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第一部
22※ 有×秋名
しおりを挟む「秋名、ほら、口を吸え」
「んぅ、んんっ、有好きぃ……好きっ」
秋名は本当に俺が好きなようで、俺の頭や身体を抱きしめて何度も唇を重ねる。秋名の精気は味が若い。和三盆のような皆が好きな甘さだ。イウディネの魔力は芳醇でカラメルのような味わいだし、春樹や夏は蜂蜜のようなまろやかな味がする。どれも吃驚するほど俺の好みだ。人間界にきて、ここまであたりが多いならこの学校への転入は正解だったのだろう。
「困ったな。授業にいけんぞ」
「有ぅ、もっとぉ、やだよぉ~」
秋名は腰を揺らしながら俺を引きとめようとしている。あれから何度も達して失神しかけているが、俺が治癒を使ってじわじわ体力を回復させている。
秋名は情欲と俺への好意により理性をとっぱらってしまい、俺を咥えこんでちっとも離さない。空色のレンズの奥は俺の魔力のせいかキラキラピンク色に光っていた。このまま理性を取り戻さなければ、秋名と一日中セックスする羽目になりそうだ。……ん? 別に俺には何の損も無いな。
「我が君、いい加減にしてください。身体が疼いて仕方ありません」
「おぉ?」
扉から入ってきた影に俺と秋名は固まった。しかしその影がイウディネだと気付くと、俺は『なんだ、お前か』と安心して再び秋名を突き上げ始める。秋名は普通に情事を再開する俺に吃驚しているのか、イウディネと俺を交互に見てオロオロしていた。
「ひっ! 井浦せんせっ! あ、ぁん! あ、これは! その!」
「良い、まだ抜くな。すまんなディネ、少し待ってくれ」
「あうっ! やっ! も、ぅ……」
「ッ、早くしてくださいね……」
イウディネを見て理性を取り戻したのか、秋名が俺から離れようとする。しかし腰を上げた秋名の腰を掴んで引き戻すと秋名の奥をズンと突いた。秋名は奥を穿たれ、押し出されるように射精する。本当はじっくり味わいたいが、イウディネが待っているので秋名を後ろから抱いて腰を振った。ピストンを速めると秋名が短い喘ぎを何度も上げて性器からダラダラと白濁を零す。イッたばかりだと泣いて震える秋名の奥に再び吐精した。
「満足されましたか……?」
「あぁ」
イウディネは頬は赤く、瞳は潤み、呼吸を僅かに乱している。とてつもない色気だ。発情し、雄を呼ぶ雌の顔をしている。俺の色欲に反応してこうも色っぽくなるのか。こんな顔をされたら近くにいる人間は堪らないだろう。
「ディネ。俺はこの者の復讐とやらに協力することにした」
「復讐?」
「あぁ、俺のファンクラブを作って他のファンクラブを壊すらしい」
「そんな目立つことをするおつもりで? 貴方に危害が加わる可能性を見過ごせと仰るのですか?」
「秋名は隷属させる。フォローも上手いし、何より可愛い」
イウディネの渋い顔を見上げてお強請りする。秋名は俺達の会話も、なぜ俺達が平然としているのかもわからないみたいで、床で身体を縮こませたまま動かなかった。
「秋名は俺をどう思う?」
「へ!?」
「どう思う?」
急に話を振られ、秋名は声が裏返っていた。
俺をどう思っているのか、その質問の意図を探るような訝しげな目が俺を見つめ、一瞬の静寂が訪れる。一呼吸置き、秋名は意を決したように言葉を口にした。
「すごく、格好良い……俺みたいにハリボテじゃなくて、本物で……でも会長や夏さんよりもずっと格好良い」
「それだけか?」
「……す」
「す?」
「好きなんだよ!! ずっと!! 一目惚れで、だから、本当は、ずっと! ずっと……こんなことで、言いたくなかった……」
秋名はグスと鼻をすすった。震える頭を優しく撫でると秋名は顔を上げる。涙でぐしゃぐしゃになった顔は少し間抜けで、小さな少年のようだった。
「可愛いだろう? 昔のお前ほどではないが」
「……。彼はあの二人と違い、後ろ盾として使えるとも思えませんが?」
「今はそこまで困っていない。しかし隷属させるなら面倒を主だって見るのはディネだ。俺はディネの気持ちを尊重したい」
見上げたイウディネの顔は険しいものの、笑みを殺すように引き結んだ唇が嬉しさを語っている。ずるい人だ、と呟いてイウディネは恭しく頭を下げた。
「……全て貴方の思うままに」
「ディネ。愛している。楽しい生活を約束してやろう」
「我が君、私は貴方の愛以上に望むものなどないのですよ」
イウディネが屈んで俺にキスをする。俺もイウディネの頬に手を触れてキスすると、それを間近に見ていたのか秋名が目を大きく見開いて固まっていた。俺とイウディネの関係が恋人同士のように見えたのだろう。あながち間違いじゃない。秋名はそれがショックだったのか顔が青くなっていた。
「安心しろ秋名。俺は貴様も愛しているぞ」
「博愛主義ですからね。我が君は」
「へ!? あ、いや、え!? ちょっと待って! もう本当わけわかんない! 井浦先生と付き合ってたの!? っていうか我が君って何!?」
パニックになった秋名は説明して! と床を叩く。これだけ元気だったらもっとできそうだな。
俺は白い液体がべったりとついた性器をそのままに、ズボンを下着と一緒に脱ぎ去った。秋名は自分と同じようにシャツ一枚になった俺を瞬きもせずに見つめていた。その眼前に、俺は黄色がかった白い足を持ち上げて見せる。
「秋名、口付けよ」
「は?」
「家族も過去も今あるものも、全てを捨てて、俺に縋りつけ。そして、愛すなら、口付けよ」
「……」
俺が欲しいならそうしてみろ、と言うと秋名は息を呑んだ。この行為が何を意味するのか、秋名は知らない。しかしただの冗談ではないともわかっているのだろう。黙って俺の足を眺めた後、手を伸ばして俺の足に触れ、顔を近づけた。ふに、と柔らかい感触が足から伝わる。
「口付けたまま、静かにしていろ。そう、良い子だ」
大人しく動かないでいる秋名を見て、俺は歪な笑みを浮かべる。
「白州秋名を色欲の牢獄へ」
「!?」
俺の一声で秋名の身体が淡い紫色に光りだす。これと同じ光景を見たのは随分前だったな、と俺は感慨深げに呟く。そうですね、とイウディネの同意が上から聞こえた。
俺達の会話の合間に、秋名の胸からは光が溢れている。その異様な光景に驚いた秋名は慌てて俺の足から唇を離した。
「っぐ! ひ、あっ!」
秋名は足をばたつかせ、胸を抑えながらもがき苦しんでいる。しかし性器は勃起し、血管が浮いて先走りを溢し始めていた。秋名はパクパクと酸欠の魚のように口を開き、声にならない助けを叫ぶ。
「ぁ、るっ……ッ! …っ、ぁっ……ッッ!!」
秋名は涙を溢し、腰を痙攣させるように射精する。そのまま身体を小刻みに弛緩させて動かなくなった。
「秋名、身体の調子はどうだ?」
「な、何っ……っはぁ……えっ!?」
秋名は床でもぞりと動き出す。起き上がるとケロリとしていたが、自分が射精したとわかると急に顔を赤くしていた。何で? と慌てた後、自分の胸に見覚えのないマークができていることに気付いたらしく、声をあげて驚いていた。
「子犬のようですね」
イウディネの発言に概ね同意した。秋名は胸のマークをツンツンと恐る恐る指先でつついている。ハートと山羊の角が混ざっており、イウディネの胸にある印に酷似していた。
「俺の隷属を表す印だ。これで貴様は俺に隷属した。晴れてお前も俺の奴隷の一員だな」
「奴隷!?」
「俺の真の名はアルファリア・リアレクト。種族は人間ではなく、悪魔と呼ばれるものだ」
「は?」
中二病? と秋名に問われて俺は否定しなかった。しかし秋名の胸には突如現れた謎の印が確かに刻まれている。秋名は印を何度も見て真っ青な顔で頭を振っていた。
(はぁーーーーーー!?)
堪えきれなかったのか、秋名は驚愕の叫びを上げる。しかしまわりに響かないよう、口を両手でしっかりガードしていた。こんな時にもまわりに配慮するのか。秋名の卓越した気遣いスキルに俺は『おぉ』と感嘆の声を上げた。
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