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4 便秘を開く
4-5 守ってもらえたからできたんです
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「私に続けて言って」
御神は言葉を紡ぐ。
御神とポワの輪唱が始まる。
そっか、私、死にたかったんだ。
そっか、私、死にたかったんだ。
ただ、死ぬこと考えていたかったんだ。
ただ、死ぬこと考えていたかったんだ。
憧れて妄想して、それを分かって欲しかったんだ。
憧れて妄想して、それを分かって欲しかったんだ。
「そうなんよ…」
ポワは輪唱を止めた。
「死ぬことを考えとるとき、すっごく安心したんよ。
なんか分からんけど、ほっとできたんよ。
死ぬこと考えるだけでそれだけで…」
「それでいいの。
きっかけがどんなものでもいいの。
原因も関係ないの。
トラウマから生まれていようと好きであっていいの。
採用しただけなの。
ポワちゃんが、好きと思って採用したの。
それが大事なのよ。
もし、解決が必要なトラウマなら、好きを認めた後に解消されていく出来事が生まれるからほっといていいのよ」
緩んでいくポワに反し、影の声は悲鳴になっていく。
――どうせ嘘
――そんなの嘘
――私はとても傷ついているハズ
――だって、死にたいんだもん。
――死にたいなんて、あってはならない。
――死にたいなんて、何かを誤魔化してるから言いたくなるんだ。
――死にたい自分なんてイタい。
――死にたいことが好きな自分なんてキモい。
――傷ついているから、死にたいだけ。
やめろヤメロヤメロヤメロと呪文のように声を纏って真守に迫ってきた。
盾を両手の拳で叩き始める。
それは、攻撃ではなかった。
癇癪を起こしているだけだった。
盾で受け止め続ける。
「ポワちゃん、言ってみて」
私は、「死ぬこと」を考えることが好きなイタい変態なんです。
私は、「死ぬこと」を考えることが好きなイタい変態なんです。
ポワの声に反応したのか、影に色彩が生まれ始めた。
「私、おってもええんやね。守ってもらえる存在なんやね」
真守は、ポワの声を背中で受け止める。
目の前の影は、どんどん変形して中学生の女の子の姿になっていた。
「やめてよぉ。
死ぬことを考えるの好きな私なんて嫌だよう。
そんな私見たくない」
地面に突っ伏して泣いている。
御神は、少女の元へ行き、横に座った。
頭をなでる。
「見たくなかったね。
辛かったね。
いままでお疲れ様」
そこで言葉を切り、ポワを呼んだ。
「ずっと隠してくれてありがとうって言ってあげて。
この子のおかげで、たくさんの物を手に入れることできて、もう死ぬことに憧れても大丈夫な体になったよって」
そう、ポワは全てを手に入れたのだ。
容姿、友達、仕事、家族。
全てを手に入れて、どんなことがあっても守ってもらえる環境を作った。
死ぬことに憧れたまま生き続けることができる力を作った。
ポワは、少女に恐る恐る近寄り、そっと体を撫でた。
「ありがとう…。ありがとう。ありがとう」
ポワが言うと、影は輪郭があやふやになって消えた。
「今日だけじゃなく、守ってもらえてたんやね」
「そうよ。守ってくれてたの。
それにね、死ぬことに憧れてるからって本当に死ななくていいの」
御神は、「分けて考えて」と指導した。
「死ぬことを考えることが好き」と「死にたい」が合体して、「死ぬことを考えるなら、絶対死なないといけない」という思い込みが今回の騒動の引き金になっていると諭したのだ。
「考えるだけで満足なのか、やってみたくてうずうずするのか、全部分けて考えるの。
考えるだけで満足なんだって分かったら、本当にやってみたいことも見えてくるから。
アイドル好きだって、アイドルになりたいわけではなく、アイドルに憧れてエンターテインメントを楽しんでるでしょ。
いっしょよ」
絶対いっしょじゃない…いっしょにして欲しくない…
真守はツッコみたかったが、声が出なかった。
気が抜けて動けなくなり耐えきれなくなって地面に大の字になって転がる。
「憧れなのか行動したいことなのかが見えてくれば、危険な趣味も安心して楽しめるようになるわ。
好きなことは否定せずにどこが好きなのか分けて考えてみて。
そうやって魂が自由になったとき、何が残るかが大事なの。
本当に死にたいのなら、そのときまた考えましょう。
自殺してもいいし、すぐ死ねそうな国に旅行に行くのもいいわね。
心が本当に望むなら、実際のところ止める方法なんてないのよ。
最高な形の幕切れを用意してあげるわ」
ポワは両手で顔を覆って何かつぶやいている。
御神に何を言っているのかは聞き取れなかった。
もしかすると、未来の自殺サポートを喜んでいるのかもしれない。
起き上がることもできずに、ぼんやりと二人のやりとりを見る。
影は人間の形になったのに、気持ちが落ち着いてもポワは棒のままだ。
真守はそんなことを考えていた。
御神は言葉を紡ぐ。
御神とポワの輪唱が始まる。
そっか、私、死にたかったんだ。
そっか、私、死にたかったんだ。
ただ、死ぬこと考えていたかったんだ。
ただ、死ぬこと考えていたかったんだ。
憧れて妄想して、それを分かって欲しかったんだ。
憧れて妄想して、それを分かって欲しかったんだ。
「そうなんよ…」
ポワは輪唱を止めた。
「死ぬことを考えとるとき、すっごく安心したんよ。
なんか分からんけど、ほっとできたんよ。
死ぬこと考えるだけでそれだけで…」
「それでいいの。
きっかけがどんなものでもいいの。
原因も関係ないの。
トラウマから生まれていようと好きであっていいの。
採用しただけなの。
ポワちゃんが、好きと思って採用したの。
それが大事なのよ。
もし、解決が必要なトラウマなら、好きを認めた後に解消されていく出来事が生まれるからほっといていいのよ」
緩んでいくポワに反し、影の声は悲鳴になっていく。
――どうせ嘘
――そんなの嘘
――私はとても傷ついているハズ
――だって、死にたいんだもん。
――死にたいなんて、あってはならない。
――死にたいなんて、何かを誤魔化してるから言いたくなるんだ。
――死にたい自分なんてイタい。
――死にたいことが好きな自分なんてキモい。
――傷ついているから、死にたいだけ。
やめろヤメロヤメロヤメロと呪文のように声を纏って真守に迫ってきた。
盾を両手の拳で叩き始める。
それは、攻撃ではなかった。
癇癪を起こしているだけだった。
盾で受け止め続ける。
「ポワちゃん、言ってみて」
私は、「死ぬこと」を考えることが好きなイタい変態なんです。
私は、「死ぬこと」を考えることが好きなイタい変態なんです。
ポワの声に反応したのか、影に色彩が生まれ始めた。
「私、おってもええんやね。守ってもらえる存在なんやね」
真守は、ポワの声を背中で受け止める。
目の前の影は、どんどん変形して中学生の女の子の姿になっていた。
「やめてよぉ。
死ぬことを考えるの好きな私なんて嫌だよう。
そんな私見たくない」
地面に突っ伏して泣いている。
御神は、少女の元へ行き、横に座った。
頭をなでる。
「見たくなかったね。
辛かったね。
いままでお疲れ様」
そこで言葉を切り、ポワを呼んだ。
「ずっと隠してくれてありがとうって言ってあげて。
この子のおかげで、たくさんの物を手に入れることできて、もう死ぬことに憧れても大丈夫な体になったよって」
そう、ポワは全てを手に入れたのだ。
容姿、友達、仕事、家族。
全てを手に入れて、どんなことがあっても守ってもらえる環境を作った。
死ぬことに憧れたまま生き続けることができる力を作った。
ポワは、少女に恐る恐る近寄り、そっと体を撫でた。
「ありがとう…。ありがとう。ありがとう」
ポワが言うと、影は輪郭があやふやになって消えた。
「今日だけじゃなく、守ってもらえてたんやね」
「そうよ。守ってくれてたの。
それにね、死ぬことに憧れてるからって本当に死ななくていいの」
御神は、「分けて考えて」と指導した。
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考えるだけで満足なんだって分かったら、本当にやってみたいことも見えてくるから。
アイドル好きだって、アイドルになりたいわけではなく、アイドルに憧れてエンターテインメントを楽しんでるでしょ。
いっしょよ」
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毎週月曜日朝5時に更新します。
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