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第一王子との遭遇
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「ねえ、君。ここへ入って来ては行けない場所だと知っているかい?」
「申し訳ございません。道に迷ってしまったようです」
「ふーん、そうなんだ。まあ、別に構わないよ。今の僕にはそんな権限が無いからね」
「ありがとうございます。殿下」
「ああ、もう王子でもなくなるから殿下は止めてくれる?ウィリアムで構わないよ」
「ですが…」
元王太子だけあって、有無を云わさぬ姿勢が威圧的な雰囲気を纏う人に見えている。
「では、ウィリアム様。貴方はここで何をされているのですか?」
「ああ、ちょっと頭の整理をね」
「そうですか」
「君、ドレスが汚れているね?誰にやられたの?ああ、そうか。オフィーリア・ルクセンブルグ公爵令嬢かな」
「えっ」
まるで見てきた様な口振りに驚いた。
そして、側に控えていた侍従に
「彼女に新しいドレスを用意してあげて」
と伝え、私を別室に案内してくれた。
侍女は、私の着替えを手伝ってくれた。そして、上から下まで全て整えられた私は、来たときより別人の様になっていた。
「殿下、支度が出来ました」
「もう、殿下呼ばわりしなくてもいいのに」
そういいながら、私を見ると
「素晴らしい出来だね。とっても美しいよレイティア嬢」
「私、まだ名乗っていませんが」
「ふふ、こんな時間に泣きながらこんな所迄やって来るとしたら君以外いないだろう?違う、レイティア・クラレンス辺境伯爵令嬢」
この人は、噂の様な人ではない様に思えた。
「ねえ、折角ドレスアップしたのだから、ちょっと悪戯しないか?」
「な、何をなさる気なんですか?」
「今から会場に行こうか?皆きっと驚くだろうな」
「そんな事をしたら…」
そんな事をしたら無事ではすまないだろう。私は、慌てて
「いけません。で…ウィリアム様。そのような事をなさっては、大変な事になってしまいます」
「心配いらないよ」
そういい、私をエスコートして会場に戻って行った。
当然、その場の全員が驚いて固まっている。
それもそうでしょう。ウィリアム様は今は謹慎中のはずだ。
会場が騒然となっている中、
「ウィリアム、そなたには謹慎を言い渡していたはずだが、何故ここへ来ている。場を乱す行いだぞ」
「ええ、わかっております。国王陛下、一言お祝いを申し上げたく参上致しました。」
「あ、兄上。何故?レイティアと」
「ふふ、もうお前の婚約者では、無いのだから名前で呼ぶな!マテウス」
威圧的な態度でマテウス殿下を見て
「ああ、立太子おめでとう。マテウス王太子殿下。王太子の地位はくれてやるから、レイティア嬢は僕がもらう」
その言葉に会場中から避難の声が上がった。
「それと、僕には媚薬の類いは効かないんだ。だから不貞を仕掛けた女は拘束してある。王太子の地位も要らないし、オフィーリア嬢とはこれで縁が切れる。嬉しいよ。精々仲良くするがいい」
「待て、今の事はどういう事だ」
国王陛下が訪ねると面倒だとばかりに
「後は、そこにいる尋問官に聞いて下さい。僕はこれで下がりますから」
そう言って、私を連れて会場を後にした。
「申し訳ございません。道に迷ってしまったようです」
「ふーん、そうなんだ。まあ、別に構わないよ。今の僕にはそんな権限が無いからね」
「ありがとうございます。殿下」
「ああ、もう王子でもなくなるから殿下は止めてくれる?ウィリアムで構わないよ」
「ですが…」
元王太子だけあって、有無を云わさぬ姿勢が威圧的な雰囲気を纏う人に見えている。
「では、ウィリアム様。貴方はここで何をされているのですか?」
「ああ、ちょっと頭の整理をね」
「そうですか」
「君、ドレスが汚れているね?誰にやられたの?ああ、そうか。オフィーリア・ルクセンブルグ公爵令嬢かな」
「えっ」
まるで見てきた様な口振りに驚いた。
そして、側に控えていた侍従に
「彼女に新しいドレスを用意してあげて」
と伝え、私を別室に案内してくれた。
侍女は、私の着替えを手伝ってくれた。そして、上から下まで全て整えられた私は、来たときより別人の様になっていた。
「殿下、支度が出来ました」
「もう、殿下呼ばわりしなくてもいいのに」
そういいながら、私を見ると
「素晴らしい出来だね。とっても美しいよレイティア嬢」
「私、まだ名乗っていませんが」
「ふふ、こんな時間に泣きながらこんな所迄やって来るとしたら君以外いないだろう?違う、レイティア・クラレンス辺境伯爵令嬢」
この人は、噂の様な人ではない様に思えた。
「ねえ、折角ドレスアップしたのだから、ちょっと悪戯しないか?」
「な、何をなさる気なんですか?」
「今から会場に行こうか?皆きっと驚くだろうな」
「そんな事をしたら…」
そんな事をしたら無事ではすまないだろう。私は、慌てて
「いけません。で…ウィリアム様。そのような事をなさっては、大変な事になってしまいます」
「心配いらないよ」
そういい、私をエスコートして会場に戻って行った。
当然、その場の全員が驚いて固まっている。
それもそうでしょう。ウィリアム様は今は謹慎中のはずだ。
会場が騒然となっている中、
「ウィリアム、そなたには謹慎を言い渡していたはずだが、何故ここへ来ている。場を乱す行いだぞ」
「ええ、わかっております。国王陛下、一言お祝いを申し上げたく参上致しました。」
「あ、兄上。何故?レイティアと」
「ふふ、もうお前の婚約者では、無いのだから名前で呼ぶな!マテウス」
威圧的な態度でマテウス殿下を見て
「ああ、立太子おめでとう。マテウス王太子殿下。王太子の地位はくれてやるから、レイティア嬢は僕がもらう」
その言葉に会場中から避難の声が上がった。
「それと、僕には媚薬の類いは効かないんだ。だから不貞を仕掛けた女は拘束してある。王太子の地位も要らないし、オフィーリア嬢とはこれで縁が切れる。嬉しいよ。精々仲良くするがいい」
「待て、今の事はどういう事だ」
国王陛下が訪ねると面倒だとばかりに
「後は、そこにいる尋問官に聞いて下さい。僕はこれで下がりますから」
そう言って、私を連れて会場を後にした。
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