【完結】旦那様、溺愛するのは程々にお願いします♥️仮面の令嬢が辺境伯に嫁いで、幸せになるまで

春野オカリナ

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新たな地への旅立ち

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 あのパーティーでの宣言から、私の生活拠点は、クリーク公爵家になった。

 何でも、ダンドーラ侯爵は、外交官でまだ国に戻られていないので、会えないし、屋敷もダンドーラ公爵家の離れに住んでいらしく、しかもまだ独身だ。

 何故、そんな方が戸籍上の父となったのかは、伯父が答えてくれた。

 「彼は、ヴィオレットと私の古い友人でね。少し、変わった所もあるが、君のお母さんから頼まれていたんだ。もし、自分に何かあったら、引き取って欲しいとね」

 「お母様が…」

 母は、亡くなった後の私を心配をしていた。

 「彼は、ヴィオレットに色んな国のお土産を渡して、よく困らせていたよ。その仮面もそうだよ。」

 「この仮面も?」

 (そういえば母の遺品を整理すると、変わった物が沢山あった様な…)

 あれは、ダンドーラ侯爵の贈り物だった様だ。そこで思い出したのが、六歳の誕生日に母から渡された【呪いの人形】髪が縮れて、目がバラバラになって一応、服を纏っていたから人形何だろう、それは、子供の私には、【呪いの人形】意外の何でも無かった。

 お蔭で、その日は怖くて、母と一緒に寝た。

 「全くしようのない方ね。子供にこんな悪趣味な物を」

 と溢していたような記憶がある。

 私は、この時、ダンドーラ侯爵はとても変わった人だと認識した。

 「ところで、伯父様、辺境伯爵は、どの様な方ですか?」

 「気にしなくても、大丈夫だよ。彼は器の大きな人間だから、仮面の事も対して気にならないよ」

 (そんなものだろうか?私なら凄く気にすると思うんですけど…)

 「取り敢えず、絵姿はあるから見てみるかい」

 渡された絵姿は、王都の縁談に使う物では無かった。

 私の最初の『エルリック・ブラックボンド』の印象は、凄く変わった人だった。

 だって、いくら辺境地でも、魔物を足蹴に、血がついた剣を空高く掲げ、どこぞの勇者の様な絵姿は、男の子の憧れであっても、王都の令嬢方に送る絵姿にしてはどうだろう。

 絵姿に描かれている。赤毛の短髪に青いサファイアの様な瞳の耀く美貌の勇者様は、今年28歳だ。間違いなくこれが原因で損をしている。

 でも、私も負けていない。何せ『仮面』を付けた令嬢何て私位なものでしょう。

 案外、変わったもの同士上手くやって活けるかも知れないと思った。



ーーー私は、辺境地に旅立ちます。どうか、この縁が良縁であります様にーーー



 そう祈りながら、王都を後にして、辺境伯に今、溺愛を受けてます。

 「旦那様の愛が重いです」

 贅沢な悩みを抱える今日この頃の私でした。


 
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