42 / 61
夫が正体を明かしたら
しおりを挟む
艶やかな黒く長い髪を三つ編みにし、黒と赤のオッドアイの神秘的な瞳を持ち、祖父譲りの美貌の青年が私の隣に座っている。
にこりと微笑まれると、吸い込まれそうになった。顔は、熱を帯びた様に赤くなっているのを感じていた。
「ジョーは、この顔が好き?」
「え、いえ、いつものエルリック様も素敵です」
思わず言葉に詰まってしまった。
「魔力封していない時はこの姿なんだ。因みに毎晩、ジョーには見せてたんだけど、余裕がなかった?」
エルリックの爆弾発言にダンドーラ侯爵とクリーク公爵は飲んでいた紅茶を喉に詰まらせた。苦しそうに噎せながら
「お、お前、いきなり何を言い出すんだ、ゲホッ」
「え、エルリック様、そんな恥ずかしい事を…」
(こんな場所で、親族のいる所で夫婦の夜の営みを匂わす発言は控えて欲しいのだけど)と思っていると
「俺は爺さんにそっくりなんだよ。だからこの姿は、好きじゃない」
(拗ねてる、ちょっと可愛いかも)
ジョゼフィーネは、エルリックが子供の様な仕種をしているのが、愛しいかった。
「まあ、俺はこの姿で王都の学園に通ってたんだ。名前も変えてね。グレイは母の実家だから。まあ、婆さんに許可を貰ってね」
「だから、やたらと色々な情報を持っていたのか」
「まあ、そうですね。俺は、暗部も兼ねているから、今回も婆さんが見逃す様なら勝手に処分しようかと思っていたんだけど」
エルリックは、ジョゼフィーネを見ながら、
「ごめんね。こんな俺は教えたくなかったんだけど、ジョーはもう俺の奥さんだから隠し事されるのは、嫌だろうと思って明かしたんだ。それにブラックボンド家がどういう家かも知ってもらいたかったんだ」
「教えて下さい。エルリック様の事をもっと知りたいです」
「本当に俺の天使、可愛い」
と言って、額に唇を落とした。
「話が進まないだろう」
割って入ったのは、ダンドーラ侯爵だった。
続きを促した。深いため息を着きながら
「元々、家の一族は魔術師で、しかも流浪の民なんだ。一定の場所には、留まらない掟だったんだけど、この国の初代国王からの依頼で、北の魔の森を討伐したときにあの土地を任されて定住した。いつでも好きにこの国から出ることを条件にね」
「エルリック様は、国を出たいとお思いですか?」
「以前はそう思っていたが、ヴィオレットに出会って、考えが変わった」
「お母様ですか?」
「お、お前まだ、ヴィオレットの事が好きなのか?しつこいぞ!彼女は私の妻でジョゼフィーネの母親だぞ」
「誤解しないで、ヴィオレットの事は仕事上の相談や商会の事で親しかっただけだから、その才能が欲しかった。だから彼女が身籠った時に生まれて来る子の比護者を申し出たんだけど、クリーク公爵に断られたんだ」
「まあ、仕方がないでしょう。誰でも10歳の子供の言うことなんて相手にしなくても」
クリーク公爵が答えた。
「なるほど、そなたのジョゼフィーネへの執着心はその頃からなのだな。エルリックよ」
静かにお茶を飲みながら、『ビクトリア女王』は尋ねた。
「俺は、あの頃から実質上、ブラックボンド家の当主だからな。表向きは親父だけど、【神眼】を持ってない親父は一族の長にはなれない」
全員が絶句した。
この男はまだかくし球を持っている
にこりと微笑まれると、吸い込まれそうになった。顔は、熱を帯びた様に赤くなっているのを感じていた。
「ジョーは、この顔が好き?」
「え、いえ、いつものエルリック様も素敵です」
思わず言葉に詰まってしまった。
「魔力封していない時はこの姿なんだ。因みに毎晩、ジョーには見せてたんだけど、余裕がなかった?」
エルリックの爆弾発言にダンドーラ侯爵とクリーク公爵は飲んでいた紅茶を喉に詰まらせた。苦しそうに噎せながら
「お、お前、いきなり何を言い出すんだ、ゲホッ」
「え、エルリック様、そんな恥ずかしい事を…」
(こんな場所で、親族のいる所で夫婦の夜の営みを匂わす発言は控えて欲しいのだけど)と思っていると
「俺は爺さんにそっくりなんだよ。だからこの姿は、好きじゃない」
(拗ねてる、ちょっと可愛いかも)
ジョゼフィーネは、エルリックが子供の様な仕種をしているのが、愛しいかった。
「まあ、俺はこの姿で王都の学園に通ってたんだ。名前も変えてね。グレイは母の実家だから。まあ、婆さんに許可を貰ってね」
「だから、やたらと色々な情報を持っていたのか」
「まあ、そうですね。俺は、暗部も兼ねているから、今回も婆さんが見逃す様なら勝手に処分しようかと思っていたんだけど」
エルリックは、ジョゼフィーネを見ながら、
「ごめんね。こんな俺は教えたくなかったんだけど、ジョーはもう俺の奥さんだから隠し事されるのは、嫌だろうと思って明かしたんだ。それにブラックボンド家がどういう家かも知ってもらいたかったんだ」
「教えて下さい。エルリック様の事をもっと知りたいです」
「本当に俺の天使、可愛い」
と言って、額に唇を落とした。
「話が進まないだろう」
割って入ったのは、ダンドーラ侯爵だった。
続きを促した。深いため息を着きながら
「元々、家の一族は魔術師で、しかも流浪の民なんだ。一定の場所には、留まらない掟だったんだけど、この国の初代国王からの依頼で、北の魔の森を討伐したときにあの土地を任されて定住した。いつでも好きにこの国から出ることを条件にね」
「エルリック様は、国を出たいとお思いですか?」
「以前はそう思っていたが、ヴィオレットに出会って、考えが変わった」
「お母様ですか?」
「お、お前まだ、ヴィオレットの事が好きなのか?しつこいぞ!彼女は私の妻でジョゼフィーネの母親だぞ」
「誤解しないで、ヴィオレットの事は仕事上の相談や商会の事で親しかっただけだから、その才能が欲しかった。だから彼女が身籠った時に生まれて来る子の比護者を申し出たんだけど、クリーク公爵に断られたんだ」
「まあ、仕方がないでしょう。誰でも10歳の子供の言うことなんて相手にしなくても」
クリーク公爵が答えた。
「なるほど、そなたのジョゼフィーネへの執着心はその頃からなのだな。エルリックよ」
静かにお茶を飲みながら、『ビクトリア女王』は尋ねた。
「俺は、あの頃から実質上、ブラックボンド家の当主だからな。表向きは親父だけど、【神眼】を持ってない親父は一族の長にはなれない」
全員が絶句した。
この男はまだかくし球を持っている
3
お気に入りに追加
1,143
あなたにおすすめの小説

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
不器用騎士様は記憶喪失の婚約者を逃がさない
かべうち右近
恋愛
「あなたみたいな人と、婚約したくなかった……!」
婚約者ヴィルヘルミーナにそう言われたルドガー。しかし、ツンツンなヴィルヘルミーナはそれからすぐに事故で記憶を失い、それまでとは打って変わって素直な可愛らしい令嬢に生まれ変わっていたーー。
もともとルドガーとヴィルヘルミーナは、顔を合わせればたびたび口喧嘩をする幼馴染同士だった。
ずっと好きな女などいないと思い込んでいたルドガーは、女性に人気で付き合いも広い。そんな彼は、悪友に指摘されて、ヴィルヘルミーナが好きなのだとやっと気付いた。
想いに気づいたとたんに、何の幸運か、親の意向によりとんとん拍子にヴィルヘルミーナとルドガーの婚約がまとまったものの、女たらしのルドガーに対してヴィルヘルミーナはツンツンだったのだ。
記憶を失ったヴィルヘルミーナには悪いが、今度こそ彼女を口説き落して円満結婚を目指し、ルドガーは彼女にアプローチを始める。しかし、元女誑しの不器用騎士は息を吸うようにステップをすっ飛ばしたアプローチばかりしてしまい…?
不器用騎士×元ツンデレ・今素直令嬢のラブコメです。
12/11追記
書籍版の配信に伴い、WEB連載版は取り下げております。
たくさんお読みいただきありがとうございました!
最愛から2番目の恋
Mimi
恋愛
カリスレキアの第2王女ガートルードは、相手有責で婚約を破棄した。
彼女は醜女として有名であったが、それを厭う婚約者のクロスティア王国第1王子ユーシスに男娼を送り込まれて、ハニートラップを仕掛けられたのだった。
以前から婚約者の気持ちを知っていたガートルードが傷付く事は無かったが、周囲は彼女に気を遣う。
そんな折り、中央大陸で唯一の獣人の国、アストリッツァ国から婚姻の打診が届く。
王太子クラシオンとの、婚約ではなく一気に婚姻とは……
彼には最愛の番が居るのだが、その女性の身分が低いために正妃には出来ないらしい。
その事情から、醜女のガートルードをお飾りの妃にするつもりだと激怒する両親や兄姉を諌めて、クラシオンとの婚姻を決めたガートルードだった……
※ 『きみは、俺のただひとり~神様からのギフト』の番外編となります
ヒロインは本編では名前も出ない『カリスレキアの王女』と呼ばれるだけの設定のみで、本人は登場しておりません
ですが、本編終了後の話ですので、そちらの登場人物達の顔出しネタバレが有ります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる