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あなたの街の便利屋さんとは、速水と赤坂のいるその場所こそが、その便利屋である。
非合法であるものを除くと、大抵の仕事は引き受けている。
よくあるのが、蜂の巣の駆除や、電球を変えて欲しいといった日常の中にある困りごとが多かった。
坂井多恵も、よくこの便利屋に依頼をしていた。彼女の場合、依頼というほどの仰々しいものではなく、一人暮らしで話し相手がいないからと、お茶菓子を手に事務所に来て話をするということが主だった。この類いの依頼もやはり多かった。
元々、人の良い速水だったから、こういう依頼に関しては、ボランティアに近い報酬で請け負っている。
赤坂も、ただ話し相手になるだけで正規の料金をもらうことに抵抗があったので、速水のやり方には賛成していた。
最初は坂井がお菓子や飲み物を持ってきていたが、最近は赤坂や速水もお茶菓子などを買い込んでいる姿を近所で目撃されている。楽しそうにお菓子を選ぶ二人はまるで遠足のお菓子を選んでいるように楽しそうだと噂されていた。依頼者だけでなく、話を聴く側の二人も、人との話が好きだったのだ。
坂井自身、息子が亡くなってからも、よく事務所には来ていた。落ち込んではいたが、二人と話をしている時には、気持ちが紛れるのか、声をあげて笑うこともあった。
しかし、今回は違った。取り乱していると思ったら、一万円札の束を速水に叩きつけてきたのだ。額にして十万にはなるだろう。
「坂井さん、涙ぼろぼろ流しながら、頼みます、頼みますって…僕まで泣きそうになっちゃったよ」
想像するだけで胸が痛む。赤坂は、胸に手を押し当てた。どんな気持ちだったのだろうか。悲痛な彼女の気持ちは想像以上なのだろう。一人息子を、二度殺されたようなものなのだから。
「不謹慎かとも思ったんだけど、聞かなくちゃいけないことだから、その情報はどこで得たのか尋ねたんだ。まさか、坂井さんがこんな映画を見にいくとは思わないからね」
「そうですね。それで、坂井さんはどこでその情報を?」
「知り合いがたまたま見に行ったらしくて、その人から聞かされらしいんだ。自分でも見に行きたいけど、怖いからって…こんなにお金を置いて…」
一万円札の束を撫でる。速水は眉を下げた。
お金が欲しいわけではないことぐらいわかっている。本来なら、このお金も受け取れないと返したいと思っているのだろう。それは赤坂も同じだった。
「わかりました。映画、行きますよ」
「ごめんね…ありがとう。これ、坂井さんから預かった息子さんの写真なんだ」
速水は預かっていた写真を赤坂に渡した。
非合法であるものを除くと、大抵の仕事は引き受けている。
よくあるのが、蜂の巣の駆除や、電球を変えて欲しいといった日常の中にある困りごとが多かった。
坂井多恵も、よくこの便利屋に依頼をしていた。彼女の場合、依頼というほどの仰々しいものではなく、一人暮らしで話し相手がいないからと、お茶菓子を手に事務所に来て話をするということが主だった。この類いの依頼もやはり多かった。
元々、人の良い速水だったから、こういう依頼に関しては、ボランティアに近い報酬で請け負っている。
赤坂も、ただ話し相手になるだけで正規の料金をもらうことに抵抗があったので、速水のやり方には賛成していた。
最初は坂井がお菓子や飲み物を持ってきていたが、最近は赤坂や速水もお茶菓子などを買い込んでいる姿を近所で目撃されている。楽しそうにお菓子を選ぶ二人はまるで遠足のお菓子を選んでいるように楽しそうだと噂されていた。依頼者だけでなく、話を聴く側の二人も、人との話が好きだったのだ。
坂井自身、息子が亡くなってからも、よく事務所には来ていた。落ち込んではいたが、二人と話をしている時には、気持ちが紛れるのか、声をあげて笑うこともあった。
しかし、今回は違った。取り乱していると思ったら、一万円札の束を速水に叩きつけてきたのだ。額にして十万にはなるだろう。
「坂井さん、涙ぼろぼろ流しながら、頼みます、頼みますって…僕まで泣きそうになっちゃったよ」
想像するだけで胸が痛む。赤坂は、胸に手を押し当てた。どんな気持ちだったのだろうか。悲痛な彼女の気持ちは想像以上なのだろう。一人息子を、二度殺されたようなものなのだから。
「不謹慎かとも思ったんだけど、聞かなくちゃいけないことだから、その情報はどこで得たのか尋ねたんだ。まさか、坂井さんがこんな映画を見にいくとは思わないからね」
「そうですね。それで、坂井さんはどこでその情報を?」
「知り合いがたまたま見に行ったらしくて、その人から聞かされらしいんだ。自分でも見に行きたいけど、怖いからって…こんなにお金を置いて…」
一万円札の束を撫でる。速水は眉を下げた。
お金が欲しいわけではないことぐらいわかっている。本来なら、このお金も受け取れないと返したいと思っているのだろう。それは赤坂も同じだった。
「わかりました。映画、行きますよ」
「ごめんね…ありがとう。これ、坂井さんから預かった息子さんの写真なんだ」
速水は預かっていた写真を赤坂に渡した。
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