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3 不明で不快なそれぞれの思惑
3-3 疑惑解明
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無から有に転じた真守は潜水服を着ていた。
酸素ボンベを背負い、ぴったりした潜水スーツに身を包み、足にはヒレを装着している。
普段着以外を仮想現実の中に持ち込むには佐保の設定が必要になる。
御神達は、前田の深層心理が水で満たされていても対応できるよう万全の準備で挑んでいた。
御神はいない。
真守は「肉の盾」斥候として一人で降り立つ。
状況がどうなっているのか確認できたら佐保の手によって御神が現れる手はずである。
予想に反して、周囲は水ではなく空気だった。
地面を感じると砂浜だった。
寄せては返す波が静かに続いている。
真守は、おそるおそる潜水服のヘルメットを外した。
そこには静けさと平和があった。
真守は、棒人間の「ポワちゃん」を探す。
「ポワちゃん」が真守を見てどんな反応をするのか。
それが確認できないと御神は現れない。
何かが突進してくる気配を感じて、振り返ると何かに押し倒された。
背中のボンベが衝撃を伝えてきて背中に激痛が走る。
反動で頭が揺れて真守は一瞬意識が飛んだ。
「やっと来たやん。
嘘じゃなかった。
ひどいやん」
押し倒された体は痛んで空咳が出る。
棒人間は真守の胸の上で泣き崩れた。
「何やってるの?」
見下ろす御神の顔があった。
「助けてください…」
真守は細い悲鳴を出すので精いっぱいだった。
★★★
「あ、そう、嬉しかったのね…」
御神はテーブルの上に両肘をつき、組んだ手の上に顔を載せて感嘆している。
「そうなんよ。すっごく嬉しかったのに、みんなおらんなるけん」
―それはあなたが押し流したせいですよ。
真守は、そう言いたい気持ちを押し殺した。
洪水は嬉し涙だったのだ、とポワは語った。
今まで「ありえない」と否定して消そうとして大きくなるばかりだった気持ちをはじめて認めてくれた。
「認める」という選択肢を見せてくれた。
嬉しくて嬉しくて気づいたら誰もいなかった。
やっぱりそんな都合がいいことを考えてはいけないのか、と思い始めて心細くなったときに二人が戻ってきた。
「本当にええん?
死んでもええん?」
もじもじしながら、ポワは何度も確認する。
「一人でやってはダメですよ。
この場所でしっかり向き合いましょうね。
私達がいないときは準備に当ててくださいね。
約束してくれる?」
「はい」
見上げたポワの目は希望と期待で輝いていた。
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毎週月曜日朝5時に更新します。
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