭に三対の黒い羽根を持つ恐ろしい悪魔だった。私は自分の魂と引き換えに悪魔と契約した。そこに迷いは一切なかった。
数日もたたず、父が逝去した。死因は心臓発作だ。
その次の日、兄はシャンデリアの下敷きになった。事故だった。
そして私が次代の王になることとなった。兄の婚約者は私の婚約者となり、彼女と母はこんなはずではなかったと言いたげに顔を暗くしていた。それでも私は自分が間違ったことなどしていないと強く信じている。
父や兄のように、忠臣であるアレクセイを虐げることはない。私は正しき者だ。正しき王に私はなるのだ。
王になり、婚約者と初夜を迎え、私は正式にこの国の王となった。
+
アレクセイは父と兄の死に強い衝撃を受けたのか、葬式を終えてからは登城をせず王都の館で体を休めていた。皆が「こんな時に何を」と普段の彼の献身を忘れて文句を言ったが、私がそれを指摘して激しく糾弾すれば誰もアレクセイの悪口など言えなくなった。
私はアレクセイの心を癒そうと彼に尽くす日々を送っていた。彼の好きそうなものがあればどんなに金がかかっても手に入れさせ、仕事を他の者に任せて彼の館に通い続けた。彼のために何かできることがこの上ない私の幸せだ。
「ようやっと、ようやっと貴方を守ることができるのですアレク」
「陛下……?」
アレクセイは体調が悪いと私に会ってくれずにいたが、半年が経ちようやく私に会ってくれた。しばらくぶりに会う彼は、以前と同じように眩い美しさを放っている。
そういえばアレクセイはいつから父に仕えていたのだろうか? あまりにも美貌が曇らないから忘れていた。いや、そんなことは今となってはどうでもいい。やっと私は彼の心に触れられるのだ。
「恥じないで。何があっても貴方は清廉潔白な美しい人だ。慈愛と誠実さを持つ天使のような貴方に父や兄のように虐げるつもりなど、私には露ほどもないのです」
「……本当ですか?」
「もちろん。私は、あなたを愛しているのです」
私はようやくアレクセイに自分の気持ちを伝えた。私を支えてくれる家族や臣下、私が導くべき民よりも、私はアレクセイが大事だ。彼を想えば何も手につかない、しかし彼のためなら何でもできる自負があった。
「そうですか。残念です。とても、とても残念です」
「アレク?」
彼は私の告白に喜ぶどころかその顔を曇らせ涙を流していた。愛しい人を前に惚けた私の頭であってもそれが歓喜の涙ではないことがわかる。なぜ? 何がダメだったのか、私にはアレクセイがわからない。
「レオンの荒々しい腰使いが好きでした。エメルの罵る声が好きでした。レオン達には劣りますが、貴方の見た目もまぁまぁ好きだったんですけれど……やはり物足りない」
「アレク、何を言っているんだ?」
「帰ります。少し遊びすぎてしまいました」
「伯爵領に戻るということか?」
私は彼の言葉の半分も理解できずにいた。とにかく彼を引き留めようと手を伸ばすが、アレクセイは舞うような足取りで私から距離を取る。気付けば彼の肌は血の色をなくし、薄い灰色に変わっていた。
「いえ、そんなところではありません。私は元の世界に帰るのです。……大事な二人が亡くなって何もやる気にならず、引きこもっているのも飽きました。貴方が部屋の扉を壊し、無理矢理私を手籠めにしてくださるかと期待もしましたが、貴方はただ私を心配し心と言葉を尽くすだけ。あまりにもつまらなすぎる」
アレクセイの美しい瞳は青から赤に変わっている。まるで魔法のように変化していく彼の見た目に、私は喉をひきつらせた。
「貴方は悪魔なのか……?」
「いいえ。貴方は言ってくださったでしょう? 私は天使ですよ」
アレクセイの背中に白い羽が現れた。しかしその羽根の先が黒ずんでいることを私は見逃さなかった。
「それではごきげんよう。もう会うことはないでしょう」
「アレク!!」
私が彼を捕まえるよりも早く、彼は大量の水に一滴の色水を混ぜるように、その空間に溶けてしまった。私は泣き叫び彼を呼んだ。私の愛する人、私はもはや、彼なしに未来を生きていくことなど想像もできなかった。
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「アレク……どこにいるんだアレク……」
毎日朝から晩まで私は彼を探し回る。名前を呼んでもアレクセイは出てきてくれない。気が付けば母も王妃になった彼女も、使用人すらその姿を見かけず、城は荒れ果てていた。
あぁ、地面を震わすような民衆の声がする。騎士がやって来て私に逃げろと言うが、そんなことはできない。優しいアレクセイは私が呼び続けていればきっと城に帰ってくる。私にはアクレセイが必要なのだ。私にはあの、美しい男がどうしても……!
しかし次の瞬間、私の瞳はアレクセイを見つけるよりも前に永遠に光を失ってしまった。
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私は乾いた黒い砂の地面に降り立って、羽を折りたたむ。久々に羽を出したので、明日は筋肉痛になりやしないでしょうか。久々の魔界は空気が淀んでいて懐かしいなぁと思うと同時に目が潤みます。
は~~王様も王子様も若くして死んじゃうなんてショックすぎる。私のストライクゾーンは広く深いので、二人が平均寿命の五十を過ぎても喜んでプレイに興じるつもりだったのに……。
親子そろっての三人プレイは儚い夢となってしまいました。心残りがありまくる。ショックで半年も引きこもって記憶を頼りに一人遊びに精を出しましたよ。ダブルミーニングです。
『そ、そんなことを尽くしてくれるお前にできるわけがない!』
そういって遠慮していた慈悲深き王様はいつの間にかSっ気に目覚めて私の髪引っ張って尻を叩くようになった。
『君が望むなら努力しよう……』
って嫌そうに激しく腰を振っていた王太子も気付いたら喜んで私を嬲りながら雌豚と呼ぶようになった。
ここまでくるのもなかなか大変だったのに二人ともあっけなく死んでしまいました。え~ん。
『貴方は悪魔なのか……?』
第二王子に限らずよく聞かれますが、私は悪魔ではありません。少なくとも私は自分を天使だと思っています。まわりは堕ちたと言い、堕天使と呼びますが、私は快楽に弱いタイプの天使なだけで堕ちた覚えはないのです。
あの国には三十年くらい滞在していましたね。最初は余命僅かだけどちょっと好みの伯爵がいたので、取り入って妾の子ということにしてもらい、彼の少年趣味に合わせて幼い姿を保っていたのですが、王都のパーティでドドドドストライクの見た目をした渋い王太子(後の王様)に一目惚れしてしまい、死にかけの伯爵を使って(その後すぐ亡くなってしまいました。え~ん)官吏として王宮に潜り込みました。
あとは彼らに沢山の利益をもたらし、召し上げられたら二人きりの時間も増えて……お察しです。彼は愛する妃もいましたが、なんせこちらはやることやっても子供もできないし、自分の具合の良さは自分が良く知っておりますので、えぇ、まだ若かった当時の王が我慢できるわけもなく。昔は同性愛が嗜みだったのもありますよね。あっさり愛人に収まれました。だぶるぴーす。
王太子が王となってからもどんどん私好みの性癖に調教してバラ色の日々を過ごしていたら、既に生まれていた第一王子も実に父親似の美形で、離宮から来た第一王子を見た瞬間、私は思ったのです。
『親子丼ですね……』と。
えぇ、思わず口を抑えましたね。儚げな美人の演出+父親の愛人を寝取る背徳感のスパイスを瓶の蓋とって全乗せして食べさせたらもうイチコロでした。父親がパーティで忙しくしている間なんて、私を裏に引っ張りこんで腰振ってましたもんね。『こ、声が……』『出したければ出せ。自分が王家に飼われる雌豚だとバレてもいいならな』な~んて言ったりする羞恥プレイはすごく良かったものです。
熟練の技術と渋さも堪らないが、若さゆえの勢いってのもまた良しなわけです。第一王子は陛下よりも嗜虐趣味の才能があったので、被虐趣味の私からすれば最高の相手でした。
第二王子は見た目が可愛らしい方で、王妃様似でしたね。潔癖な気質の方だと思うのですが、私と陛下や第一王子の情事を覗いては最後まで見ていくあたり、潔癖よりも卑猥な気質が大きかったのかもしれません。
逸材ではあったんですけど、甘ちゃんでSの欠片もなく、私との相性はあまりよくなかったですね。多分本人は全然気付いていなかったですけれど、私と同じ女役だと思います。生憎私、男役不得手な上、ここ数百年はしていないこともありバイバイしちゃいました。まぁ潮時でもありましたね。あれからすぐ国が滅んじゃったみたいですし。
「アレクシス、お前、十年で戻ってくるはずだっただろう?」
私の本当の名を呼ぶ声に、足を止めます。
三十年ぶりに見るご尊顔に思わず顔がにやけました。
「おや、お兄様お久しぶりです。眉間に皴が寄っておりますよ? 舐めて差し上げましょうか?」
「気持ちの悪い! 大体俺はお前の兄になった覚えなどない!」
「私の面倒を見てくださったのは貴方なのですから、お兄様ですよ」
「本当に気持ちが悪いやつだ……」
目の前にいる褐色肌に銀髪の野性味溢れる男は、この世界で私を拾ってくださったお兄様です。その背中には上位天使の証である6枚の羽根が生えておりますが、今や血に塗れすぎて真っ黒になっていました。
「まぁお前のおかげで恨みつらみのこもった魂がたんまり手に入った。腑抜けになった国王、貴族は自分の利益のためだけに横領し放題、そして飢饉が起きて大暴動。ドミノ倒しに魂が汚れていく様子は見ものだったぞ。特に反乱で殺された第二王子なんて俺との契約もあってか魂が汚れに汚れていたな」
「はぁ、そうなんですか? おかしいですね。私飢饉対策として色々準備していたのですけれど……」
「……何真面目に仕事してんだよ」
「私、好きな相手には尽くしたいんです」
第二王子は正直なところ根が優しすぎて統治者には向いていなかったので、私がいてもいなくても彼が王になれば国は腐敗していたでしょうね。
私がお兄様にまとわりつくと、邪魔だと髪を引っ張られるました。容赦がなくて、あぁんと声が零れます。もっとしてください。
「はぁはぁ……痛いですぅ……」
「盛りたいなら他をあたれ。お前が堕とした下僕共がそろそろ正気に戻っているかもしれんぞ? また堕として遊んでこい」
「そうなんですか? 皆さんお元気ですかね?」
彼が下僕と呼ぶのは天界にいた頃からの私のお友達です。沢山私が愛して、彼らも愛してくれて、今ではすっかり色々なものが壊れてしまった天使達です。
奥がきゅんとしちゃいますね~と尻を揺らすと、うげっ、と横から嫌そうな声が聞こえます。
本当に格好良くて、可愛らしくて、神よりも愛しい人です。
お兄様が望むなら、またどこかの国に遊びにいきましょうかね?
私は好きにしているだけでまわりの魂を真っ黒にする才能があるようですから、きっとお兄様はまた喜んでくださいます。お兄様が喜んでくださるのなら、それだけで私も嬉しくなってしまうんですよ。ほら、私は尽くすタイプの天使ですから。
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