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第一部
14※ 有×イウディネ
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結局遅くまで春樹と身体を重ね、俺が帰ったのは夜の10時を回った頃だった。春樹には泊まって欲しいと言われて心が揺れたが、イウディネからの着信がとんでもないことになっていたので断念した。
怖い。5分毎に連絡がきている……。怖い(2回め)。ストーカーというやつのようだ。多分実際は夕飯がいるか聞きたかったとかそういう内容だろうけれども……。
俺は静かに鍵を使い、音を立てないように玄関の扉を開ける。こっそり自室に逃げ込もうかと思ったが、甘かった。イウディネが腕を組んで玄関の前に立っていた。そうであった。俺はスマートフォンのGPSでどこにいるかがわかるのであった……。
「おかえりなさい我が君。学校の先生から『静海くんは後ろ盾だった父親を亡くし、庶子だったため迫害にあうように祖国を追われ、父親の葬儀も半分しか出れずに逃げてきた、哀れな身の上だというのは本当か?』って聞かれたんだけど、どういうことですか?」
「……」
「保護者の知らないうちに、一体何があったのか、説明して頂けますね?」
どうやら電話の件は夕飯のことではなかったようだ。俺は靴を脱いでリビングに向かう。ガチャリ、と玄関の扉の鍵が閉まる音すら恐ろしかった。とりあえず着替えましょう、と言われ、俺は寝室に向かう。ガチャリと再び何かが閉まる音がしたが、それは玄関ではなく、俺の手首から聞こえた。
+++
「う、うぅっ!」
「何度目ですか、本当に」
「苦しぃ……!」
俺はベッドの柵に手錠をつながれ裸でベッドに寝そべっている。俺の勃起した性器はイウディネの中だ。
もともと夢魔であるイウディネは俺との隷属により多量の魔力を得て上位悪魔となっており、その身体は生娘よりもきつくしまり、玄人の胎内よりも熱く畝る。その身体で奉仕されれば人間の男は三こすり半だというのに、俺はまた我慢を強いられていた。しかも今回は紐ではなく、イウディネが作ったという謎の金の輪が陰茎の根本で俺の射精を止め続けていた。
「目立たぬようにと言っているのにもう取り返しがつかなくなっていますよ」
「うっ、ディネだって赴任すぐは保健室に行列作ってたって聞いたぞ! 俺だけが目立っているわけではない!」
イウディネが赴任したのは俺の転入よりも少し前だったのだが、赴任した際は大変な人気だったと夏に聞いた。黒髪長髪の宝石のような目を持つ美形保険医。井浦臣。ハーフという設定だが、イウディネの外見は殆ど日本人には見えない。中性的な、写真によっては女性に見える外国人モデルのような芸術的な美貌の持ち主である。
そんな美しい男が男子校にやってきた。しかもこの学校は同性愛に寛容だ。当然のように男同士で付き合っているカップルも多い。皆当たり前のようにイウディネに熱を上げた。毎日毎日生徒達がイウディネ見たさに怪我を作り、学校側から注意まで出たらしい。しかし俺が言及しても、イウディネは今は平気ですから、と過去のことを勝手に水に流した。ずるい。
「生徒会担当の学年主任が生徒会長たっての希望で貴方様を生徒会に入れる予定だ、などと言っていましたが、どうするんですか?」
「ふぇ、あっ、そ、わすれて、あっ、ディネ、あ、んんぅ!」
「お答え、くだ、さい!」
イウディネが尻を揺らし、半ばまで挿し込まれた俺の性器を刺激する。丁度雁首がイウディネの襞にひっかかり、こみ上げる快感に涙が溢れた。あぁ、すごい、こっちも名器……。奥までズボズボしながら射精ができたらどれくらい気持ち良いのか……。
俺がぼんやり妄想している間にイウディネが俺の性器を飲み込んだまま俺の身体の上に座り込んだ。体重をかけられ、イウディネの奥まで入り込んだ性器がみちみちと蠢く肉に絡みつかれて赤く膨れ上がる。しかし射精はできない。苦しみに呻く俺の前で、イウディネは自分の性器の先端を指先で刺激し、背中を震わせている。
「ひぐっ! っはぁ、えっと……あ、まだ返事して、ない……」
「我が君のご判断におまかせしますが、あまり目立つ場所には立たれませんよう」
「ん、んぅ」
「ふふ、苦しそうですね……っぁ、ぁあっ、んっ!」
イウディネは腰を緩慢に揺らし、俺の性器を浅めの場所にこすり付け、俺より白い身体をしならせて射精する。イウディネの赤く充血した性器から数度に分けて吐き出された精液は俺の身体の上にびちゃびちゃと落ちた。
「っはぁ、あっ……さて、では次の話をしましょうね」
「このままか!? 嫌だ嫌だ! 一度出させてくれ!」
「今日は一度も駄目です。手淫も禁止ですよ」
「ひぃ!」
イウディネは俺の上から退くと勃起したままの俺の性器を指先でピンと弾いた。痛い!
「貴方の本分である色欲の通りに動かれるのは仕方ありませんが、貴方に隷属していると私にも貴方の心地よい官能が流れ込むのをお忘れにならないでくださいね」
「ディネだってぇ……もう色欲の悪魔ではないか! 何が困る!? 人前で勃起を抑えることだってできるだろう!?」
「貴方の魔力は色欲を満たせば満たすほど高まります。そんな魔力を流し込まれてしまえば私だって抑えがききません。このままではここのマンションの住人の八割を食べてしまいます」
「残り、二割は……?」
「精通前の子供と腹上死してしまいそうな老人ですね」
「なるほど」
イウディネが言うには、俺達の人間の身体が魔力を使うのにそもそも適していないのだという。確かに人間の身体になった後、一週間ほどの間はちっとも魔力が使えなかった。イウディネとセックスしながら一週間を過ごし、そろそろ魔法が使えそうだなと思ったところで制限を受けた。
「私は会社員のようなものですので、我が君ほど自由に動けません。どうか私の人間の身体が馴染むまでご配慮ください」
「善処しよう」
善処はするが、俺が我慢できるかはその限りではない。そのニュアンスを察してか、一瞬イウディネの目が氷のように冷たくなった気がした。
イウディネは俺の胸に頬を寄せ、ぬるついた俺の性器を尻の谷間に擦りつけた。擦り付けられるたび、痛みに近い快感が俺の性器を襲う。イウディネは苦悶に満ちた俺の表情を見ながら自分が射精した精液を俺の身体に塗り込み、赤く木の実のように腫れた胸の先端を引っ張った。気持ちいいがやはり射精できない。
「我が君、全てが美しい至上の方」
「俺のペニスは美味かったか?」
「勿論」
「精液も美味いぞ」
「駄目です」
「……」
駄目だった。もう本当だったらブチギレて犯してやろうかと思うのだが、身体から魔力がどんどん奪われてしまい上手く動かない。いやらしいことをしていると俺は魔力が漲り元気になるはずなのだが、その魔力すら無くなっている。多分俺の性器についているイウディネの金の輪のせいに違いない。
「苦痛に歪む貴方も美しい」
「ディネ……お前魔道具に変なもの仕込んだな……」
「ふふ」
イウディネが『バレましたね』と楽しそうに笑っている。薄いバラ色の唇が持ち上がり、細まった目が愛おしそうに俺を見ている。その目がパッと元に戻る。あ、とイウディネの口が大きく開いた。
「そういえばあちらは、未だ上二人の御令兄様が争われているようですよ」
「よく知っているな」
「密偵がおりますので」
そんなものを放っているのか、と俺は目を丸くする。多分情勢を調べるためだけの魔界の住人だろう。俺の兄達は気性が荒いので、懐に潜るとなると大変を通り越してほぼ不可能だ。
「まぁ俺はどちらが勝っても構わん。別に俺はあの世界の全てなんて欲しくはないしな。館の一つでももらって、俺の眷属と色欲に溺れる毎日をすごせばそれで良い」
「……全てが終われば戻るおつもりで?」
「統治する兄によるだろうな。次兄が王になれば連れ戻されるだろうが、多分上の兄の方が強い。あの方は既に禁忌を犯し、魔力も強大だ。なれば敵前逃亡した俺は追放かもしれん」
そうなったら人間界にずっといれるかもしれないのでそれはそれでありだ。まぁそうなると生活費も自ら稼がねばならないが何とかなるだろう。俺が働けるかどうかはわからないが、どこぞの金持ちの愛人をしたりすればまぁ生きていける。……いや、むしろこれ以上ないほど俺に似合っている職業な気がしてきたな。
「……我が君、隷属を増やし、身を守る術を考えるのは?」
イウディネが神妙な面持ちで俺に問いかける。
隷属は選ばれた上位悪魔が使える特別な能力だ。自分より下位の悪魔や魔物を従わせることができるもので、俺の場合は『相手が俺を愛し俺が相手を愛した状態で、隷属する者が主の足にキスをする』という条件で相手が隷属する。隷属すれば俺の魔力が分け与えられ、能力が上がる。
イウディネも夢魔だったのが色欲属性の上位の悪魔に進化した。これは実はすごいことだ。悪魔はよほどのことがないと進化はしない。生まれたままの種族で一生を終えるものが大半だ。進化しようとするならそれこそ何万という魂を喰らうか、同等以上のことを成さなければならない。それがチャラになるという、一種のチートだ。ただし主に危害を加えることはできないし、色々面倒なこともあるが割愛する。
「お前が良いならそれでも良いぞ」
「私ですか?」
「ディネは俺の唯一が長かったからな。嫉妬の一つくらいしてくれるんだろう?」
「……」
俺の隷属する従者は現在イウディネだけだ。増やす機会がなかったわけではないが、従者が増えると俺の魔力消費がその分だけ増える。彼らは自分で魔力を補給することもできるが、出来なかった分は俺から持っていってしまうのだ。俺の魔力が枯渇している状態でそれをされたら最悪死んでしまう。
無闇に作らない方が良いと最初に俺に教えたのはイウディネだった。それは嘘ではないけれど、それ以外の何かが含まれていることも俺は知っている。にやにやしてイウディネを見ていると、険しい顔のイウディネが腰を浮かせて再び俺の性器を自らの中へと導いていく。
「ディ、ネ!」
「今は王弟様からの援助、私が子飼いしている者達の資金があります。……が、味方は多い方がよろしいでしょう。嫉妬も全て色欲に変えてみせますよ」
「っはぁ、そうか、では俺も適当に後ろ盾になってくれそうな権力者と抱き合っておくことも、考えておこ、うっ!」
イウディネは俺のためだったら我慢してくれるらしい。美しい白い肌に皺を刻んでちょっとつまらなそうな顔をしているのが可愛かった。俺が苦しそうに腰を揺らしてイウディネを誘うと、イウディネはやっと眉間の皺を無くして俺にキスをする。上顎を舌先で擦られるのが気持ち良い。舌を絡めて吸って、飲みきれなかった唾液が口の端から垂れた。
「あっ、あぁっ、っはぁ、ん、あっ……アルファリア様ぁ…見えていますか?」
「あぁ、淫らで、美しい……」
ディネは俺の上で再び腰を振り始める。髪を掻き上げながら腰を揺らすと、上下に揺れるイウディネの性器が俺の身体にぼたぼたと先走りを零した。
「っはっはは、ぁ、も、イキたいディネェ」
「ふふ、駄目です」
こんなに愛し合っているのに、許してはもらえない。
愛する従者のお仕置はまだまだ終わる気配を見せなかった。
怖い。5分毎に連絡がきている……。怖い(2回め)。ストーカーというやつのようだ。多分実際は夕飯がいるか聞きたかったとかそういう内容だろうけれども……。
俺は静かに鍵を使い、音を立てないように玄関の扉を開ける。こっそり自室に逃げ込もうかと思ったが、甘かった。イウディネが腕を組んで玄関の前に立っていた。そうであった。俺はスマートフォンのGPSでどこにいるかがわかるのであった……。
「おかえりなさい我が君。学校の先生から『静海くんは後ろ盾だった父親を亡くし、庶子だったため迫害にあうように祖国を追われ、父親の葬儀も半分しか出れずに逃げてきた、哀れな身の上だというのは本当か?』って聞かれたんだけど、どういうことですか?」
「……」
「保護者の知らないうちに、一体何があったのか、説明して頂けますね?」
どうやら電話の件は夕飯のことではなかったようだ。俺は靴を脱いでリビングに向かう。ガチャリ、と玄関の扉の鍵が閉まる音すら恐ろしかった。とりあえず着替えましょう、と言われ、俺は寝室に向かう。ガチャリと再び何かが閉まる音がしたが、それは玄関ではなく、俺の手首から聞こえた。
+++
「う、うぅっ!」
「何度目ですか、本当に」
「苦しぃ……!」
俺はベッドの柵に手錠をつながれ裸でベッドに寝そべっている。俺の勃起した性器はイウディネの中だ。
もともと夢魔であるイウディネは俺との隷属により多量の魔力を得て上位悪魔となっており、その身体は生娘よりもきつくしまり、玄人の胎内よりも熱く畝る。その身体で奉仕されれば人間の男は三こすり半だというのに、俺はまた我慢を強いられていた。しかも今回は紐ではなく、イウディネが作ったという謎の金の輪が陰茎の根本で俺の射精を止め続けていた。
「目立たぬようにと言っているのにもう取り返しがつかなくなっていますよ」
「うっ、ディネだって赴任すぐは保健室に行列作ってたって聞いたぞ! 俺だけが目立っているわけではない!」
イウディネが赴任したのは俺の転入よりも少し前だったのだが、赴任した際は大変な人気だったと夏に聞いた。黒髪長髪の宝石のような目を持つ美形保険医。井浦臣。ハーフという設定だが、イウディネの外見は殆ど日本人には見えない。中性的な、写真によっては女性に見える外国人モデルのような芸術的な美貌の持ち主である。
そんな美しい男が男子校にやってきた。しかもこの学校は同性愛に寛容だ。当然のように男同士で付き合っているカップルも多い。皆当たり前のようにイウディネに熱を上げた。毎日毎日生徒達がイウディネ見たさに怪我を作り、学校側から注意まで出たらしい。しかし俺が言及しても、イウディネは今は平気ですから、と過去のことを勝手に水に流した。ずるい。
「生徒会担当の学年主任が生徒会長たっての希望で貴方様を生徒会に入れる予定だ、などと言っていましたが、どうするんですか?」
「ふぇ、あっ、そ、わすれて、あっ、ディネ、あ、んんぅ!」
「お答え、くだ、さい!」
イウディネが尻を揺らし、半ばまで挿し込まれた俺の性器を刺激する。丁度雁首がイウディネの襞にひっかかり、こみ上げる快感に涙が溢れた。あぁ、すごい、こっちも名器……。奥までズボズボしながら射精ができたらどれくらい気持ち良いのか……。
俺がぼんやり妄想している間にイウディネが俺の性器を飲み込んだまま俺の身体の上に座り込んだ。体重をかけられ、イウディネの奥まで入り込んだ性器がみちみちと蠢く肉に絡みつかれて赤く膨れ上がる。しかし射精はできない。苦しみに呻く俺の前で、イウディネは自分の性器の先端を指先で刺激し、背中を震わせている。
「ひぐっ! っはぁ、えっと……あ、まだ返事して、ない……」
「我が君のご判断におまかせしますが、あまり目立つ場所には立たれませんよう」
「ん、んぅ」
「ふふ、苦しそうですね……っぁ、ぁあっ、んっ!」
イウディネは腰を緩慢に揺らし、俺の性器を浅めの場所にこすり付け、俺より白い身体をしならせて射精する。イウディネの赤く充血した性器から数度に分けて吐き出された精液は俺の身体の上にびちゃびちゃと落ちた。
「っはぁ、あっ……さて、では次の話をしましょうね」
「このままか!? 嫌だ嫌だ! 一度出させてくれ!」
「今日は一度も駄目です。手淫も禁止ですよ」
「ひぃ!」
イウディネは俺の上から退くと勃起したままの俺の性器を指先でピンと弾いた。痛い!
「貴方の本分である色欲の通りに動かれるのは仕方ありませんが、貴方に隷属していると私にも貴方の心地よい官能が流れ込むのをお忘れにならないでくださいね」
「ディネだってぇ……もう色欲の悪魔ではないか! 何が困る!? 人前で勃起を抑えることだってできるだろう!?」
「貴方の魔力は色欲を満たせば満たすほど高まります。そんな魔力を流し込まれてしまえば私だって抑えがききません。このままではここのマンションの住人の八割を食べてしまいます」
「残り、二割は……?」
「精通前の子供と腹上死してしまいそうな老人ですね」
「なるほど」
イウディネが言うには、俺達の人間の身体が魔力を使うのにそもそも適していないのだという。確かに人間の身体になった後、一週間ほどの間はちっとも魔力が使えなかった。イウディネとセックスしながら一週間を過ごし、そろそろ魔法が使えそうだなと思ったところで制限を受けた。
「私は会社員のようなものですので、我が君ほど自由に動けません。どうか私の人間の身体が馴染むまでご配慮ください」
「善処しよう」
善処はするが、俺が我慢できるかはその限りではない。そのニュアンスを察してか、一瞬イウディネの目が氷のように冷たくなった気がした。
イウディネは俺の胸に頬を寄せ、ぬるついた俺の性器を尻の谷間に擦りつけた。擦り付けられるたび、痛みに近い快感が俺の性器を襲う。イウディネは苦悶に満ちた俺の表情を見ながら自分が射精した精液を俺の身体に塗り込み、赤く木の実のように腫れた胸の先端を引っ張った。気持ちいいがやはり射精できない。
「我が君、全てが美しい至上の方」
「俺のペニスは美味かったか?」
「勿論」
「精液も美味いぞ」
「駄目です」
「……」
駄目だった。もう本当だったらブチギレて犯してやろうかと思うのだが、身体から魔力がどんどん奪われてしまい上手く動かない。いやらしいことをしていると俺は魔力が漲り元気になるはずなのだが、その魔力すら無くなっている。多分俺の性器についているイウディネの金の輪のせいに違いない。
「苦痛に歪む貴方も美しい」
「ディネ……お前魔道具に変なもの仕込んだな……」
「ふふ」
イウディネが『バレましたね』と楽しそうに笑っている。薄いバラ色の唇が持ち上がり、細まった目が愛おしそうに俺を見ている。その目がパッと元に戻る。あ、とイウディネの口が大きく開いた。
「そういえばあちらは、未だ上二人の御令兄様が争われているようですよ」
「よく知っているな」
「密偵がおりますので」
そんなものを放っているのか、と俺は目を丸くする。多分情勢を調べるためだけの魔界の住人だろう。俺の兄達は気性が荒いので、懐に潜るとなると大変を通り越してほぼ不可能だ。
「まぁ俺はどちらが勝っても構わん。別に俺はあの世界の全てなんて欲しくはないしな。館の一つでももらって、俺の眷属と色欲に溺れる毎日をすごせばそれで良い」
「……全てが終われば戻るおつもりで?」
「統治する兄によるだろうな。次兄が王になれば連れ戻されるだろうが、多分上の兄の方が強い。あの方は既に禁忌を犯し、魔力も強大だ。なれば敵前逃亡した俺は追放かもしれん」
そうなったら人間界にずっといれるかもしれないのでそれはそれでありだ。まぁそうなると生活費も自ら稼がねばならないが何とかなるだろう。俺が働けるかどうかはわからないが、どこぞの金持ちの愛人をしたりすればまぁ生きていける。……いや、むしろこれ以上ないほど俺に似合っている職業な気がしてきたな。
「……我が君、隷属を増やし、身を守る術を考えるのは?」
イウディネが神妙な面持ちで俺に問いかける。
隷属は選ばれた上位悪魔が使える特別な能力だ。自分より下位の悪魔や魔物を従わせることができるもので、俺の場合は『相手が俺を愛し俺が相手を愛した状態で、隷属する者が主の足にキスをする』という条件で相手が隷属する。隷属すれば俺の魔力が分け与えられ、能力が上がる。
イウディネも夢魔だったのが色欲属性の上位の悪魔に進化した。これは実はすごいことだ。悪魔はよほどのことがないと進化はしない。生まれたままの種族で一生を終えるものが大半だ。進化しようとするならそれこそ何万という魂を喰らうか、同等以上のことを成さなければならない。それがチャラになるという、一種のチートだ。ただし主に危害を加えることはできないし、色々面倒なこともあるが割愛する。
「お前が良いならそれでも良いぞ」
「私ですか?」
「ディネは俺の唯一が長かったからな。嫉妬の一つくらいしてくれるんだろう?」
「……」
俺の隷属する従者は現在イウディネだけだ。増やす機会がなかったわけではないが、従者が増えると俺の魔力消費がその分だけ増える。彼らは自分で魔力を補給することもできるが、出来なかった分は俺から持っていってしまうのだ。俺の魔力が枯渇している状態でそれをされたら最悪死んでしまう。
無闇に作らない方が良いと最初に俺に教えたのはイウディネだった。それは嘘ではないけれど、それ以外の何かが含まれていることも俺は知っている。にやにやしてイウディネを見ていると、険しい顔のイウディネが腰を浮かせて再び俺の性器を自らの中へと導いていく。
「ディ、ネ!」
「今は王弟様からの援助、私が子飼いしている者達の資金があります。……が、味方は多い方がよろしいでしょう。嫉妬も全て色欲に変えてみせますよ」
「っはぁ、そうか、では俺も適当に後ろ盾になってくれそうな権力者と抱き合っておくことも、考えておこ、うっ!」
イウディネは俺のためだったら我慢してくれるらしい。美しい白い肌に皺を刻んでちょっとつまらなそうな顔をしているのが可愛かった。俺が苦しそうに腰を揺らしてイウディネを誘うと、イウディネはやっと眉間の皺を無くして俺にキスをする。上顎を舌先で擦られるのが気持ち良い。舌を絡めて吸って、飲みきれなかった唾液が口の端から垂れた。
「あっ、あぁっ、っはぁ、ん、あっ……アルファリア様ぁ…見えていますか?」
「あぁ、淫らで、美しい……」
ディネは俺の上で再び腰を振り始める。髪を掻き上げながら腰を揺らすと、上下に揺れるイウディネの性器が俺の身体にぼたぼたと先走りを零した。
「っはっはは、ぁ、も、イキたいディネェ」
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