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では早速。
チャートその①。
これが肝心なのですけれど、ここは乙女ゲームの世界なのかBLゲームの世界なのか。
この判断を間違うとあとあとだいぶ事情が変わってしまいますから、大前提で間違うわけには参りません。
ですがこれについては、漠然とはですけれど確信もあります。
おそらくここは乙女ゲームの世界です。
というのも、この世界にはあまり、同性同士の恋愛という概念が浸透していないのです。
もしかしたら人知れず育まれている関係もどこかにあるのかもしれませんが、少なくともわたくしの周囲にはあのBLゲーム特有のご都合的な風潮はまったく見受けられず、余程シビアなシナリオでもないかぎり、この世界でボーイズ達が愛を育むのは難しそうです。
ましてひとりの少年を巡って高位貴族が取り合いなどしようものなら空前の大スキャンダルになりますわ。
たかだか5歳の公爵令嬢にそんなこと知り得ないだろうとお思いになられるかもしれませんが、侮られては困ります。
子供には聞かせられないだろうメイドや侍女のヒソヒソ話を盗み聞いたり、我が家で開催される私的なお茶会にマスコットのように座ってよくわからないという顔でお菓子を頬張りながら、しっかりその話題にのぼる噂話をチェックしておりました。
我が家の私的なお茶会といえど、筆頭公爵家のお茶会です。
幅広い交友関係からお客さまは招かれますが、皆さま身元の保証された方々ばかり、もたらされるお話の精密性は他家の追随を許しません。
噂話は流行のファッションの話からどこそこのお家の懐事情まで、あらゆるジャンルを網羅しており、その中に男性同士のスキャンダルはなく、それを楽しもうという気配もなく、むしろ何某侯爵家のご嫡男が素敵ね、いえ第一騎士団の誰それ様がステキ!とかそういうお話が多いような。
そこにかけ算を持ち込むような方はおひとりもいらっしゃらず、憧れの異性に心ときめかすキラキラとした空気は、ここは乙女ゲームの世界なのだと結論付けるには充分な説得力を持っておりました。
チャートその②。
この世界が乙女ゲームの世界として、その方向性は?
A、正統派のファンタジー系乙女ゲーム。
B、攻略キャラがヤンデレ設定のダーク系乙女ゲーム。
C、5歳幼女はご遠慮くださいの18禁乙女ゲーム。
これはかなり難易度の高いチャートです。
今ある情報で判断するのは無理。
けれど、この3パターンで、最終的な破滅フラグもだいぶ差が出る気がいたします。
パターンAなら婚約破棄からのよくて没落、国外追放、シナリオによっては最悪処刑されるか雑な死亡フラグ。
パターンB、婚約破棄どころかまず間違いなく殺されます。惨殺です。わたくしが闇オチしてヒロインを刺すパターンだってあり得ますが、その後に待つのは結局目を覆うような最期のはず。
パターンC、これもゲームの方向性がハッピーかグロかにもよりますが、断罪後によくて娼館送り、ひどければたくさんのモブに死にたくなるような酷い目に合わされます。
(BとCはもちろん論外ですけれど、Aにしたって死にたくはありません。よくて没落とはいえ、こんなに由緒ある生家に泥を塗るようなことも偲びありませんし、これはなんとしても断罪回避ですわ!)
と勢いこんでみましたが、攻略キャラもわからないのですから、その傾向もつかみようがなく。
そもそもわたくし、まだ5歳です。特殊な性癖の方向けのマニアックなゲームだったなんていうことがない限り、攻略キャラも同じ年頃のはず。
それぞれのシナリオの肝となるべく出来事は起こりはじめているかもしれませんが、対象も内容もわからないのでは止めることはできません。
病んだりトラウマを抱えたりすることがなければいいですが、見ず知らずの方、どうぞお気持ちを強く持って……。
祈るしかないので、それっぽい人物に出会ったら言動に注意して、少しでも危険な兆候があれば見逃さないようにしないと……。
チャートその②の結論は、先送りとするしかありませんわね。
チャートその①。
これが肝心なのですけれど、ここは乙女ゲームの世界なのかBLゲームの世界なのか。
この判断を間違うとあとあとだいぶ事情が変わってしまいますから、大前提で間違うわけには参りません。
ですがこれについては、漠然とはですけれど確信もあります。
おそらくここは乙女ゲームの世界です。
というのも、この世界にはあまり、同性同士の恋愛という概念が浸透していないのです。
もしかしたら人知れず育まれている関係もどこかにあるのかもしれませんが、少なくともわたくしの周囲にはあのBLゲーム特有のご都合的な風潮はまったく見受けられず、余程シビアなシナリオでもないかぎり、この世界でボーイズ達が愛を育むのは難しそうです。
ましてひとりの少年を巡って高位貴族が取り合いなどしようものなら空前の大スキャンダルになりますわ。
たかだか5歳の公爵令嬢にそんなこと知り得ないだろうとお思いになられるかもしれませんが、侮られては困ります。
子供には聞かせられないだろうメイドや侍女のヒソヒソ話を盗み聞いたり、我が家で開催される私的なお茶会にマスコットのように座ってよくわからないという顔でお菓子を頬張りながら、しっかりその話題にのぼる噂話をチェックしておりました。
我が家の私的なお茶会といえど、筆頭公爵家のお茶会です。
幅広い交友関係からお客さまは招かれますが、皆さま身元の保証された方々ばかり、もたらされるお話の精密性は他家の追随を許しません。
噂話は流行のファッションの話からどこそこのお家の懐事情まで、あらゆるジャンルを網羅しており、その中に男性同士のスキャンダルはなく、それを楽しもうという気配もなく、むしろ何某侯爵家のご嫡男が素敵ね、いえ第一騎士団の誰それ様がステキ!とかそういうお話が多いような。
そこにかけ算を持ち込むような方はおひとりもいらっしゃらず、憧れの異性に心ときめかすキラキラとした空気は、ここは乙女ゲームの世界なのだと結論付けるには充分な説得力を持っておりました。
チャートその②。
この世界が乙女ゲームの世界として、その方向性は?
A、正統派のファンタジー系乙女ゲーム。
B、攻略キャラがヤンデレ設定のダーク系乙女ゲーム。
C、5歳幼女はご遠慮くださいの18禁乙女ゲーム。
これはかなり難易度の高いチャートです。
今ある情報で判断するのは無理。
けれど、この3パターンで、最終的な破滅フラグもだいぶ差が出る気がいたします。
パターンAなら婚約破棄からのよくて没落、国外追放、シナリオによっては最悪処刑されるか雑な死亡フラグ。
パターンB、婚約破棄どころかまず間違いなく殺されます。惨殺です。わたくしが闇オチしてヒロインを刺すパターンだってあり得ますが、その後に待つのは結局目を覆うような最期のはず。
パターンC、これもゲームの方向性がハッピーかグロかにもよりますが、断罪後によくて娼館送り、ひどければたくさんのモブに死にたくなるような酷い目に合わされます。
(BとCはもちろん論外ですけれど、Aにしたって死にたくはありません。よくて没落とはいえ、こんなに由緒ある生家に泥を塗るようなことも偲びありませんし、これはなんとしても断罪回避ですわ!)
と勢いこんでみましたが、攻略キャラもわからないのですから、その傾向もつかみようがなく。
そもそもわたくし、まだ5歳です。特殊な性癖の方向けのマニアックなゲームだったなんていうことがない限り、攻略キャラも同じ年頃のはず。
それぞれのシナリオの肝となるべく出来事は起こりはじめているかもしれませんが、対象も内容もわからないのでは止めることはできません。
病んだりトラウマを抱えたりすることがなければいいですが、見ず知らずの方、どうぞお気持ちを強く持って……。
祈るしかないので、それっぽい人物に出会ったら言動に注意して、少しでも危険な兆候があれば見逃さないようにしないと……。
チャートその②の結論は、先送りとするしかありませんわね。
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