邪魔者は静かに消えることにした…

 「君の花は貰えない」

 この国の結婚は恋愛結婚が多い、しかし未だに高位貴族と王族だけは政略結婚を強いられている。

 それには理由がある。
 一番多いのはマナー、教養の問題。

 そこで学園は恋愛疑似体験として、学園祭の終わりに告白するイベントを催していた。

 意中の男性・女性に自ら告白し、受け入れられれば白いコサージュを貰えるという貴族のお遊び程度のもの。

 高位貴族にとって一つの思い出なので、男性・女性共に相手からの花は礼儀としてもらうが、コサージュは渡さない暗黙のルール。

 但し、本当の恋人や婚約者からの花は受け取るもの。

 だが、アディ―ナ・クリステル侯爵令嬢は断られた。

 当時付き合っていたはずなのに…。アディ―ナの初恋は終わってしまった。

 そして、学園を卒業して二十歳の時に王命で婚約者が決定した。

 相手は、かつて学園祭で花告白を断った男…。

 今更……。

 ──カイン・アンドレア

 侯爵家の次男。

 でも、アディ―ナは知っている。

 彼が学園祭である女性からのコサージュを受け取っていたことを…。

 二股をかけられていたのか、遊びだったのかは分からないが、今のアディ―ナにはどうでもいいことだった。
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