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疑惑
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私は、夫を愛した事は無かった。恋慕う気持ちより、ただ国王として接していた。
それなりに関係は良かったと思う。二年後に王女が誕生した頃は、お互いに政務が忙しかった。
だから淋しい等と言う感情は持っていなかった。
でも彼は違っていた。私に愛を求めた。恋もしたこともなく婚約者もいなかった私には、男女の愛は到底理解する事ができなかった。
彼は、とても淋しい人だった。その思いを紛らわす様に多くの女を求めた。
『蛙の子は蛙』
と宮廷雀達は噂した。先王は、無類の女好きで浪費癖が酷かった。そのお蔭で財政が乏しくなった。
私に王太子妃の話が来たのもそのせいだ。
なのに、今度は夫が同じ鉄を踏もうとした。
折角、国が安定し始め、民が彼を次代の賢王と崇め始めた時に、全ての努力が水の泡となる。後の世に愚王と歴史に名を残す事になると私は彼を諫めた。
彼は私が女達に嫉妬したとして、責め立てた。不意に身体を押された私は転倒した。
この時私は懐妊していた。だが、四人目の子供は生まれず程なく流産した。そして、医師から二度と子供を生むことは出来ない事を告げられた。
だが、もう別にどうでも良かった、既に三人の子供達がいるから、この先夫の子供等、生みたくも無かったし、必要も無かった。
私は、どれ程政務に追われても子供達との交流は保つように努めた。
私は、恐れていた夫の愛人が自分の子供達を害するのではと、予感は的中した。
公務で一週間程、地方へ慰問に出掛けた時、嫡子が毒を盛られた。
その場にいたメイドの対応で大事には至らなかった。だが、この頃から不穏な気配が後宮に合ったのに私は、見過ごしていた。
私は、王宮の東側に【秘密の花園】を作り、子供達を隠した。
その手助けをしてくれたのが、先々代辺境伯のエドワード・ブラックボンドだ。この頃は、まだ子爵だった。
彼は、黒い艶やかな髪にルビーの瞳をした。端麗な顔立ちの優男だった。
だから、皆その容姿に騙される狡猾で容赦ない彼は、欲しいものは必ず手に入れた。
彼は、愛妻家で妻以外の女を持たなかった。妻であるサリアは子爵家の娘で婚約が決まりそうになると、横槍を入れ奪い取った。
その手口は、巧妙だった。婚約予定者に次々と別の女を紹介と云うより、偶然を装い接触させた。美人局紛いな事を平気でやってのけた。
サリアを害した令嬢は、修道院に入ったり、年老いた男の元に嫁いだりして、排除した。酷い時は、破滅させた。
だが、唯一私を理解し、支え続けた男でもある。
嫡子が3歳の誕生日、先王の子供が池に落ちて死んだ。
その日から、皆が私を見る目が変わったまるで私が殺ったように冷たい目で見ていた。
数人の側近以外は、私の仕業だと噂が流れた。
その後も次々と彼の子と王の子が死んでいった。彼も私が犯人だと言わんばかりだった。
エドワードだけは
「何処にそんな必要があるのだろう」
と吹聴して回った。その通りだ。王太子妃の嫡子がいるのにどれ程、彼の子がいようとも次代を担う王太子には選ばれない。何故なら、王太子妃は実質的な権力を握っているのだから、小細工等必要が無かった。
最早、王太子との確執は修復不可能になった。
そんな時、王が崩御し、夫は即位した。
私は王妃となり、『ビクトリア女王』の尊称を与えられた。
そして、事件は起きた。
それなりに関係は良かったと思う。二年後に王女が誕生した頃は、お互いに政務が忙しかった。
だから淋しい等と言う感情は持っていなかった。
でも彼は違っていた。私に愛を求めた。恋もしたこともなく婚約者もいなかった私には、男女の愛は到底理解する事ができなかった。
彼は、とても淋しい人だった。その思いを紛らわす様に多くの女を求めた。
『蛙の子は蛙』
と宮廷雀達は噂した。先王は、無類の女好きで浪費癖が酷かった。そのお蔭で財政が乏しくなった。
私に王太子妃の話が来たのもそのせいだ。
なのに、今度は夫が同じ鉄を踏もうとした。
折角、国が安定し始め、民が彼を次代の賢王と崇め始めた時に、全ての努力が水の泡となる。後の世に愚王と歴史に名を残す事になると私は彼を諫めた。
彼は私が女達に嫉妬したとして、責め立てた。不意に身体を押された私は転倒した。
この時私は懐妊していた。だが、四人目の子供は生まれず程なく流産した。そして、医師から二度と子供を生むことは出来ない事を告げられた。
だが、もう別にどうでも良かった、既に三人の子供達がいるから、この先夫の子供等、生みたくも無かったし、必要も無かった。
私は、どれ程政務に追われても子供達との交流は保つように努めた。
私は、恐れていた夫の愛人が自分の子供達を害するのではと、予感は的中した。
公務で一週間程、地方へ慰問に出掛けた時、嫡子が毒を盛られた。
その場にいたメイドの対応で大事には至らなかった。だが、この頃から不穏な気配が後宮に合ったのに私は、見過ごしていた。
私は、王宮の東側に【秘密の花園】を作り、子供達を隠した。
その手助けをしてくれたのが、先々代辺境伯のエドワード・ブラックボンドだ。この頃は、まだ子爵だった。
彼は、黒い艶やかな髪にルビーの瞳をした。端麗な顔立ちの優男だった。
だから、皆その容姿に騙される狡猾で容赦ない彼は、欲しいものは必ず手に入れた。
彼は、愛妻家で妻以外の女を持たなかった。妻であるサリアは子爵家の娘で婚約が決まりそうになると、横槍を入れ奪い取った。
その手口は、巧妙だった。婚約予定者に次々と別の女を紹介と云うより、偶然を装い接触させた。美人局紛いな事を平気でやってのけた。
サリアを害した令嬢は、修道院に入ったり、年老いた男の元に嫁いだりして、排除した。酷い時は、破滅させた。
だが、唯一私を理解し、支え続けた男でもある。
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その日から、皆が私を見る目が変わったまるで私が殺ったように冷たい目で見ていた。
数人の側近以外は、私の仕業だと噂が流れた。
その後も次々と彼の子と王の子が死んでいった。彼も私が犯人だと言わんばかりだった。
エドワードだけは
「何処にそんな必要があるのだろう」
と吹聴して回った。その通りだ。王太子妃の嫡子がいるのにどれ程、彼の子がいようとも次代を担う王太子には選ばれない。何故なら、王太子妃は実質的な権力を握っているのだから、小細工等必要が無かった。
最早、王太子との確執は修復不可能になった。
そんな時、王が崩御し、夫は即位した。
私は王妃となり、『ビクトリア女王』の尊称を与えられた。
そして、事件は起きた。
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