【完結】旦那様、溺愛するのは程々にお願いします♥️仮面の令嬢が辺境伯に嫁いで、幸せになるまで

春野オカリナ

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義母、カーミラ

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 私は、あの女が大嫌いだった。だから、あの女の娘も虐めた。

 私があの女と出会ったのは、学園に入って直ぐだった。割りと目立つあの女【ヴィオレット・クリーク公爵令嬢】は、私の持って物を全て持った令嬢だった。

 【ロバート・アンサンブル侯爵令息】

 彼は、侯爵家の出なのに、学園でも気さくで誰にでも優しい人だった。

 私も憧れていた一人だった。裕福でない子爵家令嬢の私には、手の届かない存在だと思っていた。

 彼は、第二王子の側近候補で、その優秀さで生徒会のメンバーだった。

 当時、生徒会のメンバーには、あのヴィオレットもいた。

 私が14歳の時に、中等部の生徒会書記に誘われた時は、天にも昇る心地だった。

 彼に一歩近づけると思っていた。でも、彼の瞳には、ヴィオレットしか映っていなかった。

 何時も何時もあの女が、ヴィオレットが、私の前に立ちはだかった。成績にしても、家柄にしても、彼の心まで、何の苦労も知らずに、全てを手にしていたヴィオレットが羨ましく、妬ましく、そして憎かった。

 只、生まれが公爵令嬢だと言うだけで、皆から慕われ、愛された彼女が、大嫌いだった。

 でも、ヴィオレットは、彼を選ばずダンドーラ公爵令息と婚約していた。

 私は、淡い期待に震えた。もしかしたら彼が私を選んでくれるのではないかと、しかし、私の希望は、露と消えた。打ち砕かれた。

 19年前、あの夏、第二王子が隣国に婿に入った為、彼は出世の道が閉ざされた。第一王子が王太子に決まり、側近には既にクリーク公爵令息セドリック・クリークやウィストン・ダンドーラ公爵令息、アンドレ・ピュセル侯爵令息等がその座にいた。皆、幼き頃より学友で、絆が強かった。

 彼の家も父親が多額の借金を抱え、火の車の様な状態だった。

 そして、あの忌まわしい事件が起こった。

『ヴィオレット・クリーク公爵令嬢が婚約者のウィストン・ダンドーラ公爵令息を毒殺しようとした』

 社交界を賑わわせた大スキャンダルの余波は、彼の身にも起こった。

 結婚間近の令嬢の破局、しかも殺人未遂の疑いのある令嬢等誰も縁談等申し込まない。

 後は、修道院行きの筈だった。

 なのに、証拠不十分で、罪を免れたヴィオレットは、金と権力に物を言わせて、彼をロバートを私から奪った。

 彼の家を援助する代わりに、結婚し、子供を産んだ。

 でも、私の方が彼を愛している。

 だから、幸せな筈の彼は、何処か寂しく辛そうな姿を私にだけ見せたあの日、私は、彼のその憂いを取り除きたくて、彼に抱かれた。

 それは、彼が結婚して半年後の事だった。その時から私は、彼の愛人となった。

ーーー彼との間に、女の子が生まれたーーー

   その子の名は、ジャネット 



ーーー罪人の癖に私からロバートを奪った女、ヴィオレットに復讐するために生きている。


 ジャネットを唆して、あの女の娘の婚約者を奪い、惨めな思いをさせたのに、何故、あの娘、犯罪者の…、罪人の娘の癖に、絶対、幸せになんかさせない!

 私からロバートを奪った女の娘なんかが、幸せになるなんて許さない


 見ているがいい、どんな手を使っても、ぶち壊してやる!


 
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